2009年11月28日、関西屈指の朝の情報番組
「おはよう朝日です」(おは朝)の出演メンバーによる
バンドのライブが大阪のアメリカ村にて行われた。

ボーカルはレポーターの「伊藤みく」嬢。
「恋のから騒ぎ」でデビューし、おは朝に出演。
その他数々のTV番組やCM、ラジオなどにも出演。
水着DVDも出版しているアイドルタレントである。
しかし、伊藤みく嬢が歌を歌うとは聞いたことが無い、
はたして、このバンド、いったい・・?

おりしも、「おはよう朝日です」の本が出版されたところ、
この番組は関西ですでに30年続いていて、現在では
宮根誠司氏の司会と、エレクトーン奏者、気象予報士、
個性的なコメンテーターやレポーター陣、マスコット
キャラクターなどにより、非常に根強い人気を誇っている。
その、おは朝メンバー5名によるバンド「TRIP WORLD」
初ライブにしてワンマンライブ(他の出演バンド、出演者が無い)
という、ヲイヲイ、大丈夫なのか・・? という状態(汗)
仕掛人は、この人、レポーターの「たつを」君。

たつを君は、おは朝のレポーターを長く務めているベテラン、
私とは数年前からの友人であり、彼がやっていたプロバンド
MoGa(
2008年6月に活動休止)の撮影をずっと行っていた。
最近、彼は写真に興味を持ち始めて、何度か一緒に趣味の
撮影に行っている。ライブの2ヶ月ほど前、その撮影会で
喫茶店で休んでいた時に出た話し・・
た「実は、おは朝メンバーでライブやるんですよ。」
匠「え? どんなメンバーで?」
た「(気象予報士の)正木さんでしょう? 伊藤みくちゃん、
エレクトーンの谷川さん・・」
匠「ん? パートは? まあたつを君はギターでいいとして、
谷川さんはキーボードかな?」
た「谷川さんはドラムです」
ズデッ・・(汗)
た「正木さんはギターがちょっと弾けます、みくちゃんは
ボーカル、で、映像ディレクター氏がベース弾きます。」
匠「むむむ・・ それって、(音楽的に)大丈夫なの?」
た「いや・・・ ぶっちゃけ、ほとんど皆さん素人さんですよ。
こないだもボクが楽譜作って持っていって、もうこれ以上
簡単にできないくらいのアレンジなのに、「弾けん!」って
言われてしまって・・(汗)」
匠「ううむ・・ それで対バン(他の出演バンド)とかは?」
た「で、匠さん! 我々だけでは時間が持たないので、
前座で何か弾いてもらえませんか?」
匠「そ・・そんなの、できるわけないじゃない(汗)」
た「まあそうですよね・・ 他の人にも声かけたけど、おは朝の
前にやるのは無理だって(笑)
じゃあしょうがない、せめて撮影だけでもやってもらえません?」
匠「うう・・ まあ、それくらいなら協力するけど」
なんだか、たつを君にハメられた気がする(汗)
こりゃあボランティア撮影だな(笑) まあ、面白そうだけど・・
た「演奏の方は期待しないでくださいね」
匠「写真の方も期待しないでね(笑) 皆さん、芸能人とは言え、
普段の得意分野とは違うから、緊張すると思うので、
表情とか、かなり固いかもしれないしね・・」
た「まあ、そうかもしれませんね、実際ボクが一番緊張するかも」
そう、唯一のミュージシャンとして、たつを君が様々な仕切り
(プロデュース)を行う事となるであろう、沢山のお客さんが
期待して見に来てくれるステージを失敗させるわけにはいかない。
ほとんど楽器経験が無い素人さんバンド、しかし知名度はバツグン、
このギャップを残り2ヶ月ほどで、どこまで埋めれるのだろうか?

