今回は絶対どこにも載っていないレタッチ技術の情報である。
ノウハウの塊であり、本来こうした内容はあまり公開したく無い類のもの。
しかし、前出の圧縮率の記事にあれだけの反響があった事を考慮すると、
デジタル処理技術の一般レベルでの発展の為に、必要最低限の技術は公開して
いくのが妥当であろうと思った。
事実、前出の記事以降、あちこちでブログへ載せる画像の解像度や圧縮率に
神経をはらう動きがみられる、それは勿論容量制限とか自分自身の為でもあり、
またコンピューター資源やネットワーク資源の面でも大変良い事と言える。
しかし、もう少し広い範囲での基本を理解していないため、聞きかじりで
解像度や圧縮率を言われた通りにいじくっても、応用、たとえば文字入れとか
画像処理の順番を不適当にするとか、そんな事をすると、とたんに破綻してしまう。
あるいは「レタッチを教えてください」と安直に尋ねてくる人も中には居る、
だから今回教えている。でも、デジタルの世界の奥深さを知って卒倒しないように
十分心の準備をしてから、まずこの記事で勉強に望んで欲しい。
さて、必要最低限の技術と言っても、これはプロカメラマンでも絶対に知らない、
まさに【匠のデジタル】による処理技術に係わる情報である。
初級者から中級者、上級者、プロ・専門家に至るまで、全員ノートと電卓を持って
しっかりと読んで欲しい。
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まず、最初に、1251x973ピクセルのサイズの白い画像ファイルを用意する、
すなわち、縦も横も8の倍数では無い(=JPEGに適さない)サイズのファイルに対し、
そこに、これまたJPEGでは適さない(JPEGが最も苦手とする)
①グラデーション図形 ②幾何学図形 ③文字 を書きこむという処理を行う。
(グラデーションとは何か?とかとぼけた質問をしないように!あたり前の事
であるがブロガーは全員ネットに接続している。yahoo でも google でも好きな
検索エンジンにわからない用語を入れるだけで瞬時に沢山の正しい回答が出てくる、
便利な時代である。なんで数秒で済む事ができずに、それよりもっと無駄に時間を
かけて文章を書いて人に質問するのか?そうした愚行は二度としないように!)
さて、文字入れ等は、実際にポストカードや自分のロゴ入り画像を作ってブログ
やHPにアップしている人達が普通にやっている日常的な処理ではなかろうか?
そして、ここから、いいかげんなサイズ変更(リサイズ/縮小)をしたり、
レタッチの順番を間違えた場合、あるいはレタッチソフト間のやりとりに
JPEGを使った場合等、「悪い例」での画質の劣化を見てみよう。

SAMPLE 1:↑ 約48KB JPEGデータ
×1251x973ピクセルのデータに
×あらかじめレッチソフト「a」にて文字・図形・グラデーションを入れ、
×適当な(あまり考えてない)圧縮率でJPEGで保存し
×次のレタッチソフト「b」にて、読み込み
x縦横を8の倍数で無い517x383ピクセルに縮小し
×適当な(あまり考えてない)圧縮率でJPEGで保存した
これは、やってはいけないことのオンパレードであり、画質が悪くなる方へ、
なる方へと処理している。 その結果として、
・文字はところどころ汚い滲みが出て、
・星型の図形は、特に水平の線の破綻がひどく、
・グラデーションは縞模様となっている。
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SAMPLE 2:↑ 約48KB JPEGデータ
◎8の倍数である 512x384 に予め小さくしたサイズの画像を準備し
◎ここに小さいサイズの文字・図形・グラデーションを入れ、リサイズ(縮小)は行わない
◎最後に画質ぎりぎりの1/12の圧縮率になるように1度だけJPEGで保存した
こちらは慎重な処理を重ねて行った例であり、同一ファイルサイズのJPEG画像でも、
図形とグラデーションの画質が SAMPLE 1とは比較にならない程良好である。
しかしながら、文字に関しては、SAMPLE 1ほどではないものの画質の劣化が
あらわれている。文字を最後に入れるように慎重にやったにもかかわらず、である。
この結果からもJPEGは文字圧縮に弱いといえるだろう。
