約1年ぶりの"
ROUND HOUSE"のライブは、2012年10月14日、
大阪・難波の”フラミンゴ・ジ・アルージャ”にて行われた。

"ROUND HOUSE"(ラウンドハウス)は、現在では貴重な
プログレ(プログレッシブ・ロック)のバンドである。

まあ、私自身がプログレという音楽ジャンルが好きな為、
このブログでは、過去何度もプログレについて説明しているので
今回、その詳細は割愛しておくとしよう。
ただ、最近ちょっと音楽CDの世界も変わってきているようで、
1970年代前後のプログレのCDがリマスター版としてどんどん
発売されている、中には、元音源(オリジナル)に新たな音を
加えて、異なるバージョンとして発売されているものまである。
先日、プログレファンの友人Y氏の車に同乗していると、
彼は当然のごとくカーオーディオからプログレの曲を選んで
鳴らし始めた。
匠「ああ、マイク・オールドフィールドね・・」
・・と、しばらく聞いていると。
匠「なにこれ? オマドーンじゃあないよね?」
Y「あ、さすが・・ 違うってわかりましたか?」
匠「うん、オリジナルのオマドーンに追加のトラックが入っている、
主に高音パートだな・・ あ、そうか、原版はもう録音が古いし、
多重録音で作っているからハイ落ち(高音部が減衰していること)
になっているのを、新しく高音パートを追加したんだろうな」
Y「みたいですね、最近、こんな風なリマスターばかりで、
いくつものバージョンがあって、買う時に混乱するんですよ」
匠「ふ~ん・・」
それからしばらくして、Y氏と共に中古CD屋さんに行くと、
そこには”プログレコーナー”と称して、クリムゾンやフロイド
ELPといったプログレのCDが沢山・・・ というか、
いくつもレーベルがあって、同じような?あるいはちょっと違う?
確かに、こりゃあ、買う時に混乱するわなあ。
まあ、もしかすると、ひそかにまたプログレが流行っているのかも・・

プログレはプログレでも、"ROUND HOUSE"のプログレはちょっと
毛色が変わっている。
いきなり、妖艶なダンサーや、アクロバティックな「エアリアル」の
写真が続くが、これが、まあ、ここ数年の"ROUND HOUSE"の
プログレのスタイルだ。
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今からもう5~6年前だったか?、ひょんな事から知り合った
"ROUND HOUSE"のリーダー加藤氏は、IT系ベンチャー企業の
社長さんで、若い時に夢中になったプログレを、現代に蘇らせたい
との事であった。
30年程前の"ROUND HOUSE"は伝説的なバンドであったそうで、
今なお、彼らはその当時に創った曲を演奏している。
まあ、当時からオリジナルのメンバーは加藤氏とヘースの上村氏の
2人だけであるが、まずは若手のプレーヤーを加えて、バンドの
平均年齢を下げることに成功している。

1970年代の海外のプログレには、EL&Pのキース・エマーソンや
yesから後にソロとなるリック・ウェイクマンなど超絶的な演奏技術を
持つスタープレーヤーが多く存在していた。
また”yes(イエス)”のように、プログレでは曲に極めて複雑な
アレンジを施し、そんじょそこらのアマチュアプレーヤーでは
手も足も出ない面倒な曲ばかりであった。
だからまあ、当時のアマチュア・コピーバンドはビートルズや、
ハードロックのグループの曲など、比較的演奏が簡単な曲を
コピーしてライブで演奏していた訳であり、プログレは、仮に
それに興味があっても「あれは無理だよ」といった状況であった。
"ROUND HOUSE"も、元々そんな時代のバンドである。
だから、彼らのオリジナル曲も、また、プログレであるから曲の
構成(アレンジ)や演奏技法は、かなり高度なものとなっている。
で、プログレだから、やっぱ、歌は無い(=インストゥルメンタル)

