中古ミラーレス機にマニアックなレンズを組み合わせて
コスパの良いアダプター遊びを楽しむシリーズ、第52弾。
まず、このシステムから、
カメラは SONY NEX-3
レンズは、TAMRON SP AF 10-24mm/f3.5-4.5 DiⅡ (B001)
2009年発売のAF超広角ズーム、これはαマウント版だ。
APS-C機専用レンズであり、換算画角は15~36mm相当となる。
NEX-3に装着しているのは、NEX-3がMF性能に弱点を持つため、
ピント合わせの負担が少ない(殆どピントを合わせる必要性
の無い)本レンズとの組み合わせで弱点を相殺しているからだ。
本レンズは、LD(低屈折)レンズや、非球面レンズを用いた
比較的新しい設計のレンズだ。
2000年代前半、デジタル時代になってからしばらくは、APS-C
サイズの撮像素子がデジタル一眼レフのスタンダードとなり、
広角がどうしても不足していた。
私が銀塩時代に使用していた超広角レンズと言えば、20mm.
17mm,14mm等があったが、20mmはAPS-Cで28mm相当と、
ごくありふれた画角になってしまい、そして銀塩最広角クラスの
14mmですら、やっと21mm相当の、やや広めの広角という状況だ。
広角不足は私だけの問題ではなく、全てのカメラマンに共通の
問題であった、市場にはその頃からAPS-C機専用の広角レンズが
出始めて来たが、ズームレンズばかりで、私の欲しいスペックの
レンズは無かった。
私が欲しかったのは、例えば 10mm/f2 最短撮影距離10cmと
いった、明るくて寄れる仕様のレンズであったのだ。
ズームレンズでは、10mmないし12mmスタートのレンズもあった。
しかし、開放f値は暗く、最短撮影距離も長く、おまけに
ズーム比(望遠端焦点距離÷広角端焦点距離)も、2倍がせいぜい
であった。
ちなみに、ズーム比の事を「倍率」と称する傾向が、コンパクト
デジタルカメラやビギナー向けレンズ等で流行ってきている
模様だが、私はこの呼び方には反対だ。
ズーム比はレンズ選びには、さしたる重要な要素ではなく、
最も重要なのは、広角ズームでは広角端焦点距離、望遠ズーム
では望遠端焦点距離だ。
で、例えば18mm~200mmの高倍率ズームのズーム比は
10倍強だ、しかしこれを「10倍ズーム」と言ってしまうと、ビギナー
ユーザーの100人中100人まで、これは、「肉眼で見た場合より
10倍大きく写る」と判断するだろう。
双眼鏡などではそのように定義しているからだ。
でもカメラの場合は違う。
まずこのレンズがAPS-C機用であった場合、望遠端の換算画角は
200x1.5で300mm相当である。そして、これが肉眼で見た場合の
何倍に見えるか?という点では、ざっくり、50mm相当を
肉眼で見た時の1倍とすれば良い、で、それだと10倍ではなく
6倍にしかならない訳だ。
つまりこれは、ズーム比を書いていながらも、初心者に対して
レンズのスペックをより凄く見せる(そこまで大きく写ると
思わせる)為のトリックだ。これは酷い話では無いだろうか?
