本シリーズでは所有している古いデジタル一眼レフについて
紹介しているが、今回は番外編だ。
前回に引き続き今回も一眼レフではなくミラーレス機を紹介する。
本記事では2013年発売の
PANASONIC LUMIX DMC-G6を取り上げる。
レンズは、OLYMPUS M.ZUIKO Digital 45mm/f1.8 を使おう。
(ミラーレス・マニアックス第58回記事)
これはμ4/3純正レンズで、一般的な組み合わせであるが、
本機の特徴を活かす組み合わせとして、
加えて CANON New FD 135mm/f2 も使用する。
(ミラーレス・マニアックス第15回記事)
本記事では、この両システムで撮影した写真を交えながら、
DMC-G6の特徴について紹介していく。
まず、パナソニックの「G」の系譜について説明しよう。
「G」には以下のシリーズがある、
*写真撮影を主体とする、本家Gシリーズ
*EVFを廃した小型エントリー機、GFシリーズ
*動画性能を高めたハイエンド機、GHシリーズ
*軽量かつ高性能のマニア層向け、GXシリーズ
*超小型軽量が特徴のエントリー機、GMシリーズ
これらは価格的にラインナップが分かれているのではなく、
用途、目的あるいはユーザーの好み(ニーズ)別という感じだ。
型番がややこしいので、勝手に語呂合わせを作っていて、
Fはファッション、Hはハイビジョン、Xはエクストラ(特別)
Mはミニ、と覚えている。
(注:これはメーカー側がそう定義・公表している訳ではない)
で。これらは同時代の機種であれば、性能(スペック)にも
大きな差は無く、極端に言えば、どのシリーズの機種を買っても
同じようなものだ。
こういう点が2010年代のカメラ・ラインナップの特徴だと思う。
2000年代迄は、ハイエンド、高級機、中級機、エントリー機
のように、価格別で性能も順次異なっているラインナップを
各社ともきっちり展開していたが、飽和(成熟)市場となって
しまった現代では、「これが初めてのデジカメ購入です」という
ユーザーも少なく、エントリー機から順次ステップアップする
という事もなく、価格別のラインナップはあまり意味が無い。
なので、あくまでユーザーニーズ(好み)に合わせた機種展開を
行う必要が出てくるのであろう。
次に、本家「Gシリーズ」の系譜であるが、
2008年末 G1 初のμ4/3、歴史的名機である。第11回記事参照
2010年春 G2 初のタッチパネル採用機、動画撮影可
2011年夏 G3 エントリー層に向けて小型化された
2012年夏 G5 写真撮影層にターゲットを絞り再度大型化
2013年夏 G6 G5の正常進化機種(本機)
2015年夏 G7 4K動画系の新機能を搭載、G6とは操作系が異なる
2016年秋 G8 ローパスレス化、手ブレ補正内蔵
となっている。
各機種は微妙にターゲット層も異なるが、2010年代前半は
ミラーレス機の発展期であり、それと同時にターゲット層も
一眼レフ等に比べると安定しておらず、カメラのコンセプトも
色々と試行錯誤があった時代であったと思われる。
2010年代後半では、ミラーレスも成熟期(飽和期)であるし、
Gシリーズ全体のラインナップも、だんだんと前記のように
方向性が固まってきたと思う。
個人的には、2015年位には「GシリーズはG6迄で終わりか」と
思っていた。それは、2014年に新機種の発売が無かった事と、
