いつもの名機対決シリーズでは、国産の主に銀塩一眼レフで同年代のものを
2機種ピックアップして、多角的に「対決」を行っているのであるが、まあ、スペック、
つまり「数値的な性能」を比較しても意味が無いのは、毎回書いている通りである。
何故意味が無いか? といえば・・・ だって、そんな性能データなんか、雑誌や本、
あるいはネットをひけば一発で分かるでは無いか?
たとえば、1970年代の、ニコンF2と、キヤノン F-1を比較する、どちらも
シャッター速度は最高1/2000秒、どちらも露出計を搭載した機械式一眼だ・・
じゃあ「引き分け」とするのか? それでは面白みが無い・・
1990年代の後半に、カメラ専門誌以外の雑誌で一眼レフの特集号が発売された、
私はその雑誌を思わず購入してしまったのだが、内容を見て愕然とした。
そこには、単にカメラのスペックだけが延々書かれていた・・
カメラ専門誌では無いから、ライターも実際にそれらのカメラを使った上で記事を
書いた形跡は無い・・ 「なんじゃあこりゃあ・・」と思ったのは言うまでも無い。
名機対決シリーズで、よく出てくる言葉に「感触性能」というものがある。
それは、スペックや性能データでは示されない要素とか、実際に使ってみて
感じる良さとかを「感触性能」と言っているのである。
もちろん、スペックにあまり出てこないけど純然たる事実としてあるような、
たとえばレリーズタイムラグ、というのもあるのだが、まあ、そういうのも絶対的な
数値のみならず、体感的に速ければ「感触性能」と呼んでも良いかも知れない。
で、今回は、同年代に拘らず「感触性能」に優れた一眼レフを紹介してみよう。
今回は順位制である、でも、順位というのも、主観がともなう「感触性能」では
あまり意味が無い話なので、いちおう順位はあるが無視してもらっても良いと思う。
さて、前置きが長くなったが、では、第一位から・・
第1位:PENTAX LX (FA-2仕様、SE-20全面マット換装、グリップB装着)
感触性能の名機と言えば、やはりPENTAX LXであろう・・
1980年代初頭にPENTAXの最高機種として発売されたが、高価な事と地味なスペックで
まったく人気が無かった・・ 1990年代後半にはタマ数こそ少ないものの、
6万円前後で中古を購入することができたのであるが、2001年頃、発売中止が
発表された直後からいきなり高騰、10万円オーバーがザラとなってしまった。
中古市場での買占めもあったのだが、生産中止になってから何冊か発売された
PENTAX LX の本もまたユーザーに「へえ、こんなカメラがあったんだ・・」という
事で購買意欲をあおったのかもしれない。
でも、いつも言っているように、無くなって(生産中止になって)から気が付くのはもう手遅れ。
後になって「あれが欲しい、これが欲しい」と言う人は、普段中古カメラ購入の面倒見が
いい私でも、ちょっとパスである(汗) 無理に高いものを買う必要も無いであろう・・
カメラ好きあるいはマニアだったら、良いカメラは最初から気が付いておいて欲しい・・
で、LXの凄さといえば、まずは、その工芸品のような精密感である、
取り外しできる(交換式)ファインダーをちょっとずらしただけで、寸分の狂いもなく
なめらかに動く細部の作りこみは感動的でもある。
でも、実際の使用上はファインダー交換なんて関係無い、じゃあ何が凄いかと言うと
まずそのファインダーである。 スクリーンを全面マットSE-20またはSE-60に換装し
大口径レンズ、そうだなあ・・ A50/1.2、あるいは、FA☆85/1.4、FA77/1.8Limited
等を装着したときのファインダー画像の素晴らしさとMFのピントのピーク(山)の
掴みやすさは、最高、とまでは言わないまでも屈指の出来である。
デジタル一眼から使い始めたユーザーにこのファインダーを見せると誰もが驚愕する、
「これがホンモノのカメラなのだ・・」と。
そしてスムースな巻上げ感触、これも銀塩(MF)一眼では、重要な性能である、
