秋晴れと言うにはまだ暑すぎる9月11日、滋賀県の琵琶湖漕艇場で
毎年恒例の琵琶湖ドラゴンボート選手権大会が行われた。
今回の琵琶湖選手権大会は、複合種目であり、スプリント(250m)、
長距離(1000m)が同時開催となっている。
従来、スプリント(短距離)大会は、「琵琶湖競艇場」で行われて
いたのであるが、今年は競艇場の予約スケジュールが震災の影響で
乱れてしまったそうで、こちらの瀬田にある漕艇場での開催となった。
過去、琵琶湖大会はよく雨に見舞われたのであるが、漕艇場で行われる
各大会は、幸い好天の確率が高いようだ。 設備的には、観客席の
スタンドやらが設置されている競艇場は素晴らしいのだが、この漕艇場の
広々とした風光明媚な環境も、好天ならばとても気持ちが良い
これで琵琶湖から爽やかな涼風でも吹いてくれれば文句無いのであるが
あいにく今日もまだ暑い・・
この大会の前日には、この漕艇場で大津市パワーアップ市民活動応援事業
によるイベント「ドラゴンボート・グランドシニア大会」が行われた。
多くのドラゴンボート専業チームは、平均50歳以上というこの大会の
参加資格を得られなかったのであるが、頼もしいことに地元のいくつもの
ドラゴンチームが大会スタッフとして運営やスタッフクルーとして尽力
してくれていた、この写真の地元強豪「池の里Lakers!」もそうであった。
今年の「びわこペーロン大会」でチーム結成8年目にして涙の初優勝、
今や地元は勿論、他のドラゴン強豪チームからも1目置かれる存在、
今回もまた、びわこ大会連覇を狙って意気揚々としているが、しかし、
今回の参加にいたっては前週の台風などで殆ど練習の機会を失っていた
とのこと。
「まあ、それは他のチームも条件は同じですよ」と池の里には言って
いるのだが、初優勝にして早くも常勝のプレッシャーを肩に重
く感じているようにも見える。
ましてや、この前日、琵琶湖放送では8月の「びわこペーロン」を
TV放映している、その放送は後で私も見たが、「池の里」の初優勝
のシーンを大きくフィーチャーした構成となっていた。
今回の大会のオープンカテゴリーは実は強豪揃いのハードな戦いが
予想されている、かなりの激戦の中、池の里としては優勝者の実力が
試される場所でもある、そのあたりの心理的なものが勝敗にどう影響して
くるのだろうか・・? もはやこうなると純粋な体力面よりも精神面とか
運とかが重視される戦いになってくるのであろう。
「GPO」のテントに足を運ぶ、今回は地元「師走の会」との連合チームを
構成し、混合カテゴリーにおいて上位入賞を狙う。
GPOも今年はなかなか調子が良い。
それに各大会で見かける事も多い、これはすなわち、ドラゴンの大会を
面白く感じている時期なのであろう、こういう時にはチームの実力は
伸びていく。
それと、GPOのユニフォームは、各自の番号がついていて格好よい。
他チームあたりからも「空いている番号無いの?」と声をかけられることもある、
全員が同じユニフォームでありながら個々が出ている、というのはちょっと
したポイントであって、ちょっと思いついてこんな話もした。
匠「私の知り合いに有名な似顔絵師がいるので、そのうち皆の似顔絵でも
描いてもらってユニフォームに印刷するのはどう?」
G「え?そんなのできるのですか?」
匠「大量注文が来たら知人も喜ぶからね(笑)」
そして、よく見ると今日の「GPO&師走連合軍」はなかなかの選手たちを
そろえてきている、他のチームで活躍している顔もチラホラいるし、
これなら他の常連強豪チーム達とも十分に戦える可能性が大きい。
こちらは地元強豪の「龍人(どらんちゅ)」
昨年くらいまでは万年4位、と自らを揶揄している様子もあったのだが、
今年のペーロン大会では「匠さん、今年はなかなか調子が良いですよ」との
宣言があり、ハイライトの20人漕ぎ一般で、池の里、ワンピースに
次ぐ3位の好成績を、言葉どおりにあげている。
今回もまた、彼らには自信に満ちた表情がある、
それに、今回は、地元ボートクラブのNSユナイテッドから強力な助っ人が
数名参加している、同じ赤系統のユニフォームなので遠目では区別しにくい。
匠「龍人さん、こっそりNSから何人かひっぱってきてるでしょう?」
龍「あはは、バレましたか。」
匠「強いメンバー揃えて・・ また今回も勿論上位狙いですよね、
3位までは実績ができたので、もう1つ上を狙っていきたいですよね」
龍「もちろん! 今日はやりますよ!」
なかなか頼もしい。
だが、今日のオープンカテゴリーは強豪揃いなので、順位予測が難しい、
それともう1つ、水流の問題がある。
前日に行われたグランドシニア大会で明らかになったことだが、
台風の長雨の影響で琵琶湖から流れる瀬田川の水門(南郷洗堰)や
宇治川の天ヶ瀬ダムが全開放流状態になっている。
このため、普段は静かな琵琶湖の湖面に秒速1m程度の速くてかつ複雑な
水流が発生している、この水流にうまく乗ることが勝敗の鍵を握ることに
もなるだろう。
このあたりは昨日のグランドシニアで大会スタッフクルーとして
乗艇しているチームはそれがわかっているの若干有利だ。
地元の池の里や琵琶ドラのメンバーは多く来ていたのは知っている、
他のチームはどうだったか? 和歌山や兵庫県のチームはさすがに昨日は
来ていないならば、やっぱ地元に地の利が少しあるのだろうか・・?
