本シリーズでは、所有しているデジタル一眼レフについて紹介と
評価を行っていたが、今回は番外編だ。
第12回からは、デジタル一眼「現行世代」の2010年以降に
発売された機種について紹介しているが、今回は一眼レフではなく、
ミラーレス機である。
本記事では、2012年発売のPENTAX K-01を取り上げる。
レンズは、PENTAX DA35mm/f2.4ALを装着している。
(ミラーレス・マニアックス第47回記事参照)
本記事では、このシステムで撮影した写真を交えながら、
K-01の特徴について詳しく紹介していこう。
まず、K-01は一眼レフではなくミラーレス機である。
しかも、唯一の「Kマウント」ミラーレス機だ。
ちなみに、第11回記事DMC-G1の時にも書いたが、ミラーレス機を
「ノンレフレックス」と呼ぶ場合がある。
しかし「レフレックスで無い」という意味においては、
銀塩及びデジタルの、コンパクト機もレンジファインダー機も、
あるいはRICOH GXRのようなユニット交換式カメラも、全て
レフレックスでは無いカメラだ(つまりミラーが無い)
よって、ミラーレスと同様に範囲が曖昧な定義となっていて、
いずれも世間一般での、いわゆる「ミラーレス機」を表すのに
適当な用語では無いと思う。
ややこしいので、本ブログにおいては、この用語の存在は無視して、
「ミラーレス(機)」で統一している。
さて、PENTAX K-01は実験的なカメラのように思える。
というのも、AF性能を含め、問題点が満載であり、
完成度が高いカメラとは、とても言えないからだ。
それにしてはPENTAXのメインストリームのミラーレスであった
「Qシリーズ」は、本機K-01よりも前の2011年に発売されている。
何故、Qシリーズの後に、あえてKマウントの本機が別系統の
ミラーレス機として発売されたのか、良くわからない。
K-01は、その中身こそ高性能デジタル一眼レフと同等であるが、
コントラストAFのみでEVFを持たなければ、致命的とも言える
貧弱なAF/MF性能しか得られない(つまり、ピントが合わない)
まあ、もしかすると本機を「PENTAXのミラーレスはこれです」と
最初に大々的に打ち出したら、このAF性能ではユーザー離れが
起きてしまうのを防いだのかも知れないが・・
K-01のピント性能の酷さについては、別シリーズ記事の
「ミラーレス・マニアックス」や、過去記事でのK-01特集で
再三書いて来た事なので、今回は、ばっさり割愛しよう。
ただ、1つだけ注意する事は、もし本機K-01を中古で購入して
みようと思ったとしても、AF性能をはじめ、カメラとしての
完成度に期待してはならない、そこは覚悟する必要がある。
さて、以下、K-01について詳しく書いていこう。
まず、本機は「K」の名が示すとおり、Kマウント機である。
Kの意味やKマウントについては、本シリーズで述べているので、
詳しく知りたい人は、以下の記事を参照して頂きたい。
第2回*istDS ,第6回K10D,第12回K-5
K-01での使用可能レンズはKAF2型以前が基本である。
KAF2とは、パワーズームおよびSDM(レンズ内超音波モーター)
という仕様である。
これ以降のKAF3(KAF4)は、レンズ内のモーターでしかAFが
駆動しない、K-01ではこれらの最新レンズは恐らく使えず、
その他の過去のPENTAXデジタル一眼で最新レンズを使う場合にも、
良く仕様や説明書を調べて装着する必要があるだろう。
逆に古いレンズだが、銀塩時代のF/FAレンズ(KAF)は全てOK.
