夏休みのある日、滋賀県大津市、琵琶湖の湖岸に沢山の子供達が集まった。
そう、今日は、毎年恒例の、びわ湖ドラゴンキッズ大会の日。
比較的近年に始まった大会と思っていたのだが、早いもので、この大会も
今年でもう6年目である。(当ブログでの記事も6回目だ)
さあ、開会式だ。 選手宣誓は、滋賀県大津市にあるスポーツクラブ
「大津スキースポーツ少年団」に所属するお嬢ちゃんだ。
参加者の数はざっと400~500人のくらいの規模か?
ちょっとしたビッグイベントなのでNHKや新聞社まで取材に来ている。
おっと・・ 説明が遅くなった。
ドラゴンキッズとは何か? これはこのブログの読者にはおなじみの
「ドラゴンボート」の大会の子供版である。
滋賀県ドラゴンボート協会が主催となっていて、参加資格は特に地域に
限定していないため、滋賀県のみならず、京都や大阪、場合により
山陰や東海地方あたりの遠方からも参加するチームがある。
また、地元滋賀県にあるブラジル学校の生徒さんや先生達も常連さん
として毎年参加して下さっている。
キッズ大会でのドラゴンボートは20人漕ぎの大人と同じものを使用。
マリンスポーツが盛んな滋賀県では、ドラゴンの類似競技の「ペーロン」
(長崎、兵庫県相生、琵琶湖などが有名)も行われ、そちらでは10人
漕ぎの部(ミニドラゴンとも呼ばれる)もあるが、このドラゴンキッズ大会では
本格的なドラゴンボート試合の正式規定通りに20人漕ぎとなっている。
大人のレースでは、カテゴリーは、たとえば混合(20人中女子8名以上)
オープン(性別無関係)、女子、シニア(40歳以上)などがあるが、
ドラゴンキッズでは、
*小学生の部 小学生(高学年)16名+大人4名
*親子の部 小学生10名+大人10名
の2つのカテゴリーで争われる。
この大会、優勝の副賞が「観光船・ミシガンの乗船券全員分」など豪華で
あるため、遊びという雰囲気ではなく、大人も子供も真剣そのものである。
こちらは、この大会の常連かつ強豪チーム「大津スキースポーツ少年団」
(=大津SS)
毎年、2つのカテゴリーに合計3~4チームをエントリーする巨大勢力だ。
選手のダブリはあるかもしれないが、4チームだと単純に80名となり、
大会会場内での同少年団の人口密度が高い(笑)
ただし今年は3チームの出場となっている。
悲願の「両カテゴリー制覇&ワンツーフィニッシュ」を狙ってきているのは
当然であろう(ちなみに、昨年の小学生の部では、ワンツーフィニッシュ
を実現している、ただし昨年の親子の部は「池の里」に同様に1、2位を
独占されてしまった・・)そんな訳で事前練習の様子も気合が入っている。
そして、大津SS、応援団もまた凄い・・
実はこれはまだ、人が少ないタイミングでの撮影であり、レースが
盛り上がってくると、スタート地点からゴール地点までの200mの
湖岸に、各チームの応援団(子供・保護者)がズラリと並んで、
撮影するすきまも無いくらいの状況になることもある。
そうそう・・ 先日、知人の女性の娘さんの運動会に呼ばれた、
呼ばれたといっても遊びが半分で、半分は撮影の依頼なのだが、
なかなか小学校の運動会なんて見る(撮る)機会が無いので
面白いと思ったのだが・・
いやあ、噂には聞いていたが、最近の運動会は凄い。
トラック(運動場)の周りに、三脚に乗ったビデオカメラ、一眼レフ、
そしてコンパクトカメラに携帯電話、保護者がずらりと取り囲んで
我が子の勇姿を撮影しようとしている。
入る隙間も無い・・というのが実情なのだが、まあ、そのことは
噂で聞いていたので、こちらはグラウンドの端から端まで撮れる
超望遠ズームを準備、固定位置で動けないでいる父兄達の
隙間から、後ろを動き回って自由なアングルで撮っていた。
なお、ドラゴン大会の写真では、↑のように応援している人を入れて
撮るのも記録としては意味がある事なので多用するのだが、
運動会ではさすがに前景に他の父兄を入れて撮るのは無意味なので、
広角の出番はあまり無い。
ただ、換算500mm級の超望遠では、運動会では似たような格好
(運動着)の子供達の中から目的とする子供を捉えるのが難しい。
画角が狭いから、いったん見失うと何処に行ったかわからなくなる
場合もあるからだ。
