本シリーズでは所有しているデジタル一眼レフについて評価を
行っている。
第12回からはデジタル一眼「現行世代」として、2010年以降
に発売された機種について紹介している。
今回は2012年発売のSONY α65を取り上げる。
レンズは、SONY 85mm/f2.8 SAM (SAL85F28)を使用。
(ミラーレス・マニアックス補足編第6回参照)
このシステムで撮影した写真を交えながら、α65の特徴に
ついて紹介していこう。
2013年以降のSONYの「α」は、2系統の異なるマウントがある。
1)一眼レフ(A)マウント
ミノルタα-7000(1985年)より始まったAF/デジタル
一眼レフ用の、お馴染みのマウントだ。
コニカミノルタ時代を経てSONYがカメラ事業を継承(2006年)
以降も、αの名前とそのマウント仕様が引き継がれている。
ミノルタ時代からのレンズの互換性は高く、およそ30年前の古い
α用レンズでも、最新のSONY製一眼レフで問題無く使用できる。
2)ミラーレス(E)マウント
このマウントは、当初NEXシリーズ(3&5が2010年発売)から
スタートしたのだが、ブランディング戦略の分散を嫌ったのか?
あるいはNEXという名称展開に海外等で何か不都合があったのか?
2013年のα3000(国内未発売)より従来のNEXという型番を廃し、
ミラーレス機の型番も「α」に一本化されている。
国内ではフルサイズミラーレスのα7シリーズ(2013年末~)
を皮切りに、同α9シリーズ(2017年)
そして、α5000/6000シリーズ等の旧NEXと同等のAPS-C型
センサーのEマウント機が展開されている。
今回の記事は「A」マウント機のα65の話である。
なお、Aマウントαレンズは、マウントアダプター使用で
Eマウント機に装着可能だが、その逆は不可だ。
さらに、もう1つ「α」の型番ルールの話がある。
これは第7回記事α700の項でも述べたが、ミノルタ時代から
SONY時代に至る迄、カメラ型番の「7」は、新機能・新機軸を
搭載した革新的な機種に付けられるのが慣例となっていた。
その例はキリが無いが、
ミノルタ時代であれば、SR-7,X-7,X-700,α-7000,α-7等
コニミノ時代では、DiMAGE 7,α-7 Digital
SONY時代では、α700,α77,NEX-7,α7等である。
で、9は最高位機種(α-9000,α-9.α900,α99、α9等)
次いで、5,3,1が中級~エントリー機用の型番となっていた。
しかし本機α65における「6」は、ミノルタ時代では大変に
珍しく、X-600位しか記憶していない。
また「8」の機種はミノルタではα-8700i,α-807si等があった。
ミノルタ時代の6や8は、奇数番号が埋まってしまっている際に、
後継機等において補助的に展開したラインナップだと思われる
のだが、SONY時代では結構、偶数番台は使われている。
例えば「6」であれば、
Eマウントでは、NEX-6,α6000,α6300
Aマウントでは、本機α65,後継機α68がある。
SONY時代の型番ルールは、ミノルタの物を踏襲しているとは
言え、そこまでの厳密性はない模様で、さらに言えば
2010年代以降は一眼・ミラーレス混在期で、かつ市場が飽和
してしまっていて、旧来のように価格別でラインナップを組む
という訳にも行かなく、番号付けルールが崩れて来ている。
そして日進月歩のデジタル時代であるから、新機種の方が
番号が低くても性能が良いというケースも多々ある話だ。
よって、このあたりの型番ルールについては「だいたい」で
あると思っておくのが無難だ。
それと、2010年代後半からSONY Aマウント機はα77/99系
の高級機しか存在しておらず低価格機は無くなってしまっている。
前置きが長くなったが、本機α65である。
本機は型番から言えばSONY α77(2011年)のスペックダウン版
と言う事になる。
私はミノルタ系(SONY含む)のカメラを買う場合は、7番台を
買う事が、これまでの通例であった。7は流石に栄光の型番だ、
新機能等がふんだんに入っていて、気合が入った名機ばかりで
あったからだ。