MFのAレンズ(KA、絞りにA位置がある)もOKだが、
MFで厳密なピント合わせが必要なレンズを本機で使うのは非常に
困難である(トイレンズやピンホールであれば可)
M42レンズは、マウントアダプターを介して使えるが、同様に
MFとなるので実用性は低い。
KA以前のP(K),MタイプのMFレンズは、K-01では基本的には使用
しずらい、M露出モードで、かつプレビュー機能を何らかの
キーにアサインせざるを得ず、勿論ピントも合わせ難い。
なお、P(K),Mレンズは操作性が煩雑であるが、PENTAX一眼レフ
系であれば、なんとか使用可能だ、ただ、無理してPENTAX機で
使う必要はなく、PKマウントアダプターを介して、μ4/3機等の
ミラーレス機で使う方がはるかに便利だ。
で、ミラーレス・マニアックスのシリーズ記事で、様々な
KマウントやM42マウントレンズをK-01に装着して使った
いわゆる「限界性能テスト」においては、快適に使えたレンズは、
超音波モーター内蔵のDA★55mm/f1.4SDMと
ピント合わせが不要なピンホール(レンズ)位である。
他に何とか使用可能なのが、広角系AFレンズ(SIGAM AF20/1.8
FA31/1.8,DA35/2.4等)であった。
その他の、大口径、マクロ、望遠、MFレンズ等は正直言って
殆どピントが合わず、使い物にはならない。
さて、使用できるレンズ、という事で、K-01のピント性能的な
面から既に様々な制限があるのだが、それをなんとかクリアして
K-01を使ったとしよう・・
K-01の最大の特徴だが、そのユニークなデザインがある。
工業デザイナー「マーク・ニューソン」氏によるものであり、
他のカメラには無い強烈な個性がある。
ただ、デザインを優先したあまり、各部の構造や操作性は
良好とは言えない部分も多々ある、例えばSDカードのカバーは
単なる嵌め込み式であり、下手するとちゃんと締まらない。
また、上部モードダイヤル、電源スイッチ、シャッターボタンは
接着剤で簡単に止めているだけだ、私のK-01はそれらが全て
脱落した事がある、で、再接着の修理でちょっとミスをして
シャッターが切れなくなり、自力修理に手間取った事もあった。
また、デザインかなり個性的であるので、デザイン的なバランス
の面からも、装着できるレンズを選んでしまう、例えば、前述の
SIGMA AF20/1.8は、大柄で不恰好なデザインなので、本機との
AF性能的な相性は良いが、あまり装着する気になれない。
同様にPENTAX 純正でも1990年代の初期F/FAレンズのデザイン
は極めて無骨であり、これらも装着する気になれない。
かろうじて及第点なのが、FA Limited(FA31/1.8等)や、
今回使用のDA35/2.4 であろうか。
ただ、DA35/2.4ALは様々なカラーバリエーションがあるレンズで、
本機への装着時は色彩的なバランスを図る必要もある。
なお、K-01のキットレンズにあった超薄型のDA40/2.8XSは、
所有していない(黒しか無いから・笑)
本機K-01のカラーとしては、黒x黒、黒x黄、白x黒
の3種類と、後に限定版として発売された白x青がある。
私は約2年探して、欲しかった黄色の中古を手に入れたが、
別のカラーの中古が出ても無視するのは、なかなか辛かった。
PENTAXが2010年前後にカラーバリエーション戦略を取っていた
事は本シリーズ記事でも再三述べているが、この戦略は中古の
売買を抑制する効果があると私は思っている。
ユーザーニーズの多様化に対応し、個人の好みに応じた色つき
ボディが可能となるのはまず良い、購入行動を促進する意味も
あるからだ。
だが、そうした特殊なカラーのボディを中古に出そうとすると、
中古店側も、そう簡単には引き取ってくれないであろう、
「こんな変な色のカメラは売れませんよ」と言われるのがオチだ。
