本シリーズでは、所有している古いデジタル一眼レフについて
評価を行っているのだが、今回第11回目は番外編だ。
本来、第9回から第10回目迄は、デジタル一眼「第三世代」の
2007末~2009年の間に発売された機種について紹介していた。
既にこの時代の一眼レフはNIKON D300とEOS 7Dという
その時代を代表する2機種について紹介している。
だが、この時代、一眼レフよりも、もっと歴史的な価値のある
カメラが発売されている、
それが今回紹介の初のミラーレス(マイクロフォーサーズ)機
であるPANASONIC DMC-G1(2008年末)だ。
今回は番外編として本機を選んだ。
なお、使用レンズはKONICA HEXANON AR 57mm/f.14を
アダプターを介して装着している、本機とこのレンズで撮った
写真を交えながら紹介していこう。
ミラーレス機は、デジタル一眼レフにあった「ミラー」が無い、
よって「レフレックス」では無い。
レフレックスだが、一眼レフの事を英語では、
Single Lens Reflex(SLR)と呼び、すなわちミラーにより、
光路を反射(レフレックス)させている、という事だ。
今からおよそ60年ほど前から一般的になった一眼レフでは、
レンズ交換をしても光学ファインダーにより、レンズで見た
ままの画像がわかるという大きな長所があった。
それまで主流のレンジファインダー機では、レンズ交換が
出来たとしても、ファインダーは別光学系統なので、そこに
映る画角等は、いつも同じだった。
しかも別系統のファインダーではレンズのボケ量等の確認も
出来ない。
一眼レフに何故ミラーがあるかといえば、これは構造的な
理由で、ファインダーを見て構図やピントを確認したら、
シャッターを切って撮影する際には、そのミラーが上がって、
光はそのまま直進し、その後にあるフィルムに写る仕組み
であるからだ。
さらに約30年経ち、1980年代後半からのAF一眼レフの時代に
なると、ミラーにはもう1つの重要な役割が出てくる。
それは、ミラーで光路分割し、光の一部をAFセンサーに廻して
そこでピントを判定しながらレンズをモーターで廻してピント
を合わせるというオートフォーカス機構の実現だ。
それが「位相差AF」の仕組みであった。
AF一眼レフ時代が始まっておよそ20年の2000年代、
このあたりで位相差センサーを使わない「コントラストAF」の
仕組みが実用的になってきた、これは撮像素子に写る画像を
直接解析して、ピントが合っているかどうかを判断する技術だ。
つまり位相差AFセンサーが無くとも、ピント合わせが可能と
なる。という意味である。
で、従来の位相差AFセンサーでは、画面の特定の位置に測距点
と呼ばれるセンサー群を配置する。
それは最初期の1980年代のAF一眼レフでは中央1点のみであった
のが、その後3,5,7,9点と増えていき、デジタル一眼レフの
時代になってからも11,19,51,61,153点のように、際限なく
増えていった。
だが、いくら測距点の数が増えても、それらの位置が固定で
ある事は変わらない。
ところが、コントラストAFでは画面上の任意の位置でピント
合わせが出来るようになる。ただし、どの位置でピントを検出
するかは何らかの方法で指定してやらないとならないし、かつ、
ピント検出の速度も精度も高くは無い。
で、2000年代後半の時代においても「ライブビュー」機能を
搭載している機種が登場し始めていた。
これらは一眼レフでありながら、光学ファインダーを覗かなく
ても、背面モニターに写る画像を見ながら撮影を可能とする
ものであり、コントラストAFの技術が使われていた。
しかし、2000年代後半の「ライブビュー」は、
1:コントラストAFでは精度も速度も低い
2:背面モニターの解像度は、23万~46万ドットと低く、
ピントやボケを確認できない
3:明るい場所等では背面モニターの画像が見え難い
4:両手を前に出してカメラを持つ為、手ブレを誘発する
5:そもそも、光学ファインダーがあるのに、何の為に
(固定式)背面モニターを使って撮影する必要があるのか?
