さて、不定期に特集をしている動物園特集であるが、
今までの初級編で特集、
動物園シリーズⅠ(注:メルマガでの配信)
動物園シリーズⅡ(様々な撮影技法)に続き、
中級編としての第三回シリーズを開始する。今回も全3回の特集記事である。
その1:望遠で撮る & 特徴を捉える
その2:コンパクトで撮る
その3:動物の表情を捉える
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では、今回は、望遠での撮影と、動物の特徴を捉えて撮ってみよう。
↑①望遠でシャッターチャンスを捉える
動物園と言えば、やはり望遠レンズが基本である。
使いやすい焦点距離は、その動物園(の構造など)によっても違うし、使うカメラによっても
異なるが、まあ、35mm銀塩換算で 200mm~500mmあたりというあたりか。
カメラは、まず銀塩よりもデジタル(一眼)が圧倒的に有利である。 デジタルの焦点距離
(画角)はより望遠方向にシフトして使えるし、連写コストが安いからでもある。
レンズとボディの重量バランスも関係があるが、一般に言われているように
重量級カメラ+重量級レンズ、または、軽量級カメラ+軽量級レンズ が
バランスが良い(ブレにくい)、とも一概には言えない。
中級者以上であれば、重量級レンズ+軽量級カメラであろうが問題無く使えるだろう。
ただし、カメラ自身に(たとえ手ブレ補正機能が無くても)ブレにくいカメラと、そうで無い
カメラは事実存在している。
それはミラーショック等のメカ的性能のみならず、グリップ形状や重心位置
あるいは(使う人の手に合う)ホールディングの良し悪しなどが影響する。
この作例のレンズは以前も紹介した600mmミラー(銀塩960mm相当)であるが、
さほど重たくはなく、中級者以上であれば、手持ちで利用する事ができるだろう。
↑②水面・水中撮り
動物園や水族館には、水面と水中の両方を同時に撮れる水槽や観覧ポイントが
存在している、こうした場所で待っていると、水鳥、ペンギン、水棲動物等の特徴ある
写真が撮れる場合も多い。
普通は水中(防水)カメラで無いと撮れない写真が簡単に撮れるのは面白い。
写真は特殊加工をほどこし、なんか、小さいころ読んだ「古代の生物の図鑑」のような
イメージにしてみた(笑)
↑③動物の特徴的なアングルを捉える
動物はその体の部位によっては、実に特徴的に見える場合がある。
望遠レンズを本来の望遠効果(パースペクティブの圧縮やボケ量の増大)の他に使う
意図としては、その特徴的な部位を狭い画角で切り出すことにある。
大きく撮ってトリミングする場合との差は、望遠では被写界深度が浅いので
立体的な構図の場合にはピントの合う範囲を作画意図的に狭く見せることが
重要な効果であろう。
ただし、望遠レンズの場合は、ハイアングルやローアングル撮影が広角レンズにくらべて
殆ど効かないので、必要に応じては、高低差のある撮影ポジションからの撮影も面白い。
↑④不真面目写真「ナメんなよ!」
ひつじのいる所で粘り、広角コンパクトのマクロモードで近接して撮影した。
ちょうど舐めている所が撮れたので、画像の一部を膨張させる特殊レタッチを
施して作画意図を作った。
デジタル・コンパクトのマクロモードは、通常撮影に比べてピントが合うまでの
速度が遅くなる事があり、おまけにそもそもコンパクトはレリーズ(シャッター)
タイムラグが大きいので、狙ったタイミングでの撮影は極めて難しい。
(デジタル)一眼レフで、マクロレンズを使えば、AFやタイムラグの問題は減るが、
今度は、マクロレンズの焦点距離が問題となる。
ただでさえ、50mmや90mmクラスの標準~中望遠マクロが主流の交換レンズは
デジタルでは、さらに1.5倍程度に焦点距離が伸びる(画角が狭くなる)ので
いわゆる広角マクロのような撮影技法が使えない。
デジタル一眼でこれ(広角マクロ)を可能とするレンズは、A:単焦点の超広角
(14mm程度)か、B:最短撮影距離の短い魚眼レンズであるが、超広角は
各社とも非常に高価であり、魚眼はもちろん大きく歪むから、ストレートな写真を撮る事が
できないという問題がある。
ニコンのデジタル専用10.5mm魚眼に、ソフトウェアの魚眼→超広角コンバータを
使えば目的とする効果がほぼ出るのであるが、やはり高価だし変換処理はPC上
で行うので、撮影時に画像が確認できないという問題がある。
広角マクロというカテゴリーでは、実用上十分な性能に達しているレンズは
SIGMA AF24/1.8MACRO しかなく、これとて、銀塩やフルサイズデジタルなら
ともかく、APS-Cサイズのデジタル一眼では、準広角マクロの画角になってしまう。
レンズメーカーに(焦点距離20mm以下の)超広角マクロを是非とも要望したいところである。
今のところ、デジタルでの実用的な広角マクロは GR Digitalくらいしか無いのが痛い
ところである。
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さて、動物園撮影技法Ⅲであるが、今回はちょっと地味すぎたかもしれない、
次回は、もう少しハジけた(笑)作例を載せていくとするか・・・