もし今度運動会を撮る機会があれば、マイクロフォーサーズのカメラに
クラッシックな 80-200mm/F4級の、MF望遠ズームを持っていくのが
一番良い選択になるかもしれないと思った、なにせそうしたレンズは
AFが効かないという理由だけで、現在では中古が1000円~8000円
程度の「捨て値」で販売されている。
レンズマウントは何を買ってもマイクロフォーサーズのアダプターを
使えば問題なく装着できるし、すでに私は、ほぼ全マウント用の
アダプターを買い揃えているので、中古ジャンクのレンズは
よりどりみどりだ(笑)
ちなみに、マイクロフォーサーズの画角(換算焦点距離)は銀塩
35mmの2倍となるため、80-200mmは、160-400mmの
望遠ズームとなる。
オールドでもF4固定型などはそこそこ良く写るため、運動会が
あるからといって新品で高価なレンズを買うのは凄い贅沢に
思えてしまうのだが、まあ・・ 市場原理として新しいものを皆が
バンバン買ってくれる事で、こっちはとてつもなく安価になった
性能の良い中古品をどんどん買うことが出来るのだから
文句を言う筋合いは無いのだが(笑)
---
話がすっかりそれたが、ドラゴンキッズだった・・(汗)
さしもの、マリンスポーツ大国・湖国「滋賀県」でも、子供達が皆ボートを
漕ぐことに慣れ親しんでいるわけでもない、なので、まあ、いたるところで
お父さんが子供さんに漕ぎ方を教えるシーンを見かける。
とても微笑ましい光景であり、これは良い夏休みの思い出になると思う。
都会育ちの子供で、帰省する田舎も無い場合、お父さんの短い盆休みに、
観光地やレジャー施設に出かけて、満員の人出に疲れて帰ってくるだけで
後になっても何の思い出にもならないことも良くあるのだろう・・
一通り漕ぎ方を教わった子供は、すぐさま、日本一の湖、琵琶湖に
漕ぎ出していく。
こりゃあ、きっと子供達は楽しいよね・・
まあ、それにしても滋賀県の子供達は恵まれているということを毎年
実感している。
さて、その子供達、大津スキースポーツ少年団以外のチームは?
というと・・
たとえば、ボーイスカウト(カブスカウトやガールスカウトを含む)
滋賀県ではドラゴンボートもボーイスカウトの活動の一環なのか(?)
毎年きっちり参加していただいている常連さんチームだ。
(ちなみに昨年は小学生の部で3位に入賞している)
ただし、やはりスカウトでは、フィジカルなトレーニングをしている
スポーツ系チームに対しては、若干分が悪い。
表彰台に上ることもたまにあるのだが、スカウトチームの優勝は
まだ無い。
けど、スカウトは心身ともに健全に成長することが目標なわけだから、
優勝候補チームも油断をしているわけにはいかないであろう。
で、強豪チームは何をしているかと言うと・・
あらら、石を積んで遊んでますか(笑)
このチーム、よく遊ぶし、よく喧嘩もするし、まさに子供の本分という
感じで、のびのびとしている。 色々やって、時に大人に怒られたりして
そうやって大きくなっていくのが子供だと思う。こういうのを見ていると
なんか最近の都会の子供達は何も(良いことも悪いことも)しない子が
だんだん増えてきているようにも思えてくる。
それから、このキッズ大会。
子供達の大会にも見えるのだが、実は大人たちの大会でもある。
ジャジャーン・・ 出ました。
ひときわ目立つ大人が2人。 両雄並び立つという感じだ。
左のサングラスの方は、「小寺製作所」の社長の小寺さん。
大津市で仏具の製作を営む。一見とても怖そうな人であるのだが、極めて
繊細な、仏具の製作という仕事柄と同じく、真面目で几帳面な方である。
人望も厚く、地元の「平野スポーツ少年団」で団長さんを務め、子供達の
指導・育成に励んでいる。 自身も「小寺製作所」チームおよびその選手
として、滋賀県を中心とする多くの大人のドラゴンボート大会に出場。
4~5年前だったか、初めて小寺製作所が琵琶湖の短距離(スプリント)の
大会に出場したときには、蛇行してしまい、隣のレーンのボートと接触する
という失策をやってしまったのであるが、チームは、その後めきめきと実力を
つけて、今や琵琶湖大会では決勝進出レベルにまでなってきた。