(注:可動式モニターであればローアングル撮影等が可能)
という数々の問題点があり、私は、絶対と言っていいほど
ライブビュー機能は使わなかった。
(ちなみに、後年のカメラでは、ライブビュー撮影を一時中断
して位相差AFでピント合わせる機種もある)
だが、ライブビューにもメリットは存在する
A:画面内の任意位置でAFのピント合わせができる
B:露出補正、ホワイトバランス等の設定による画像の変化が、
そのままライブビュー画面に反映される
C:レンズのf値が大きくてもライブビュー画像は暗くならない
D:絞りを絞った場合等での被写界深度等の変化が
(解像度は低いが)ライブビュー画像に反映される
そして、コントラスト検出方式、あるいはライブビューの
メリットを生かそうとすれば、背面モニターではなく、
高精細なEVFを用いれば良い。
そうすれば、前記デメリットの1番の、ピント精度・速度
以外の全ての短所は解消され、長所だけが残る。
で、この時代以前にもEVFの技術は既に存在していた、
例えば、別シリーズ「コンパクト・デジタル・クラッシックス」
では、第1回記事でDiMage A2(2004年)を紹介しているが、
そのカメラには既に92万ドット(640x480x3色)のEVFが
搭載されていたし、2000年代後半の技術水準では144万ドット
(800x600x3色)EVFが利用できる状態にあった。
その解像度であれば、ピント確認の目的には十分であろう。
ならば、いっそ(コントラスト)AFを用いず、MFを主体と
すれば、何一つ欠点が無く、長所だけを生かせるライブビュー
システムが完成するではないか。
そんな時代背景の中、2008年にパナソニックとオリンパス
を主体として「マイクロフォーサーズ規格」が提唱される。
第8回のOLYMPUS E-410の記事でも書いたが、この時代、
フォーサーズ陣営(つまりOLYMPUSとPANASONIC)のカメラは
他社に比べ後発で、商業的に苦しい状況にあった。
だから何らかの方針転換が必要であったのかも知れないが、
その際、フォーサーズ機での長所の1つに、Live MOSセンサー
を用いたライブビュー機能があった。
(2006年のOLYMPUS E-330に初搭載)
時代、技術、商売、それらの様々な要因がかみ合って
「ミラーレス機」の構想が出来上がったのだと思う。
ここで前述の「レフレックス」の話に戻るが、ミラーレス機は、
一眼ではあるがレフ(レックス)ではない。
その為「ミラーレス一眼」は正しいが、「ミラーレス一眼レフ」
という呼び名は矛盾していて誤用なので要注意だ。
ミラーレスという言葉の定義が曖昧であったので、2010年代に
カメラ業界の一部では「ノンレフレックス・カメラ」という
名称を提唱したのであるが、それはあまり浸透していない。
それと、ライブビューが「MFで使うならば最強」という点で
あるが、この話は、直接的には一般に公表される事はなかった。
マイクロフォーサーズ規格の提唱は、2008年夏頃であり、
その内容は、ネットの記事等でも公開されていたのだが、
フォーサーズ規格からの変更点、すなわち、フランジバック長、
マウント径、電子接点数の増加、そのあたりの技術的仕様の
話に終始していたと思う。
私も、いくつかの記事でその技術内容を目にして、
当初は以下のように思った
「なんだか、しょーもない規格だ、フォーサーズ規格から、
若干仕様変更しただけじゃないか。
監視カメラのCマウントをCSマウントに変えたような物だ。
まあ、バックフォーカスが短くなれば、交換レンズの小型化
にはメリットがあるかも知れないが、それ位か?
