今の時代では貴重な本格的「プログレバンド」である
ラウンドハウスの
約1年半ぶりのライブが大阪で行われた。

ラウンドハウスは、いわゆる「伝説の」という前書きがつく
バンドであり、その昔、その実力を高く評価され、かつ
「プログレ」という、プロ・アマ問わず一般のバンドがなかなか
手を出しにくい(技術とセンスの両者が要求される)音楽ジャンル
である事から、知る人ぞ知る、通好みのバンドとして活躍していた。
しかし、それからおよそ20数年の時が流れ、ラウンドハウスの
中心的存在であるギターの加藤氏は、今やITベンチャー企業の
社長さんとなっている。
まあ、新技術の開発や営業に忙しく飛び回って社長さんであるから、
ライブの間隔が開いてしまうのもしかたがない、それよりもむしろ
そうした立場になっても、まだ音楽の、そしてプログレという世界
への情熱を失わないことは凄い事であると思う。

それに、エンジニアが本職でもあることから、メカやPCにも
やたら詳しい、例えば今回のライブでは、ドラムスが不在なので
あるが、それはすなわち、「打ち込み」でドラムパートを全部
(MIDI)データ化してPCに入力してあるという事である。
あと、前回のライブ終了後、加藤氏からこんな話題が出た。
加「匠さん、次のライブでは映像と音楽を同期したビデオコンテンツ
を作って流したいんですよ。」
匠「なるほど・・ もちろん単なるBGV(背景映像)では無い
ですよね。」
加「ええ・・曲のイメージと完全にマッチしてなくてはなりません。」
そう、たとえばカラオケBOXで流れるイメージBGVであるが、
その昔のカラオケではまったく曲と無関係な、いつも同じような
映像が流れていた。勿論コンテンツを作る手法上でも、機械の
容量・性能的にも、あまり融通が利かなかった時代の話しでは
あるのだが、近年のカラオケでは、その曲の雰囲気に極めて
近い多種多様なBGVが流れる。 けど、まだ完璧では無い。
きっと加藤氏の要求しているレベルは、曲中のパートや
あるいは小節単位に至るまで、きちんとその内容に見合って
音と映像が同期したコンテンツを狙っているのであろう。
特に、ラウンドハウスのライブのほとんどはインスト(歌無し)で
あるので、余計にBGVの重要さは増すのだろうと思う。
匠「加藤さん、狙いはわかるけど、簡単ではなさそうですね・・」
私は別に協力を断ったわけではなかったが、なかなかその案を
具体的に何か実行する、ということは、それ以降なかった。
それから1年半、加藤氏は、自力でコツコツとそのコンテンツを
作っていたそうだ、そして、今日がそのお披露目になるはずで
あったのだが・・
・・・何故か映像が出ない(汗)
リハでは出ていた映像が本番では何も表示されない。
エンジニア加藤氏は必死の修復を試みるが、ハード、ソフト、
伝送系、同期系、それらのどれかであろう原因を突き止めて
映像を復活させるには、とても本番中の時間では無理だ。
まあしかたない、今回は映像無しでやるっきゃない。
・・・そうなると、あとは演奏に比重を置くということだな。

今回ラウンドハウス初参加の若手のサックスプレーヤ井上氏。
なかなかのイケメンのオニイサンであり、ステージの真ん中に
陣取り、女性ファンの注目を集めていた。
ところで、ラウンドハウス、滅多にライブをやらないのにも
かかわらず、今回もまた、大阪・難波のライブレストラン
「フラミンゴ・ジ・アルージャ」は1階、2階とも満席となっている。
普通のアマチュアバンドはお客さんを集めるのに四苦八苦し、
ワンマンすなわち自分達だけのバンドでライブをやるなどとは、
相当の人気やキャリアを持たないと不可能というのに、
ラウンドハウスはさらりとそれを実現している。
社長としての加藤氏の人脈なのか? と思いきや、客層は
加藤氏に関係ありそうなビジネスからみの方ばかりという事は
全くなく、普通にロックバンドでもやってそうな若いオネイサン
がひょっこりと、そっち系っぽい黒のロングブーツなどで来る
ものだから不思議だ。 いったいどういう集客方法をしているのか
今度加藤氏に聞いてみよう。

