2012年9月15日に、”琵琶湖競艇場”で行われた
第8回びわこドラゴンボートスプリント選手権大会の模様より。
大会は、いよいよ佳境となり、トーナメント方式による
オープンカテゴリーの決勝戦だ。
写真は「関西龍舟」(関ドラ)
普段は混合カテゴリーにおける超強豪チームとして名高く、
出場するほぼ全ての大会で優勝をさらっていくという、
関西(兵庫)の名門チームである。
”勝ちたければ関ドラに来い!”
・・・という風にメンバーを募集しているのかどうかは
知らないのであるが、さすがに実力派の名門チームであるのか、
勝負にこだわるドラゴン選手が「関ドラ」に入ったりするので、
今やかなりの大所帯だ。
メジャー(大規模)大会等では、複数カテゴリーに3~4チーム
をエントリーすることも普通であり、場合によっては混合の部
などの同一カテゴリーに、2つ(あるいは3つ)のチームを同時
エントリーして、”ワンツーフィニッシュ”を狙ってくる時もある。
そして、驚くべきことに、ワンツーという、その野望が実現されて
しまった大会もあり、今後、さらに関ドラの勢力が増してくれば、
最近、新たに編成した新人チーム(彼らとしては、1軍、2軍に
次ぐ3軍にあたる)が成長してくれば、メジャー大会で、関ドラ
3チームによる表彰台独占、という前人未踏の快挙も十分に
ありえるかも知れないという状況だ。
・・ただ、本大会での、「関ドラ」は1チームのみのエントリー、
しかも、女子選手の数が規定の8人に満たなかった為か?、
本大会では「関ドラ」はオープンの部に参戦している。
しかし「そう簡単に関ドラに勝たせないぞ」と立ちはだかるのは
地元滋賀県の著名な強豪チーム達・・
例えば、日本選手権決勝進出の最強町内会チーム「池の里Lakers!」
そして、8月のびわこペーロンで、2カテゴリーで優勝と3位という
好成績をおさめた「龍人(どらんちゅ)」
さらには「池の里Lakers!」をライバルおよび戦友として、その戦い
の中で成長した「小寺製作所」
滋賀県以外においても、京都と横浜の粋なコラボチームである
「京雅(みやび)遊舟」、および、愛知県出身で、今年の静岡の
御前崎大会で決勝進出の実力を持つ「闘龍者(とうりゅうもん)」
といった強豪達が「関西龍舟」の優勝を阻もうとしている。
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結局、準決勝を経て、オープン決勝に進出したチームは以下の4つ。
「関西龍舟」、「池の里Lakers!」、「龍人」、「小寺製作所」
ちなみに「関ドラ」以外のチームはすべて地元の滋賀県勢だ。
まさに「関ドラ」VS地元連合。びわこスプリント大会の最大の
見せ場がやってきた。
「スタート1分前・・」
「アテンション GO!」
さあ、オープン決勝戦が始まった。
ドンドンドンという太鼓の音、ワーという歓声、本部席からのアナウンス、
いつもの決勝戦の雰囲気だ。
ロケットスタートに成功したのは第4レーンの「小寺製作所」
小寺製作所チームの持ち味としてはスタートダッシュがある。
長距離(例えば前週の「びわこ1000m大会」)よりも、短距離に勝機有り
と、小寺団長は以前語っていたのだが、さすがにスプリントでは決勝に
残ってきた、できれば3位以内の入賞を目指したいところだ・・
次いで第3レーン「龍人(どらんちゅ)」のスタートが良い。
手前第2レーンの「池の里Lakers!」及び、第1レーン「関西龍舟」は
スタートでやや出遅れている。
今日の大会は、スプリントという名の通り、200mの短距離レースだ、
これはスタートに成功した「小寺」および「龍人」が有利と思いきや、
チームとしての実力値は「関ドラ」「池の里」が、やや両者を上回る。
これは面白いことになったぞ、速い2チームがスタートで出遅れる
というハンデを背負った。出遅れても当然中盤以降で盛り返すと
予想されるが、200mの短距離の間にどこまでそれができるか・・?