でもまあ「あくまでズーム比ですよ!」と、メーカーは
言うであろう、じゃあそれは良い。しかし、同じズーム比10倍
のレンズであっても、10mm~100mmのスーパー広角ズームと
100mm~1000mmのスーパー望遠ズーム(注:どちらも一眼レフ
用では存在していない仕様)では、用途がまるっきり違うではないか。
したがって、ズーム比なんぞを書かれても、何の意味も無い。
そういう記述は一切無視してレンズ選びをするべきであろう。
さて、余談が長くなったが、超広角ズームのズーム比の話で
あった。前述のように本来は超広角単焦点レンズが欲しかった
のだが、2000年代前半には発売されていなかった。
で、しばらくはどうしていたかと言えば、一眼レフでの広角
使用はすっぱり諦め、コンパクトのデジカメで、28mmまたは
24mm相当の画角の、単焦点またはズーム機を使っていた。
広角撮影において、やや絞ってパンフォーカス気味で写すので
あれば、センサーサイズの小さいコンパクト機でもさほど
不利にはならない、いや、むしろ、センサーサイズが1/1.7型
とかで小さければ、APS-Cデジタル一眼レフに対し、同一f値で
あっても被写界深度が深くなる。
(注:小型センサーで同一画角を得る場合、レンズ焦点距離も
短くなる)
なので、むしろコンパクトで十分、どころか、コンパクト機
の方が、パンフォーカス的撮影には都合が良かった訳だ。
そしてもう1つ、またズーム比の問題であるが、本シリーズ
記事で何度か説明した「画角2倍の法則」というものがある、
これは、単焦点レンズを複数用いて、画角のつながりを
良くしようとする際、画角が2倍づつ変わるようにすれば良い、
という持論である。逆に言えば画角変化が2倍に満たない
場合は、レンズ交換をしないで済ます、という意味にもなる。
この持論によれば、ズームレンズにおけるズーム比は最低
でも2倍以上無いと、ズームの意味が無いという事でもある。
(例:第34回記事で紹介した TOKINA 24-40mm/f2.8)
まあ、厳密に言えば、広角域では、レンズの焦点距離の比は
画角比とイコールでは無い、焦点距離の比を、画角の比と
同等と見なして良いのは、準広角~望遠域(超望遠域を除く)
での話だ。しかしまあ、ざっくり言えば、広角でも、やはり
焦点距離の比(ズーム比)は2倍以上欲しい。
よって、11~18mmのズームとか、12~24mm、10~20mm、
といったいずれの超広角ズームも、「ズーム比が2倍を超える」
と言う条件を満たさず、なかなか購入意欲が湧かなかった。
だが、TAMRONが10~24mmのズーム比2倍を超える
超広角ズームを発売したとき、これなら使えるかも知れない、
ということで、チェックリストに入れた次第だ。
チェックリストと言うのは、そのうち買う、必要になったら買う、
中古の安い出物が出たら買う、のいずれかの状態な訳だ。
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本レンズは広角レンズとして広い視野を撮るのには向いているが、
最短撮影距離は30cmと、焦点距離的には不満だ(10cm台が希望)
また、最短付近でのボケ質もちょっとクセがある。
まあ、設計上、こういう撮り方は想定していないのであろう。
本レンズは、超広角が必要となる撮影があった際に購入。
発売から2年ほど過ぎた2010年代であったので、中古で
29000円程で入手できた。
普通に広く撮るには十分なレンズなので、APS-Cデジタル一眼
で超広角が必要な場合は、選択肢としては良いかも知れない。
なお、近年SAMYANG やKOWAから、10mm前後の超広角
単焦点レンズが発売されている。銀塩換算で10mm台の画角に
なるので、なかなか魅力的な仕様だが、少々高価なのが課題だ。
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さて、次のシステム。
カメラは望遠アダプター母艦のDMC-G5
レンズは、キヤノン New FD 70-210mm/f4
1980年代のMF望遠ズームレンズ、f値固定なのが良い。
類似のスペックで New FD 80-200mm/f4L というレンズが
数年後に発売されていて、そちらは L仕様なので、すなわち
高性能バージョンだ、そのレンズは昔使っていたのだが、
ちょっと高価すぎた。コスパが悪いレンズは個人的には好きでは
無いので、欲しい知人に譲渡してしまった。
で、本レンズは廉価版なのだが、さて、写りはどうか?