その時期、GH、GX、GMの展開が活発になっていたからである。
だが、G7が出た事で、ちょっと「あれ?」と思った訳だ、
なんとなく、シリーズが多すぎるような気もする、もう少し
整理しても良いようにも思う。
まあでも、それはメーカー側の話であり、ユーザー側は色々と
選べた方が楽しいだろうし、ついでに言えば、色々な機種が
あれば中古で特定の機種を狙う際にも、不人気で相場が
下がっている物を狙えたりして選択肢が広がる。
ちなみに、写真撮影中心のオーソドックスなGシリーズは
他のシリーズに比べて不人気で、よって中古相場の下落幅も
非常に大きく、少し時間が経つと安くなって、とても買い易い。
さて、本機DMC-G6の基本性能だが、
また例によって、全ての性能・機能を書いていくと、きりが無い。
で、ミラーレス機とは言え、近年のカメラだ、普通に写真を
撮る上での性能・機能としては不足する部分は何も無い。
ミラーレス機、特にμ4/3機であれば、数値スペックだけ見たと
しても、同時代の機種であれば「どんぐりの背比べ」であり、
また、細かい長所や短所を探したとしても「重箱の隅をつつく」
程度のものであろう。
なので、基本性能はばっさり割愛しよう。まあ、そのあたりは、
ネットやカタログで仕様を見ればいくらでも出てるし、
そもそもμ4/3機は、使用部品を各社・各機種で共通化している
為に、同じ時代の製品であれば、どれを買っても中身は
(センサー、画像処理エンジン等、そして基本性能全般も)
同じである、とも言えるからだ。
それと本シリーズ記事を続けていて思ったのだが、数値スペック
って果たして意味があるのだろうか?という疑問がある。
第13回記事α65の時にも感じたが、現行世代の一眼レフは
非常に多機能であり、初級中級者はおろか、上級者に至るまで
近年のカメラの全機能は使いこなせないだろうし、そもそも
どんな機能があるのかも全ては把握もしていないであろう。
だとすると、AFと連写性能、画素数くらいしか、一般カメラマン
の興味(あるいは評価ポイント)は無いのでは?とも思える。
例えば、α77とα65を比べて撮ったとしても「あ、α77の方が
連写が少し速いかな、ピントの速さは五分五分かな」といった
ような、写真を撮る本質とは殆ど関係無い所でカメラの良し悪し
を評価する事しか一般ユーザーには出来ないのではなかろうか?
(だから初級中級者が、高級機ばかりを買いたがるのでは?)
2000年代末の「第三世代」において、一般に人気や評価の高かった、
D300(第9回記事)、EOS 7D(第10回記事)あたりにしても、
確かにAF性能等は、スペック上では過去機とは比べ物にならない
位に進化したが、本シリーズ記事では、それらのカメラの評価点
は平均点か、それ以下でしかなかった。
AF性能を重視しない撮影技法であれば、その特徴は役に立たない。
だから、それらの機種は、本来の使い方としては、AFを用いて、
「必ず撮らなければならない状況」での、実用(業務)撮影に
しか主たる用途が無く、仮に、そういう用途であれば、レンズも
f2.8通しズームとか。そういう定番的なものを使うしか無いので
あろうと思う。
けど正直言えば、写真を撮るという行為からすれば、そういうのは、
ちっとも面白くない。
趣味的では無いし、テクニカルでも無い、マニアックでも無い、
なんか「仕事で撮っています」という感じにしかならないと思う。
いったい何を持って、良いカメラだと考えるのであろうか?