匠「これは・・最後まで、もつれるかな?」
100m中間地点の様子は、だいたいこんな感じ・・
手前より、「関西龍舟」「池の里」「龍人」「小寺製作所」
スタートに成功していたのは奥の2チームだが、手前第1レーンの
「関西龍舟」(関ドラ)の中盤の追い上げが凄い。
出場する大会では常に”優勝”の2文字を期待される「関ドラ」、
2位や3位に甘んじることとなれば「関ドラ」の名がすたる。
しかし残り僅かに100m、その時間は30秒にも満たない。
「関ドラ」は、奥のレーンの、先行する「龍人」及び「小寺製作所」を
逆転することは果たして可能なのだろうか・・?
150m地点、「関ドラ」が「龍人」と「小寺製作所」を捉えた、
「小寺製作所」がペースダウン、ロケットスタートのアドバンテージも
このあたりまでか・・
さらに、第2レーン、「池の里」の追い込みがまた凄い。
「関ドラ」のハイペースに引っ張られたという感じだろうか?
上の写真では、第2レーンは鼓手(ドラマー)しか写っていないほど
遅れていたのに、こいらも「龍人」と「小寺製作所」をかわす勢いだ。
180m地点、「関ドラ」が先行、残りの滋賀県3チームは、ほぼ並走
するが、「池の里」の加速が他を上回っているようだ。
「池の里」は、スタートに成功していれば、ここまで苦戦する事は
なかったであろう、しかし、まあ、スタートダッシュの上手いチームを
相手にしているので「池の里」のスタートが悪いとは言えないのだが・・
200mゴール地点、「関ドラ」がトップでゴールイン、優勝を決めた。
次いで2位が「池の里」、さらに3位は「龍人」という順位となった。
匠「ふ~っ 見ごたえのあるレースだった」
この決勝戦、終わってみれば、ほぼ実力通りの順位となったのだが、
序盤の展開からすると、何処が勝ってもおかしくない状況だった。
スプリントであるから、スタートの善し悪しでほぼ決まってしまう
ようにも思えたのだが、1分弱という短い時間の中のレースでも
ドラマチックな逆転劇がある、ということがなかなか興味深い。
大会は、少し遅めの昼食休憩、
選手達は思い思いに短時間の休息を取る。
午後の部は、「フレンドカップ」レースだ。
この新企画のレースは、まずカテゴリーを関係なくまとめ、参加チーム
を通しで順位を決定、次いで抽選で当たった順位のチームに賞品を
贈呈するという仕組みだ。
ちなみに、良く各大会で行われている「フレンドシップ」と呼ばれる
レースは、各チームをまぜこぜにして争うエキシビジョン戦だ、
こちらもなかなか好評で、例えば、強いチームの選手などと隣り合わせ
や前後のポジションになると、漕ぎ方の違いとかが良くわかって参考に
なるらしい。
その「フレンドカップ」の予選が始まった。
匠「お、これはなかなか面白い光景だ・・」
オレンジのユニフォームは、お馴染み「池の里Lakers!」だ、
その中の後ろの方に、ピンクのユニフォーム「小寺製作所」の
小寺団長が乗っている。
匠「これ、フレンドシップではなくて、フレンドカップだよね・・
なんで小寺さんが、ライバルの池の里のチームに乗ってるの?」
その理由だが、実は今日の「池の里Lakers!」は、4名ほどメンバーが
足りずに漕ぎ手16人で出場している、前週の1000m大会でも同様に
3~4名の欠員で、「池の里」チームは良い成績を残せなかった。
同様に4名欠場していた「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」は、
「GPO」や「師走の会」より、4名の漕ぎ手をレンタル、
その結果、1000mオープンの部で準優勝の成績を残すことができた。
今回の「池の里」、本来は町内会チームなので、池の里地区の住民