今回のボディは、μ4/3機のDMC-G5であるから、まず本レンズ
単体での画角は、140-420mm/f4相当となる。
さらに、G5のファンクションレバーで2倍までのデジタルズーム
を随時かけられるので、実質140-840mm/f4の望遠ズーム
として使えるので、野鳥等の撮影には丁度良い感じだ。
また、必要に応じ、デジタルテレコンを 4倍程度かければ
望遠域を1680mm相当まで伸ばせる、ただし、この焦点距離
ではブレが大きくなりすぎて、実用的では無い。
そこで、デジタルテレコンを先に2倍にして、デジタルズームを
後で1.5倍程度にかける、そうすると、1200mm前後の焦点距離
が得られる事になるし、あるいはレンズ本体のズーミングを併用
しても良い訳だ。
ただし、デジタルズームやデジタルテレコンをかければ、当然、
画質は大きく劣化するし、光学的な望遠効果(例:遠近感の圧縮
や、ボケ量の増加)も得られない。
また、デジタルテレコンをかけた場合、優秀なG5の拡大操作系が
使えなくなってしまう(動作しない)、よって、ピント合わせが
かなり厳しくなってしまう事は否めない。
まあ、そんなこんなで、焦点域(画角)の変化は、かなり自由度が
高いシステムとなる。
そして本レンズはf4固定なので、画角を色々と変えても
シャッター速度が変化する事なく、使いやすい。
ズームレンズは焦点距離によりf値が変化するものが非常に
多いが、私はそういうズームは使いにくく感じてしまう。
また、本レンズは直進式ズームだ。
ただし、直進式と言っても全長が変化しないタイプで、
ズーミングとピント合わせ併用の1つのヘリコイドがついている方式だ、
そして、より望遠域にしたい場合は、ヘリコイドを前に伸ばすのではなく、
逆に手前に引く、この操作性のみ、ちょっと慣れが必要であろう。
ズーミングとピントが共通ヘリコイドである事のメリットは
非常に大きい。つまり、両者の操作が同時に出来る訳だ。
MF望遠撮影においては、ピントとズーミングが独立して各々回転する
タイプはMF操作性がかなり落ちると言っても良いと思う。
(そういう類のズームも所有しているので、いずれ紹介する)
本レンズの描写力は悪くない、シャープネスもコントラストも
そこそこ高く、フレアも出難い、ボケ質破綻も出難い。
レンズ構成は、 9群12枚とやや複雑な模様であるが、内面反射が
良く抑えられているのであろう。
最短撮影距離は1.2m、ただし、広角端70mmでは、マクロ域に
ピントリングを廻す事ができ、その場合の最短撮影距離は
不明であるが、50cm以下程度まで寄れている気がする。
そのマクロモードを使って撮ってみよう。
本レンズの購入価格だが、2010年代に中古で2000円であった。
当然、ジャンク価格であるが、例の「ジャンク大放出時代」であり、
中には比較的程度の良いものも混じっていた訳だ。
超お買い得品と言えるであろう。コスパが極めて良い事は
言うまでも無い。1990年代に、高性能版の80-200/4Lが、
中古で4万円以上もしていた事を考えるとコスパは雲泥の差だ。
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さて、次のシステム。
カメラは、LUMIX DMC-GX7
レンズは、PCニッコール35mm/f2.8である。
すでに第37回記事で紹介しているが、再登場である。
PCとは、パースペクティブ・コントロール、つまりシフト機能付き
レンズの事だ。
本来は、そのシフト機能を用いて遠近感を調整できるレンズで
あったのだが、恐らくはセンサーサイズの問題で、銀塩(または
フルサイズ)でないとその効果がちゃんと発揮できない事が
わかった。
ましてや、第37回記事では、APS-C機のNEX-7を用いたが、
今回は、さらにセンサーが小さいμ4/3機だ、シフト機能に
よる遠近感調整は、すっぱり諦める事にしよう。
(というか、シフト機能を使わず、普通のレンズとして使う為に、
今回 あえてμ4/3機をセレクトしている)
発売は、もう50年近く前の古いレンズだ、だが、シフト機能を
実現するために、相当大きなイメージサークルになっていると
思われ、光学系は贅沢な作りである事が想像される。
そのせいかどうかは分からないが、本レンズは(ボケの固い
ものが多い)ニコンのMFレンズ群の中で、なかなか優れた
ボケ質を発揮する。おまけに最短撮影距離も30cmと、そこそこ