JPEGの圧縮の原理は、写真等の不規則な画像において人間の目に目立たない
部分をある程度間引いて(省略して)から、前出の圧縮処理を行う。
よって文字のように一部が欠けたら読みにくいものを圧縮するのは不得意である。
ちなみにJPEGでは一度圧縮したらもう元に戻すのは不可能である、
これを不可逆圧縮と言う。だから、SAMPLE1 において、途中のプロセスで安易に
JPEGでの圧縮保存を繰り返す事はよくない。もしソフト間でのやりとりを行う
ならば、画質が劣化しない(圧縮しない) bitmap 形式などを使うべきである。
また、JPEGの原理として、8の倍数で無いデータは処理しずらい。1度くらい
の変則的縮小であれば現代の高性能ソフトの性能に助けられてあまり問題無いが、
ほんの数回の変則処理の連続で、SAMPLE 1のように、画質がかなり劣化する。
なお写真を処理する場合には、SAMPLE 2の最初のステップに至るまでに
あらかじめ 512x384等の「しっかり処理をした」JPEGデータを用意してから
その後で文字や図形を入れれば良い。
「しっかり」とはどういう意味か?それはこの記事の中に全部書いてある。
さて、この例のように、画像が使っている色の数も少なく、画像も直線、
曲線を主にしたもの、つまり写真ではなく、ポスターやアニメ・イラストのような画像の
場合に、割と有効な保存手段がある。それはGIF形式である。
GIFは、インターネット黎明期の米compuserve において使われたフォーマット
(画像形式)である。
256色しか色数は無いが(JPEGは約1677万色)、その代わりアニメーションが
できたり、特定の色を透明にして他の画像等に重ねられるという特徴を持つ。
GIFは、UNISYS社が特許を主張し、使用料を一般に広く要求したたため、一時期
インターネット界から葬られそうになっていた。GIFの代替として特許に抵触
しない PNG(=Portable Network Graphic)が流行りそうになった。
しかし、UNISYS LZW 特許と呼ばれる問題の特許は2004年で失効(有効期限切れ)
になり、現在では GIFやGIFアニメーションをネットで使っても問題は無い。
(ちなみに、Docomo imodeでは、UNISYSに膨大な特許料を支払って GIFが使える
ようにしていた。何でわざわざ GIFか? 他社は全部JPEGでやっていたぞ、
そのしわ寄せはimodeの様々な使用料金に含まれて徴収していたかもしれない)

SAMPLE 3:↑ 約53KB GIFデータ
×1251x973ピクセルのデータに
×あらかじめソフト「a」にて図形・グラデーションを入れ、
x縦横を8の倍数で無い517x383に縮小し
×適当な圧縮率でJPEGで保存し
×次のソフト「b」にて、読み込み
◎最後に保存する直前に、文字を入れ
◎1677万色を256色に減色処理をし
◎最後にGIF形式で保存した
わざとこんな変な処理をした。もちろんあまりスマートなやり方では無い。
言うならば前半の失態を後半で盛り返すやり方である。
しかしながら意外に画質は良い。特に最後に文字を入れてすぐさまGIFで
保存しているからもあり、文字の画質に関しては上記最善の SAMPLE 2よりも
高画質となっている。「GIFは文字や単純画像に関しては JPEGより強い!」
ビジネスの世界で報告書やプレゼンテーションを作成する際、あるいはブログに
おいてもだが、文字や表を使ったりする場合には JPEGよりGIFにすることを勧める。
しかしながら、ここでは前半のまずい処理と、256色しか使えない宿命により、
グラデーションの色調はとびとびの不連続なものになってしまっている。
グラデーションは写真と同様に多数の色を使う、こういうものはさすがに
GIFよりもJPEGの方が有利である。
また図形の直線部分においても、無理な解像度変換によりジャギー
(直線や曲線がギザギザの線に見えること)が発生している。
ジャギーは適切でない解像度変換をした場合の典型的な問題点であり、
これを防ぐには、JPEGの場合は基本である8の倍数単位で処理する事はもとより、
どんな画像形式でも、できるだけ 2のn乗の倍率で縮小をする事を勧める。
2のn乗とは、2,4,8,16,32.. と次々に2を掛けていくことで得られる数字である。
それが何か? 具体的にどうなるのか?