あるいは、それら高性能機を一般ユーザーが趣味で使うとしても、
撮影の為に、というよりはむしろ道具自慢だ。他人と比較して
「ちょっとオレのカメラの方が新しい(性能が良い)」
と優越感を持つ位でしかないのだろう。
事実、「その手のカメラ」と「そうでないカメラ」を見分ける、
最も良い方法がある、それは、カメラの付属のストラップに
「機種名(モデル名)が書いてあるか否か?」である。
つまり、ストラップに詳しくモデル名が記載されている機種は
他人のカメラと比較して、自分の方が勝っている(高価だ)
という事を意識して優越感を持つ為の要素が高いカメラだ。
そのユーザー心理の為に、モデル名が書いてあると言っても
過言では無い。だから時代が古くなると「他人が見たら格好悪い」
あるいは「他人のカメラと比較されたくない」と思って新機種に
買い替えざるを得なくなる。
メーカー側は、そういう効果も狙っている訳だろう。
が、使う側がそんな事を気にしていたら、ますます「写真を撮る
為の道具である」というカメラの本質とは異なってきてしまう、
カメラのスペックや値段で写真を撮る訳では無いのだ。
なので「コストパフォーマンスが最も重要な概念である」と
再三、本ブログでは述べている。別に10年前のカメラを
使っていたからと言って、恥ずかしい事では無いと思う。
それに、そういう新しいものを追うユーザー層が沢山居るが故に、
古い機種は、中古市場で、すぐに二束三文になる。
EOS30DやNIKON D300は、発売時の1/10の値段で購入している、
コスパを重視するならば、非常に価値があるし、性能面から
見ても第三世代以降であれば旧機種でも十分なのだ。
そして数値的なスペックも殆ど意味が無い、連写が秒6コマの
カメラよりも、秒8コマのカメラの方が優れているのは数字の上
からは確かだが、だから良い写真が撮れるという訳では全く無い。
おまけに、数値性能を重視するあまり使い難くなってしまったら
意味が無い。
機能肥大により操作系が劣悪となってしまった機種や
あるいはカタログスペックを重視したが、それを使える条件が
著しく制限されて、結局、その性能が実用的ではなかったり・・
(例、搭載ズームの広角側だけ開放f値も明るく最短撮影距離も
短いが、ズームを伸ばすと急に普通以下の性能となってしまう等)
そういう例は、このブログで様々なカメラを紹介してきた中で
いくらでもある、つまりスペック重視のあまり、本質を見失う
事は、メーカー側もユーザー側でも日常茶飯事なのだ。
だから、トータルの性能を重視しなければならない、そして
それもまた、カタログ上での数字だけの性能ではなく、表面的
には見えて来ない様々な面をも評価しなければならない。
よって、本シリーズの毎回の文末に乗せている「総合評価」は
8項目にもおよび、かつ、数値性能だけではなく多種多様な項目で、
しかも、実際に購入して長期間使った上での評価となっている。
(自分でお金を出して買った機材しか正当には評価できない筈だ、
借りて使ったり、ましてやカタログだけで良し悪しはわからない)
さて、余談ばかりで、ちっとも本機DMC-G6の話が出てこない(汗)
そろそろ本題に入ろう、
細かいスペックは、ばっさり割愛して、まず、本G6の長所だが、
最大の特徴は「強力な望遠アダプター母艦」である、という点だ。
ここにはいくつもの要素がからむ、まず最初に列記しておこう。
1)MF(アダプター使用時)の操作系、及びその遷移
2)優秀なピーキング機能
3)デジタルズーム機能の仕様と操作性
4)本体形状およびグリップ・ホールディングの良さ
5)高感度(ISO25600)が使える
6)そもそも、μ4/3機である事
である。
上写真のようにCANON NewFD135mm/f2を装着しているのも、
「望遠アダプター母艦」として使用する一例である。
(以降の写真は、NFD135/2で撮影したものだ)
各項目を具体的に述べると、まず、1)MF操作系だが、AFレンズを
外しアダプターでMFレンズに付け替えるだけで、何の特別な
設定変更操作も不要で、すぐにMF時に最適な操作系に変化