それが何故、6番台のカメラを買う事になったか?といえば
少々話が長くなるのだが、2010年代に主にドラゴンボート競技
撮影用の「望遠母艦」の一眼レフを旧機種からリプレイスする
必要が生じた。
その際、主に使用するマウントは2つあって
1つがCANON EFであり、こちらはEOS 20D→30D→7Dと
順次リプイレイス済み。ただ、EOS 7Dは第10回記事でも
書いたが、若干重く、より軽量なシステムを必要としていた。
もう1つのマウントはαであり、こちらはα-7 Digital→
α700と引き継いで来たのだが、α700の超晴天時での発色が、
どうも気に入らず、またAWBの不安定さもあって、現行世代
(2010年以降)のαにリプレイスする必要性を感じていた。
2010年に発売されたα55は、SONY現行世代の一眼レフであるが
これは従来のデジタル一眼レフとはかなり構造が異なる。
一応「レフ」でありミラーがあるが、半透明固定式ミラーであり、
銀塩時代からあったペリクルミラー(例:EOS-RT,EOS-1N RS)
方式と類似だ。
α2ケタ機では光学ファインダーは搭載せず、EVFとなっている。
つまり、センサーの画像を直接見るライブビュー方式だ。
ある意味、ミラーはあるのだがミラーレス機の一種でもあり、
あえて言うならば一眼とミラーレスのハイブリッド機だ。
この革新的な機体に、何故か栄光の「7」は付かず、
α55となったのだが、翌2011年のα77で、やっと7番が出た。
私は、α77は「α700のリプレイス用に」と発売当初から注目
していたのだが、各部の操作時の反応がちょっと鈍重に感じる、
という弱点があり、即時の購入は保留した。買うならば時代が
過ぎて、すっかり中古価格が下がった頃にしようと思った訳だ。
その後2014年にはα77Ⅱが発売され、2015年にはⅡの中古も
市場に出始める。
「そろそろ旧機種α77を買うタイミングだな」と2016年にα77
を探し始めた、しかし何故かα77が中古市場に全く無い(汗)
ついこの間迄は、いくらでもあったし、しかも4万円程度で
買い頃の価格だったと記憶している。
ネット上に無く、実店舗を廻る事とした。大阪と京都の多数の
中古屋を巡ったが、やはり1台も無い。と言うか、現行世代の
α(2ケタ番号)の各機種も殆ど無いのだ。
おまけに、それはα全般に波及し、第三世代(2000年代後半)の
α3ケタ機の中古も品不足になっている。
原因は、中古市場で良くある「海外流出」を疑った。
国内中古市場で大量に余った旧機種等が、まとめて海外に輸出
される事は良くある。概ねそれは国内よりも高値で売れる
可能性がある機種のような場合だ。
または2016年はオリンピックイヤーだ、海外に対してブランド力
の高いSONY製品が、まとめて中古市場から一掃されたのかも
知れない。
インバウンドの「爆買い」が中古カメラ市場にまで及んでいる
事も疑った。通常の観光客ならば、それは無いかも知れないが、
例えば、中古カメラを日本と中国間で売買する事を生業として
いる中国人ブローカー(せどり)も個人的に知っている。
まあ、このあたりはあくまで推測だ、いちおう中古店に裏事情を
聞こうと試みたのだが、「さあ・・?」と、知ってから知らずか
情報は聞き出せなかった。
原因はともかく、中古市場に無いものは無い。
(注:2017年現在では流通が復活している)
これは困ったなあ・・と、ドラゴンボートのシーズンが近づいて
きた時点で、私は少々焦っていた。
丹念にウォッチしていると、たまたまα65の中古が1台出た。
すぐさま購入予約をして取り寄せて貰った。
α65に関しては完全にノーマークであった、「α77の廉価版」
程度の知識しか無く、その詳細なスペックは知らない(汗)
慌てて取説をダウンロードする、まあ、それを全部読めば
だいたいどんなカメラかは理解できる。
説明書を読む限りでは、α77と大きな差異は感じられない、
シャッター速度が1/4000秒止まり、1ダイヤル操作系な事、
連写性能が秒12コマから秒10コマにダウン、測距点数が減った事、
そしてAUTO ISOの高感度側設定に制限がある事、さらに、