まあ、それでも引き取ってくれたとしよう、相場は少し安価には
なる。
で、中古を買う側としても、あまりに奇抜な色のカメラでは、
それが自分の好みに合えば良いが、そうでなければ見送る事は
確実であろう。
つまり、自分の好みの色の中古が出るまでは買えない事になる。
(中古を)売りづらい、買いづらい、という状況があれば、
当然ながら中古の流通は抑制され、新品販売が増えるだろう。
メーカー側が儲かるのは新品の場合のみであり、中古はむしろ
メーカー側からすれば、販売機会の損失な訳だ。
事実、私もK-01の黄色が出るまで中古を見送り続けた、
「こりゃあ、新品で買った方が良いか?」と思った事も何度か
あった位である。
で、待ったかいもあり、無事中古で黄色を入手したのだが、
今度は別の色の予備機が欲しくなってしまった(汗)
まあ、色付きボディは、様々な意味で、市場にインパクトを
与えた事は間違いない・・
さて、本機 K-1の基本性能だが、中身は第13回記事で紹介した
PENTAX K-5とほぼ同等だ。
ちなみに、使用バッテリーも充電器もK-5と同じである。
差異としては、AFが位相差ではなくコントラストAFなので
K-5に比べ性能的に極めて劣ってしまう事、
それと、2ダイヤル操作系ではなく、1ダイヤルなので、
当然、細かい操作性・操作系が異なる。勿論ハイパー操作系は
1ダイヤルでは搭載不可だ。
また、色々と細かい所であえてスペックダウンしている部分が
見られる、その代表的なものとしては、K-5での最高ISO感度が
51200であったのに対し、本機K-01ではISO25600だ。
また、最高シャッター速度も1/4000秒に抑えられている。
連写速度は、K-5が高速で秒7コマと高性能で、ただし
低速が毎秒1.6コマと遅すぎたのに対し、
本機K-01では、高速が秒6コマ、低速が秒3コマと、
むしろ使いやすいスペックとなっている。
そもそもミラーレス機であるので、ミラー駆動が不要であるから
連写は得意分野な訳だ。
もっとも、連写以前にピントが合わないので、その高性能を
発揮出来る機会は殆ど無い、ピンボケ写真を連写しても意味が
無い訳だ。
K-5は第12回記事の大半を、その多くの機能の説明に費やして
しまったのだが、本機K-01もK-5がベースであるから、その
多機能は概ね引き継がれている、
今回も、それらを書いていくと、また記事文字数の限界に達して
しまいそうなので、ばっさりと割愛しよう。
本機の最大の特徴は「エフェクト母艦」としての利用にある。
この時代のPENTAX機で、私が所有しているカメラの
K-5(2010年),K-01(2012年),Q7(2013年)には多種多様の
デジタル画像処理効果が搭載されている。
それをひっくるめて便宜上「エフェクト」と呼んでいるのだ、
が、その性能や操作系は仕様(スペック)を見ただけでは、
良くわからない事が普通だ。
例えば、種類を書いたとする、トイカメラ、レトロ・・
のような感じだ、だが、まず、それがどんな効果だかは実際に
使ってみないと良くわからないという点がある。
それから非常に重要な事だが、通常の写真を撮るために必要な設定、
すなわち、絞り(被写界深度)やシャッター速度等の設定効果が、
それらのエフェクトに反映されるかどうか?という点がある。
他社の多くの機種では、エフェクトを選ぶと、絞りやシャッター
速度の設定や、下手すると露出補正ですらも無効となる、つまり、
そのエフェクトの言うがままの効果でシャッターを押すだけだ。
だがPENTAXのエフェクトは違う、たとえばデジタルフィルター
機能(色抽出、トイカメラ、レトロ、ハイコントラスト等)
においては、絞り、シャッター速度の効果反映は勿論の事、
ホワイトバランス等の変更もエフェクトに対して有効だ。
加えて、カスタムイメージ(鮮やか、銀残し、モノクローム、
クロスプロセス等)と、デジタルフィルターの「二重掛け」
も可能である!