で、そもそもコントラストAFオンリーでは、ピントなど
合う筈も無いじゃあないか、こりゃあ失敗は明白だな!」
この時点で私は、フランジバックを短くする事により、
「ありとあらゆるマウントアダプターが使用できるようになる」
事については完全に見落としていた(汗)
まあ規格の発表会でも、まさか「μ4/3純正レンズを使わずに、
そうした使い方がある」等とは一言も言うことができなかった
のだろう、もしそんな事を発表してしまったら、
何の為の新規格か?と大騒ぎになる。
そして、そういう「裏の利点」がある事は、規格を決める
時点では、技術者達は承知していただろうが、それを直接
言ってしまったら、上層部がそれでは納得しない。
「我が社のレンズが売れないなんて、そんなもの許可できるか!」
と言われるのは間違いない。
多分、上層部の耳に入らないようにしたのであろう(汗)
まあ、これは技術者的な確信犯だ、つまり、
「偉い人には、それがわからんのです」という例のアレだ(笑)
で、規格発表の僅か数ヶ月後に出てきた、DMC-G1に、
私はちょっと驚いた。
まず「こんなに速くカメラが開発できるのだろうか?」
という点だ、これも絶対に無理であろう、想像だが、かなり
早くから試作をしていたのに違いない、だとすれば、ここも
確信犯だ。
つまり「こんなものを作ってみました」という既成事実から
強引に「企画」を通し、さらには「規格」まで作ってしまった
可能性もある。
そして、ボディに赤や青の色があった事も驚いた。
色つきボディは当時珍しく、多くのベテランやマニア層は、
それを見ただけで「軟弱なカメラだ」とゲンナリしてしまって
いた事であろう(この為”女流一眼”というキャッチコピーで
反対意見を抑えた)
現代ではカラーボディは、ごく当たり前であるが、
その当時ではまだ常識外れであったのだ。
私もまた、様々な状況にがっかりしながらも、新しい規格
(マウント)は、やはり気になる。が、依然、アダプターの
件は想像すらしておらず、私は別の部分に興味を持っていた。
匠「ミラーが無ければ、無音撮影が出来るのではないか?」
完全無音撮影が出来るのであれば、それはそれで大きなメリット
となる。結婚式や音楽ライブ等で「シャッター音がうるさい」
と何度も言われた事があるので、その機能を持つだけでも
買う価値があるカメラとなる。
量販店で、発売されたばかりのDMC-G1を触ってみた。
匠「なんだ、シャッター音が結構するではないか!」
ミラー音は聞こえないが、メカシャッター音は依然残っており、
DMC-G1には電子シャッター機能は無いので、完全無音撮影は
無理な様子だ。
私は、その後数ヶ月程はDMC-G1の事を完全に忘れていた。
いや「まるで興味が無かった」とも言えるであろう。
だが、その頃からμ4/3用マウントアダプターが色々と発売
され始めたのであった。
匠「しまった、そういう話だったのか! 見落としていた!」
ここにきて遅れ馳せながら、初めてμ4/3機の本当の使い方を
瞬時に理解した。
つまり「全てマウントアダプターにして、オールドレンズを
MFで使えば良いじゃあないか!」という事である。
ちょうどその頃、パナソニックを訪れ、DMC-G1の開発陣と話を
する機会に恵まれた。私は、それ以前のパナソニックのカメラ
はコンパクト機が主流で、全てOEM開発であると思っていて、
同社のカメラ技術に何も期待はしていなかったし、
4/3がμ4/3になっても同じであろう、と思っていた。
だが、実際に開発陣の技術者達と話をして仰天した。
恐ろしくカメラの事に精通している開発陣であったのだ。
何故こんなに優秀な開発陣が、これまでまともなカメラを作って