今年あたりは大人の大会で当然上位入賞を狙ってくるであろう。
その前哨戦として小寺氏は、まず、この子供の大会でも自身が育てた
可愛い弟子達をひきつれ、優勝を虎視眈々と狙っている。
ちなみに、小寺製作所は、琵琶湖で行われるいくつかのドラゴンボート
大会のスポンサーにもなっていただいている、小寺氏のそうした様々な
活動は、一言では地域振興とも言えるが、実際なかなか出来ることではなく、
頭が下がる思いである。
---
対する右の方は、大人のドラゴンボートでもおなじみ「池の里Lakers!」の
代表の高屋さん。
長らく愛用していたニコンF80D(フィルム一眼レフ)から、最近 Fuji の
高倍率コンパクトデジカメ HS20EXR に買い換えたところだ、と聞く。
このカメラは、銀塩35mm換算720mmという超々望遠が使えるので、
ドラゴンの撮影にはもってこいだ、さらに手動ズームなので、電動の
ようにちょっと操作したら画角調整が行き過ぎてしまうしまうこともない。
超高感度も使えるので、昼間のドラゴン撮影のみならず、暗所で、たとえば
舞台演劇や静かなコンサートの際にもシャッター音がしないので有利だ。
ただ弱点は起動時間が若干遅いこと、このため撮りたいと思う場合に、
早目早目に電源をONにしておく必要がある、ライブビューはバッテリーの
消耗が激しいのでできれば内蔵のEVF(電子ビューファインダー)のみでの
撮影が良いであろう。重要な撮影の場合は、予備電池もまず必須であろう。
・・なんで高屋氏のカメラの事をそこまでこだわって書くかと言えば
実は、私がひそかに狙っている(欲しい)カメラであるからだ(笑)
ただ、まだ比較的新しいカメラなので、新製品が出て中古の値段が
こなれてからの購入になるであろうが・・
高屋氏に「いらなくなったら譲って」とは言っているのだが、物持ちの良い
高屋氏だから、まあ10年くらいはきっと無理であろう(笑)
で、またも話がそれたが・・(汗)
小寺氏と高屋氏は、友人でもあり、かつライバルの関係だ。
私は、今回のキッズ大会では、この2人を中心に、勝敗のドラマが
繰り広げられると思っている、キッズ大会だから大人は関係ないよ、
と思うなかれ、この大会の真の面白さは、子供の大会という表の舞台に
隠された、大人の戦いにある・・
さて、この記事では、その視点でこの大会を見ていくとするか・・
その小寺氏が率いるチームは、ライトブルーのユニフォームが目にも
鮮やかな「平野スポーツ少年団、バドミントンチーム」だ。
平野スポーツ少年団も大津市で、この大会では小寺氏のお声がけもあり、
大勢力である。 例年は、このスポーツ団より、野球チームが常連で
出場していて、強豪なのであるが、今年はなんと、野球(高学年、低学年)、
に加えバレーボール、バスケット、ミニバスケット、サッカー部にソフト部、
バドミンドン部と、都合9チームをエントリー!
超巨大勢力となった「平野軍団」は、会場で右を見ても左を見ても平野の
文字が目立ち、あるレースでは、出場3艇がすべて平野グループと
なったくらいである。
ただ、毎年強豪として参加している野球部のメンバーに話を聞くと、
「実はボートの練習は殆どやったことが無い」という子供が多いようだ、
すると・・ 小寺氏、やりましたね。
多分・・恐らくだが、初出場の平野バドミントン部を、こっそりドラゴン
キッズ大会の刺客として鍛え上げてきたに違いない。
大会前日の夕立の大雨の中、平野バドミントン部がドラゴンボートに
乗って練習していた、という目撃情報も実は聞いている。
こりゃあ・・平野バドミントン部、すなわち小寺氏、こっそり優勝を狙って
きているな。 ならば、目が離せなくなってきた。
果たして、平野バドミントン部、小学生の部、第一回戦のタイムは
200mが1分18秒である。
確かこの大会の小学生の部では、1分15秒くらいが優勝ラインだ・・
やはりな・・ なかなかの好成績だ。
それにしても小学生の部といいながら、小寺氏、ちゃっかり乗っている
ではないか(笑)(注:大人は4人まで乗れる)
大人の大会でも好成績をあげる小寺氏がひっぱっているようなものかな・・
しかし、サングラスの、いかつい体格は、なかなか目立ちすぎだよね、
優勝狙うなら、大人はこっそり漕いでおかなきゃ(爆)
