滋賀県の琵琶湖漕艇場で行われた琵琶湖ドラゴンボート選手権
大会の模様より。
今年の大会は、複合種目であり、スプリント(250m)、長距離
(1000m)が同時開催となっている。
参加チームはさほど多くは無いが、見事なまでに強豪揃いと
なっていて、予選から決勝まで目が離せない。
予選第一組、優勝候補「池の里Lakers!」は新鋭チームの
「京雅龍舟」と女子ながらオープン参加の強豪「河童」を退け
まずまずのスタートを切った。
だが、今回のオープンには、超強豪チーム磯風の「しっぽ」を
捕らえた、あの関西龍舟「男山」が参加している。
関西龍舟は、今回はフルメンバー参加というわけではなく、
京都のチーム「すいすい丸」より補充メンバーを加えている。
しかしながら、この真っ黒なユニフォームが数々の大会で
優勝をさらい、ライバルチームを苦しめてきた訳であり、
周囲への威圧感は十分である。
関西龍舟は、元々混合カテゴリーでの最強チームであるから、
男子選手のみならず女子メンバーも充実してきている。
美人選手が増えてくると、男性メンバーもまた増えてきて、
好循環が発生し、チームがレベルアップしてくるケースを良く
見てきている、詳しいチーム名は伏せるが(笑)、Nも、Tも
Mも、Uも、みなそうであった。
ただ、大阪の「チーム未来」などはチーム内結婚があいつぎ
「寿チーム」とも呼ばれ、TV出演もあったくらいだが、
逆に結婚を機に現役引退をしてしまう主力メンバーもあって、
ちょっとここ1~2年の戦力ダウンが惜しいところ。
夫婦よりも恋人あるいは片思いくらいの方が、お互い格好いい
ところを見せたいと頑張れるのかもしれない(笑)
けど、「チーム未来」にも頼もしい状況があって、結婚して
生まれたジュニア達が「未来」のユニフォームを着て大会の
観戦によく顔を出してきている、まさにチーム名と同じで
「未来」には彼らの活躍が大きく期待できる。
十数年後には、池の里ジュニアなどと2世代対決も面白い
だろうなあ・・とも思ってしまう。
また、超強豪「磯風漕友会」は、女性メンバーが殆どいないので
他のチームの様子を羨ましそうに見ていることがある。
関空のときも、隣のテントのあった和歌山の強豪「もっこり」を見て、
磯「あっちは(女性がいて)いいなあ・・」と言っていたので、
匠「なにを言ってますか、ストイックに勝つのが磯風の持ち味、
それと、いざとなったら可愛い妹分の「スーパードルフィン」が
いるじゃあないですか、贅沢を言ったらいけませんよ。」
磯「あはは、そうですよね」
匠「あと、天神大会でゲストのアイドル歌手に見とれてもいけませんよ(笑)」
磯「ガハハ・・ あれはちょっとまずかったかな(笑)」
匠「スーパードルフィンの人達が見ていて、あきれてましたよ」
磯「え・・それ、本当ですか?(汗)」
まあ、でも、やっぱ適度な男女の意識というものが、ドラゴンの世界
でもプラスに働くことが多々あるので、関西龍舟の混合での強さの
秘密も、もしかするとそうした理由もあるのかもしれない(??)