背面の自在アングルモニターの構造が少し異なる点だ。
ただ、これらはたいした差ではなく「問題無し」と言える。
それでいて本体重量が658g→543gと、α77より100g以上も
軽量化されているのは好ましい。
そして良く見ると、Eマウントミラース機 NEX-7 (2012年)
と共通のスペックが多く見られる、NEX-7は既に長期間使用
しており、個人的には高く評価しているカメラだ、
そうであればα65で何ら問題ない、すぐさま購入しよう。
実際に手にしたα65は小さく軽く、なかなか良い。
超望遠ズーム(例:TAMRON 200-500mm)を装着した際の
バランスはレンズヘビーとなるが、重心を意識すれば問題無し。
トータルの重量も装備状態で2kgを軽く切り、EOS 7Dと他の
望遠の場合の2.3kgと比べて格段に軽量だ。
一応各部動作が問題ない事を確認、ファームウェアが最新で
ある事も確認、カスタム設定も全て行った。
あとは実用性能だな・・ここは、もう直接実戦で確かめよう。
ドラゴンボート大会撮影に、ぶっつけ本番で持ち出す。
一応、万が一の初期故障に備えロングズーム機を予備に持って
いき、保険をかけておく。
実用性は極めて快適だ、上下の2枚の写真は冒頭のSAM85/2.8
ではなくTAMRON 200-500/5-6.3(A08)での撮影だ。
(ミラーレス・マニアック第65回記事)
さて、α65の基本スペックと特徴であるが、
撮像素子はAPS-CサイズCMOS 2430万画素
手ブレ補正内蔵、ゴミ取り機能つき。
ファインダーは236万ドットEVF、視野率100%でNEX-7と同じだ、
この解像度であれば、ピーキング機能とあいまって、EVFのみで
MF操作も問題は無い。
AF方式は「トランスルーセント」(半透過)ミラーによる
位相差方式。これはコントラストAFより遥かに精度が高い。
連写性能は、連続撮影優先で秒10コマ、高速で秒8コマ、低速で
秒3コマと、全く文句のない性能。ただし、実際の使用上では
秒8コマや10コマでは速すぎて、後の選別編集で時間がかかる。
その「編集コスト」を考えると秒5コマ程度の設定も欲しい。
(又はニコン機のように低速時のコマ数を設定可能とする等)
なお、連続撮影優先モードにすると、エフェクト不可等、
少しだけ機能制限が出てくる。
最大連写枚数は画質設定条件で異なるが最大18枚位と物足りない、
せっかくの高速連写機、他社機のように「無制限に撮れる」位の
スペックが欲しい所。なお、同一の回路構成と思われる上位機
α77やミラーレス機NEX-7も、ほぼ同様のスペックである。
最高シャッター速度は、1/4000秒と物足りない、
ここがα77(1/8000秒)との最大の仕様的差異であろう。
大口径レンズ使用の場合には、NDフィルターが必須となる。
なお、さしもの高機能なα65でも、デジタルNDフィルターは
搭載されていない。
測距点は15点、中央部と左右に分離されていて変な並びだ。
いくつかのエリア設定やAFモードを選べるが、ミノルタα時代
からの伝統のDMF機能(第7回記事参照)は非搭載だ。
同様に銀塩αからα700頃まであったグリップセンサーも非搭載。
この時代(2010年代)なんだか、やっとSONYがミノルタ時代からの
呪縛から逃れて、独自のデジタル一眼レフを作れるようになって
きたように思える。
ISO感度は100~16000。これはα77やNEX-7と同じ、
ただし本機のAUTO ISOは100~1600の範囲でしか使えない。
(α77は範囲設定可能で、最大100~12800)
何故こんな小さいところでスペックを差別化しているのか
わからないが、元々SONYのカメラは高感度領域については厳しい
仕様としている場合が多く(第7回記事参照)ビギナーが安易に
AUTO ISOで高感度域を使って「ノイズが多い」という評判が
立つ事を嫌っているのかも知れない。
なお、NIKON機やPENTAX機のように、M/TAV露出モードでISOが
露出値に自動追従する機能は無く、それどころかα65では
M露出モードにするとAUTO ISOそのものが効かない。
まあ、いずれのケースても手動ISOで使えば問題は無いが・・