短く、ボケを活かした近接撮影もやりやすい。
DMC-GX7に装着している事で、デジタルズーム・デジタルテレコン
を併用する事も可能だ。だが、それらの機能は冒頭のDMC-G5程
優れた操作系では無いので、実質的には、テレコンの2倍または
4倍が使用可能であり、その際に、35mmレンズは、通常で70mm
の換算画角、テレコン使用時は140mmまたは280mmの望遠画角
となる。
GX7は手ブレ補正内蔵で、それはアダプター使用時にも有効だが、
前回の第51回記事で説明したように、デジタルズームやデジタル
テレコンを使用すると、焦点距離設定を変えなくてはならない。
それは非常に面倒な操作系となるので今回は、手ブレ補正を
OFFにしたままだ。元々、私が所有しているミラーレス機の
多くは手ブレ補正が入っていない機種なので、別にその機能が
無くても不安に感じる事は無い。
本レンズを普通の35mmmレンズとして考えると、そのややこしい
シフト操作(第37回記事参照)に捉われる必要がなく、しかも
普通のレンズとしても、かなりの描写力を持つオールドレンズで
あるから、なかなか快適に使う事ができる。
今回少し意地悪して、ボケ質破綻が出そうになっている写真を
紹介してみよう。
普通、このような場合は、絞り値を変えるなどしてボケ質破綻を
回避する。
ちなみに、本レンズPC35/2.8はシフトレンズであるから、
レンズが自在に回転したりシフトしたりするので、通常の
絞り機構とはなっておらず、ロシアンレンズに良くある
プリセット絞りタイプである。
プリセット絞りレンズの、アダプター使用時における
利用方法だが、最初から絞りを最大値まで絞っておき、
プリセットリングを用いて、連続的に(クリックストップは
本レンズには無い)変更すると便利だ。
また、絞りを最大値にまで絞らず、あえてf11位までに留めて
おくと、プリセットリングで絞り開放と、絞り11を瞬時に
切り替えて使う事ができる。これはつまり近接・ボカし撮影と、
中距離パンフォーカス撮影に各々必要な絞り値の瞬時切り替え
が出来るということで、かなり便利な裏ワザ的な使い方だ。
で、絞り値を変えてボケ質破綻を回避するのが本筋なのだが
上写真では、それが出来なかった。
その理由は、DMC-GX7の構造上の弱点にある。
上の写真はローアングル縦位置撮影であり、この時、GX7でなくて
Gシリーズであれば、背面モニターが自在に回転するので、
モニターを見て構図を確認したり、必要とあれば優秀な拡大操作
(全Gシリーズ)やピーキング機能(G6以降)でピント合わせを
容易にできる。
ところが、GX7はGシリーズ伝統の自在回転式の背面モニター
ではなく、上方向(と、下方向に少し)にハネ上がるタイプの、
他社ミラーレス機によくある方式と同じなのだ。
これは改悪である。
理由の1つは、GX7はティルト式ファインダーがついている為
それと同じ方向に跳ね上がるモニターは殆ど使い道が無い事、
もう1つは、Gシリーズのように背面モニターを裏返して
収容する事ができず、いつでもむき出しでキズがつきやすい事。
最後に、勿論これではローアングル縦位置撮影が出来ない事だ。
で、この撮影の時は、上からモニターが見え難いままの姿勢で
GX7の(優秀な)ピーキング機能を頼りにピント合わせをしていた。
けど、そんな無理な体勢では、モニター画像をまじまじと見る事も
できず、おまけにモニター解像度は(GX7の優秀なEVFに比べ)
低いので、ボケ質のちゃんとした確認ができなかった。
よって、(昔の)一眼レフ時代と同様に、撮った後でビックリ、
ボケ質が破綻にしていた事に気がつくのである。
ミラーレス機でオールドレンズをアダプターで使った場合、
ボケ質破綻の回避が容易な事が、1つの大きな特徴であるのに
撮影アングルによって、それが制限されてしまうのはちょっと
困ったものである。
ただまあ、厳密に言えば、Gシリーズの自由回転型モニターは、
今度はローアングル横位置撮影がやりずらい(注:出来ない
訳ではないが、横に最大に出して回転させるので、被写体を
見る目線とモニターを覗く目線がずれてしまう)ので、
まあ、どっちもどっちという事であろう。
どうもGXシリーズとGシリーズは、その仕様・構造・操作系の差異
等から見ると、ターゲットユーザー層があきらかに違う模様である。
どちらかといえば、GXシリーズはシニア層向けという雰囲気だ。
だが、シニア層だから、ローアングル縦位置撮影をしないという