(遷移)する。
このあたりは、第11回記事DMC-G1の項で詳しく書いてあり、
重複するので割愛する。まあ、いわばカメラに非常に詳しい人が
マニア向けに考えた特別な仕掛けであり、「確信犯」的である。
つまり自社レンズのみならず、最初からアダプター母艦として
使う事を前提としている仕様だ。
そんな事はメーカー内であれば大声で言える筈も無く、
これは普通なら社内会議を通る筈も無いのだが、
まあ、結果としてDMC-G1は発売され、その後の2010年代初頭
にはマニアの間では「マウントアダプターを使うならばμ4/3機」
という常識(流行)が出来上がった(その流れは、後年には
SONY α7にシフトしてしまったが)
この為、MF望遠レンズを使う際には、操作系が良い事が大きな
メリットとなる、無駄な設定操作が発生すると、例えば望遠の
構えを毎回カメラ操作の為に解かなければならない場合もあり、
それは非効率だしストレスとなる。
ちなみに、この事はGシリーズの伝統的な長所であり、
本機G6だけの特徴では無いのだが、他社のミラーレス機には
こういう特徴は無く、アダプター使用時には動作しない無駄な
ボタンやダイヤルが沢山出てきたり、又は、ボタンを探したり、
指の位置が飛んだりと、流れるような操作系が実現できていない
事も多々ある。
それから、この時代のAF精度・速度は、旧機種よりもだいぶ
改善されているとは言え、基本的にはコントラストAF方式だ、
この技術は一眼レフの位相差AFに比べて未成熟なので、今の所は
全幅の信頼を置く訳にはいかない。この事もあって、DMC-G6は
MFレンズの母艦とするのが望ましい。
2)ピーキング機能
これは、なかなか優秀だ。他社ミラーレス機ではピーキング機能
があっても、精度が悪く、殆ど役に立たない事も良くある。
ちなみに、ピーキングとは、ミラーレス機あるいはライブビュー
ハイブリッド機(例:SONY α2桁機)において、ピントが合って
いる被写体の輪郭部に、白、赤、黄、水色などの色が重なって
表示される機能である。
画像処理による輪郭検出(コントラスト検出)であるのだが、
その方法論は色々とあって、そうした機種毎の「アルゴリズム」
の差異により、精度の良し悪しが出てきてしまう。
AF性能がまだ未成熟なミラーレス機をMFで使う上では、優秀な
ピーキング性能は欠かせない。
なお、他社機では、アダプター使用時に、ピーキング機能を
何らかのボタンにアサインして、押しながらで無いと動作しない
場合がある(MF時にこれは、有り得ない操作系だ)
あるいは、シャッター半押しでピーキングが停止してしまう
場合もある。これらは操作系的に極めて使い難くく、実用的
では無い。
勿論、本機G6では何も問題なく、アダプター使用時でも
いつでもピーキングは動作する。
3)デジタルズーム機能の仕様と操作性
ここは、望遠レンズを使う上では重要なポイントだ。
この点においてDMC-G6は前機種DMC-G5とともに、Gシリーズ中
最強の操作系を誇る、その事はミラーレス・マニアックス記事で
再三書いたので詳細は割愛するが、まあ簡単に言えば、
G5/G6の前部ファンクションレバーを、デジタルズームの
倍率変更操作にアサイン可能なのだ。
したがって、例えば CANON NewFD135mm/f2 のレンズを
使った場合には銀塩換算270~540mm/f2の大口径超望遠ズーム
と等価となり、野鳥、動物園、小動物等の望遠系被写体に対し
極めて使いやすいスペックとなる(注:”等価”と書いたが、
実際にはf2級の超望遠ズームレンズは世の中に存在しない、
ミラーレス機ならではの夢のスペックだ)
なお、このデジタルズームは画素補完型であり、つまり、
トリミングと類似の仕組みなので、2倍のズーム幅を得る為には
記録画素素を S(400万画素、最大の1/4)にしておく必要がある。
4)本体形状およびグリップ・ホールディングの良さ
これは詳しく解説する必要も無いであろう、GFシリーズのような
非EVF小型機では、望遠レンズを装着するのは無理がある。