しかし、次レースでは優勝候補の「大津スキースポーツ少年団」が
小学生の部に2チームエントリーしている中の1つの「赤龍丸」が、
1分13秒の素晴らしいタイムをマーク。
さあ、小寺氏のバドミントン部、やや苦しくなった、5秒差を第2回戦
(注:各カテゴリーのレースは2回戦の合計タイムで勝敗が決まる)
で縮める必要があるわけだから。
小学生の部に対する、もう1つのカテゴリー、親子の部が始まった。
親子の部では、大人と子供の比率は半々。
そこに大人レースでも強豪の「池の里 (Junior) Lakers!」が出る。
速い! うわ・・ こりゃあ勝負にならんよ。
いきなり1分5秒の本日の大会ベストタイム。
このレースが始まる直前、「池の里Junior Lakers!」を紹介する
アナウンサーは
「先日行われた、日本選手権(注:天神大会のこと)で池の里チームは
5位になりました」と公表・・
あ、これはまずいなあ・・(笑)
いやあ、別に発表したらいけない、ということではなくて、その意味が
わかっている参加者がどれくらいいるのか? なんだけど・・つまり、
普通は、見ている人は「??」または「ふ~ん」という反応であろうが、
ドラゴンに詳しい人ならば超強豪揃いの国内最高峰の大会で、
決勝に残る困難は想像できるであろう。
じゃあ、詳しい人とは? そりゃあ、その場にいた池の里チーム自身だ。
なので、本来は楽しむべき子供の大会なのに、そういう紹介をされたら、
池の里の大人メンバーのやる気にスイッチが入ってしまう、ということだ。
するとどうなるか・・・子供達に関係なく、大人メンバーが本気で漕ぐ(汗)
そして、その様子を見て、平野バドミントンの小寺氏のスイッチも入った。
小寺氏、平野バドミントンがもう1つエントリーしている「親子の部」で
本日2度目の出場。
タイムは1分9秒。 小学生の部より9秒も縮めてきたが、池の里にはまだ
4秒ほど及ばない、小寺氏のチームは、小学生の部で5秒、親子の部で
4秒のタイムを、各々のカテゴリーの2回戦で縮めないと優勝できない。
ん?まてよ、すると小寺氏は4回も漕ぐのか?(汗)
平野チームの応援団の方と話をする
匠「小寺さん、元気ですねえ。 こうなったら勝敗のポイントは
小寺さんの体力が持つかどうかですね(笑)」
平「団長は元気なので大丈夫でしょう(笑)」
・・とは言え、1時間もしないうちに次々と4回のレースで漕ぐのは
この炎天下ではさすがにしんどいであろう、平野チームの休憩中に
様子を見にいくと、大人メンバーは疲れ切っているようだ。
さて、勝敗の行方はどうなるのか? 子供の大会なのに、そのあたりが
見所になって、がぜん面白くなってきた。
---
でも、中にはまったく勝敗無関係で楽しみに来ているチームもある。
滋賀県在住のブラジル人チーム。
毎年ゲストとして来てくれる楽しいチームであるが、今年はやたらに
小さい子供達が多い。
2年程前だったか? この大会で、ブラジル人チームは定員(漕ぎ手)が
20名のドラゴンボートに25~6人も乗っていたことがある、これは沈没の
危険性などがあり、ちょっとまずい、まあ、その時は別に事故もなく無事
ゴールしたのだが、なにせ言葉がポルトガル語なので、意思の疎通が
難しい・・
で、今年はブラジルチームのために2艇を準備、なので安心して多数の
乗船希望者が来たということなのであろう。
ただ、やっぱ勝敗そっちのけで楽しみに来ているので、肝心の
漕ぎの方は以下の様子・・(汗)
その後、レース中には、乗っているクルー(漕ぎ手)の間で、
水かけ遊びが始まりボートはなかなか進まない(汗)
アナウンサーの方がPA(音響)を通し「これはドラゴンボートなので、
漕いでくださいね~」と言っても、どこ吹く風、いや、そもそも日本語で
言ってもわからないかもしれない。
・・でも、毎年見ていて思うのだが、本当に彼らは楽しそうだ、
異国の地での生活は色々大変なこともあるだろうが、彼らはこの夏の
1日を毎年とてもエンジョイしている。
ブラジルチームが来ないキッズ大会は、もはや考えられないので、
これからも毎年参加していただき、自分達、そして観客をも楽しまさせて
くれることを期待している。
長くなったので、以下、後編に続く・・