あるいは、カスタムイメージとHDRの二重掛けも可能だが、
デジタルフィルターとHDRは重ねては使えない模様だ。
また、各エフェクトはパラメーターの微調整が可能であり、
次回使用時にその設定は持ち越される。
なお、動画撮影時にも、これらのエフェクトの多くは有効だ。
それから、デジタルフィルターは撮影前に設定するのみならず
撮影後にかける事も可能だ。普通、一度撮影してしまうと
ノーマルな画像には戻れないので、この機能も勿論有益である。
おまけに撮影後では、複数のデジタルフィルターを二重掛け
三重掛け・・も可能だ。
これだけ自由度が高いと、エフェクトに関しては文句の
つけようがなく、最強レベルと言っても差し支えない。
なお、本機のベースとなったデジタル一眼レフK-5にも、
こうした多くのエフェクトが同様に入っている、加えて、
カスタム機能も1つだけあって、自分で好きにエフェクトを
作れたのだ。
何故その事がK-5では評価されていないかったのか?と言えば
まず、2010年までのデジタル一眼ユーザーに。エフェクトを
使って撮るという意識や概念が存在していなかったからだ。
おまけにK-5では、その操作系も良くなく、メニューの中から
選ばなくてはならない。そうであれば「ちょっと使ってみようか」
というユーザーも多くは無いだろうし、そもそもエフェクトが
存在していた事すら知らないユーザーが大半ではなかろうか?
また、致命的なのは光学ファインダーでは撮影前にエフェクトの
かかり具合がわからない、撮影してみて初めて効果がわかるのだ、
この為(後述するが)撮影後に後付けしてかけるエフェクトしか
デジタル一眼では実用的でなかったのであろうと思われる。
だが、本機K-01は違う、
まずミラーレス機なのでエフェクトは撮影前に効果が確認できる。
操作系であるが、K-01のボディ上面には緑と赤のボタンが存在
している。通常はこれらには特定の機能を割り振る必要は無い。
例えばPENTAX伝統のグリーンボタンとして使用するとしても
そもそもハイパー操作系では無いので、あまり用途が無い。
あるいはプレビュー(絞り込み)ボタンにして使用するにしても
光学ファインダーもEVFも無い、92万ドットの背面モニターでは、
そんな厳密な撮影など最初から無理だし、やる必要も無い訳だ。
ならば、この2つのボタンには、デジタルフィルターと、
カスタムイメージの2つを割り振るのが最適だ。
こうして「エフェクト母艦 K-01」が出来上がる。
この操作性・操作系はかなり快適であり、殆どの被写体の撮影に
おいて、ノーマルな撮影と何らかのエフェクトをかけた撮影を
併用(複数回撮影)する事になる。
基本性能が低く、撮影枚数が伸びずに持論の減価償却の法則
(ミラーレス機の場合は1枚2円の法則)を、なかなかクリア
する事が難しいのではないか?と購入当初は思っていたのだが、
このエフェクト撮影を多用すると、必然的に本機の撮影枚数は
伸び、減価償却を楽々達成してしまっている。
一応、エフェクトの種類を書き出しておこう。
<カスタムイメージ機能>
鮮やか、ナチュラル、人物、風景、雅、ポップチューン、ほのか、
銀残し、リバーサルフィルム、モノトーン、クロスプロセス
とあり、さらに詳細設定が可能だ、例えばモノトーンであれば、
赤、オレンジ、黄といった通常のコントラスト調整フィルターの
効果の他、緑、青、赤外線調、などもある。
あるいはクロスプロセスでは、シャッフルや、プリセット3種
加えて、シャッフル時に気に入ったプロセスがあれば、それを
マイモードとして3種類まで登録できる。
なお、繰り返し書くが、これらの機能は、これに設定すると
そのモードのプリセット設定のままで撮影しなくてはならないと
言う訳ではなく、自分で決めた絞りや露出補正やWBの設定に
重ねてこれらの効果が追加される。
他社機で良く露出モードダイヤルについている、人物やら
スポーツやらの「簡単モード」とは根本的に次元が異なるのだ。
そして本機にも露出モードでのシーンモードは多数存在している、