DMC-G3のボディは小さくなりすぎたが、G6では一眼レフ並みの
ホールディングとなり、望遠レンズの装着にも適している。
5)高感度ISO25600が使える
望遠レンズでの手ブレ限界は、概ね換算焦点距離分の1秒である。
焦点距離が長く、かつ開放f値が暗い望遠では、ISOを上げてその
問題に対処するため、高感度性能は最低でもこのあたりは欲しい。
6)μ4/3機であること
言うまでも無いが、μ4/3の換算焦点距離は2倍である。
例えば200mmの平凡な望遠レンズでも、400mm相当の超望遠画角と
なり、望遠域が拡張される、この特徴を利用しないのは勿体無い。
・・と言う事で、これらの理由により「望遠アダプター母艦」
としての用途として非常に適切であるのが、本機DMC-G6である。
なお、ほぼ同様な理由により「大口径中望遠レンズ母艦」と
しての利用価値も高い。それがAFレンズだとしても、むしろMFで
ピーキング使った方がAF測距点が限定される一眼レフで使うよりも
高精度であるし、アダプターで絞込み(実絞り)測光であれば、
大口径の生命線である、ボケ量、ボケ質の撮影前の確認もEVFで
自在である。
加えて電子シャッターによる完全無音撮影ができるのも、
大口径中望遠で人物を撮る際、環境によってメリットが生じる。
(例、舞台撮影や結婚式等)
まあ、このような目的に使うのであれば、本機G6は適切であり、
総合的に非常にコスパが高い機種となる。
逆に、本機DMC-G6の弱点だが、こちらもいくつかある、
1)ファインダー(EVF)の仕様変更
ここは、DMC-G5迄の144万ドットカラー液晶から、G6では
144万ドット有機ELに変更されている、この結果、明るくて
見やすいファインダーとはなったが、ピントの山が掴み難く
なった、が、G5には無かったピーキング機能が付いたので
大きな問題では無い。
なお、ピーキング機能は、そのレベルや色の調整機能が無いので
少々使い難い面もある。
2)エフェクトが単独処理である(撮影設定と連動しない)
第14回記事のPENTAX K-01(等)では、絞り、シャッター速度、
露出補正、WBなどの設定に重ねてフィルターやカスタムイメージ
の効果を加える事ができるが、本機DMC-G6では、エフェクトを
選ぶと、それらの写真的設定は加える事が出来ない。
まあ、連動する方がむしろ珍しい仕様ではあるが・・
3)タッチパネル操作系の無意味さ
EVFが有るミラーレス機で、背面モニターをタッチパネルとして
操作を行うのは矛盾がある、EVFを覗いている構えを一旦解く
必要があるからだ。
まあそこまでは良い、タッチ操作をしなければ済むからだ。
しかし本機においては、タッチパネル上にしか無いアサイナブル
なソフトFnキーがいくつか存在している、それらは事実上
使う事ができず、無駄になる。
また、いくつかある物理Fnキーは、アサイナブルとは言っても、
実質的には基本操作に近い必要不可欠なものが割り振られている
ので、自由に使えるFnキーが殆ど無い。
4)内蔵手ブレ補正機能が無い
ここは、「望遠母艦」としてはあった方が便利ではある、
ただし、デジタルズームやデジタルテレコンを併用すると
見かけ上の焦点距離が変化して、内蔵手ブレ補正は無効になって
しまう問題点がある、これはMFのズームレンズをアダプター
で使用した際も同様であり、結局「アダプター母艦」として
使う上では、手ブレ補正機能はあまり有効では無い。
それと、短所かどうかが、微妙な点もある。
まず、バッテリーの充電器がプラグ一体型である事、
これは、一部のACコンセントに、複数の同タイプの充電器を
並べて充電できないという問題に繋がる。私の場合必ず複数台の
カメラを同時に充電する必要があるので深刻だ。
それから、ボディのカラーバリエーションが少なく地味である。
具体的には、黒、銀(というか灰色)、白という感じだ。
現代は色つきボディも珍しく無いので、このような同系の無彩色
ばかりというも、逆に選択肢が少なく感じてしまう。
まあ、本機DMC-G6の長所短所は、まだまだ色々あるのだが、