以外はできるだけ乗らないようにしていたと思われるのだが、
さすがに背に腹はかえられない、ライバルチームであり共に琵琶湖
で戦ってきた盟友でもある「小寺製作所」の予備メンバーをレンタル
して出場することとなったのだ。
その結果、本戦では準優勝の成績をあげることができたのだが、
実のところ、決勝で「小寺製作所」と当たっての準優勝なので、
きっと、なかなか複雑な気分であった事だろう。
そのレースの前に、状況を知った私は、「池の里」艇に乗る
「小寺」メンバーに対し・・
匠「もし、池の里チームが小寺製作所の前に出る事があれば、
寝返るのですか?」
小「アハハ・・そうです、おもいきりブレーキかけます(笑)」
・・・と、冗談を言い合っていたのであるが、現実にはすっかり
その通りとなり、しかし、ブレーキはかかかることはなく、
小寺補充メンバーが池の里の準優勝に大貢献する結果となった。
で、その後の昼休みに小寺団長と話しをしていると、
小「今日は、なんやかんや忙しいわ・・
レースで漕ぐ本数は多いし、池の里にメンバーを貸さなくては
ならないし、そういった段取りもあるしな・・」
匠「ほんと、(池の里さんと)仲がいいですね~
思えば7年前のここですよね、”小寺製作所”が初めて大会に
出場したのは・・」
小「そう、そこでいきなり”池の里”の艇にぶつけたんだ・・」
匠「アハハ・・ 何度も出る話ですが、もう今となったら
そんな事もあったなあ・・と言う笑い話ですね」
小「フレンドカップでは、ワシが(池の里艇に)乗るでなあ・・」
匠「途中で寝返らないで下さいよ(笑)
あ、そうそう、先ほどはお弁当ありがとうございました」
実は、今日の大会は、私の写真仲間の夫妻が観戦に来ている、
彼らは沖縄出身で、関西の土地にはあまり馴染みが無く、
滋賀県(琵琶湖)に来るのも初めて。
なので今日は琵琶湖周辺の観光も兼ねてのドラゴン観戦という事、
で、昼休みに彼らと一緒に小寺製作所チームの前を通りかかると・・
小「お、匠さんの友達か?、じゃあ、この弁当、食べてくれや」
と、チームで手配した大きくて豪華そうな仕出し弁当を2つ下さったのだ、
私は友人達に・・
匠「怖そうな顔をしているけど、小寺団長は結構気遣いがある人だよ」
と、説明していたのだが、そんな小寺団長の性格からすると、
盟友「池の里」のメンバーが足りないという非常時を見て見ぬふりが
できなかったのかもしれない。
ただ、チームメンバーを他の艇に乗せるとなると、やはりスポーツゆえに、
勝敗の結果によっては、メンバーの気持ちがすっきりしないかも知れない。
なので、「フレンドカップ」レースにおいては、小寺団長自身が他チーム
の艇に乗るということになったのであろう。
他のチームからの補充メンバーによる混成チームという意味では、
今日は、「池の里」以外にも、実は「関ドラ」も、女子強豪「河童」等
からの派遣メンバーが来ている混成チームであった。
そういえばさっきのオープン決勝戦・・
オリジナルメンバーばかりからなる、「小寺製作所」「龍人」は、
スタートダッシュに成功し、混成チームの「池の里」「関ドラ」は
スタートにやや出遅れた。
やはり、いつも一緒に練習しているオリジナルメンバーの方が
スタートの瞬間の息は合っているということなのか?
これは考えすぎであろうか・・?
いや、そういえば2010年のびわこペーロン大会で、様々なドラゴン
チームの混成チームである「ワンピース」が優勝したとき、彼らが
レース前にやっていた練習は、いっせいのせ、で皆で手を叩くという、
主にスタート時のタイミング合わせに着目した練習、ただそれだけで
あった・・ やはり、混成チームの場合は、そのあたりが最重要
ポイントになるのであろうか(?)