「おっ、出ましたね、熊野(くまの)水軍!」
こちらは、和歌山県からのエントリー。
和歌山最強クラスの、元「椅子に座ったNEKOO(ネコ)」、現「熊野水軍」
という名前のチームである。今年から新しい名前で再結成されたチーム
なのだが、今年は私が撮影に参加していない大会で活躍していたそうで、
彼らのユニフォームを見るのが今回が初めてだ。
しかし、こちらのチームの出身地である和歌山県田辺市は、9月上旬の
台風12号で被害を受けているとのこと、しかも、メンバーの多くは
田辺市の消防署の職員であり、災害救援活動を行っている最中であると
聞いていた。(追記:この大会の10日後、田辺市は台風15号の大雨に
より、さらに追い討ちを受け、土砂ダム決壊の恐れがあるなどで住民が
避難する等の事態となった。)
熊野水軍のメンバーに状況を聞いてみると、今日のレースに際しては、
殆どのメンバーが欠席、他のチームに声をかけてメンバーを補充したが、
それでも足らずに、滋賀県協会のスタッフクルーの学生さんまで乗って
もらって、ようやく出場できると言う。
なるほど、熊野水軍も大変な状況の中、よく琵琶湖まで来て下さったものだ、
今年は、熊野水軍の活躍を見れないのではないか?と心配していた私も、
ほっと一安心したのであるが、しかし、補充メンバーの方々の顔ぶれを
見ると・・うう・・某超強豪チームから来ている人も居ているようだ(汗)
匠「う~ん、熊野水軍さん、なんだかんだ言いながらも勝ちに来て
ますね(笑) まあ、いいですよ、是非好成績を上げて、地元に
元気を届けてやってください」
熊「あはは、そうしますので格好よく撮ってくださいね。」
匠「それは、格好つけすぎ!、もっと自然に!(笑)」
熊「ハハ、写真に撮られるの好きなので・・(笑)」
さて、和歌山からの参加はもう1チーム。
「コロンズ」である。
ご存知強豪の「もっこりドラゴンボートクラブ」のメンバーを中心に
和歌山の各チームの選抜メンバーにより、主に琵琶湖大会に向けて
結成されるチームだ。和歌山から滋賀は遠方なので、こうした体制を
とっているのだろうが、決して寄せ集めというわけではなく、
その証拠に今日も行われる長距離の1000m大会では昨年の覇者は
こちらの「コロンズ」 つまりデフェンディングチャンピオンというわけだ。
今日は得意の長距離で、同じ和歌山の盟友「熊野水軍」や、
「関西龍舟」、「池の里」などとの激戦が予想される。
オープンカテゴリーではあるが、例によって「もっこり系」(笑)は
女子メンバーが多い、他のチームで活躍している女子選手もチラホラ
お、関西龍舟の女子チーム「華組」のキャプテンのM嬢も入っているでは
ないか、これはなかなか強力だ。 早速様子を見にいく・・
匠「キャプテン、今日は「もっこり」じゃなくて「コロンズ」で
よかったですねえ」
M「あはは~ そうですねえ。もっこりだとちょっと恥ずかしくて・・」
他のもっこりメンバーも言う、
も「いやあ、オレ達も女子選手を勧誘するときにそれがあって(笑)」
匠「私もですよ、大会の帰りの電車とかで、「今日のもっこりが・・」とか
大会関係者と話をしていると、乗客に変な目で見られる(汗)」
も「チーム名変えましょうか・・ なんて、まさかね(笑)」
匠「逆に、今の名前だから、優秀な女子選手が沢山集まってくるのかもね、
まあ、なんと言うか・・これはこれでいいのかもしれませんね。」
さて、開会式のスタートだ。
選手宣誓は、女子強豪チーム「河童」のメンバー。
実は開会式前に、私も河童のテントを訪れていたのであるが、
そのときに、選手宣誓の話は突然に振ってきた。
河「協会から話があってね、河童の誰かに選手宣誓やって欲しいって」
河「○○さんがいいよね、皆、それでいいよね?」
河「え? 開会式まであと5分も無いよ、何を話すの~?」
匠「ありゃや・・ これは大変だ」
選手宣誓はおおむね滞りなく行われたのであるが、ただ1箇所
「宣誓!」とするべきところのアクセントが「先生!」になって
しまっていた、自分でもわかっていて「あちゃ~」と落胆して
帰ってくる河童メンバー。でもまあ、なかなか格好よかったですよ!