多機能故に書ききれない。そして機能が多すぎるというのも
この時代のデジタルカメラ全般の欠点なのかも知れない。
つまり、一般ユーザーの誰も使いこなせないような多機能が、
本当に必要なのかどうか?その点が疑問だ。
さて、恒例の銀塩カメラとの関連であるが、
本機DMC-G6に対応するポジションの銀塩名機というものは
当然ながら無い。まあ銀塩・デジタルの一眼レフ同士ならば、
似たものや関連するものはあるのだろうが、ミラーレス機全般に
おいて、そういう立場のフィルムカメラは存在しないのだ。
でも、何も紹介しないのも面白く無いので、
今回は、同じ2013年発売のPANASONIC DMC-GX7をあげておく。
こちらの中身は、DMC-G6とほとんど同じである。
大きな差異としては、一眼レフ型のフォルムでなくて、
レンジファインダー機風の外観となっている事。
最高シャッター速度が1/8000秒である事、内蔵手ブレ補正
機能が初搭載された事、そして、背面モニターが本機DMC-G6
のようにバリアングルではなく、上下ティルト式になっている
事だ(ちなみに、EVFもティルトする)
どちらの機種を選んでも、表面的な数値スペックを見ただけでは
殆ど差異が無いと思うかも知れないが、実用上では、両者は
まるっきり違う特徴がある。その差を細かく述べていくと際限なく
記事文字数が増えてしまうので割愛するが、ざっくり言えば、
DMC-G6には大型レンズ、DMC-GX7には小型レンズを装着して使うのが
ベターだ。ただし、その場合AF/MFは問わない、どちらの機種に、
どのようなレンズを組み合わせても各々長所短所が存在するのだ。
GX7の購入動機は、G6=MF用、GX7=AF用とするつもりだったのだが、
ちょっとあてが外れて、各々の用途の区分が混沌としてしまった。
勿論一般ユーザーであれば、どちらか1機種だけで十分だ。
さて、本機DMC-G6の入手価格だが、2016年春頃に中古で
約24000円であった。
現在2017年では、さらに相場が下がって、2万円を切ってくる。
発売後数年で、あっと言う間に中古相場が下がるのが
ミラーレス機の特徴である、よって、現行機種より、1モデル
または2モデル程度古い型番の機種(概ね3年前の発売程度)を
中古で買うようにしていくと、極めてコスパが良い。
最後に本機 LUMIX DMC-G6 の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)
【基本・付加性能】★★★
【描写力・表現力】★★★☆
【操作性・操作系】★★★☆
【マニアック度 】★☆
【エンジョイ度 】★★★☆
【購入時コスパ 】★★★★
【完成度(当時)】★★★★
【歴史的価値 】★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.0点
評価には、ややデコボコがあるが、トータルの平均値では
ぴったり、3点(標準的)となった。
カメラとしての出来は良い。使いやすく、かつ完成度も高い。
特にAFレンズ使用よりも、マウントアダプター母艦として
MFで使うのに適している、その点においてはエンジョイ度も高い。
もう少し得点は伸びるのではないか?と思ったのだが、意外に
低い評価点となった理由は、ごくありふれた機種で、しかも
Ver 6 ともなれば、目新しさも何も無く、マニアックさや
歴史的価値も殆ど無いからであろう。
すでに後継機 G7やG8が出ているし、追ってどんどん9,10と進化
していくのだろう、ただ、あえてG6を選んでいる理由も色々と
あるので、個人的には、後継機を追っかけるよりも、
DMC-G6の色違いを予備機として買っておきたい気もする。
さて、本シリーズ「デジタル一眼レフ・クラッシックス」は
今回第15回をもって第一期は終了とする。
まだ1台ほど残ってはいるが、新しいカメラなので、すぐに
紹介はしずらい。記事の世代順を考えると、この2010年以降の
「現行世代」のカメラを何台か購入し、それらを時代的に分類区分
できるようになったら、本シリーズを再開する事にしよう。