ステージはもう始まっている、もうこうなったら後戻りは出来ない。
写真は元エレクトーン奏者の谷川知未さん。
谷川さんは2002年より2009年9月まで7年半の間
エレクトーン奏者として出演していた、これは、おは朝では
最長記録とのことである。
今月12月よりフランスに留学するということで、その準備も
あるだろうし、忙しい時だと思うが、このライブに向けて必死に
ドラムを練習してきたらしい。
今回のライブの観客は百数十名の動員、当初、たつを君は
85名ほどの入場を想定していて、ハコ(会場)も小さめの予約。
パブリシティ(宣伝)も殆ど行わず各自のブログ程度のみ。
しかし、チケットは発売当初で一瞬にして完売した様子で、
急遽会場のテーブルを取り払い、立ち見も可能として観客数
を増やした。
開演前、私はそのちょっと狭い会場の最前列の横に撮影班として
陣取る、2台のデジタル一眼レフにコンパクトという物々しい
装備とスタッフパスを見て、最前列に座る女性達が聞いてくる。
女性「今日はバンドの撮影のお仕事ですか?」
匠 「ええ、たつを君に頼まれましてね・・
あ、皆さんの観覧の邪魔にはなりませんので、お気遣いなく、
ところで、お花を用意されているようですが、どなたに?」
女性「エレクトーンの谷川さんです、私達はみな、同級生です、
あちらにいるのが先生(恩師)ですよ」
匠 「へえ・・それは今日のライブは楽しみですね。」
女性「なんか来月留学してしまうみたいで、ちょっと寂しいです。
ところで、たつをさんって何歳なんですか?」
匠 「ぐ・・ 確かXX歳だったと思いますよ」
女性「へえ~ 見えないですね」
しまった、余計な情報まで喋ってしまったかな?(笑)
女性「今日は正木さんのギターも楽しみにしているんですよ」
匠 「たぶんこの目の前で演奏されますよ、1mほどしか距離が
無いのでは?」
女性「キャー、楽しみですね、ドキドキしてきました」
匠 「私もドキドキですよ(果たして上手くいくのか・・?)」

ライブは続く・・
とりあえず今のところ何等問題はなさそうだ。
メンバー紹介、右は気象予報士の正木明さん。
ところで、肝心のポイントがある。
ブログに彼等の写真を載せていいのか? という点だ。
いわゆる肖像権という問題であるが、一般の方にも勿論肖像権が
存在していて、勝手に写真を載せるわけにはいかないのだが、
(ちなみにドラゴンボートの時などは協会を通じ、試合中の写真は
適宜Webなどに載せることを選手全員に対して通達している、
まあドラゴンの選手達は、ほとんど皆載せて欲しいとのことで
問題は無いのだが・・笑)
そして芸能人の肖像権は「パブリシティ権」を持つということで
少々ややこしい、簡単に言ってしまえば、芸能人・有名人の方は
顔写真そのものが商業的な価値を持つということから(例:CM)
無許可では載せられなくなるということだ。
今回の掲載にあたっては、出演者全員にそれを確認しているが
正木さん以外はOK,正木さんについては所属プロダクションとの
からみで「本人1人の写真の掲載以外はOK」とのことであった。
まあ、さすが気象予報士人気ランキングで、関西圏のみの出演
ながらも全国9位の人気を持つ正木明さんだ、パブリシティ権
については十分に注意する必要があるということだろう。
しかし、それにしても、正木さんのエフェクター、これ何?

ギターをちょっと弾く、とは聞いていたけど、このエフェクター
のチョイスはセミプロ級ですよ・・ もしかしてマニア?(汗)
そして、5人目のメンバーは、ベースの飛田氏。

飛田氏は、おはよう朝日ですの映像ディレクターであり、
他の4人とは異なり、芸能人では無い。
しかも担当する楽器であるベースは、ここのところほんの
3~4ヶ月で覚えたと言う。
ご本人いわく「これまで裏方でやってきたが、より良い番組
を作る上でも表方の気持ちを一度味わっておきたかった」
とのことである。
ん? 表方(おもてかた)って言うの? とは、私に限らず
誰しもが抱いた疑問でもあるみたいで、さっそくステージ上
のメンバーからも突っ込みが入っていた(笑)
で、最初のころは後ろの方で目立たないように演奏していたのが
中盤からは、写真のようにちょっと派手なアクションもするように
なり、なかなかノッていた様子。 きっと表方の経験は、裏方さん
にとっても貴重なものとなった事でしょう。今後もよりよい番組
作りを是非お願いしますね。
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さて、ステージの方は、オリジナル曲とカバー曲が半々くらいの
構成となっていて、曲の合間に入るMCは、さすがに芸能人の
方々、かつ大阪人であるから、ボケやツッコミのキレも良く
気持ち良く楽しめる。
今回のステージのプロデュースは、プロミュージシャンである
たつを君だ、彼のMoGa時代のステージは常に面白く、さすがに
元々歩道橋ストリートから音楽活動をスタートしただけの事は
あると常々思っていた。なにせ、ストリートではつまらなければ
一瞬でお客さんは去っていく、常にお客様が最優先という考えは
プロの仕事として最も大事な事だ。 最近私がアマチュアバンド
のステージにあまり関心をもてなくなっているのも、たつを君の
プロ目線のステージを見て来た事による影響が大きい。
なにせアマバンドにおいては、自分達の事しか考えていない事が
殆どなので、ステージを見ていても楽しくない事が多い・・
音楽的な意味では素人さんが多いこのバンド TRIP WORLD の
ステージが中盤のここまでなんとか上手くやってきているのも
そのたつを君のプロデュース力によるものが大きい。
始まる前や曲の合間では、面白いビデオを流し、衣装にも凝り
(これは伊藤みく嬢が担当)、トークは非常に面白く、また、本来
真面目で冷静なイメージの正木さんが見事にボケ役を演じている。
で、ひとたび、曲が始まってしまえば・・
もうそこには素人バンドというイメージは無く、演奏技術的な
問題はほとんど感じられない。
ギターマニア(?笑)正木明さんのソロプレイが光る・・