発色や絵作りだが、まず、発色についてはα700(2007年)
の時代からかなり改善されている。
もっとも、この点に関して言えば、2008年位に「断層」があって、
その後のデジタルカメラは各社ともに発色が向上している。
この事実を持って、本シリーズ記事では「第三世代」を、
発色が良くなった時代として区分しているのだ。
絵作りに関しては、前記事第12回のPENTAX K-5と同様に、
「ピクチャーエフェクト」機能が存在している。
その内容は、トイカメラ、レトロフォト、ソフトハイキー、
絵画調HDR、リッチトーンモノクロ、ミニュチュア等多数。
α77やNEX-7とほぼ同等だ。
これらのエフェクトは、十字キーの下ボタンで即時呼び出せ、
操作性には優れている。
なお、HDRとリッチトーンは複数枚撮影による階調合成を伴う
ので、連写等が出来ない他、撮影前の効果確認もできないし、
撮影後の画像処理も極めて時間がかかる。
また、ミニュチュアはNEX-7では所定の位置をスイートスポット
とするいくつかの設定を選ぶ形だが、本α65では十字キーで
効果位置を変更でき、エフェクト選択操作系が向上している。
エフェクトに加え「クリエィティブスタイル」が設定できる、
こちらは、ビビッド、白黒等のモードが指定可能だ。
なお、彩度、コントラスト、シャープネス設定は、全体に
掛かるのではなく、クリエィティブスタイル毎に設定する。
いずれにしても、PENTAX K-5や他の一眼レフのエフェクトと
大きく異なる点は、本機ではミラーレス機同様のEVFによる
ライブビューなので、撮影前に効果が確認できるという事だ。
光学ファインダー機ではこうは行かない。
ミラーレス・マニアックスのシリーズでも良く書いていたが、
これはEVF機(ライブビュー機)の大きなメリットだ。
ただ、本α65ではSONYのミラーレス機やアダプター使用時の
ような絞り込み(実絞り)測光ではなく、Aマウントレンズ使用
の場合は開放測光となる。
この為、絞りプレビュー操作を行わないと、被写界深度は
確認が出来ない。これは一眼レフの操作概念に合わせてあるから
だろうが、ミラーレス機に合わせてもよかったかも知れない。
すなわち、ミラーレス機NEX-7等では純正Eマウントレンズでも、
絞込み測光なので、絞り値を変更してもプレビュー操作無しで
そのまま被写界深度やボケ質が確認できる、という意味だ。
なおNEX-3等にあった、単に”絞り値を変更するだけの操作”を
「背景ぼかし」と称する不正確な用語表現は無くなった。
さすがに本機は一眼レフである、ちゃんと「絞り優先」モード
の項目には「絞り値を変更し、被写界深度を変える」といった
主旨の説明が書かれている。
まあこれが当然であろう、新しい用語を変に作って混乱させる
ような事は好ましくないし、そもそもビギナーがNEX-3に標準
ズームをつけて中距離被写体を平面的に撮る状況では、絞り値
を変えても被写界深度の変化の効果は殆ど出ない事であろう。
その際に「何故、背景ぼかしを廻しても背景がボケないのだ?」
とクレームが出て困るのは、メーカー側の方ではなかろうか・・
記録メディアは、SDとメモリースティック(MS)(Pro Duo)
の共用スロット。
なお、記録画素数だが、まず3:2と16:9のアスペクトが選べ
3対2の時には、Lが24M、Mが12M、Sが6Mとなっている、
これは同じセンサーを用いるNEX-7等も同等であるが、
最低画素数が600万画素というのは、やや大きすぎると思う、
用途によっては、もっと小さい画素数で十分な場合もあるのだ、
まあ、最大記録画素数が2400万画素と大きいので、その半分、
半分となるのが普通なので、やむを得ないかも知れない。
それから、画素数は後述の「デジタルテレコン」機能に影響する。
なお、JPEGの圧縮率は計算上適正だ、初期のNEXのように
圧縮率の設定にバグがあって、計算値よりも2倍程ファイルサイズ
が大きくなる欠陥は解消されている。
「スマートテレコンバーター」という機能が搭載されている、
SONYで言う「スマート」とは、デジタルズーム等の拡大機能の際
画像処理ではなく、記録画素数を減らして拡大しているのと