いなかったメーカーに居るのだ?と私は思ったが、想像するに、
この数年前に、いくつかの大きなカメラメーカーがカメラ
事業から撤退していたのだ。
私は、彼等開発陣の優秀な技術を信じる事にした。
対談の直後にDMC-G1の中古(赤)を探し、これを購入した。
そして、さらに1年後に同機の「青」を中古購入した。
ただし、当初はμ4/3用純正AFレンズは購入しなかった、
その代わり、できるだけ多くのマウントアダプターを購入する
事にして手持ちのオールドレンズ、特にデジタル時代に入って
から殆ど使用する事ができなかった、コニカAR、ミノルタMD、
キヤノンFD等のレアなマウントのレンズを主力で使う事にした。
これで「アダプター母艦DMC-G1」の出来上がりである。
で、アダプター母艦としてのDMC-G1の性能は満足するべき
ものであった。
例えばそのMF操作系だ、
DMC-G1は1ダイヤル機なので、μ4/3純正AFレンズを用いた場合、
絞り値と露出補正の同時設定ができない、よって、ダイヤルを
プッシュして、絞り制御、露出補正制御を切り替える。
プッシュで切り替える事自体も悪くないが、実はもっと凄い。
マウントアダプターを装着した場合、つまり純正レンズで無い
場合、このダイヤルは自動的に「露出補正専用」となる。
これは極めて便利だ、オールドレンズは、ほぼ全て絞り環が
付いているので、ダイヤルでの絞り操作は不要なのだ。
さらに、純正AFレンズの場合、十字キーの左はAFフレームの
変更に使われるのだが、アダプター使用時は、左キーは
自動的に画面拡大(MFアシスト)ボタンとなり、十字キーに
指を置いたままで拡大する位置の変更操作が自在だ。
私はニヤリとした
匠「これは完全な確信犯だな、最初からマウントアダプターを
使った際に最適な操作系になるように設計されている!」
本シリーズ記事では「一眼レフの操作系が練れていない」
という話は極めて良く出てくる、そして
「何故、そうしたNGな操作系のまま、カメラが市場に出てしまう
のか?誰もチェックしていないのか?」とも良く書いていた。
しかし今回、その事をむしろありがたく思った。
もし「ユーザーインターフェース検討会議」のようなものが
メーカー内にあり、製品を発売する前に、重箱の隅をつつく
ように、細かい部分をネチネチと調べて検討する会議が
あったとしよう、
そこでは恐らく、上記のような操作系は批判の対象だ。
例えば、うるさそうな調査担当者から
担「何故、我が社のレンズを使わない時に便利にするのかね?
むしろ、アダプター等は使えないようにしてしまえ!」
といった意見が出てもおかしくない。
事実、この時代より後に発売されたいくつかのミラーレス機
では、純正AFレンズでは、十字キーや各ボタンに予め配置
されていた各機能が問題なく使えるが、アダプターを使った
場合は、それらのボタン機能が完全に遊んでしまうとか、
あるいはアダプター使用時に、絞り値変更ダイヤルが遊んで
しまい、露出補正の為には一々露出補正ボタンを押す必要が
あるなど、使い難くなっていたケースも多々ある。
あるいはデジタルズームや収差補正等、ピーキング等の
便利機能も、自社製純正レンズで無いと使え無くしてしまう
場合も多くあった。
が、DMC-G1ではアダプター使用時にも、無駄な遊びボタンは
1つも無い、おまけに、それは純正レンズを使用しない場合にも、
何ら設定変更をする必要が無く、自動的に切り替わるのだ。
まあ自社のレンズを使ってもらう為には、他社のモノに意地悪を
する、という事は(賛同はできないが)わからない話でもない。
だが、DMC-G1では、何故こんな太っ腹な処置をするのだろうか?
