京都府宇治市、宇治公園(塔の島)付近で2013年5月12日に
行われた、京都府南部では初めてのドラゴンボート大会
「宇治川・源平・龍舟祭2013」の模様より。
この大会は、宇治市内14チーム、市外(ドラゴン専業チーム)
26チームの合計40チームで争われる中規模大会だ。
距離は200m直線、12人艇、いわゆるミニドラゴンまたは
スモールドラゴンと呼ばれるタイプの小型艇を使用。
市内チームはユニークなコスチュームをまとったビギナー
チームが中心であり・・
源平合戦にちなんだ甲冑武者のドラマーも。
また、市外チームは、今年の大会の初戦でありながらも
12人という集めやすい人数からか、おなじみの常連強豪
ドラゴン専業チームがずらりと勢ぞろいしている。
こちらは、市外強豪チームの1つ、「近畿車輛電龍」だ。
このチームは、新幹線や近鉄特急などを製造している東大阪市の
企業チームで、東南アジアからの研修生を中心としている。
そういえば、「電龍」チームで、ちょっと気になる事があった。
外国人メンバーに聞いてみよう。
匠「電龍さん、おひさしぶり(約半年ぶりだ・・)」
電「コンチハ、今年も、オセワにナリマス!」
そう、いちおう彼らは日本語OKなのだ。
大阪府ドラゴンボート協会(ODBA)にも所属していて、夏の間、
ずっとドラゴンの練習や各地の大会に参加している。
私にも海外駐在の経験があるが、そこでの楽しみは非常に少ない、
「観光地とかに行き放題だろう?うらやましいなあ?」言われた事も
あるが、実際には一人で生活していて、しかも言葉も十分には話せない
状態では、なかなか観光気分にはなれないというのが本当のところだ、
「電龍」の彼らに聞いても、やはりあまり観光やレジャーなどは
していない様子だ、だから、そうしてドラゴンの練習をしたり、
このように各地の大会に参加すること自体が、楽しみの1つとして
彼らには十分に役立っているのではないのだろうかとも思える。
さて、気になっていることだが・・
匠「そういえば、先輩たち、帰ったの?」
電「ハイ、国にカエリました」
匠「そう・・ 3人だっけ?」
電「10人デス」
匠「そうか・・それは寂しいね」
電「ハイ、サビシイです」
昨年まで「近畿車輛電龍」の主力を担っていた先輩たちが、
日本での研修期間を満了して、帰国したとのことだ。
昨年から帰るという話は聞いていて、「一度で良いからドラゴン
の大会で表彰台に立ちたい」というのが「電龍」の昨年の
目標であったのだ。
まあ、ODBAの小規模大会などでは優勝経験もあるのだが、
地方のメジャー大会では、彼らは3位入賞の経験はこれまでは
なかった。 しかし(私が参加できなかった)2012年の最終戦の
和歌山大会で「電龍」は、見事に入賞を果たしたと聞いている。
その感動の場面に立ち会えなかったのは残念な事なのだが、
まあ、なんにせよ、夢がかなって良かったと思う。
今後は後輩たちが研修期間いっぱい「電龍」の主力として
活躍する事であろう。ただ、現状はまだ彼らに強い覇気の
ようなものはあまり感じられない。しかし、それは外国人チームに
限らず、日本人のチームだって同様な場合もある。
重要なのは「勝つことに貪欲になること」、そのきっかけは、
上位との争いで、惜しかった、悔しかった、という経験を
いくつも積んでいくことなのだろう、そうして「心のスイッチ」が
入れば、もう後は心配はいらない、練習も率先して沢山するで
あろうし、結果はおのずと追いてくるようにも思える。
さて、予選はどんどん進行している。
タイムは予想より若干遅く、市内チームの平均は1分20秒前後、
市外チームの平均は1分10秒台となっている、
水流は追い潮だが、ボートが若干重いのだろうか? この分だと
準決勝進出ラインは、市外チームでは1分8秒程度になりそうだ。
市外の部で、若干不利なのは、女子選手の多いチームだ。
通常の大会では、オープン(性別無関係)と、男女混合(たとえば
20人漕ぎの場合は、女子が6名以上とか、8名以上とか)さらには
女子のみのカテゴリーなどに細分化されているのだが、今回の大会
では市外の部はすべてオープンだ。
ただ、腕力に劣る女子だから遅い、というわけでもなく、10人漕ぎ
では体重の若干軽い女子艇は、そこそこ男性のチームとも渡り
合えるくらいにハンデは縮まっている。ましてや、多くの混合戦を戦い
抜いてきた、つわもの女子揃いの常連チームも多数参加しているので
そのあたりの影響は、あまり気にする必要は無いのかもしれない。
こちらは、「龍人(どらんちゅ)」
滋賀県大津市の強豪チームだ。
前編の「小寺製作所」の項目でも書いたが、多くの中堅チームに
「3位入賞の壁」があるという話だ。