ギター加藤氏の相棒のベース上村氏も、もうそこそこの年齢、
まあしかし、地味ながら安定したプレイは、前回のライブでも
いぶし銀のような演奏として印象深かった。
今回の映像が出ないというトラブルにも動じることなく、
淡々と自らの仕事をこなす「職人」という雰囲気だ。
前回のライブではステージのスモークが邪魔をして、
ちょっと奥まったところで弾いているベース氏の姿を撮るのは
厳しかった、今回もスモークは同様であるが、その合間を縫って
MINOLTA AF200/2.8G (銀塩換算300mm)で捉える。
今回、加藤氏の知人という、個人スタジオを経営するプロ
カメラマン氏も来ていたのだが、私の機材を見るなり
カ「200mmの単(焦点)ですか? いったい何処から撮るの?」
と聞いて来た。
まあ妥当な質問だ、あまり広くないライブレストランは普通に
考えると最後尾から撮ったとしてもプレーヤー1人捉えるには
換算300mmは完全に持て余してしまう。
「アハハ・・ 近くからですよ。」と答えたのだが、
つまりは楽器演奏の指づかいとか、演奏中の表情とか、そんな
撮りかたが目的だ、数mの近距離から大口径望遠の被写界深度の
浅さを利用した写真を撮る。 別にいわゆる「プロ御用達」の
70-200/2.8 クラスの望遠ズームを使っても、テレ(望遠)側では
まったく同じ結果になりそうだが、そうでは無い。
というのも、ズーミングで(広角側に)引く余裕があるのなら、
撮影心理的にどうしても半身または全身を入れようとして
しまうからだ、無理して望遠いっぱいで撮る必要は無いと・・
ところが単焦点だと当然ズーミングは効かないから、その焦点距離
で撮れるアングルを探すこととなる。 というか、最近はライブ
撮影ではこのレンズの出動回数は多いので、最初からこの画角は
頭に入っていて、それを活かせる撮影位置を探すことも難しくは
無い状況だ、つまりズームレンズでは迷いが生じる場合でも、
単焦点ではそれが無いので、ある意味楽だ、という事になる。

そしてキーボード岡田氏、見るからにプログレっぽい(笑)
まあ、往年のイエス(後にソロ)のリックウェイクマンを彷彿させる。
ただ、彼はリックウェイクマンのように沢山のキーボードで
自分の周囲を固めるような事はしない。あのマルチキーボードは
1970年代、まだシンセや電子鍵盤楽器が単機能に近い性能であった
事から、多彩な音色表現を求めるには、どうしても多数のキーボード
が必要だった事による。今時の21世紀のデジタルシンセは、
30年前のシンセとは比べ物にならないくらい進化している。
キーボードは1台か2台あれば十分なのだ。
それ以上の音の厚みが必要であれば、打ち込み+MIDI音源を
併用して鳴らせば良いだけの事だ。
それより、ラウンドハウスのキーボード岡田氏の良いところは、
実に楽しそうに演奏しているという事だ。
近年のバンドにおいては、キーボードプレーヤーは、1970年代の
プログレ花形キーボーディストのようにステージで目立つことは
なく、どちらかといえば非常に地味な存在になってきている。
だからこそ、キーボードのプレーヤーは下手をすれば意識的に
目立つようなパフォーマンスをする事もあるのだが、まあ、
バンド全体がそんなイメージを打ち出すのであればそれでも
良いけど、このラウンドハウスのように、どちらかといえば
いぶし銀的プレイを主眼とするバンドの場合、1人キーボードが
目だってしまうとむしろおかしい。
そして、音楽を文字通り「音を楽しむ」という点においては、
キーボード氏の演奏中の表情は非常に好感が持てる、
見ていて「ああ、気持ちよさそうに弾いているなあ」というのが
十分に伝わってくるのである。
まあ、私自身シンセ好き人間で、自宅には、シンセの2段積み
(もっと台数はあるのだが、それ以上積むと弾けない・・笑)
があって、ごく稀に気が向くとそれを弾いている。
もっとも、ほんとに稀にしか弾かないので一向に上達しないのが
難点なのであるが・・・(汗)
でもまあ、キーボーディストの気持ちも少しはわかるので、
ともかく彼の演奏のマインドは多少なりとも理解したつもりだ。

さて、ラウンドハウス、加藤氏ははっきりとは言わないのだが、
やはり中年男性を主力としたメンバー構成で、やるジャンルも
ボーカル無しのプログレと来たら「ステージの華が無いなあ」
と、思っているのではなかろうか?
そんな疑問に応えるのは、毎回のゲストプレーヤーである。
前回のライブでは若手美人ジャズ・バイオリニストが登場、
そして今回は・・というと、なんとこれがベリーダンサーチーム
であった。

ベリーダンサー
REIさんチームは3名。
さすがに全曲通して踊りまくるというのはダンサーの体力が
持たないからか、音楽に合わせてのダンスは2曲のみ。

しかし、妖艶なベリーダンスは、これまた妖艶な照明効果と
あいまって、ステージを一瞬にして、まるでアラビアンナイト
のような世界観に変じてくれた。

カメラマンとして、いや、観客としても「もっとダンスやって~」
とアンコールしたいところであったが、まあ、これ以上やったら
音楽ライブなのか、ダンス見物なのか、わからないところである、
惜しみながらも、絶妙なタイミングで、ベリーダンスは終了。
こちらのベリーダンスREIさんは、リーダー加藤氏の知り合いという
ことだが、社長さん、いったいどういう交友関係なのでしょう?(笑)
あまりに顔が広い加藤氏、ちょっとでも見習おうと、私も後で
ダンサーの方と名刺交換をしたのは言うまでも無い(笑)