そもそも河童は今日は女子のカテゴリーが無いにもかかわらず
強引に男子ばかりのオープンカテゴリーに討って出る、
まあ、これは今回にはじまったことではなく、他の大会でも前例が
あって、しかも堂々3位に入ったこともあり、「河童」の名前を一躍
有名にしたエピソードとなっている。
今日も河童の活躍を大いに期待したいところであるのだが、
ちょっと問題としては、メンバーが少なく16人しか居てない事だ、
河童クラスともなると、女子だから非力だとは決して言えないのだが
4人少ないのは痛い、メンバーが揃わず少ない人数で戦う例も過去
沢山見てきたのだが、限界は2人マイナスの18人、これで戦力が
1割減となる、ここまでなら天神大会の武庫川女子大のように
上位入賞した例もあるのだが、4人マイナスの2割減では上位に
食い込んだ例は恐らくは無かったようにも思う。
まあ、チーム河童の最近のテーマは「女子力アップ」とのことであると
聞いているので(笑) 今日もまた華麗に美しく琵琶湖の湖上を
舞っていただくのを楽しみにするとしよう。
さて、記事の方は、このチームがどうしたとか、こうしたとかばかりで、
いつになっても肝心のレースが始まらない(汗)
でも、最近それでも良いと思いながら記事を書いている。だって、新聞や
WEBなどでニュースとなるドラゴン大会に関する内容は、
「どこそこで何々大会が開催された、優勝はどこそこのチームであった」
そんな調子で、選手の事や大会の雰囲気とかは殆ど報道される事は無い、
(唯一、琵琶湖放送の「びわこペーロン」特集番組は除く)
まあ、大会の結果やタイムなどは、WEB等で資料を見ればわかるのだから、
このブログでは、そうした場所には決して現れない、ドラゴンボートの世界の
ドラマを書いていきたいと思っている。
あ、それから、とても重要なことがあった。
今回のドラゴン大会には、美人アナウンサーが招かれている。
大会後には「一緒に記念撮影をしてください」と選手達の長蛇の列が出来た
ほどの人気である。
まあ、たまにチーム名など間違えてアナウンスしてしまうこともあるのだが、
そのあたりも男性選手から見たら魅力になるのであろう。
昨年、一昨年と、琵琶湖大会に東京から来ていただいているアナウンサーの
DJ西尾氏は、元ドラゴンの選手で、ドラゴンボートの内情にとても詳しい、
その結果、アナウンスは実に的確で的を得ており素晴らしいものがあるのだが、
まあ、それはそれ、これはこれ、で、美人女子アナウンサーもまた大会の
華となっているということで、いずれ甲乙つけがたい。
こちらは、ご存知地元の雄、琵琶湖ドラゴンボートクラブ、
滋賀県を代表する強豪チームであるのだが、今年はメンバー改変期と
重なり未だ優勝がなく、各大会では2位3位の成績に甘んじている。
この地元大会ではなんとしても優勝をもぎとり、琵琶ドラ健在なり、
を示したいところだ。
混合カテゴリーでの参戦、強豪の東海龍舟との激戦が予想される。
こちら「龍人(どらんちゅ)」チームの後部を占めるのは、NSユナイテッド
の女子メンバーが多い、前述したように強力な助っ人であるのだが、
特に以前の大会で思い出すのは、若手が多いことで、1000mの長距離の
レースを何本もこなし、少々年を重ねた他の男性チームヘロヘロになる中
平然とした表情でレースを終え、さらにエキシビジョンのスーパーミックス
レースまで乗艇していた様子が思い浮かぶ、漕いだ距離の合計はなんと
8000m! いくらでも体力がありそうなので、250mと1000mの
混在する今日の大会ではアドバンテージとなるか?
ちなみに女子クルーが多くても、「オープン」のカテゴリーでの参戦だ、
得意の持久力に物を言わせていけば、決して体力的にも不利にはならない。
また、この大会では中学生の部も行われる。
参加チームは少ないのだが、そのあたりはさすがに水上スポーツ大国の
滋賀県の中学生であるから、大人顔負けの本格的な漕ぎを見せてくれる。
地元の強力な子供達、「池の里ジュニア」「大津スキースポーツ少年団」
「平野スポーツ少年団」「日吉台ジュニア」などは小学生でありながらも
毎年の「ドラゴンキッズ大会」では本格的な激戦が繰り広げられる。
子供の成長は早い、もう数年もすれば現役強力小学生選手達は、
中学生の部で、さらなる活躍を見せてくれることであろう。
たとえば「池の里」チームは、そうした日を心待ちにしているとのことで
あるが、「小寺製作所」の小寺氏が指揮する「平野チーム」あたりも
同様の夢を描いているに違いない。
さあ、緒戦がスタートする。
まずは「池の里Lakers!」の出陣だ。
初優勝を経験し、現在最も「熱い」チームが最初に出ることで、
この琵琶湖大会、どのような盛り上がりを見せてくれるのだろうか・・
以下、後編に続く。