「龍人(どらんちゅ)」も、数年前まで、この壁にぶち当たっていて、
万年4位と自嘲していた時期もあった。
しかし、近年は、滋賀県の大会でも何度も入賞するようになって
きていて、圧巻は、昨年(2012年)の「びわこペーロン大会」では、
2つのカテゴリーで、優勝と3位のダブル入賞を果たしている。
ただし、この時の優勝は、大会途中でゲリラ豪雨に見舞われて
レ-スが短縮となり、しかも、同カテゴリーには、他に強豪チームも
見当たらなかったので、「龍人」としてはこの優勝は納得の結果、
というわけではなかった様子だ。
まあ、いずれにしても、今や「龍人」は、滋賀県ではBEST3に
入る強豪チームであろう、後は、滋賀県の大会での正規な優勝と、
他地区メジャー大会での入賞あたりを狙っていきたいところだろう。
こちらは愛知県の名門「東海龍舟」だ。
愛知県にはドラゴンのチームは少なく、各地の大会を転戦する
常連強豪チームというと、こちらの「東海龍舟」と、あとは
「闘龍者(とうりゅうもん)」くらいしか思いつかない。
「東海龍舟」は、関西の各大会の多くにも参戦していて、
参加する大会は、よほどのことがない限りは、確実に決勝に
進出するという、安定した実力を誇る。
東海龍舟のメンバーは、
東「ウチのチームは女子が多いから、今日の(オープン)の
大会では若干不利かなあ・・」
と言っていたが、東海龍舟は、元々混合カテゴリーで実力を
発揮するという特徴があるので、女性が多くても、あまり
不利にはならないようにも思える。
それよりも慣れない12人艇での「漕ぎ」はどうなのだろう?
と思っていたのだが、フォームを見ると、明らかに他のチーム
とは異なる様子だ。
具体的には、左サイドの女子メンバーが、思い切り舷側から
体を乗り出しているのが見てとれる、これは、バドル(櫂)を
水中に深く入れてストロークしているという事なのだろう。
深く入れた方が推進力は増すと思うが、当然、漕ぐ力も余分に
必要になるだろうし、さらにはピッチ(漕ぐ回数)も速く多く
していくのは困難になってくると思われる。右サイドの男性
メンバーとのバランスをとっているのだろうが、よほど馬力が
無いとできない漕ぎ方だ。
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さて、こちらのチームは・・
ん? 知らないチームだなあ。 ・・とは言え、市内のチーム
ではなく市外(一般)参加だし、ドラゴン専業チームなのであろう。
匠「え~と、どちらのチームでしたか?」
B「お、匠さん? え~ Bpジュニアと言います。」
よく見ると、どこかで見かけた顔が何人か・・
聞くところによると、昨年秋に、某強豪チームから独立した
新チームとのことだ。実力者メンバー数名に、若手の新戦力を
補強したメンバーで、今年から各大会に参戦するとのこと。
匠「なるほど。すると、なかなか速そうですね。」
B「え~、初参加、初優勝を狙っています!」
なかなか頼もしい発言だ、けど、チームのレベルは見るからに
高いように思える、これは今日の大会が面白くなってきた。
各チームを廻っていると「匠さん、今日の展開はどう見ます?」
と、聞かれることは多々ある、これはつまり他チームの調子を
直接聞くわけにはいかないだろうからなのだが、今日のところは
「Bpジュニアは要注意ですよ」と答えることにしようか・・
市外の部、つまりドラゴン常連強豪チームによるカテゴリーの
予選は、続く激戦の予感を感じさせながら、粛々と進んでいく。
予選1回戦を終え、タイム順は、
1位:Bpジュニア 1分4秒
2位:龍人(どらんちゅ) 1分6秒
3位:関空飛龍 1分7秒
となっている。
さすがに「Bpジュニア」は速かった。
「龍人」も今日は調子がよさそうだ。
「関空飛龍」も、昨年末の静岡県大会「ツナカップ」に遠征して
B優勝(下位優勝)という結果が出ていて、10~12人乗りの
ミニドラゴンの方では実力が発揮しやすいような様子だ。
4位以下は1分10秒台が激戦区で、ベテラン「Rスポーツマン」
ロケットスタート「小寺製作所」、名門「東海龍舟」、そして
「Team Bananaスパークス」の4チームがひしめきあっている。
「Team Banana」は、各大会に参加している、超「常連」チーム
なのだが、一昨年あたりまでは、成績は正直イマイチだった。
それが昨年くらいより、急に速くなった模様だ。
事実、昨年の「びわこ1000m選手権」でも準優勝している。
聞くところによると、どうやら、チームでボートを1艘購入した
とのことで、それをチーム専用艇として練習しているらしい。