例をあげれば、人物、キッズ、青空、夜景、夜景HDR、等
いくらでもある、ただ、それらは他社機と同様なビギナー向けの
モードである。
余談だが、このようなシーンモードで、花のマーク、あるいは
マクロという設定が良くあるが、コンパクト機ではマクロモード
は実際に有効だが、一眼レフやミラーレス機ではマクロモードに
しても装着したレンズの最短撮影距離を越えては撮影は出来ない。
この事はビギナーの大半が誤解しているので注意が必要だ。
(わざとそう誤解させる「確信犯」とも言えるが)
さて、カスタムイメージはかなり強力な機能なのであるが、
それをさらに上回る強力な機能も搭載されている
<デジタルフィルター機能>
まず、撮影時の機能を記載しよう
色抽出(最大2色、レベル調整可能)、トイカメラ、レトロ、
ハイコントラスト、シェーディング、ネガポジ反転、カラー
これらは、微調整すると、かなり個性的な効果となる。
そして、再生時には、上記のフィルターに加えて、
ドラマチック、アート、デッサン、水彩画、パステル、
ミニチュア、ポスタリゼーション、ソフト、クロス、
フィッシュアイ、スリム、ベースメイク という効果を
「後付け」する事ができるし、複数の効果の多重掛けも出来る。
このあたりでもう十分、という風にも思えるのだが、もう1つある。
<HDR機能>(ハイダイナミックレンジ合成)
これは他社機によくある「擬似HDR」ではなく、3枚連続撮影の
本格的なものだ、
オート、TYPE 1~3の4種類があり、加えて
動体撮影時での「自動位置ズレ補正」機能が追加できる。
なお、この設定はメニューから行うのだが、設定後は、
カメラ上部の露出ダイヤルに、HDRという専用の指標があり
いつでも即時、自分で設定したHDR撮影モードに移行できる他、
上記カスタムイメージをHDR効果に加えて「二重掛け」が可能だ。
欠点としては、HDR計算をCPUでやっていると思われ
極めて時間がかかる(10秒程度)事である。
私もC言語でHDR処理を自分で作った事があるが、さほど時間が
かかる内容ではなかった、ただ、それは画素数が小さい場合で
のみ処理が速いのであり、画素数が大きい場合は単純な内容の
計算でも時間がかかってしまう。
このHDR機能は、画像処理エンジン内にロジックで組み込んで
処理速度を飛躍的に速めて欲しい、というのが希望である。
現状の対策だが、K-01(又はK-5も同様)は決して単独で
持ち出さず、必ず他のカメラを併用する。
K-01でHDR撮影を行った後は、すぐさま他のカメラに持ち変え、
そのカメラで1~2枚撮影をしている間に、K-01のHDR処理が
終了している、という風にする訳だ。
という訳で、極めて強力なエフェクト機能がK-01に搭載されて
いる事がわかったと思う。
まあ、K-5でも同様なのだが、前述のようにデジタル一眼の
操作系の中でエフェクトを使う気にはなれないし、そもそも
光学ファインダーでは撮影前にエフェクトの効果がわからない。
これはもう、ミラーレスの独壇場とも言えるかも知れない。
だが上には上がある、K-01の翌年に出たQ7では、本機と同等か
それ以上の種類のエフェクトが搭載されていて、おまけに、
これらのエフェクト(デジタルフィルターやカスタムイメージ
ならびに、CTE機能を含めたWB設定など、一切合財を含む)
を4種類まで登録し、それを前面ダイヤルに設定し、各種の
エフェクトを、通常の絞りやシャッター設定効果にプラスする
形で即時呼び出す事が可能な操作系になっている。
まさしく、これが最強であろう、さしものK-01も、
Q7に比べると操作系的に若干見劣りしてしまうのだ。
AFが合わず、MFも使い物にならず、一時はダメカメラの烙印を
押されてしまったK-01であるが「エフェクト母艦」としての用途
を与える事で「使っていて楽しいカメラ」に見事に変貌した。
まあ、すなわちAF性能や連写性能が高ければ良いカメラだ、
と言う訳でも無いのだ。
例えば、デジタル一眼第三世代の高性能機D300(第9回記事)
