デジタルカメラで写真を撮る時、ホワイトバランス、すなわち色温度に注意して撮る
わけであるが、これは撮影時にWB設定を行う場合と、撮影後のレタッチで行う場合がある。
基本については、前出の記事、
「初級編:デジカメのホワイトバランス」を参考にして欲しい。
さて、撮影後のカラーバランスはRAWモードで撮らないとできないと思っている人が
多いがそんな事は無い、RAW現像ソフトの多くはカラーバランスの調整を前面に
打ち出しているからそう誤解しやすいのであるが、別にJPEGで撮ってから、
普通の市販レタッチソフト、あるいはフリーソフトを使っても簡単にできる。
まず組となっている作例を見ながら色彩レタッチの手法を解説してみよう。
↑①は、本来ノーマルのオート(昼光)ホワイトバランスで撮っていて綺麗な青い海が
広がっているのであるが、これを色相を変更してみる。
砂浜、女性、木々の緑に影響を及ぼさないように色を変えるには、いちいち海の部分を
切り抜いて補正するのでなく、「青色」のデータを「緑色」に変更してあげれば簡単。
じゃ、何故緑にするのか?と言うと、これはもう創造性である。
前方が水平線まで抜けるような景色でれば、南国のリゾート地を連想させるから、
エメラルドグリーンの海もおかしくは無い、でも、この風景は前方に埋め立てた土地や
高速道路やマンションが並んでいるから、都会の隙間にわずかに出来た海である、
そんな海だからこそ、本来の青の色彩でもなんかわざとらしい、どうせわざとらしい
世界なんだから、思いっきりエメラルドグリーンに加工してしまった。そんな不自然な世界
を見つめる女性の後姿がそこにある。

↑②は、ストーリー性をもって①の続き、こんどは逆光状態なので思いっきり露出アンダー
にして撮った(-1.3EV)水面のキラキラ感を強調する意図があったからである。
ノーマルの色温度(ホワイトバランス)、でも、仕上がりはほとんどモノクロに近い
ものがあった、わずかにウィンド(サーフィン)のセール(帆)が赤みを帯びている。
この場合の後処理での色温度変換は何も行わなくて良い。元々が無彩色に極めて近い、
また、後処理で輝度(明るさ)を変えると、海のキラキラ感が損なわれる。
ならば、行うレタッチ処理は彩度を思いっきり上げる事である。
それだけで夕日に生えるウィンドの赤が綺麗に出た。
本来中央AFフレームで被写体を捉えているのだが、あえて左側をトリミングした、
動く物の進行方向に構図を開けるのは写真の常識である。
でも常識通りで無い場合がある、たとえば、動くものの「軌跡」を強調したい場合。
あるいは進行方向に何かがある事を想像させたい場合・・・ 色々あるが、ここでは
「もう終わり」をイメージさせたい効果を狙う、この時間は実際にも夕方であるのだが、
日没まではまだ数時間あり、ウィンドの人達はまだまだセールで風を受けて疾走している、
しかし、色調を夕日にしてしまった以上、ストーリーはもう「終わり」にするしかない。
だから進行方向の左側を大胆に切り取る、もちろん右側には水面のキラキラ
があるからそれもカットするわけにはいかない。
そして本来水平垂直はキープしている構図であったのをあえて傾ける、ウィンドのセールの
角度に神経を払った事に加え、「風をうけて進んでいる」イメージを出したかったから、
進行方向を上に傾けたのである、もし左を下に傾けたら、なんとなく重力の法則で普通に
風を受けなくても進むイメージしか得られなかったであろう。

↑③は、色温度をあえて低くして撮影した。実際には夕方である。普通は色温度を上げて
夕方の赤みを強調するべきところである。逆操作をしたので全体は青みがかった。
何故そうしたかと言うと、その場の非現実感を強調したかったからである。
おまけに白飛びするくらいプラス補正を行った。モデルの友人のU嬢は完全に逆光になって
いたので普通ならシルエット構図なのだが、振り返る時に写そうとしたので、あらかじめ
+2EVという極端なプラス補正をしておいた。
この状態で構図的には右側の砂浜のラインと人物の角度をキープすると、前方の水平線は
大きく傾く、しかし、もともと非現実感が狙いなので、それでも良いと思った。
振り返りざまに低速連写2枚、うち一枚がこの写真である。
組にするつもりはなかった写真であるが、御本人もちょっと気に入ってくれていたので、
色温度変換の記事にしたいと言って快諾していただいた。
左右をわずかにトリミングしただけで傾きや明るさの補正は無し。
ごくわずかに「ハロ」をレタッチで追加して髪の毛や輪郭に逆光のイメージを出す。
風で少し乱れた髪は特に消去修正を行わなかった、この非現実的なイメージの中では、
整いすぎている構図や輪郭では面白みが無いと思ったからである。
そして①、②の写真と組み合わせる、トーンが全然違うが、ストーリー性をメインに
置いた場合、トーンの統一よりも、流れを優先した。
ウィンドサーファーが去り、誰もいなくなった海の寂寥感、一歩振り向いて
女性は何を思うのだろうか・・ そんなイメージが伝われば良いかと思った。