さて、今日の関西龍舟、あいかわらず調子が良い様子だ。
先日の関空大会では、男子チームに戦力を集中し、結果、
混合では決勝4位と悔しい結果となっている。今年のシーズンも
もう来月までだ、来シーズンに向けても、ここでは関西龍舟の
実力を他チームに見せ付けておきたいところ。
さて、こちらはチーム「風」
ここのところ積極的に大会に参加しているが、他の記事でも述べたように
ベテランのメンバーが多く、大会スタッフ、大阪府(ドラゴン)協会などの
運営側で活躍することが多いチームだ。
けどまあ、やっぱ現役選手として活躍したいというのも勿論気持ちとしては
あるのだろう、優勝、とまではいかないまでも「風」として是非上位入賞を
果たしたい、混合カテゴリーの参戦であるが、強豪ライバル達の激戦に
少しでも食い込んでいきたいところであり今回はなかなか士気が高い。
さて、大会は短距離の方から、予選、敗者復活、決勝のように
進んでいくのだが、今日もまた前日に引き続き、選手達を悩ませて
いるのが、琵琶湖の水流だ。
何度か記事で書いたように、台風による琵琶湖の増水で、
下流の水門とダムを全開放流中、よって琵琶湖には珍しく、
複雑で速い水流がボートを翻弄する。
琵琶湖大会で用いる艇は、大型で喫水が深く水平安定性が高いことが
特徴だ。
近い将来、もっと軽量の最新型の艇に買い換えるという噂もあるのだが、
この艇は重いけど、以前の他の大会であった強風による浸水→沈没と
いった状態になることはまず無く、安全性が高いというメリットもある。
しかし、ローリング(左右への揺れ)、ピッチング(前後へのゆれ)への
耐性が高いこの艇は、ヨーイング(上から見た回転方向)に弱いという、
話を何人もの舵取りの人の体験談として聞くことがある。
このため、横方向の水流があった際に舵を入れていくと、まずは重く感じ、
ある程度までは舵は耐えられるのであるが、それを超えると一種の
スピン状態に陥り、舵が効かなくなり、艇の方向が定まらなくなると言う。
そういえば・・過去の琵琶湖の各大会でいくつかあった、突然の蛇行、
コースアウトという状態はこういう理由であったのか、と今更ながらに知る。
横方向の水流というのはレース中よりも着岸時にターンする際に顕著だ、
このため、前日の大会ではそれを知っているスタッフ陣の配慮により、
レースのゴール地点をいつもより250mほど上流に設定し、
ゴール後に余裕を持って艇を操り、着岸できるような措置がとられた。
(このあたりは、やはりドラゴンは大会運営の上手さが光っている、
運営するスタッフもほぼ全員が元あるは現役の選手であるから、
様々なイレギュラーな状況にも十分に対応できる。)
本日もその方法を踏襲しているのだが、昨日来ていたスタッフチームは
ともかく、今日初めて乗って普段では考えられない琵琶湖の水流を
目の当たりにしたチームは、着岸時に艇のコントロールがままならない
事も多々あった。
まあ、でも、昨日のシニア大会ではもっと水流がキツくて、着岸時に
垂直に突き刺さりそうになったり(汗)、瀬田川の川下に流されかけて
帰って来れ無くなりそうな(汗)チームもあったので、それでも今日は
若干ましな方だ。
こうした状況なので、今日の大会では舵取りのスキルや体力が意外にも
勝負の明暗を分けそうだ、この複雑な水流を読んで、パドルによる漕ぎと
合成ベクトルが適切な方向になるように舵を切っていかなければならない。
それは水流によっては斜めにモロに舵に全ての力がのしかかってくる、
舵取りの選手は、ずっとその力に対抗して艇の進む方向をキープし続け
なけばならない。
なんでも、国内最強の磯風漕友会に話を聞くと、こうした場合は、舵だけで
はなくて、パドルの入水角度を微妙に調整することで、よりいっそう水流に
負けない安定した直進性を得ることができるそうだ。
その話を他の強豪チームにすると、「いやあ、理屈はわかるけど、
ウチのチームでは無理だなあ、技術もだけど、クルーにどうやって、
その指示を出すかとかね・・ やっぱり磯風は凄いなあ」となるのだが、
実際のところはどこまでそれができるのかは良くわからない。
今回の大会は磯風は不参加であったが、もし磯風が参加していたら、
そのあたりの妙技をまのあたりに出来たかもしれない。
なので、まあ、一般的なチームであれば、悪コンディションでは、
そのあたりのコース調整の負担が全て舵取りにかかってくる。
舵「はあ、疲れた~」
舵やっているだけでしょう? 漕がないのに何でそんなに疲れるの?