数年前の"ROUND HOUSE"のライブは、その30年程前の、
超ややこしい曲をシーケンサー(PC等でMIDIデータをプログラミング
して演奏する=打ち込み)と、生演奏をミックスして行う、というもの
であった。ただ、インスト(ゥルメンタル)曲であるから、歌は無く、
オジサンたちが難しい顔をして、難しい曲を演奏をしている・・
というしろものであった。
匠「だめだめ、加藤さん、華が無いよ、華が・・」
加「う~ん、さて、どうしたものか・・?」
まあ、私に言われるまでもなく、IT系でハイテクな加藤氏は、
ステージにおよび7~8台のビデオカメラをセットしてライブの
模様をあらゆるアングルから撮影している。
また、自らそれを編集するとのことで、まあ、客観的に見れば、
プログレはプログレでも"華が無い”ことは一目瞭然であった
であろう。
翌年、加藤氏は演奏のバックに映像をつけようと試みたのだが
幸か不幸か、PCのトラブルで映像が出ず失敗。しかし、この時に
ゲストプレーヤーとして呼んでいたバイオリンの生演奏が
思いの他好評であったことに気づく・・
それから、加藤氏のはステージ毎に異分野のゲストプレーヤー、
バイオリンやフルートなどのアコースティック系楽器は勿論のこと、
ソプラノボーカリスト、ベリーダンス、ついにはシルク・ドゥ・ソレイユ
からエアリアルのダンサーまでを招いてステージを飾るように
なってきたのだ。

元々プログレとは、先進的な事をやる音楽の事だ。
1970年代当時は、従来の”コンボ形式”のバンドにおいては、
ギター、ベース、ドラムス、キーボードなどが普通の組み合わせで
あったのが、プログレでは、当時最新鋭の電子楽器である(ミュージック)
シンセサイザーをいち早く導入、さらには、生のオーケストラとの
ジョイント演奏など、ともかく、今までの音楽では考えられないような
新しい事を行うのがその特徴でもあった。
そして・・
「現代のプログレはこうだよ」
ここ2~3年の加藤氏のステージングを見ていると、加藤氏が
そう考えていることがよくわかる。

現代ダンスパフォーマー、エアリアルダンサーX2、フルーティスト、
双子姉妹のバイオイニスト、二胡、ソプラノボーカル、と、極めて
多彩なゲストプレーヤー(アーティスト)が、"ROUND HOUSE"の
複雑な曲にあわせ、演奏、歌、あるいは踊りをもって、その曲の
元々持っている表現を、異次元の表現に昇華させようとする。

匠「ふうむ、なるほどね・・」
そういえば、"ROUND HOUSE"の持つレパートリーは、さほど
多くは無い。
ステージは殆どがオリジナルの曲での演奏だが、恐らくそれらの
殆どの曲は、加藤氏が若い時に作った曲であろう。
不思議な事に、歳をとってからの作曲というのは、非常に難しい
ものとなる、若い頃は、ちょっとした感情の起伏が、即そのまま
曲として書き起こすこともできるのだが、さまざまな人生経験を
積んでいくうちに、そうした能力というのは、だんだん無くなって
しまうのであろうか?
シンガーソングライター等で、歳をとっても感情の赴くままに
曲を作る事が出来るアーティストがいるが、それは本当に
凄い事だと思う。
で、なるほど、と思った事は何かと言えば、
まあ、ライブで毎回毎回同じ曲を演奏していると、さすがに
聴く方は「あ、またか」と飽きてしまう。
それがどんなに良い曲であってもだ。
しかし、ここ数年の"ROUND HOUSE"のライブのように、
同じ曲であっても、ゲストのアーテゥスト達による、思い思いの
個性的な表現が加わると、これは、たとえ同じ曲であっても、
全く別の表現世界だ。
まあ、しいて言えば、「アドリブ」の世界であろうか。
アドリブは、決して、適当にデタラメに弾いているのではなく、
プレーヤーのその日の自分の感情とか、お客さんの盛り上がり具合
とか、はたまた世界情勢とか、そんな、その場やその瞬間だけの
特別な状況にmおいてのプレーヤーの表現で、言ってみれば
「一期一会」のものなのだろうと思う。
その昔、音楽の楽譜を買ってくると、アドリブの部分は、「アドリブ」と
だけ書いてあって空白だった事がある・・
私は「なんだこの採譜者は! 聞き取れなかったからと言って、空白と
いうのはひどいじゃあないか、オレはこのアドリブが弾きたかった
んだよ、楽譜代返せ(怒)」
と怒っていたのだが、その後、アドリブの部分もちゃんとコピーして
載っている楽譜が殆どになってきた。
しかし、アマチュア・コピーバンドは、そのアドリブを、まるで本当の
意味で「コピー」するように、自動演奏マシーンのように、そのまま
真似して弾いてしまう。
だんだん私もわかってきた、「それじゃあ足りないんだよね・・」
アドリブのフレーズが格好いい、だけじゃあ駄目なんだ、
その時のリスナー(観客)との一期一会、それをプレーヤー自身の
感情を持ってアドリブに置き換えるから、貴重なのであって、
あるいは、そこに、生(ライブ)の緊張感が初めて出てくる。
だからまあ、昔の楽譜にアドリブの譜面が載っていなかったこと、
あれはもしかして、採譜者がわざとはずしたのかもしれないなあ・・
誰かのアドリブをそっくり真似しても意味ないものだからね。

