劇団舞台処女(げきだんまちかどおとめ:通称「まちかど」)の
公演「ロストボール」の舞台の模様より、第六回目記事。
舞台は終盤にさしかかっている。
公演時間トータル2時間10分を予定している中、現在約1時間半を
経過したところだ。
ついに、因縁のゴルフ試合が始まった。
しかし、これはただのゴルフの試合ではない。
紳士のスポーツと呼ばれるゴルフであるが、この劇では、ロストボールの
恨みから始まり、麻薬販売の利権、ヤクザの抗争、家族内の問題など、
さまざまな人間の暗部がドロドロにうずまく世界だ。
ルールもまたハチャメチャで、試合中に相手のチームを「襲う」のもありだ。
”ドンパチ”やりながらではゴルフに集中できるようには思えないのだが、
それでもまあ、そういう劇であるから(笑)試合は続いていく。
元はと言えば「葛下」、「未来」のロストボールの因縁試合だったのが
それぞれの思惑、それぞれの事情で、参加チーム数はふくれあがっている。
「鈴木刑事+現役女子プロ」ペアまでも参戦して、こちらは好調な様子。
対して、「葛下」プロの用心棒の「馬場田(バカボン)」は・・
なんともゴルフには不慣れな様子。
で、早速その「馬場田」をしとめようと、スナイパーが背後から狙う。
この様子だと、犠牲者多数の試合になりそうだ(汗)
そして、とりあえずはカタギのチームの方は安全そうなのだが・・
けど、極道のチーム方は、すでに何人かやられてしまっている。
ストーリー展開は、思ったとおり、この滅茶苦茶なゴルフ試合が
本編の見せ場となってきている。
テンポのよさを強調するためか、複数のチームが舞台で順次交代
しながら、左から右からと登場する。
中には、客席の方に突然現れるチームもあって、なかなか面白い。
芝居の「舞台」は物理的には1つしか無いのだが、そこにこのように
様々な役者さんたちが入れ替わり立ち代り出てくることによって、
TVカメラを切り替えてシーンを編集したような効果が出てくる。
舞台から目が離せなくなってきた・・
鈴木刑事と、ブルーのストライプの女子プロは、なんだかいい感じの
カップルになってきている。断片的なシーンの中にも、そうした微妙な
人間模様がシナリオに乗ってきているのが興味深い。
めまぐるしくシーンが変わっていても、静と動、陰と陽、愛と憎しみ、
等の対比する”要素”が短い各シーンの中にちりばめられてるという
ことだ。
そんな展開の中、ヤクザの各チームは、お互いのつぶしあいによって、
犠牲者が続出、どんどん人数が減ってきている。
そしてついに「棗(なつめ)組」の組長までもが・・・
皆やられてしまった・・
組長の最期とともに、ここでゴルフの試合のシーンは終了、
場面は変わり、棗梨香と主治医の登場。
「梶場」青年との出会いは「梨香」の精神になんらかの変化を
もたらしたようだ。
「梨香」が快方に向かっていることを感じる主治医の「藪」医師。
「梨香」が、「梶場」青年との間にもうけたという子供、すなわち
小熊のぬいぐるみを手にし、あわれみの表情の「藪」医師であるが、
ちょうどそのとき、「梨香」の様子が大きく変化する。
照明の変化とスモーク、そして役者さんたちの絶叫とも言えるセリフで
何かが起こることを暗示させる、きっとこの後、重要なシーンが出てくる
ことであろう。
そういえば、「まちかど」(劇団舞台処女~げきだんまちかどおとめ)の
前回の公演「よろめきジャック」では、豆が一瞬で成長し巨木になるという
シーンを、舞台の上から大量のスーパーボールを撒く、という驚きの
演出で観客のどぎもを抜いた。
はたして・・
その瞬間、舞台の背景がさっと変化した。
「梨香」の心に花が咲いた。
つまり、「梨香」の精神はこれまでの暗い呪縛から解放されたという事を
表現しているのであろう。
その理由が「梶場」青年にあるだろうことは確かであり、愛の力が「梨香」を
救ったということになる。
で「梨香」の心が解放されたことで、同時に姉の「未来(みき)」も、
「梨香」に対する責任の呪縛から解き放たれたということだ。
まあ、そこまでは良いが、ゴルフの方はどうなったのか?
ヤクザチームは、お互いのつぶし合いでほぼ全滅。
残るは、カタギのチーム、そして、ロストボールの因縁の「葛下」プロだ。
もう、麻薬販売の利権とかは、そんな話は当事者達が全滅したので、
なくなっている、あとは、ロストボールの決着ということなのだが、
この続きは、次回最終回の(7)にて・・