例えば、コンピューターの世界において、二進数で 01101100という値があった
とする、これは10進数では108である。
この数値を2で割るには、コンピュターは全部の桁をごっそり右に1つずらす。
つまり 01101100 → 00110110 となり、これは54である。
さらに2で割るには、さらに右に1つずらす。つまり 00011011で27となる。
よって、コンピューターは、2で割るのはすごく得意である、速く計算できて、
誤差も少ない。(もし一番右に1の数字があれば、少数点以下のケタにずらす)
だから、写真をトリミング後にリサイズ(解像度変換を行う)という処理を
したいとしよう。 もし、最終的に保存したい解像度が 640x480 であれば、
それを縦横とも2のn乗(= 2, 4, 8, 16, 32....)倍したサイズから小さくすると
パソコンは「まかせておけ!」とばかり、快適に計算し、かつ誤差の少ない
高品質の縮小ができる。ジャギーも極めて起こりにくい。
640x480の目標値に対する、具体的な例をあげる。
Ⅰ:縦横各2倍の1280x960ピクセル(約122万画素)
この状態からは、簡単に640x480に縮小できる。
120~130万画素級の古いデジタルカメラ、あるいは、500万画素級の新しい
デジタルコンパクトをS(スモール)画質モードで使うと、幸いこの比率に
なっている場合がある。これはトリミング無しでそのまま縦横半分にするのが良い。
また、600万画素級デジタル一眼のSモード、あるいは300万画素級のデジタル
一眼のMモードでは、1504x1000前後の 3:2アスペクトの画像解像度が
よく使われる。この場合、ここから640x480に直接変換するのは不可能であり、
できれば、1280x960の枠でトリミングすると同時にアスペクトを4:3としてから、
640x480に縮小変換すると良い。
Ⅱ:縦横各2.5倍の1600x1200ピクセル(約192万画素)
完璧では無いが、まずそのまま640x480に縮小できる。
200万画素機のL、あるいは400万画素機のM画質モードでは、このサイズが
良く使われている。
ジャギーを出さないようにしたければ、一度だけの縮小ならばあまり問題は
無いので、えいやっ!っと、そのまま640x480にするか、
あるいは慎重を期すならば、ここでもやはり一度1280x960としてから
縦横を各1/2と縮小すればよい。
400万画素級デジタル一眼レフのMモードでは、200万画素相当として
1840x1224の解像度が使われる事もある、できれば、これもいったん1280x960
にトリミングおよびアスペクト変換をしてから、640x480にするのが良い。
そこまでトリミングできない場合でも 1840x1224→1600x1200→640x480
としてみよう。なおここで、トリミングは「オン・メモリー」で行う事。すなわち
メモリー上に展開された画像をトリミングしても画質は劣化しない。あたりまえ
である。表示されている画像の周辺をカットするだけで何故画質が劣化するか?
画質劣化は、これをさらにリサイズする際や圧縮保存する際に起こる。
そして、特に小さい解像度の画像を大きく(表示・印刷)する際が顕著である、
最終的に写真を仕上げる「鑑賞サイズ」はデジタルの世界では不定である。
銀塩のようにいくつかの決まった大きさのペーパーにプリントするわけではない。
そのような不定なものに対し、画質が劣化する事を極端に恐れていてもしかたがない。
デジタルの事を理解せずして、古臭い「ノートリミング主義」など言う無かれ。
Ⅲ:巨大なサイズ(200万画素以上)
たとえば、600万画素級デジタル一眼レフをLモードのまま使うとしよう。
最も単純な比率は、3000x2000である。機種により多少前後する場合もあるが、
だいたいこの通り。
この時は、まず最終目標の 640x480を4倍(2の2乗倍)する、
すると 2560x1920となる。
この枠を使って 3000x2000を一度トリミングして、2560x1920になってから、
各々の縦横が正確に1/4となる 640x480と縮小すれば良い。
なお、こうした利用条件は、原画を後の高解像度コンテンツへの利用等を前提と
している場合であり、HPやブログ専用画像では再三言っているように
150万画素もあればお釣りがくるくらいに十分である。
大きなデータは全ての点で重く、なにかにつけ不利である。
どこぞやのNHKの老人向けデジカメ入門TVのように「常に最高画質で撮れ」
といった嘘を伝えたり、またそれを簡単に信じてはならない。