巻き上げ感触については、とても素晴らしいが、これも最高とはいわない・・
巻き上げ大王(笑)のニコンF3があるからである。
さらにはシャッター音、そして、ミラーショックの少なさ、あるいはマジック・ニードル
と言われる機構による、フィルム装填のやりやすさ。 そして超長時間AEを可能とする
精密な露出計(IDMシステム)、そのあたりのトータル性能のバランスの良さが、
LXの最大の長所なのであろうと思う。
また、PENTAX Kマウントの互換性はかなり高いので、現行のFA-Limited等のスーパー
レンズが何の問題も無く使える事も特筆すべきであろう。
デジタルのPENTAX ユーザーにも一度使ってみてもらいたいイチオシのカメラである。
第2位:MINOLTA α-9(MⅡ型全面マットスクリーン換装)
近年ミノルタはコニカミノルタとなって、さらにαシステムをSONYに譲渡したのは
ご存知の通りであるが、まあ、末期のミノルタは実に良いカメラを輩出していた。
α-9よりα-7の方が名機では無いのか? ってか・・
まあ、トータルの完成度は確かにα-7の方が良いと思う。
α-9は単に頑丈なα-7であり、ある意味鈍重、操作系は未完成で古い、そして定価は
2倍と高価である。 トータルではどうしてもα-7に軍配が上がってしまう。
でも、感触性能という点に限って言えば、α-9の評価は一変する。
まず、なにせファインダーが良い、AF機に限って言えばベストである。
ちなみに、1980年代後半から1990年代のAF機のファインダーは様々な「大人の事情」
によって(笑)、1980年代前半迄のMF機よりも見えにくい。 だから新しいAF機の中では
ファインダーの優れた機種というのは極めて貴重な存在だ。
さらに言えば2000年代のデジタル一眼は、これもAF機よりももっと劣る。
だから未だに、LXのようなMF銀塩一眼のファインダー性能がトップクラスなのだ。
で、それからAF性能がある。 α-9は1990年代後半のカメラであるが、
当時のAFカメラは多点測距がブームであり、超音波モーターなどのレンズによる
高速で静寂なAFシステムが完成度を高めつつあった・・
つまり、それまでのAFは条件が悪いと実用的に厳しかった事があったものの、
1985年のα-7000以来10数年にして、やっと写真を撮る道具として一眼レフの
AFが実用的に満足できるレベルに到達したころであった。
でも、α-9の測距点は、僅かに3点、スペック的には旧態依然としているように見え、
当時のライターなどからは「古い」と箸にも棒にもかからない評価であった・・
ミノルタはα-9から2年ほど後にα-7を発売、使いやすい9点測距と、当時
(ボディ内では)最高速と言われたAFで面目を躍如しようとしたのであるが・・
今にして思えば・・ α-9の中央のAFセンサーは、大口径レンズ使用時、α-7よりも
高速で確実に合った。 AF性能というのは、実験室のような静的な環境で、ピントが
合い易い、あるいは合い難い被写体を持ってきて、速いだの遅いだのと比べるモノでは
無いのだと思う。 実際に撮影時の様々な環境下において、確実にピントが合うこと、
つまり、合わなければいくら速いAFでも意味が無いのである。
その点α-9のAF性能は実は隠れた高性能であったのだが、まあぶっちゃけ言えば
それは長所にはなりえなかった。
何故ならば、α-9のファインダーおよびMやMⅡ型などに換装したスクリーンによる
MF性能は、AFなど使う気にならないほど気持ちよくピントあわせが出来るからである。
これぞまさに「感触性能」であって、頑丈なα-9を持って、スッ、スッと合うMF操作を
していると、いくらトータルの性能や完成度が抜群のα-7でも、ペナペナボディで頼りない
カメラで撮っているという気分とはまるで別世界を味わえる。
まあ、両者はいずれも名機であるが、性格がまったく違う名機であって、こと感触性能
という面では、ミノルタのトップクラスはこのα-9であることは間違い無い。