同様な効果を得る事である。
この機能は画質が劣化しない事がメリットであるが、PC上で
トリミングをしているのとほぼ同じ意味である。
その為、テレコン1.4倍では記録画素素がM(12M)に、2倍では
S(6M)に自動的に制限されてしまう。画素数が変わるという事を
認識した上で使うのが良いであろう。
まあ、後でトリミングする手間が省けるのと撮影時に作画したい
構図が得られている事、また、やや高度だがテレコンで画面内の
輝度分布が変わるので露出補正操作が少なくて済む事、などが
メリットだと思う。
ドラゴンボート競技の撮影では、この機能は非常に重宝する。
内蔵手ブレ補正は恐らく変化した画角に追従していると思われる
が、超望遠域では手ブレに十分注意する必要がある。
特に本機のAUTO ISOは1600までしか上がらないので、
1000mm相当とかの超望遠域では確実にシャッター速度が不足する。
手動ISOでシャッター速度を確認しつつ本機能を用いる必要があり、
上級者向けだ。
なお、テレコン機能は、手ブレ補正と連動しないのであれば、
連続可変型(デジタルズーム型)に出来たかも知れない。
例えばLUMIX DMC-G5/G6(注:内蔵手ブレ補正機能は無い)
では、カメラ前部の操作子にデジタルズーム機能を割り振れる。
これは極めて快適な操作系となるのだが、2倍までの拡大率を期待
すると、本α65と同様のトリミング原理から最大画素数の4分の1、
すなわちG5/G6での最小画素数に設定しておく必要があるので、
高画素数が必要で無い場合のみ有効だ。
ちなみに、内蔵手ブレ補正を持つDMC-GX7でアダプター使用時に
この機能を用いると、とたんに手ブレ補正が正常に動作しなくなる。
まあ、見かけの焦点距離が変化するので補正角度も変化するから
原理上はやむを得ない。で、本α65にように純正レンズにおいて
テレコン程度であれば、内蔵手ブレ補正は追従可能という事だ。
それから、本機α65と同じ中身のNEX-7では、やはり内蔵手ブレ
補正機能を持たず、その為「プレシジョン・デジタルズーム」の
搭載が可能となっている、これは計算(画像処理)により画像を
拡大するデジタルズームで、原理的に画質劣化を伴う。
しかし、最大10倍まで連続可変できるのは大きな魅力であり、
100mmくらいの焦点距離の中望遠レンズをつけておけば、
実質手持ち限界の1500mm相当位まで一気に連続拡大ができる、
ただ画質劣化があるので実用上では4倍拡大前後までが限界値だ。
なお、NEX-7にスマートテレコンバーター機能は搭載されていない。
動画撮影が出来るが、AVCHD規格なので他社互換性が少ない。
メニュー操作系は優れていて、おまけにEVF機であるから、
EVF内に簡易コントロールパネルが表示され、カメラの基本設定
等の操作が出来てしまう。ファインダーを覗いたままで多くの
設定操作が可能な事は多大なメリットだ。
モニターは92万ドットの自由可変型、α77より若干構造が
簡略化されているが、まあ、動く事は同じなので問題は無い。
それと、ここはちょっと脆い構造と思われるので、モニターを
浮かしたままで撮影するのは、過酷な撮影状況においては
ぶつけて壊すなど、かなりリスキーだ。
ここは、α77でも同様であり、業務用途の撮影向けではない、
他社機では業務用の高級機が固定モニターになっている場合が
あり、それはこの破損リスク低減の為だと思われる。
なので、上記EVF内で殆どのカメラ設定が出来る事を活用し
背面モニターは裏返して収納位置で撮影を続ける事も可能だ。
こうすると、破損リスクが無い他、背面モニターをぶつけて
傷をつける事も無い(自動再生はEVF内で出来る)
バッテリーは例のインフォリチウム型で、これは互換バッテリー
が使えず、好みで無い、とSONY機の記事では毎回書いている。
その他色々あるが、概ね高機能・高性能機であると言えよう。
本機の最大の長所であるが、一眼レフとミラーレスの
「良い所取り」であろう、それゆえの高性能・高機能は実用上の
不満は殆ど無い。
逆にそれが短所にもなりうる、例えば本α65を購入する中級
ユーザー層が、本機の全ての機能を使いこなせるであろうか?
