動物シリーズだが、はたしてシーサーは動物と言えるのだろうか?
そして、はたして、シーサーにオスメスはあるのだろうか?(笑)
地元の人によると架空の動物だから、オスメスの区別ははっきりしていないそうな・・
このシーサー編では、中上級の撮影技法を中心とする解説である。
①大口径中望遠によるノーマルな切り取り。 構図上のポイントとして背景の
沖縄独特の瓦屋根をボカして入れること、そしてそれがボケすぎないこと。
(つまり絞り値に注意する)
このシーサーは色が比較的薄いので、シーサーのバックとして左上から右下に
木々の斜めのラインを入れることでこの濃い色を背景としてシーサーを浮き立たせる、
右下の花の色はアクセント。
一般の動物と違ってシーサーは動かないので、どんな角度からでも撮る事ができる、
時間はあるので慌てないでゆっくり色々背景やカメラ設定を吟味して撮れば良いだけの
話である。
②シーサーの表情は、それぞれ千差万別である。
怖い、堂々とした、笑っている、愛嬌がある・・ETC・・
このシーサーは、ちょっと怖い印象であるから、見下ろして叱り付けているような
アングルで撮る。また、全身を入れずに特徴的な部分を切り出しても問題は無い。
③たぶん子供たちが作ったのか、ちょっと不思議な印象とポーズのシーサー。
怖いように見せているが、なんとなくその怖さは感じない。
なのでユーモラスに撮るか、怖さの部分だけを引き出すか迷うところ。
結局、コンパクトでの日中シンクロ+超アンダー露出による擬似夜景撮影技法を
使って、少しだけ不気味なイメージの方に振ってみた。
④これはオーソドックスな望遠での切り出しである。 背景と色合いが似ているので、
被写体のみを浮き立たせるのは難しいが、屋根瓦の曲線にリズム感があるので、
それと対比することで、視線誘導が起こってシーサーを強調しやすくなった。
具体的に言うと、人間の視覚は、この屋根の曲線は連続的であるから独立しているもの
と認識するので、それとシーサーは別モノであると脳は捉える。
⑤まったく工夫をせずに、中望遠で正面から撮った例。
普通このような撮り方では、箸にも棒にもかからないし、おまけに中途半端に
排水ホースや花も入っているので印象が悪くなる。
でも、あえてセレクトしているのは、このシーサーの表情は、なんだかアニメ風で
面白いからである、真面目なのにおかしさがある、そう、たとえばスポーツマンガの
ような雰囲気を感じさせる。
本来はこの条件では作画意図が作れないので撮るべきでは無い被写体である。
⑥これは2重の屋根の連なりを強調したケース、屋根の頂点のラインを結んだ線が
視線誘導になるので、シーサー側から入って向こうに抜けても、背景の屋根に
先に注目してこちらに戻ってもシーサーに行き着くという仕掛け。
だから、この場合は中央のラインにシーサーを置く構図にする必要は無い。
⑦広角マクロでの撮影例。
広角マクロは、一般のマクロレンズに比べ周囲の状況まで取り込めるので、
その特性を活かし、青い家、赤い葉っぱなどを入れていく。
ただし曇り空でかつ明るいのでシーサーとの輝度差を考えるとどうしても
空およびシーサーの一部が白とびしてしまってメリハリが無くなっている。
もう少しハイポジションから俯瞰で撮れば良いのだが、塀の上にシーサーがある
状況としてはそれは難しかった。
⑧大口径中望遠のボケを活かして撮る、これの撮り方(作画表現)は、
1枚目とまったく同じである。 1枚目と見比べてみると面白いと思う。