さて、妖艶な華がステージから去っていっても、女性陣から見て
魅力的なイケメンプレーヤーはまだ残っている。
ステージ後キーボード氏曰く「SAXの井上君だけ目だってずるいや」
と言っていたのだが、まあ、そういう事はあるよね(笑)
腕(演奏技術)もルックスも確かに重要だけど、それでもまあ、
男性の視点としては、やっぱ、地味ながらも高い安定した技術の
ようないぶし銀プレイに弾かれる要素もある。

ベース上村氏、やはり上手いなあ・・
派手な演奏技法なんか、まったく使ってないのだけど、
この道数十年、というそんな風な感覚を受ける。

そして、今回のステージ表現の要はやはりこの人か・・?

ほんと、キーボード岡田氏、楽しそうです(笑)
前回のライブの後、ギター加藤氏にこんな事を言った。
匠「加藤さん、もっと演奏中、動いてくださいよ」
加「え? ボクは、動いたら写真が撮りにくいものだと思って・・」
匠「いやいや、そうでは無いんですよ、まずはステージ表現、まあ
そんな要素もあることは事実ですが、写真を撮る立場からすると
ライブはポートレート撮影では無いですからね、動き回って
ブレブレの写真だったとしても、それはそれで臨場感の演出に
役立つんですよ。 もっとも偶然や失敗のブレ写真は意味がなく
撮るからにはシャッター速度を意図的に遅くしたり、もっと言う
と、曲のビート(BPM)に合わせて適正なピッキングブレを出す
シャッター速度を選択するなど、それなりの技法的工夫は
必要なのですが・・」
加「ふ~ん、撮る側には撮る側の色々な考えがあるんですね、
わかりました、次回はちょっと動いてみましょう(笑)」
まあ、そう言っただけあって、加藤氏、今回は少しはそのあたり
意識している様子だ、だいたい本番前にも前回のその話しを持ち返し
ていたのだから、よほど気になっていたのであろう。
で・・

「う~ん、加藤さん、もうちょっとだけ、そこで、のけぞって・・笑」
まあ、でも、加藤氏ががんばらなくても、今回はベリーダンサー
チームがのけぞってくれていたから、良しとしましょう(笑)
さて、楽しい音楽の時間(by シュトレーゼマン・笑)もぼちぼち
終わりだ、2時間弱ほどの短いライブとは言え、映像が不調で
出なかったとは言え、さすがに伝説の実力派バンドであり、
もはや日本ではラウンドハウスのみではなかろうか、という
絶滅危惧種であるセミプロ・プログレバンドである。
十分に楽しめ、かつマニアックなプログレを満喫できた、
途中のベリーダンサーも非常によかったし、それについては
単純に衣装や肌の露出度の問題ではなく(笑) ベリーダンス
の表現そのものの多様性とか、その観点からの、ラウンドハウス
の音楽とのコラボレーションについても良い結果が出ていたと思う。
私が毎年撮りにいく、サンケイスポーツ主催の「大阪総おどり」でも
(希少な)プロのベリーダンスチームが毎回出てきて踊っている。
アマチュアカメラマンのオジサン達は、踊り子さんのおへそばかり
狙って撮るのであるが(苦笑)まあ、私の場合一応公式カメラマン
なので、そんな撮りかたはできない。で、冷静によくベリーダンス
を観察してみると、単にクネクネとセクシーに踊っている訳でも
なく、それぞれの動きや動作、あるいは体全体を使ったポーズや
曲線の出し方などに、それなりの意味を持つ表現が含まれている
ことがわかってくる、まあ、それはそうだ、どんなアートであれ
何等かの表現を持たないものなどあり得ない。
お手本どおりに書く習字とか、楽譜に忠実に演奏する発表会とか
誰かの有名な構図を真似した単に綺麗なだけの風景写真とか、
そういう表現の無い世界観では、飽きがくるか、すぐ限界に
つきあたる。
まあ、そういう事で、ベリーダンスもアートとして鑑賞すると
また別の観点から非常に興味深いものがある。
さて、そんなわけでラウンドハウスのライブも無事終了、
まあ、お客さんも、よかったらCD買って帰ってね・・
というわけで。 受付の美人スタッフが私にも勧めてくる。

匠「あ、私も(撮影)スタッフなので・・・
で、実はそのCDは持っているんです、DVDがついている
やつですよね・・ 勧めてくれてありがとう。
じゃあ、今日はお疲れ様でした。」
いや、まあ、それにしても、社長加藤氏の交遊関係、いったい
どうなっているんでしょう?(笑) 娘さん? いえ、ちがいますよね。
いったいどこから美人スタッフとかベリーダンサーとか、
若い女性の観客とか、集められるのでしょう?
私も見習って、美人スタッフとメアド交換を・・ いや、そこまでは
さすがに自粛しておきましょうか・・(笑)