・・まあそれは、マニア心が良くわかっているからであろう。
アダプターで色々なレンズが使える、という噂はマニアの間で
あっという間に広がるであろう。事実、その通りになったし、
ミラーレス機の市場は、その事に陰ながら支えられている。
この傾向は「第二次中古(レンズ)ブーム」を10数年ぶりに
引き起こし、近年のフルサイズ・ミラーレス機による
オールドレンズブームにも繋がってきている。
第一次中古カメラブーム(1990年代後半)を知らない、
新たなマニア層も増えていると聞く。
中古市場が活性化すれば、黙っていても、新品ボディは勿論、
新品純正AFレンズも売れるのだ、たとえマニアとは言え、
オールドレンズばかり使っている訳ではないからだ。
ここまでは大成功であっただろう、ただ1つだけ、ちょっとした
誤算があったのは、マニア層においては、μ4/3の「画角2倍」
という点が少しだけひっかかっていたのだ。
たとえば、オールドの焦点距離35mmレンズを使う、
「35mmはスナップ用レンズだ」そんな風に思い込むマニア層も
依然多いであろう。だがμ4/3では、それは70mm相当の画角の
レンズとなってしまう。
「望遠レンズがより望遠になる」とかいったメリットは
彼等にはあまり関係ない、マニアは基本的には28,35,50mm
というあたりのレンズ群を中心に保有しているのだ。
これは、レンジファインダー機(ライカ等)の主力レンズ群
であり、その事が心理的に影響しているのか、一眼レフ用でも
同様の焦点距離を重視する傾向がある。
105mmや135mmの中望遠マニア等は、あまり聞いた事が無い。
なので近年では、フルサイズミラーレスが大人気なのだ、
彼等は28mmや35mmのレンズを、そのままの焦点距離で使いたい
と言う。実は、フルサイズにするデメリットも多々あるのだが、
他の記事でも色々書いたと思うので、今回は割愛しよう。
そして、一部の初級マニア層では「センサーサイズが大きく
画素数が多い方が、良いカメラに決まっている」という
考え方も、依然残っている模様だ。
まあ、そういう事もあって、マイクロフォーサーズ機の
ブームは比較的短期間で沈静化してしまった。
「一般ユーザーは見る目が無いなあ」と、私は思ったのだが、
でも、その事は私にとって逆に大きなメリットとなった。
つまり、μ4/3機あるいはフルサイズでないミラーレス機の
中古相場が恐ろしい速さで下落する事だ。
ほんの2年ほど前のモデルが、すでに新しい機種が発売されて
いる為、「型遅れ」となり捨て値同然での販売となる。
これら型遅れ品を順次購入していけば、最新機種でこそないが、
常に比較的新しい機能を持つカメラを極めて安価に入手する
事ができるのだ、これは「コスパ」的に言えば最善であろう。
このようにして、本ブログでの以前のシリーズ記事
「ミラーレス・マニアックス」のコンセプトに繋がった訳だ。
さて、本機DMC-G1の基本スペックであるが、
撮像素子は、4/3サイズ、Live MOS、1200万画素
手ブレ補正やダスト除去機能は内蔵されていない。
ISO感度は100~3200、この時代としては低いと思うが、
デジタルカメラの高感度化は、この数年後からの話だ。
絵作りは、やや古いが「フィルムモード」が搭載されていて、
「ダイナミック」や「バイブラント」は、そこそこ使える。
Dレンジ系機能として「インテリジェント暗部補正」がある。
測距点数は23点、ただ、これはコントラストAFなので、
本来は画面の何処にでも合わせられる。
1点AFモードにすると、AFエリアの位置と、その大きさ
(面積)を変更できる。
MFアシストは拡大のみで、ピーキングは無い。
純正AFレンズでMFアシストをONにしておくと、AF時でも
ピントリングを手動で廻せば、画面が5倍(または10倍)に
自動で拡大される。
アダプター使用時には、AFモード変更ボタンが
自動的にMFアシスト(手動拡大)に切り替わる。
ファインダー視野率は100%、カラー液晶144万ドットEVFだ。
このタイプはDMC-G5まで使われていたが、ピントの山は
まあまあ掴みやすい。