ベースの飛田ディレクターとのコンビネーションもなかなかだ。

そして、音楽的な要はやはりたつを君。

彼のギター演奏技術は元々かなり高い。
私もギター(ソロギター)を演奏するのだが、先日、ある楽譜集を
買ってきたところ、たまたま以前の版の改定版楽譜をつかまされ(汗)
3曲を除き、他のすべての曲がかぶっていた(怒)
書店に返しに行こうかと思ったが、すでにレシートは無いし・・
それなら誰かに譲るか売るかしようかと思って、周囲に誰か
これくらいのレベルのソロギターを弾ける人がいるか?と
思っても、なかなかハイレベルな楽譜なので適切な人がいない、
「あ、そうだ、たつを君がいるか」と、思い出し、譲ることにした。
た「うわ~、匠さん、これくれるんですか? ありがとう」
となったのだが、後で聞いてみると「難しくて弾けない・・」との
事であった(汗) まあ、そうだよね、私も難しいとは思う(笑)
最近の市販ソロギター楽譜、難しすぎませんかね?
プロでも弾けないものをアマチュアには絶対無理ですよ、
いったい誰を対象として売っているのでしょう?
で、たつを君の場合、ギターのみならず、ハーモニカ(ブルース
ハープ)や、カズー(民族楽器)もギターを弾きながらこなす
ことができる、これを見るたびに私も真似したいと思うのだが、
なかなか簡単ではなさそうだ・・(汗)
たつを君がハーモニカなどで忙しいので(笑)
どうしてもボーカルはボーカルで頑張ってもらいたい。
そこで伊藤みく嬢である。

澄んだ高音のボーカル、ご本人は「下手だから」と謙遜して
いたが、アイドル女優としての恵まれたルックスとあいまって
「ステージ映え」は十分、お客様を楽しませるという点では
彼女の存在無くしてこのバンドTRIP WORLDは成り立たないで
あろうと思わせてくれる。メンバー紹介の曲の途中、まあ普通は
ミュージシャンだからソロパートを演奏するのであるが、彼女の
場合は、なんと「円周率を50ケタ言いま~す」と始まった(笑)
「3.1415926535897932384626433832795028841971・・・」
「いったい誰がそれがあっていると確認できるんだ?」と
メンバーからつっこみが入ったが、大丈夫、実は私も40ケタまでは
覚えている(笑)そこまでは間違っていなかった。きっと残りの
10ケタも正解であろう。
そして、エレクトーンの谷川知未さん。
おは朝のエレクトーンを7年半続けて、退職される際に出演者
からアコーディオンをプレゼントされたそうだ。
ご本人、送別会でえらく酔っていらっしゃった様子で
「ん~じゃあ、このアコーディオン、ライブで弾きま~す」と
宣言してしまったらしい。

ドラムスの演奏をやめ、ステージ奥から持ち出した
アコーディオン。 「これ重いのよね~」と言いつつも
肩にかけて演奏を始める。 エレクトーンプレーヤーだから
鍵盤楽器はお手の物と思いきや、アコーディオンとエレクトーン
は全然別物、あまり練習できなかったとの事。
そして演奏を始めると、なんと「かえるの歌」であった(笑)
まあ、これは100%ウケ狙いであろう、事実会場は大爆笑と
なっていた。 後で、アコーディオンでもソロを弾いていた
ので、まあ実際のところ、エレクトーンとの持ち替えはそんな
に違和感は無いのかもしれない。
ちなみに、伊藤みくさん、アコーディオンの音はそのマイクの
位置からは拾い難いですよ(笑)
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さて、ステージは十分盛り上がり、いよいよ終盤となった。
ある意味素人さんのバンドがここまで苦労して練習を重ねて
きたこと、それから谷川さんがフランスへ留学してしまう事、
ゆえに、このTRIP WOLRD のステージは、もう2度と同じ事が
できないかもしれない事、そんな多くの「最初で最後」が
重なり、メンバーは急に湿っぽい感覚となっていった。
伊藤みく嬢、すでにもう泣き始めている・・

