ニコン新製品 DK-17M を購入した。 これは、1.2倍マグニファイアーである。
マグニファイアーというのは、簡単に言えば拡大レンズであり、ファインダーに装着
することで、視野像の倍率をあげて、ピント合わせを見やすくするものであり、
特にマクロ撮影等に向く。
従来のマグニファイアーは、1.5倍ないし2倍程度のものであった。
しかし、これはすなわち拡大する事でファインダーの中の全ての像を見ることが
できない(ケラれが発生する)
ただ、マクロで花を中央に置くような撮影技法では、それでも良かった。
その手のマグニファイアーは、アングルファインダーと組み合わせてあって、
切り替えスイッチですぐにノーマルの等倍にする事ができたり。
あるいは、ファインダーの上にかぶせたり外したりというのが簡単にできる機構となって
いたからである。
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しかし、この新製品DK-17Mは、今までの製品の用途・目的とはまったく異なっている。
デジタル一眼レフの撮像素子のサイズが従来のフィルムよりも小さいのは、御存知の通り。
よって、ファインダーからみえる像も、狭く倍率も低い。
デジタル一眼レフばかり使っていると慣れてくるが、MF一眼レフなどに持ち変えると
そのあまりの差異に愕然としてしまう。デジタルは、お話にならないくらい見えにくい。
ファインダー倍率0.9倍とか書いてあっても、デジタルの場合には計り方が違うので、
まあ、概ね、それも焦点距離の倍率と同じだけ水増ししていると思ったら良い。
すなわち、0.9÷1.5(倍)で、0.6倍程度である。
一時期の視野率100%銀塩一眼レフ、たとえばEOS-1V,α-9,NIKON F5等が、のきなみ
倍率が0.7倍強程度であって、「見えにくいなあ~」とブツブツ文句を言ってたのが、
デジタルではもっと酷い、これはなんとかならないものかと常々思っていた。
そこに DK-17Mである、倍率を1.2倍に拡大するので、問題点を少し緩和できる。
装着した写真は以下である。
一部の塗装やホコリがフラッシュ光で乱反射して汚く見えるが、まあ説明用写真なので
許して欲しい。
装着可能機種は、ニコンD1,D2シリーズと 銀塩のF4,F5,F6
D2Hに装着してみたが、視野のケラレはほとんど無く快適である。
F5の場合は、視野がわずかにケラレるが、実用上はまず問題ない。
D2Hのスクリーンは、あまり優秀では無いので、こういうアクセサリーで少しでも問題点を
救済できるのは嬉しい。しかし、本来ならばもっと優秀なファインダーを作るべきであり、
元々手抜き製品を作っておいて、おまけに欠陥解消の為に余計に金を取る、という姿勢は
メーカーとして決して誉められたものでは無い事も強く訴えておく。
D2Hのスクリーンのどこが悪いか? それは簡単、MFでピントを合わせてみれば一目瞭然
である、ピントの山をずれた時の像が素直にボケるのではなく、二重像に近い形になる、
だからボケの質なんて絶対に確認できないし、ピントの山のピークも高くないので、
合わせにくい、で、ちょっと回すと、ぐにゃりと像が歪むので気持ちが悪い。
スクリーンでボケの量や質を正確に判断できないのはどんな一眼レフでも一緒であるが、
少なくとも、銀塩ミノルタα-9の「M2型スクリーン」などはかなりいい線は行っていた。
報道のニコンは、ボケはどうでも良いのだろうか?
そして、AF性能が世界最強のD2Hだから、わざわざMFで合わせるのは酔狂なユーザー
なのかも知れない。でも、AFセレクターの反応がワンテンポ遅れる、そうだな、200m秒
くらいか・・では、撮影操作のスムーズさに欠ける。D2Hは全体に操作系がトロイ、搭載
CPUのパワーとアルゴリズム、割り込み優先順位に問題点があることは明白である。
こういうカメラは、いくら50万円する機械でも「玩具」である、ニコンは猛反省するべし!
そして、最後に、DK-17Mを装着する際の注意点は、
①視度補正が狂うので合わせ直す必要がある事。
②D2X,D2H,D2Hs,F6 では、アイピースシャッターを閉めないとロックが外れないので
アイピースの交換ができない事。
である。定価は5250円、まあ、高価であるが、それなりに効果はあると思う。