まずそれは無理だ、仮に上級者と言えども、この内容を全て
理解し、必要に応じて使いこなすのは困難だと思われる。
この点、前記事のK-5と似たり寄ったりだ、現行世代(2010年代)
の一眼は、過剰な位の高機能となっている。そのK-5の記事では、
基本スペックの話が大半となってしまって、独自の視点の評価が
出来なかった事を反省したが、今回も同様だ。つまり機能が
多すぎて、きりが無いのだ(汗)
機能が多いので「?」ボタン(HELP機能)が存在する、ただし
これが不要な場合でも、?ボタンに他の機能をアサインできない。
ここは、かなり不満だ(α77も同様か?)
また、1ダイヤル操作系で、前ダイヤルかつ露出補正ボタンが
前にあり、露出補正操作がやりにくいのは難点だ。
他の弱点だが、開放測光である点は一眼レフであると思えば
当然だが、ミラーレスもどき、と考えれば少々不満である。
NEXのように絞込み(実絞り)測光とすれば、ボケ量、ボケ質の
確認も出来た筈。
その他に大きな弱点は無い、非常に良く出来たカメラである。
本機があまり評価され無いのは、優秀な兄貴のα77の存在で
あろう。だとすれば、かなり勿体無い話だ・・
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さて、本機 α65に対応する銀塩名機であるが、
ランクを超えた高性能機として α-SweetⅡ(2001年)
を上げておこう。
ミノルタ最終期の銀塩AF一眼、当時のミノルタの価格別
ラインナップは多少崩れてはいたが、エントリークラスながら、
中級機をも上回るスペックの、超軽量スーパーサブ機だ。
私はデジタル時代になってからも、α-7/9のサブ機として
2000年代半ばまで使い続けた。
本機α65と同様、派手で優れた「7番台」の兄貴分の影に隠れて
目立たなかったが、決してあなどれない名機である。
さて本機α65入手価格だが、2016年に中古で約32000円であった。
少々高目ではあったがαの品不足もあってやむを得なかった。
が、性能からすると納得がいく価格だ。
最後にSONY α65 の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)
【基本・付加性能】★★★★
【描写力・表現力】★★★☆
【操作性・操作系】★★★☆
【マニアック度 】★★★☆
【エンジョイ度 】★★★★
【購入時コスパ 】★★★
【完成度(当時)】★★★★
【歴史的価値 】★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
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【総合点(平均)】3.4点
特殊な構造で、一眼レフとミラーレスのハイブリッド機とも
言えるカメラであるが、小型化した割りに基本性能をさほど
犠牲にしておらず、トータルの完成度が高い。
α77やNEX-7譲りの優れたバックボーンを持ち、高機能であるが、
NEX-7ほど複雑化せず、誰にでも使いやすいカメラになっている、
勿論、高機能を活用する事で、これまでの一眼レフでは
考えられ無かった新しい撮り方も出来る。
全体的に殆ど不満が無く、本機α65は、隠れた名機とも言えよう。
次回シリーズ記事に続く。