訳ではないであろう、ちなみに、後継機GX8では、Gシリーズ
と同様の自由回転型(PANASONICでは、フリーアングル型と
呼んでいる)に改良されている模様だ。
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余談が長くなったが、本レンズの購入価格は、1990年代に
中古で4万円と、かなり高価であった。まあ特殊用途レンズで
あるからしかたが無い。現在発売されている、シフト&
ティルト型のレンズなどでは中古でも十数万円してしまう。
そしてシフト効果をちゃんと出そうとしたら、フルサイズ機を
使うか、またはAPS-C機では超広角シフトレンズが必須となる。
そんなレンズは無いなあ・・ と思っていたら、ごく最近
LAOWAという中国のメーカーから、一眼用の15mm/f4の
シフトレンズが発売された、これはしかも等倍マクロだ(!)
恐らく、ワーキングディスタンスはレンズすれすれまで近く
なると思うが、まだ詳しい情報が無い(発表されていた数値は
信憑性が低いものだった、WDと最短を混同しているのでは?)
フルサイズ対応だが、シフト効果はAPS-C機でないと効果が無い
(イメージサークルが小さいのであろう)との事だが、十分だ。
値段も8万円弱位とのことで、特殊な割に、さほど高価でも無い。
描写力がどうかはわからないが、とりあえずチェックリストに
入れておいた、いずれ出物があれば入手しようと思っている。
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さて、次は今回ラストのシステム。
カメラは、NEX-7
レンズは、TAMRON 105mm/f2.5である。
本レンズの出自は不明だ、
レンズにはBBAR MULTI.C AUTO-TAMRONと書いてある、
レンズの作りからすると、1970年ごろ、いや、もう少し古いかも
知れない。だが、一応多層コーテイングのように思われる。
お得意のアダプトールも、2ではなくて初期型だと思う。
で、それだけ古いレンズなので、写りはたいした事もなく、
しばらく使わなかった。今回10年近くぶりに出してきたら、
見事に絞りが故障、つまり油分が固化して、絞り開放から
動かなくなってしまった。防湿庫から取り出した時は絞りが中間に
なっていたが、それを開放にしたとたん、二度と絞れなくなって
しまったのだ(汗)
まあ、こういう事は良くある、すでに何本かの古いレンズが同じ
状態になっている。古いレンズなので修理に出す気にもならない
訳だ(取得価格より修理代の方が高くつく)
で、最近、この手の絞り故障のレンズの回避方法を発見した、
それがこちら。
4つのアダプターがある、これらを組み合わせると、絞り故障が
回避できるのだ。各々を説明しよう。
左上:アダプトール、これはタムロンのMFレンズを使う上では
必須のもので、各MFマウント用のものがある、ここでは
ニコンAiマウントのものを使っている。
右上:ニコンAi→EF(EOS)アダプター
左下:EF→μ4/3アダプター、絞り羽根内蔵タイプ
右下:μ4/3→SONY Eアダプター
ちなみに、右下のアダプターは、μ4/3機で使うのでれば不要だが、
今回はNEX-7を出動させているので、これも使った。
すなわち、NEX-7には本レンズを使う上で4種類のアダプターが
連結されているのだ。
この中で最も肝心なのは、EFマウントの絞り羽根内蔵アダプター
である、この機械絞り機構を、故障したレンズの絞りの代わりに
使う訳だ。
残りのアダプター群は、マウント合わせの為にたまたまそうなった
に過ぎない、要は絞り羽根アダプターさえ使えれば良い訳だ。
で、右下のμ4/3→SONY Eはなかなか便利なアダプターで、
これが出る前は、μ4/3とEマウントで各々アダプターを購入して
いたのだが、これがあれば、μ4/3用のマウントアダプターさえ
買っておけば、Eマウントでそれが使える。
ちなみに、μ4/3マウント専用のレンズは、AFでは何も電子接点
が無いので使えない、ただ、MFのノクトンなどはこれで装着
可能であるが、μ4/3用レンズはイメージサークルが小さいので、
APS-C機(やフルサイズα7等)には装着不可であろう。
つまり、これは単純に、マウントアダプターの重複購入を避ける
意味だけで使うのが良いと思う。
さて、工夫により絞り故障を回避した本レンズの写りは?