「フレンドカップ」は、一通り予選が終わって、次は予選のタイム順に
4艇づつの、順位決定戦だ。
・・この順位決定戦、なかなか面白い。
と言うのも、予選タイムが近接しているチーム同士が戦うわけで、
どのレースもなかなかの接戦となっている。
で、その最終レース、1位~4位の決定戦だ。
匠「あ、あぶない!」
本日好調のベテランチーム「Rスポーツマンクラブ」の艇が蛇行、
隣を走る「龍人(どらんちゅ)」チームに接触しそうになった、
接触の危険を回避するため、どちらの艇も漕ぐのを停止、
その間に、他の2チームの艇はゴールインしている。
通常のレースであれば、進路妨害が100m地点までの場合は、再レース。
それを超えてのアクシデントはレースは成立となり、蛇行した艇は
失格となる。巻き込まれた艇は失格にはならないで、順位は有効、
実質的にタイム記録は”無し”あるいは大幅に遅いタイムとなる。
しかし、このルールだと、妨害された側が、もしその順位では、より
上位のレース(準決勝とか決勝とか)に進めない場合は、ちょっと
かわいそうだ。なのでまあ、そういう場合には、そのルールは”審議”
によって、柔軟に対応する時もある。
で、今回の場合は、アクシデントが起こったのは100m中間地点を
超えてからの話だ、普通だったら「R」は失格となる。
ただし、この「フレンドカップ」では、全チームの順位を一応決定
する必要がある、順位が決まってからの抽選での受賞となるからだ。
なので、”審議”が行われて、例外的に再レースとなることとなった。
再レースをすれば、まあ順位がとりあえず決まる、それが決まらないと
抽選が出来ないから、という理由からだ。
再レースの結果、「R」は3位となり、巻き込まれた側の「龍人」は
4位となった。
まあ、最後にちょっとアクシデントがあったのだが、これで全参加
チームの順位が決定した。
で、結局、この「フレンドカップ」では、何位になろうと、あまり関係
無いわけだ・・ すべてはその後の抽選次第という事になる。
ところで、小寺団長が助っ人に入った「池の里」は、この「フレンド
カップ」では、4位までのチームに入っていなかった、もしかして
小寺団長が本当に”ブレーキ”をかけたのであろうか?(汗)
小「ガハハ、まさか・・(笑)」
匠「ですよね・・(笑)」
小「いや、しかし、池の里の舟に乗ったのは、かなり勉強になったな、
彼らはパドルを(水面に)入れるのが少し深いんだよ、
スタートで3回深く強く漕ぎ、それから10回、さらに20回・・
そんな風なペース配分は、ワシらのチームとあまり変わらないが、
1つ1つのストロークで確実に前に進んでいく・・
なるほど、ずいぶん参考にさせてもらったわ。」
匠「ふむふむ、じゃあ、結局、”池の里”に乗ってよかったですね!」
これで本日のレースは終了、後は閉会式・表彰式だ。
本戦の”女子の部”で優勝の「チームどやさ」が記念撮影をしている。
何で斜めになっているか?といえば、光線の角度によるものだ、
前の記事でも書いたが、この琵琶湖競艇場は、晴天になると、
超逆光でなかなか写真を撮るのが難しい。
すでに午後になっているので、光の感じは午前中とはずいぶん異なる、
しかし、ウッドデッキに平行して並ぶと、真横からの光線になるので
具合がよくない、なので、このように斜めなっているという訳だ。
さて、表彰式が始まった。
オープンの部の優勝、「関西龍舟」
「TEAM河童」からの助っ人女子選手も表彰台に上がっている。
琵琶湖の大会の賞品は、いつもなかなか豪華だ、近江牛、近江米や、
豪華客船「ミシガン」の貸切ルームによるクルージングとか・・
また、地元企業パナソニック社が協賛する「びわこペーロン大会」では、
冷蔵庫や洗濯機、食器乾燥機などの豪華賞品も出る。
一通り本戦の表彰が終わり、次は「フレンドカップ」のお楽しみ抽選会だ
大会本部の役員が、その場で番号の書いてある玉をひき抽選する。
本「まずは7位のチーム、賞品は近江米30kg!」
ドドーッツ・・ と会場がどよめく。
本「それから、4位のチーム・・ 龍人(どらんちゅ)さん!」
私は思わず、「Rスポーツマンクラブ」の方を見る、
匠「蛇行して、再戦となって、せっかく3位になったのにね・・
再レースにせず、負けたままの方が良かったですね(苦笑)」
・・その後、「R」も、抽選の賞品を無事GETして、とりあえず
これで皆さん良い結果となって、まあ、よかった・・
まあ、今日の大会の印象としては、やはり大阪の女子混成チームである
「チームどやさ」の活躍が光る。
この調子で、本来の所属チームに加えて、もう少し混成チームで
練習を積んで、いずれは、女子強豪の「スーパードルフィン」や
「TEAM河童」、あるいは、びわこペーロン大会などで編成される
「関西龍舟」の女子チーム「華組」や、琵琶ドラの女子チーム「びわにゃん」
などと激戦を繰り広げられるチームに成長してくれれば、面白いのだが・・
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そんなわけで、結局晴天に恵まれ、おまけに”荒れる”ことも、殆ど
なかった、”第8回びわこドラゴンボートスプリント選手権大会”は
無事終了した。
皆さん、お疲れ様でした。
今年の【熱い季節】は、もう少しだけ続く・・・