ちなみに、ミノルタMF時代の、Xシリーズ、特にXE(b),XD,X-700の3機種についても
かなり感触性能が高いカメラであり、今回の記事に際してはだいぶ迷ったのであるが、
まあ、AF機から希少なランクインということで、α-9をあげてみたいと思った。
ついでに、あと隠された性能としては、フィルムの巻き戻しが、かなり高速であること、
銀塩カメラは、フィルム交換している間写真が撮れない、これは当たり前の事実で
あるが、当時はあまり語られる事は無かった。 で、こうした比較も今のデジタルの
世界では意味が無いことになっている事は、やや寂しさも感じるが・・
第3位:CANON NEW F-1 (アイレベル仕様、全面マットスクリーン換装)
さて、キヤノンの銀塩名機 NF-1である。
これもロングセラーであり、他社同時期のカメラとしては、ニコンF3,PENTAX LXがあり、
MF銀塩フラッグシップ(最高級機)の黄金期を担う名機中の名機である。
カメラを持った瞬間、ひんやり、ずしりとくる質感が、このカメラがただものでは無いことを
気づかせてくれる。 そしてファインダーを覗くと・・
高性能のLXをさらに上回るピントの合わせ易さに、これこそベスト、最高のカメラ
だという感慨に十分に浸れる。
FDレンズもまた優秀だ、このころのLレンズ(赤鉢巻)は掛値なしの高性能、
近年の赤や金の鉢巻や☆やらGやらのマークは、なんだか商業的なイメージ戦略の
よううな気がしてしまうのだが、まあこのころのLレンズは、価格差も一般レンズとは
大きくなく、中には自社あるいは他社レンズとはっきりと性能の差を認めざるを得ない
ものもあり、実質的に「がんばって作っている」という満足感を味わえる。
FDの優秀なレンズをつけて、見やすいファインダーで、瞬時にMFでピントを合わせる、
シャッターボタンに指を掛けるだけでこれも瞬時にレスポンスの良い露出計メーターが
跳ね上がり適正露出や露出差をビシリと示す。
やや重いがストロークの短いシャターボタンを押すと、瞬時に切れるシャッターの感触。
これはもう感激であるのだが、実際にシャッターレリーズタイムラグが短いというわけでは
無いかもしれない。 実際のタイムラグ最少はニコンF2であるのだが、まあ感覚的には、
もうF2もNF-1も一緒である、シャッターボタンと直結しているような錯覚を持って
レリーズできる・・ そういう感触を持てるカメラはそう多くは無い。
惜しむべきは、その後である・・ フィルムの巻き上げレバーの感触が
「ゴリゴリッ・・」となるのである。 もしこの感触が、ニコンF3とまでは
いかないまでも、せめてLX、あるいは、ミノルタXシリーズ並であったならば、
もう間違いなくNF-1は、今回の第1位にランクインされていたであろう。
NF-1があまりに優秀であったため、古くからのカメラマニアはキヤノンのEOS
システムを嫌う人がかなり多い。 何故ならば、キヤノンは、FDレンズのラインナップや
名機 NF-1をすべて見限って、1980年代後半からEOSシステムに完全に移って
しまったからである。 ニコンやペンタックスは、古くからのユーザーを見捨てずに
マウント規格を変更せず、つまり互換性を保ったままで、MFからAFシステムに移行した。
AF時代ではそれらのメーカーはマウント互換性という意味で苦戦したのであるが、
そのユーザーを守るという思想は共感するマニアも多かった。
ただ、デジタル時代になって、ニコンは守り続けたFマウントの伝統もかなり怪しく
なってきた。 MF時代のAiレンズが使えるニコンデジタル一眼は、D2シリーズと
D200といった高級機しかなく、普及機においては、AiレンズはおろかAiAFレンズの
一部も使えないカメラが発売されている。 で、PENTAXはまだ互換性について頑張って
いるので、現在においては、その点でもマニア受けが非常に良くなってきている。
脱線したが、ニコンAF以降の名機は? と聞かれても・・「さあ・・?」となったり、
EOSの名機は? という質問にも「・・・」という風にマニアがなるのも、なんとなく頷ける。