その裏には「中高年以上はデジタルのことなんかどうせわからないから・・」
といった投げやりかつ差別的な指導の方針が見られ、非常に不愉快である(怒)
後で引き伸ばす場合に有利・・といった好意的な見方もできるかもしれないが、
入門者が下手な写真を大きく引き伸ばすことがあるのだろうか・・?(汗)
そんな場合は、せっかくのデジカメである、撮影後に見て、上手に撮れてたから、
高画質(高解像度)に変更してもう一枚・・ってやっても遅くは無い。
もうひとつ、せっかくジャギーを最小にするデータを作ったとしても
エキサイトブログにおいては、写真の横幅の表示解像度が決まっていて、
それより大きな画像に関しては、エクスプローラーやネットスケープなどn
ブラウザ(のHTML解釈ルーチン)により自動的に縮小される、
これはもちろん、フォトショップなどの高性能ソフトとはちがい、おまけの
いい加減な機能であるから、ここでジャギーが発生することが多々ある。
だから、ブラウザの縮小でジャギーを発生しないようにするなら、だいたい
横512ピクセル前後までの、ブラウザにそのまま表示できる写真の解像度を
用いると良い。
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「こんなに沢山数字が出てきて覚えられない~!」とパニックを起こす人も
いるかもしれない。しかし、実は覚えなければならない数字はひとつも無い。
要はいずれも2とか8とかコンピューターにとってキリが良い数字の倍数に常に
する事。それだけである。
人間にとってわかりやすい、500とか300は、8で割り切れない最悪の数字である。
もう「私は数字に弱いから・・」という泣き言や言い訳は一切聞かない事とする、
小学生でも出来る計算を、もっと簡単に説明してくれと言われても困難である。
「なんで写真やるだけなのに、こんな面倒な・・・」
弱音を吐くのではない! たとえばデジタル音響処理の世界ではアナログ回路
で言えば抵抗やコンデンサーの値に相当する数字、すなわちパラメータを
計算するのに、朝から晩までノートに数式を書いてやっといくつかの数字の
答えが出ることもある。計算式の変形はコンピューターではできないので、
手計算でやらなければならない場合も多い、それはプロの仕事ではあるが、
今時、趣味の世界でもそれくらいはやっている人もいるだろう。
画像処理の計算もしかり。
そうしたデジタルの世界全体を見たときの数学的な計算の難しさにくれらべれば、
たかだかオモチャのデジカメの、これくらいの計算はまさに小学校レベルである、
事実、掛け算と割り算以外何もない。 √も log も e も sin も cos も
積分も微分も 複素数も Z変換も 行列演算もここでは一切何も出てこない。
真のデジタルの世界では、そんな計算式は日常当たり前のように出てくる。
写真に必要な最低限の計算。これくらい理解できないようでは、今後本当にヤバイ。
「デジタルの常識はアナログの非常識」、「デジタルとアナログはまったくの別物」
写真の経験が多少あるからと言って、そこに慢心していたら、
本当にアナログ人間から永久に脱出できなくなってしまうかもしれない。
むしろ写真をデジタルから始めた人であれば、ある意味このくらいのことは
何の抵抗も無く覚えられるかもしれない、いや、むしろそうであろう・・
ベテラン・上級者であるほど、デジタルの世界への移行は困難であると言える、
初級者からプロ・専門家に至るまで、常に勉強、精進あるのみ。
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さらに余談をひとつ、ここで出てくる 2560とか5120とか1600の数字は、
一部の好きな方達ならご存知だと思うが、麻雀の点数計算の数字の並びと等しい。
麻雀でも役(翻)に応じて、点数が倍々にあがっていく。つまりこれはパソコン
の2進数の仕組みと近い、しかも親の点数と子の点数の比率は35mm判と同じ 3:2 !
だから、麻雀をする人はこの手の計算に非常に強いはずである(笑)
結局、好きなことは簡単に覚える。写真やカメラが好きという気持ちがあれば、
デジタルの数字も、簡単に理解できるのであろう。
もうひとつ、冒頭に書いたように、この記事に書いてあるような情報は雑誌あるい
は教科書には出てこない。「じゃ、どこで勉強するのか?」ってか?
それは、こういう事はデジタルが好きで色々いじくりまわしているうちに、
そこから自然に分かってくるノウハウなのである。だから技術は経験がものを言う、
すなわち技術を持ってから経験を積む以外にも、経験により技術を身に付ける
ケースも多々ある、と言っておこう。