・・などとは聞かないように。舵は見た目以上に重労働との事だ。
ーーー
さて、撮影側も、小腹がすいてくるころになれば、チームのテントめぐりが
有効だ(笑) 「Rスポーツマンクラブ」を訪れると、何と今日は美人メンバー
による手作りのクッキーがあるではないか。 「いただきま~す」
しかし「Rスポーツマンクラブ」、前日のグランドシニア大会では
さんざんな目にあった。
というのも、Rスポーツマンは現役強豪チームの中では、選手の平均年齢
は最高齢に近い部類であり、50歳平均以上という厳しい参加資格の
前日の大会では、最強のチームとして優勝候補の筆頭であった。
しかし、その大会は、年齢によるタイム・ハンデキャップ戦であって、
参加チームの中では最も若い「R」は、ほぼノーハンディ。
参加した2レースとも、ぶっちぎりトップでゴールしながらも、
多大なハンディにより、いずれも最下位、予選敗退、とルールに
翻弄されてしまったのである。ただ、まあ、それはそれでしかたない。
「R」としては優勝は欲しかっただろうが、やっぱ本大会のような
通常のメジャー大会で、実力で優勝したいだろうし、各大会の常連チーム
であるから、1度や2度そうした不運があったところでメゲることも無い。
「R」が出陣する。 過去、この琵琶湖大会では最高位が3位、
ここは是非とも決勝に残り、より上位の成績を目指したいものだ・・・
そして、今回は紹介が遅れたが、おまたせの「小寺製作所」チーム。
急成長の地元期待の星、まだ結成4年目にして各大会での上位入賞がある。
小「池の里が8年でびわこペーロンを制したのならば、ウチは7年で
やってみせる」と、ライバルであり地元の盟友の「池の里Lakers!」に
追いつけ、追い越せと士気も十分に高い。
ちょっと見かけが怖そうな人も多いが、気は優しくて力持ち、のお兄さん
も多い。
出ました、「総金箔貼りパドル!」
いや、もちろんこんなパドルは市販されていない。自分で作ったわけだ。
「小寺製作所」は仏具の製作を営む会社である、社員の多くはそうした
伝統工芸のスキルを持つため、このような作業は彼らにとっては
さほど難しくないと言う。
匠「パドルにカザリ(彫り)は入れられないの?」と私が聞くと。
小「いやあ・・木だからね。素材が銅板とかでないと難しいなあ」との答え。
匠「じゃあ、銅ならば、ドラゴンの形も作れるのかな?」
小「できますよ。こんどウチのチームの艇の頭にそれつけようか?」
匠「アハハ・・それは面白い。社長(=小寺氏)に見つからないように
こっそり作ってみてください」
しかし、小寺製作所も、前日のグランドシニアでは、貧乏クジを引いた
口である。社長の小寺氏を筆頭に「点滴を外してきた」(嘘だろう?笑)と
いった高齢メンバーを集めて参加したが、基本的に速いチームであり、
また、ハンディが無いチームでもあった。
その結果は、Rスポーツマンと同様に、1位で入ったのにハンディで2位や
3位に・・ 決勝進出もできず、という結果であった。
代表の小寺氏は、人格者かつ、おおらかな性格なので、その事を後でとやかく
言う事もなく、今日は頑張るぞ~と、こちらも頼もしい。
結局、短距離のオープン決勝を制したのは関西龍舟「男山」である、
2位「コロンズ」に4秒差をつけての53秒。
250mにしてはずいぶん速いタイムであるが、何度か書いたように、
水流の影響で「追い潮」になっていたからである。
3位には、絶好調宣言の「龍人(どらんちゅ)」が入った。
龍人、ここのところ好調なのも確かだし、強力な助っ人「NSユナイテッド」
もまた十分に活躍してくれたようだ。
「コロンズ」は、和歌山市からの参戦だが、やっぱこの琵琶湖大会では強い、
相性が良いのかも知れないが、昨年の1000mの覇者なだけに、できれば
もう1つ上に行きたかったのかもしれない。
台風被害のあった和歌山県田辺市からの「熊野水軍」は残念ながら4位、
災害復興でメンバーの大半が欠ける状態で、助っ人補充メンバーとはまだ
2~3回一緒に漕いだだけであり、完全にかみ合っていない。
けど続く1000mの部では、ぼちぼち息もあってくるかも知れない。
優勝候補の「池の里Lakers!」はどうしたことか決勝5位、しかも結構差を
つけられていた。聞くところによると「沖合いのレーンであったが、
艇を前に進めるのが困難なほど強い横からの水流を受けていた」との
ことであった、他の多くのメンバーも「舟が重かった」との発言。