以前使った時は、もっとダメダメなレンズだと思っていたが、
意外にまともに写りそうな予感だ。というのも、恐らくは
デジタルカメラの進化もあるだろう、10年近く前と言えば
初期のデジタル一眼の時代だ、カメラとして写真を撮る上での
基本性能は、別に10年前のカメラでも、さほど問題は無いのだが、
絵作りが時代とともに結構良くなっている。
そして、シャープネス、発色、コントラストなどはカメラ側の
設定でどうにでもなってしまうのだ。
残るはボケ質と逆光耐性、今回ちょっと問題になりそうなのは
ボケ質で、どうもボケ質破綻が結構出やすいレンズである。
ところが、ここで問題発生、ボケ質破綻の回避がしにくいのだ。
ボケ質破談の回避の最も単純な方法としては絞り値を変える事だ。
だが、絞りは、EOS用アダプターに内蔵されている機械式絞り羽根だ、
この絞りはレンズ内の本来の絞りとは光学的な意味合いが異なる。
というか光学系が変わってしまい、どちらかと言えば光量調整の
目的が主となるだろう。
おまけに、このレンズの場合は、アダプター内蔵絞りをある程度
絞ると、画面周辺がケラれてしまう、光束が狭いのだろうか?
この問題により、絞り値を殆ど変更できず、同時にボケ質の破綻の
回避も、絞りに頼らない方法(撮影距離、背景距離、背景のパターン)
しかなくなり、高度な技法を要求される。
余談だが、昔から、タムロンのアダプトールレンズの開放f値が
何故f2.5に統一されているのか疑問でしかたなかった。
そう決めたから、なのか、あるいは技術的理由からか?
5~6年前にタムロンの本社を訪問する機会があり、そこで
レンズ担当の部課長級開発陣6~7名と話をすることができた。
その時、「何故アダプトールはf2.5なんですか?」という
質問をするつもりだったのだが、他の様々なレンズの話で
盛り上がり過ぎてしまい、すっかりその質問を忘れていた(汗)
でも、もう技術陣も、40年以上前の当時の人達は恐らく誰も
残っていないだろうから、仮にその質問をしたところで
明確な答えが返ってきたとは限らないが・・・
だが、今回、絞り羽根アダプターでケラれた事で、なんとなく
問題の答えのヒントが見つかったようにも思える。
しかし、まだ想像の域なので、いずれ追加検証してみよう。
これは、少しボケ質の破綻が出ているが、前述の理由で
回避困難なので、やむを得ない。
本レンズの購入価格だが、2000年代に中古で12000円であった。
性能からしたら少々高かった。この描写力であれば8000円
程度迄が妥当な相場であろう。
まあ、ちょっとレアものでもあった訳だ。TAMOROMのMF時代の
レンズは良く売れたもの(例:90/2.5MACROや17/3.5
=いずれも第8回記事で紹介、や500/8 ミラー=第31回記事、
24/2.5=第20回記事)以外は、とたんにレアになってしまい、
まず見つからない。
勿論現代においては必要なレンズでは無い。ともかく設計が
古いので、性能面は、やむを得ないかも知れないが・・
次回シリーズ記事に続く。