、
連写速度は毎秒3コマ、連続撮影可能枚数は7枚と貧弱だ。
記録メディアはSD系。
最高シャッター速度は1/4000秒、
フラッシュ内蔵で、シンクロ速度は1/160秒
電子シャッターは無く(搭載はG5以降)無音撮影は出来ない。
デジタルテレコン(x2,x4)が使える。
なお、この機能がある事に気づいたのは最近だ(汗)
「デジタルズーム(可変)機能があるのは、DMC-G2から」と
思い込んでいて、DMC-G1にテレコンが入っていた事に長い間
気がつかなかった。ただし連続可変式(デジタルズーム)では
無いので、画角変更の自由度は少なく、また、メニューの奥に
入っているので、とっさに必要な場合の操作系的にも使い難い。
(注:設定したメニューの学習機能があるのでカバー可能)
加えて単純拡大なので画質も劣化する。
動画撮影機能は無い。
バッテリーはちょっとややこしい、DMC-G1のファームアップを
あるバージョンまでで留めておくと他社互換バッテリーも
使えるが、それ以降のバージョンアップを行うと、
純正バッテリーしか使えなくなる。
なお、バッテリーは小型軽量μ4/3機 DMC-GF1(2009年)と
同じだ。
背面モニターは、3型46万ドット、自由アングル方式、
この時代に自由アングル方式のモニターは珍しい、
一般的には固定か、良くて上下ティルト方式だ。
自由アングルは、縦位置ローアングル撮影に威力を発揮する。
なお、46万ドットであるので、上記画面拡大機能を併用すれば、
モニターを見てのMFピント合わせも、なんとか可能である。
まあ、基本性能はこんなものであるが、センサー廻りや
ドライブ(連写等)性能は「第二世代」(2006~2007年)以前
の古いデジタル一眼と同レベルであり、従来の4/3機、例えば
第8回記事のOLYMPUS E-410(2007年)とも大差無い。
基本スペックだけを見て一眼レフと比較してしまうと
「かなり遅れている」という印象があるのだが、ミラーレス機
ならではの様々な新しい機能が搭載されていて、古さを感じ
させず、操作系の良さ、そして自由アングルモニターや
カラーボディといった目新しさもあり、むしろ新規性が高い
ように思える。
ミラーレス機という、まったく新しい分野に参入した1号機と
しては、完成度はかなり高く、歴史的な名機と言えよう。
さて、DMC-G1に対応する銀塩名機であるが、勿論それは無い、
そこで、この時代の、もう1つの「歴史的な機種」
RICOH GXR(2009年)をあげておこう。
装着ユニットはA12 28mm/f2.5だ。
このカメラについても、さんざん「ミラーレス・マニアックス」
シリーズ記事で紹介しているので詳細は割愛する。
ともかく、現代の感覚では「ふざけるな!」と言うくらいに
ピントが合わないシステムであるが、万が一(笑)ピントが
合った場合の描写力は圧倒的なものがある。
現在2017年には、すでに絶滅してしまったシステムであるが
歴史的価値は、本記事のDMC-G1と同様に非常に高い。
さて、本機DMC-G1の価格だが、2009年頃に中古で約29000円
であった、ちなみに発売時の市場価格も8万円程と安価だ。
最後に本機 PANASONIC DMC-G1の総合評価をしてみよう。
(評価項目の意味・定義は第1回記事参照)
【基本・付加性能】★★☆
【描写力・表現力】★★★
【操作性・操作系】★★★★☆
【マニアック度 】★★★
【エンジョイ度 】★★★★☆
【購入時コスパ 】★★★
【完成度(当時)】★★★★
【歴史的価値 】★★★★★
★は1点、☆は0.5点 5点満点
----
【総合点(平均)】3.7点
歴史的な価値が高い事は勿論、操作系にも優れ、完成度も高い
かつ価格もそう高くは無い。
どんなマウントのアダプターでも使えて、オールドレンズ母艦
として遊ぶのに最適のカメラであり、エンジョイ度も高い。
ちなみに、この得点は本シリーズ記事での、これまでの
各一眼レフのどれよりも高く、過去最高評価である。
ミラーレス機として、歴史的な名機である事は間違いない。
次回シリーズ記事に続く。