ボート1艘は、比較的小型の10人艇でも、数十万円くらいする
そうなのだが、チームのメンバー全員で割れば2万円前後で
買える計算になる。パドル1本個人で買うにも2万円は必要、
もし専用艇を買うことで、チームが、こんなに速くなるならば、
なかなか安い買い物なのかも知れない・・
さて、こちらは大会運営スタッフのMさんだが、顔の左側に
オレンジ色の小型カメラのようなものが・・
匠「お、これは・・・ 最新型ですね!」
M「うん、パナソのやつな。 なかなか売ってなくて探したよ」
これは、以前は「オンボードカメラ」や「ヘルメットカメラ」と
呼ばれていて、最近では「ウェアラブル」カメラと言う呼び名が
定着してきている、スポーツ用ビデオカメラだ。
自転車、モータースポーツ、スノースポーツ、マリンスポーツ等で、
主に用い、利用者の目線での迫力ある映像を楽しむことができる。
弱点は、モニターが無いか、またはあっても利用中は見ることが
出来ないので、何が写っているかが、わからない事と、あとは
小型軽量なのでバッテリーの消耗が早い(おおむね1~2時間程度)
事だ。
ただ、弱点はともかく、これはドラゴンにはもってこいであろう、
特にMさんは、鼓手(ドラマー)なので、後ろ向きに座る。
よって、他のすべての選手の動きをビデオに収めることが
できるというわけだ。
匠「これ、ナンボしました? 高いんでしょう?」
M「確か、26000円くらいやな」
匠「へ~、思ったよりは安いんですね!」
さて、これくらいの投資で、チームが速くなるなら、これもまた
強くなりたりチームは、購入検討の対象かな(笑)
ところで、投資といえば、私は(生)ギターを演奏するのだが、
ギター仲間に、何十万円もする高価なギターを購入する人が
たまにいる。
ただ、それは彼が裕福でお金があるから、という訳でもなく、
また、彼がプロ並みにとてつもなくギターが上手だから、
という訳でもない場合がほとんだ。
それこそ、ボーナスをつぎこみ、他に欲しいものや、色々な
贅沢も我慢して、そうした高価なギターを購入するわけだ。
最初にそうした事を見かけたとき「腕に見合わず・・」と、
ちょっとさげすんだ気分と、逆に、うらやましい気分とが混じった
複雑な気持ちだったのだが、その後を見ていると彼のギターの
腕前が、みるみるうちに、どんどん上がっていく。
・・まあ、そりゃそうかも知れない。
恐らく「高いギターを買ったからには」と、必死に練習しているの
であろう。
そういう理屈であれば、無理しても高いモノを購入することも、
決して悪くはないのかも知れない。まあ、とはいえ、個人で
ドラゴン艇を購入しても意味は無いとは思うが・・(笑)
ちなみに、私は逆にギターやカメラは”消耗品”と考えていて、
特に最近はけっして高価なモノには手を出さないようにしている。
ギターは新品10万円以下で、価格と性能のバランスがもっとも
とれている価格帯のものを、5~7年で使いつぶして買い換える。
カメラは、デジタル時代になってからは、さらに顕著だ。
新品は絶対といっていほど買わず(レンズはその限りではない)
最近は、3年ほど前に発売された型落ち中古を、おおむね2万円
以下の低価格で購入している。
ちなみに、今日の大会の撮影機材も、デジタル一眼が1万5千円、
高倍率コンパクト(通称ネオ一眼)は、1万2千円、
さらに、高性能(ハイエンド)コンパクトは1万円・・・
という、3台で合計4万円以下という激安ラインナップだ。
まあ、ドラゴン撮影は、暑さや、荒天、水辺、などの非常に悪条件の
撮影になるので、だいたい1年に1台くらいのペースでカメラをダメに
してしまう、そういう理由もあって、高価なカメラはますます使う気に
なれないという状況もあるのだが・・
それから、デジタルカメラ購入に関する私の持論で「1枚3円の法則」
というのがある、これは、カメラ購入価格を、合計撮影枚数で割って
1枚が3円に達したら減価償却終了、つまり「元は取った」という
考え方である。 デジタルカメラが中古でも10万円近くしていた
以前であれば、このくらいでもよかったのだが、近年のように、
デジタル一眼でも1万円台で購入できるまで値段が下がってくると、
「1枚3円の法則」は、数ヶ月でクリアしてしまう。
なので、最近買った安価なカメラに関しては「1枚1円の法則」を
守るように変更している。まあ、そうでもしないと「安いから」という
理由で次々使いもしないカメラを買ってしまう危険性もあるからだ。
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さて、少々寄り道してしまったが、少々長くなってきたので、
続きはまた次回、後編に続く・・