さて、ライブ当日の今日は、たまたまゲストのソプラノボーカリスト
の端山さんの誕生日だと言う。
誰の発案か? ステージにバースデーケーキが持ち込まれる。

こういう風な事も「一期一会」だよね、この日、この時でしか、
ありえないことだからね。 ライブ(生)の醍醐味はここにある、
家で毎日全く同じCDを聞いていたのでは味わえない雰囲気だ。

だから、まあ、端山さんの今日だけのボーカルも冴え渡っている。
同じ曲であっても、毎回異なる表現、それが多彩な、ゲスト
プレーヤー達のパフォーマンスによって支えられている。
そもが加藤氏の目指すところの、"ROUND HOUSE"による
現代のプログレなのであろう。

さて、今日のステージだが、実は立ち見寸前の状況にまで混雑し、
満員御礼である。
加藤氏はFacebookで450人以上の知人等に、一斉にライブの
通知を行ったようだ、その結果、チケットは即完売。
ここフラミンコはライブレストランだ、いつも、余裕をもって飲食が
できるように、という意味で設置してあるテーブルも急遽、一部撤去し、
丸椅子を沢山出してきている。
撮影ポイントは皆無(汗)、どこに立ったとしても、後ろのお客さんの
邪魔になってしまう。
この問題があるので、例えば演劇の撮影では、ゲネプロ(最終リハ)
の模様を撮ることとしている、ゲネプロであれば、お客さんの邪魔に
なる事は無い、しかし、音楽ライブは演劇と違い、ゲネプロの際には
ステージ衣装を着けないことが慣習的だ、下手をすると照明も本番
とは異なるかもしれない、だから仮にゲネプロを撮っても、本番とは
まったく違う雰囲気となってしまう場合が殆どだ。
音のうるさいライブでは、シャッター音が観客の気になる事は無い、
まあ、なので、こちらの"ROUND HOUSE"の場合も、その他の
バンドの場合も、ほとんどの場合は本番撮影となる。
撮影の行き場をなくして、サブミキサー(音響調整卓)のところ
に行く、ここは2階だ。

勿論、黙って勝手にここで撮影している訳ではない、
ちゃんと、ミキサー(音響)担当の女性に話をして、許可をもらって
いる。 彼女はもう8年くらい、このホール(フラミンゴ)で働いて
いるベテランの音響さんらしいが、ここに5~6回来ている私も
この位置から撮影することは殆どなかったので、彼女とは初対面だ。

"ROUND HOUSE"はここ数年は派手ですねえ・・とか、色々と
世間話とかをしながら撮影していると、だんだん打ち解けてきて、
スタッフ間に流れている情報も回してくれるようになってきた、
音「匠さん、あと3分で休憩終了、2幕がスタートします」
匠「はい、わかりました」
音「匠さん、次の曲、ここからスポット照明あてます、
撮影注意してくださいね」
匠「はい、了解」
・・と、なかなかこれらの情報はありがたい。
次回フラミンゴでの撮影があったら、彼女にお礼を言っておこうっと。

ステージは、またエアリアルだ。
また、というのは、エアリアルは非常に体力を消耗する様子で、
たとえば2時間なら2時間のステージ中、常時エアリアルを
踊っている訳ではなく、2~3曲が限度、なので今回は冒頭の
部分と、休憩明けの2曲でのパフォーマンスだ。

まあ、プログレの曲は、長いものが多く、例えば"Pink Floyd"の
曲などでは、当時のレコードの片面(23分前後)で1曲、あるいは
両面(45分前後)で1曲というものまであった。
レコード両面で1曲、というのを聞いていたときは、片面が終わると
よっこいしょと立ち上がってレコードを裏返して、また聞き始めた
ものだが、それがCDに変わって、途中で裏がえさなくても良く
なった時、楽になった、と思うよりも、なにか違和感を感じたのを
覚えている。 これは多分、普段は、片面が終わるタイミングで、
ちょっとお茶を入れてこよう、とか、ちょっとトイレ休憩、とか、
一呼吸置いていたのが、続けて聞くようになると、おそらくは
集中力が持たないのであろう、「え~、休みなしかよ」と慌しく
なってしまったということなのかも知れない。
で、"ROUND HOUSE"の曲もまた、現代の感覚からすると長い。
まあ、とはいえ、何十分、という大作は、幸いにして(?笑)
なかったようで、10分を超えるようなこと無く、エアリヤルや
その他のダンスにおいても、なんとか許容範囲の長さの様子だ。