なるほど、悪コンディションにやられてしまったわけだ、それはしかたない。
ただ、池の里としてはだいぶ悔しかったようで意気消沈としていた・・
短距離(スプリント)の混合の結果は、優勝は「東海龍舟」
名古屋から参戦、いつもながら爽やかなチームの雰囲気。
イメケン&美女が多いと他チームからも良く注目されている。
琵琶湖放送による「びわこペーロン」のTV放映では、東海龍舟は
「名古屋の名門チーム」と紹介されていた。
実は結成してまだ3年程なのだが、「びわこペーロン」では2連覇を
果たしているので、「名門」と呼ばれるにふさわしい。
ここのところの大会では毎回優勝候補と目されていたのが、2位、3位と
惜しい成績が続いていたので、今回はしっかり結果を出して満足な様子。
2位には、「風」が健闘して入賞した。
「風」としては、準優勝は恐らく初めてであったと思う、
表彰式ではチームメンバーの多数のカメラが、この記念すべき
状況を撮影していた。
3位は、風とは100分の1秒の差で琵琶湖ドラゴンボートクラブ、
地元ホストチームとしては、軽く勝ちたいころであったのだが、
今回もまた優勝を逃してしまった、琵琶ドラが各大会で優勝できない年、
というのも珍しい、というか、かつてなかったことのように思うのだが、
まあメンバー改変期であるから、やむをえない部分もある。
1000mのレースは、こちらの和歌山対決が見ものであった、
1000mの長距離の大半を漕ぎきり、900m、いや950mとなって
もまだ接戦。長距離レースでは、大きなタイム差がついてしまうことが
殆どなので、こうして最後まで勝敗がもつれるケースは珍しい。
1000mの結果は、オープンは、1位関西龍舟「男山」
2位、熊野水軍 3位、コロンズという結果になった。
熊野水軍も優勝はできなかったが、まあ重責(台風災害の地元に
元気を届ける)は果たしたということであろう、
コロンズは2連覇こそ逃したが、今回も短距離長距離ともに結果を
出したのでまあまあ満足という感じに見えた。
ちなみに関西龍舟「男山」の1000mのタイムは驚異の3分50秒、
従来の最速タイムより、なんと30秒も縮める日本記録である。
ただ、これは「追い潮」の特殊な好条件によるものだ。まあ、とは言え
非常に立派なタイムだと思うので、関西龍舟はその実力を十分に
周囲に示したのだと思う。
そしてここでも優勝候補であった「池の里」は、短距離に続きまたしても
不運の一番外のレーン、「重くて舟が進まない」とこぼしていたから、
「水流は場所によって違うので、そのあたり見ていけば大丈夫では」と
話はしていたのだが、やはり優勝争いに大きく出遅れてしまった。
短距離・長距離ともに3位にも入れず、とても悔しそうな池の里であったが
「(ペーロン優勝で)思いあがっていた・・ 出直してきます」と
とても前向きな発言もメンバーから多数出てきていた。
まあ、それでこそ池の里だよね、負けても負けても這い上がって8年も
かかって少しづつ上位に食い込んできた、地元の小さい裏山で真冬に
必死に走りこんでいる池の里チームを見たという話も聞いたこともある、
きっと来年はまたいっそう強くなった池の里の姿が見られるに違いない。
1000mの混合は、こちらも東海龍舟が優勝、2位には琵琶ドラ
3位には、GPO&師走の会連合が入った、
GPO&師走も今日は朝から気合が入っていたので、まずまずの
結果が出せてよかったのであろうと思う。
そして特別賞の表彰があった。
こちらは、女子で、かつ少ない人数ながら頑張った「河童」である。
それにしても、賞品の重たいテントを軽々と一人で持つとは、
「河童」のスタイルは周囲へのパフォーマンスも忘れないということか。
今後とも、強くそして美しく、女子力アップした「河童」を周囲に見せつけ、
「河童ここにあり」という活躍を、大いに期待するところである。
今年の琵琶湖選手権大会が終了した。
陽が落ちはじめると、日中の暑さもやわらぎ、秋の気配を感じる。
この琵琶湖漕艇場の環境は涼しければ最高である。
戦いを終えたドラゴンボートが、モーターボートに曳航されて
母港に向けて帰っていく。
ドラゴンボートの季節もあと残り少ない、いくつかのチームにはもう
今年は会えないかも知れないけど、また来年の「熱い季節」に元気な
姿を見ることであろう。
そしてまだいくつかの大会やドラゴン関連イベントも残っている、
今年の【熱い季節】はまだもう少し続く・・・