送られる側の谷川さんも、うるうる、といった感じだ。

谷川さんの場合は特に、ステージ最前列に陣取るのは
同級生および恩師の面々、ある意味心強い、という点と同時に、
身内である事との安心感や、友人達との別れの気持ちも複雑に
働いたのかもしれない、かなり感傷的な様子であった。
意外に涙もろいのがこの方・・

そう、たつを君は、かなり繊細な感覚を持っていて、こういう
のに弱いのである。 昨年のMoGaのラストライブでも号泣、
で、しかも、今回のライブ前のメンバー紹介ビデオでは、
わざわざ私が撮ったMoGaのライブで泣いているシーンの
写真を自己紹介に使っていた・・ いったいそれって・・?(笑)
まあ、でも、そういう風にセンシティブであるということは
アーティストにとってはとても重要な要素であると思う。
音楽に、そして最近始めた写真活動においても、その繊細な
感覚は是非役立てて欲しいと思う。
そういうのが無いガサツな感覚では、きっとどんなアートを
やっても上手くいく筈も無いと思うし、せいぜいヲタクで
終ってしまうということであろう。
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ラストの曲、そしてアンコールと続き、メンバー全員はもう
今回のライブの成功を確信した様子だ。
ライブが上手くいくかどうかを決めるのは、演奏に失敗が
あったとかなかったとか、そういう事ではない。
お客さんが満足したかどうか? ただそれだけだ。
私も写真を撮りながら、ずっとお客さんの反応を見ていた、
笑い、納得し、喜び、そして泣く。 ステージの感覚と
お客さんの感覚がシンクロしているかどうか、その点が重要だ。
そういう意味では、今回のライブは大成功。
これで不満に思うお客さんがいるはずもない、お客さんの多くは
アンケートに記入していた、回収率はかなり高かったらしい。
ここにたとえば「演奏が下手だ」とか書くのもヤボである。
下手だったら面白くないのか? いやそれはあるまい。
3ヶ月かそこらしか練習していないのに、よくやった、そう思う
のが当然であろう。 私自身もギターやベースは高校生の頃に
始めた、当初は暇にまかせ1日5時間も練習していた、それでも
始めて3ヶ月でライブができるかといえば、まあ絶対無理だったで
あろう。 それより何より、お客様目線に立って、お客様を満足
させる事ができたかどうか? それがプロの価値である。
自己満足で、うまくいったか、そうでないか? そんなことばかり
気にしていてはいつまでも素人から抜けられないという事である。
そして、可能であれば自分達も十分楽しむ。
ステージのパフォーマーが楽しんでなければ、お客様も素直に
楽しむことはできまい。
谷川さんのドラム、本当に楽しそうに弾いていた。
おは朝で、7年半エレクトーンを演奏していた時以上に、彼女の
ドラム演奏は、最後の最後で輝いて見えた。

ライブ終了・・
一言で言えば、とても素晴らしいライブであった。
「ガチガチに緊張した写真」を撮るというのは杞憂であった。
ここに全ては載せていないが、おは朝メンバーに渡した189枚の
写真の多くは、皆、とても楽しそうな表情であった。
多くの感動がそこにあったと思う。

谷川さんの恩師の先生から花束が渡された。
メンバーが挨拶し、ステージには幕が降ろされた。
2時間半のステージ、帰る人たちの中からは
「え、もうこんな時間? 意外に長かったねえ・・」
の声も聴かれた、これは良い評価とみなしてもさしつかえない、
それだけ、楽しめたという事なのだと思う。
帰り際、たつを君をつかまえて挨拶をした
匠「よかったよ、よくプロデュースしたね」
た「へへ、昔(MoGa時代)のテイストを思い出してやりましたので」
当日は打ち上げで盛り上がったのであろう、翌日にたつを君から
メールが届いた
た「匠さん、撮影ありがとうございました。
ボクは初プロデュースなので上手くいくかとても緊張して、
何も覚えていなかったけど、ステージから匠さんが撮影
している姿を見て、ちょっと安心しましたよ。」と。
私は返事に変えて、写真の編集を急ぎ、その翌日には彼に送った。
た「受け取りました! どの写真も楽しそうですね、よかった・・」
そう、そういう事なのでしょうね、お客さんを楽しませることが
最重要なんだけど、変にお客さんに媚びても意味は無い、
自分達が楽しみ、そしてお客さんも同じ目線で楽しむ、それが
理想的なんだよね・・
TRIP WORLD・・ いいライブだった、まさにそう思う。