長い曲が多い、というのは、(楽器)プレーヤーにも負担になる。
"ROUND HOUSE"のキーボードプレーヤー”井高”氏は、
まだこのバンドでの経験が浅く、さすがに複雑かつ長い曲は
全部暗譜するのは難しいようで、楽譜を見ながらの演奏。

さて、ライブもそろそろ終盤だ。
いつも2時間半程度のステージであるのだが、多彩なゲストの
さまざまなパフォーマンスに見とれていると、時間はあっと言うまに
過ぎていく、時計を見て「え、もうこんな時間?」と驚く事しかりだ。

「魅せる」ステージを意識するようになってから、"ROUND HOUSE"
は大きく変貌した。
言葉は悪いが、オジサン達の思い出バンド、であれば、あまり見る
価値は無いであろう、それは、あくまで、演奏者達が自分のやりたい
事を勝手にやっているにすぎないステージだからだ。
だが、今、"ROUND HOUSE"は、お客さんを楽しませ、お客さんに
いかに新鮮な衝撃を与えるか、をテーマとして、常に最新の
今までどこでも見たことも無い、まさしく”プログレ”そのものの
ステージを展開している。
そのステージは、もうどこに出しても恥ずかしく無いくらいであり、
私も、友人達に「一度見ておくのが良いと思うよ」と声をかける
ことが多い。
そんな風なステージなので、上の写真右の、今回初登場、
二胡の”泉”嬢は、えらく派手な格好をしてきている。
普段は和服で演奏するようなのだが、
「なんか、ラウンドハウスで演奏するときは、こんな格好で
ないと駄目なのかと思って・・」と、ちょっとはにかみながらの
コメントであった。
いや、それでいいんです(笑) 十分に魅せていただきました!
ステージの最後を飾るのは、今回の秘密兵器”電飾ダンサー”だ。

匠「これ、凄い!」
電飾といっても、ネオン管ではAC電源が必要となってしまう、
いったいどうやっているか、というと、これは有機エレクトロ・
ルミネッセンス(EL)の発光素子を用いた発光管という事だ。
で、これはもともと百数十ボルトの高電圧で動作するのだが、
AC電源を用いたらダンサーの動きに制約が出てしまう。
そこで、乾電池か?(またはPC用などの?)バッテリーパックの
数ボルトという電圧を、百数十ボルトに昇圧するトランスと
電源回路を、このために作ったようだ。
りーだー加藤氏は元々エンジニアな為、そのあたりの電気の
事には詳しい、だが、彼にはライブ前でやることがたくさんある。
で、加藤氏のご指名を受けたエンジニアの友人が、泣きながら
3日間徹夜して(笑)、今回のステージにやっと間に合わせた
らしい・・(汗)

数ボルトから高電圧を作り出す回路は、ちゃんと動作している
ようだ、ただ、おそらくその回路は長時間は持たない事であろう。
まさしく、ステージ上のこの1曲で儚く散っていく華(花)のようだ。
素晴らしい、本当に見事なステージであった。

最後に、こちらが"ROUND HOUSE"のリーダーの加藤氏である。
ステージで、自分の周りがどんどん派手になっていくので、
加藤氏のギターも、昨年から青色LEDを埋め込んで光らせる
ようになっている。
ギターは技巧派、仕事は真面目でちょっと堅物なエンジニアの
加藤氏にとって、こうしたギミック(びっくり仕掛け)は
いったい、どういう心持ちで使っているのであろうか?
いや、多分周りから言われたわけではなく、自分からこうした物を
作っているのであろうから、もしかしたら、本当は、こういう派手
なものが好きなのかもしれない(笑)
いやいや、なんにせよ毎回完成度の高いステージで、お客さんを
楽しませてくれる"ROUND HOUSE"は、本当に良い。
顧客満足度の高いライブ、ここにその見本があるようであった。