あえて新しいカメラを否定するものでも無いのだが、最近カメラを始めた人は知らない、
分からない過去の超名機があるだけに、マニアは、今はそれらの大メーカーが歴史に
残るようなカメラを作っていないように思えてしまうのであろう・・
第4位:CONTAX N1
悲劇のマウント「Nマウント」の知られざる名機である。
何故Nマウントが悲劇か?といえば、ご承知のように京セラコンタックスは数年前に
カメラ事業から事実上撤退したからである。(このあたりの詳細は
COTNAX AX記事参照)
このころのCONTAX 高級コンパクトのTシリーズとRFのGシリーズがヒットした
くらいで、一眼の世界はジリ貧を続けていたのである。
で、35mm銀塩から中判、そしてデジタルまでも横断的に見据えて、おそらくは巨額の
投資を行って開発されたのが、このNシステム(Nマウント)であるのだが・・
残念ながら商業的には失敗であった・・ 失敗の理由が何故かはいまだによくわからない
部分があるのだが、まあ、古くからのCONTAX システムをこよなく愛するユーザーは
新システムには「萌えなかった」のが、一番の理由なのではなかろうかと思う。
そんなわけで、Nシステムのカメラやレンズはさっぱり売れず・・ここにおいて
京セラコンタックスの命運はつきた。 新製品もピタリと止まり、その数年後には
残念ながら、カメラ事業から撤退することになったのである。
なので、Nシステムに対する評価は散々である、まともに評価した話すら聞かない。
試しにグーグルで、コンタックスNデジタルと検索すると、このブログがHITする。
私はNデジタルは持ってないし、過去記事中で歴史上の参考の為に1~2度だけ書いた
くらいである。 う~ん、Nマウント関連の情報自体極めて少ないということか・・・
・・で、N1は、ボディ単独ではなんとも評価しずらい、ただ操作系という点については、
AF時代の完成度ナンバーワンのα-7に次ぐくらいに良く練れていると思う。
CONTAXの名ボディって・・ 実はほとんど存在しないと思う。
RTSシリーズがせいぜいであるが名機とは言いがたい。
S2やS2bもなんだか納得のいかない部分が多いし、せっかくのプラナー85/1.4等の
名レンズを歩留まりの悪いピンボケレンズとしてしまう原因の半分くらいはCONTAX
ボディのファインダーの性能の低さにあるのかもしれない。
でもN1に、Nプラナー85/1.4を装着する、
Y/Cプラナー85/1.4の67mmΦのレンズですらオーラを放っているのに、
この巨大なNプラナーの82mmΦのパーゴイチヨン(85/1.4)は、なんだか
神々しさをも感じてしまう。
シームレスAFを見やすいファインダーでスイっとピント合わせをする時、
Y/Cのプラナー85/1.4にあったピンボケの不安は微塵も感じられない。
絞り優先だからどうせ使わないのだが、CONTAX伝統の左肩のシャッターダイヤルは
1/8000秒を刻み安心感を持たせる(1/8000の数字が入ったシャッターダイヤルを持つ
機種は数えるほどしか無い)評価測光と中央重点の露出差が表示されるファインダーは
まだ完璧に練れていない部分があったがアイデア自身は斬新だ。
α-9やα-7で採用された、1/2段、1/3段簡易変更型露出補正ダイヤルは、αシリーズ
よりもむしろ使いやすい右肩にある。
ボディは大柄だがさほど重くはなく、また変に安っぽくもない。
N1に付属の標準ズームは持っていないが(Nプラナー50/1.4を使っていた)
巨大なその標準ズームを使っていたら、なんとなく鈍重なイメージであるN1が
このNプラナー85/1.4を装着した状態では、なにやら獲物を狙う研ぎ澄まされた
ナイフのような感覚に一変するのである。
N1には、Nプラナー85/1.4の取り合わせが必須だ・・ Nシステムが評価されなかった
のはもしかしたら、このマイナーでマニアックで高価なNプラナー85/1.4の存在が
無視されていたからなのかもしれない。
私は、このNプラナー85/1.4を使うためにN1を入手した、厳密に言うと、レンズの