やEOS 7D(第10回記事)は、確かにカメラとしては非常に良く
出来ているのだが、使っていて楽しいとは感じない、あくまで
実用一辺倒であり、趣味撮影に持ち出す事はまず無い。
K-01の他の長所として、AUTOのままでISO100~25600を
カバーする広いレンジの感度調整機能がある。
これは、例えばトイレンズや、究極的には、f値が極めて暗い
ピンホールレンズ(f227相当等)を装着しても、そのまま
モニターを見ながら手持ち撮影でブレずに撮影できる、
おまけに、エフェクトもかけ放題だ、ピンホールではピントを
合わせる必要が無いので、AF/MFが壊滅的なK-01でも何ら問題
なく使用できる(ミラーレス・マニアックス補足編第5回記事)
このあたりが、K-01の究極の「楽しい使い方」であろう。
ミラーレス機としての本機K-01の弱点だが、ピント性能の他に
少しだけ・・
まず、EVFが装着不能である事、ピーキング機能の精度や
視認性が悪い事、デジタルズーム・デジタルテレコン機能が
無い事、開放測光でありプレビュー専用ボタンも無い事、
スィングパノラマ、ピントずらし合成などの新機能が無い事、
背面モニターが固定式で可変アングルでは無い事、
レビュー再生時のJPEG解像度が出ていない事(バグ?)
まあ、それくらいであろうか。
ただ、これらはピント問題に比べて重欠点では無い、
本機に無い色々な特徴が必要であれば、それらの機能を搭載
している他の機種を使えば、それで良い訳だ。
さて、本機K-01に対応する銀塩名機であるが、本機は特殊機
であるから、当然そのようなカメラは存在しない。
なので、記事中でも話が出てきた、PENTAXの別系統のミラーレス
PENTAX Q7 (2013年)を紹介しておこう。
この超小型カメラは、本K-01の操作系に近いものもあり、
併用してもさほど違和感を感じない。
Q7の最大の特徴は、小型という訳ではなく、その多彩な
エフェクトおよび操作系である事は前述の通り。
センサーこそ小型なものの、カメラとしてのトータルの性能や
完成度は本機K-01より勝っている。
本記事では、これ以上のQ7についての詳しい説明は省略するが、
別シリーズ「ミラーレス・マニアックス」で多数登場している
カメラであるので、詳しくはそちらを参照されたし。
さて本機K-01の入手価格だが、2014年末頃に中古で約18000円
であった。中古の玉数は少なく、レア感からか、その後の相場は
下がっておらず、むしろ上昇傾向である。
ちなみに発売時の市場価格はレンズキットで7万円程であった。
最後に本機 PENTAX K-01 の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)
【基本・付加性能】★
【描写力・表現力】★★★★
【操作性・操作系】★★
【マニアック度 】★★★★☆
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★★★
【完成度(当時)】☆
【歴史的価値 】★★★★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.0点
非常にデコボコのある評価点だが、平均点はなぜか、ぴったりと
3点(標準的)となった。
まあ、カメラとしての出来は極めて悪い。
そもそもピントが合わなければ写真は撮れない訳だから、
その点だけとっても致命的に近い問題点だ。
よって、基本性能と完成度の評価は、本シリーズ史上、最低点と
なってしまっている。
だが、マニアックで、かつ使っていて楽しいカメラなのだ。
ユニークなデザインで、持っていて目立つところも面白い。
これらのポイントについては、他の一眼レフやミラーレス機の
追従を全く許さない。
恐らく後継機は無いであろうから、唯一のKマウントミラーレス機
として歴史的価値も極めて高い。
こういう個性やクセのあるカメラは個人的にはとても好みだ、
いずれ機会があれば、色違いの予備機を抑えておこうか、とも
思っている。
次回シリーズ記事に続く。