注文の方がボディよりも早かったのである。それほどまでにして欲しかったNプラナーは、
銀塩であるという理由だけで現在は殆ど使われなくなってしまった。
Nマウントのマウントアダプターなども今後未来永劫出ることも無いであろう。
悲劇のNマウントであるが、「満足感」という「感触性能」の意味では、
もしかしたらこのシステムは隠れた第一位のランクインなのかもしれない。
第5位:OLYMPUS OM-4Ti(白チタン、2-4スクリーン換装)
通称「ヨンチ」あるいはこの機種に限って言えば「白チタン」である。
ヨンチは、黒ボデイを示し、サンチは入手が極めて困難である。
「白チタン」は、このOM-4Ti と、ニコンF3白チタンの俗称であるが一般には、
OM-4Tiの方が「白チタン」と呼ばれることが多い。
OMシリーズの凄さは、実はこれもボディ単品ではあまり語る意味が無い、
まずは、天才設計師である米谷(まいたに)技師の魂がこもったOM-1から始まる、
OMヒトケタシリーズの設計基本コンセプトの高さを評価しなければならないであろう。
小さい、極小ともまで言えるボディサイズ、勿論OMレンズも極小だ・・
大きな操作子、合理的で互換性がある交換・拡張パーツ群、独自の操作系、
ハイライト/シャドウなどの個性的な露出コントロールシステム、
さらにはOMレンズでの小型高性能と、フィルター径の統一、開放f値の統一などの
随所に拘りが見てとれる。
しかし、感触性能という意味では特筆するべき点はあまり無い・・2型スクリーンは
割と見やすいのではあるが、アウトフォーカス時のボケ画像の乱れはちょっと苦しい、
巻き上げもNF-1ほどでは無いがゴリゴリ感が伴う。
絞り環の位置やシャッター環の位置などの独自の操作性、
絞込みレバー(ボタン)とレンズ脱着ボタンが似てる等も、OMシステムに慣れた
人でないと迷うという、マニアックではあるがグローバルでは無い思想が感じられる。
右手はシャッターチャンスに専念するという、いわゆる「
オリンパス左手思想」から
なる操作系は、当時であれば優れていた思想だが、現代の撮影技法からは、若干の
違和感を感じる場合もある。
マニアックなオリンパスユーザーは、コンタックスユーザーと同様にオリンパスを
神格化しているからか、その問題点をあまり語らない。
OMシステムは、確かに優れた点も多い、そして、一時代を築いたカメラではあるが、
現代の感覚では「やや異端」なのである。つまり、現代において多種多様のカメラを
趣味的にも実用的にも用いる場合、オリンパスOMだけはクセがあるということである。
だから、現代のオリンパスマニアは、オリンパスしか使わない・・ 他のシステムと
併用することは、感覚的に苦しいのである。
持って歩くだけで「素晴らしく格好いい」OMヒトケタシリーズを首に下げて
1日に10枚程度の写真を、ポツリ、ポツリと撮るならば全然問題無いのであるが、
他のAF/MF一眼やデジタル一眼と併用しつつ1日に何十枚あるいは百数十枚も
撮るとなれば、OMシリーズにおける違和感は、感覚の切り替えに負担を強いられて
しまうのである。
まあ、しかし、OMを知らずにはやはり一眼は語れない。
デジタル全勢の今となっても、たまに、ふとOMを持ってフラリ、のんびりと
写真を撮りたいという気持ちにさせてくれるカメラなのである。
そんなノスタルジックな感覚が、ぎゅっと凝縮されたカメラ、それがOMにおける
「感触性能」なのかも知れない・・
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さて、これでベスト5は終りである。
「ニコンはどうした? それとデジタルはないのか?」
・・・う~ん、まあ、おっしゃる通りなのだが、あえてニコンであげるとしたら
F2あたりかと思っていた。 でも1970年代のカメラは正直さすがにもう実用という
面では厳しいと思う。 そして、F3はイマイチ納得しかねる部分も多いから、
感触性能と意味では、あえて巻き上げレバーの感覚、以外には特筆する要素は少ない。
F4も優れたカメラだが、う~ん、これもどうだか・・
FE2やFM2そしてFM3aは、いずれもコンパクトな高性能のサブ機の名機であるが、
やはりハイエンドに比べると、明らかにランクが落ちる。
そして、デジタルなあ・・
デジタルはまだ発展途上であり、その時代その時代でまあいちおう良いカメラは
あるのだが、グローバルな視点では、名機、それも感触性能の名機と呼べるものは
皆無であろう・・
ともかくあの狭いファインダーを見ていると、辟易してしまうのが第一の理由、
そして、安っぽい外装とか、壊れそうな操作子とか、そんな全体の作りのチャチさもある。
さらに後発機種の性能の進化により数年たてば買い替えざるを得ない、使い捨てアイテムで
しか成り得ないのが、カメラを道具として考えてみると寂しいところである。
でもまあ、せっかくなので、番外で、1機種だけあげておこう。
「ザク」ではないよ・・(笑) NIKON D2Hである。
言わずと知れた高速連写機、Hの文字はハイスピードを示す(・・だと思う・・笑)
「なんだ、旧機種かあ・・ D2X(s)だってクロップモードだったらD2Hと同等だし
今度出た EOS 1D mkⅢなんか、もっと高速の連写ができるぞ・・」
・・・うん、だから今回はスペック競争ではなくて、感触性能の比較なんだ・・
試しにD2HとD2Xのクロップを比較してみたら良い、同じ秒8コマの枚数だけど
D2Hの方が速く感じるし、快適に撮れるように思う。
まあ、その理由は、単に1秒に何コマ撮れるかとう高速連写性能よりも、
ミラーの上下による、ファインダーからの像消失時間の多寡とか、ミラーショックの大小
あるいは連写音、シャッター音から得る感覚。そしてシャッター(レリーズ)タイムラグとか、
色々な要素から、高速連写時のレスポンスの感覚性能が決まってくるのだと思う。
EOS 1D mkⅢは・・ 知らん(苦笑) まだ見たこと無いし、高いからどうせ買えない。
かなり良さそうなカメラだと思っているが、まあ、実際に買うとしたら10万円台まで
中古が下がってからでないと無理だ。 それまでは、秒5コマのEOS 20Dで我慢するさ・・
・・・え? 高速連写性能の他にD2Hの感触性能は無いのかって?(汗)
まあ・・ 全体の作りが高級機だからしっかりしているけど・・ ファインダーも
悪くは無いけど・・ でも、だからと言って感触性能の記事に書くほどのレベルでは無いよ。
MFレンズが使えるけど、そんなの同じFマウントで使えない仕様のカメラの方が変だと
思うし、そんなところで高級機を差別化しても意味が無いんじゃなかろうか・・?
で、たとえば銀塩のF5と比べた時の話だが、F5は連写はD2Hと同等とは言え
実際にはフィルムで連写なんか出来るはずもなかった、コストもかかるし、
フィルム交換が頻繁で、やってられない・・
F5とD2Hは同じボディだと思っている人も多いが、実際にはD2Hの方が感覚的に
はるかに軽く持ちやすい。 F5は重すぎて全然持っていく気にもならないが、
D2Hならば重さは大差なくても、普通に持っていって撮影に使う気も出てくる。
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さて、今回の記事は感触性能に優れた、銀塩名機5機種+デジタル1機種であった、
高価だったりレア(希少)だったりするカメラも中にはあるが、それでも一部は
今時の普及デジタル一眼を新品で買うより安く買えたりするのである。
感触性能とは何か、それは勿論触ってみて、使ってみないとわからない、
今わからないからと言って、まあ、今は知らないで済むかもしれないが、
また完全に手に入らなくなってから、「あれが欲しかった」などと言い出さないように、
自分自身もまた変化していくのだから、将来カメラの事がもっとわかるようになってから、
これらのカメラの良さに気が付いて、その時に入手しようと思っても
もう手遅れになるかもしれないので、その点のみ要注意である・・