安価な中古ミラーレス機とマニアックなレンズでコスパの
良い「アダプター遊び」を楽しむシリーズ、第51回目。
今回はまず、このシステムから、
カメラは、お馴染み LUMIX DMC-G1
ミラーレス最初期のカメラで、もはやクラッシックとも言えるが
アダプター使用時の操作系に優れ、現役で使用し続けている。
先日、3980円の激安価格でB級中古品を見かけたが、
既に2台所有しているので購入は自重した。
レンズは、MINOLTA MCロッコール PF55mm/f1.7
1960~1970年代のMFレンズである。
PFという名称は、Pは「ペンタ」なので5。
Fはアルファベット6番目なので、 このレンズは5群6枚の
構成である、という事を示している。
50年近くも前のレンズなので、流石に外観はボロボロで
だいぶくたびれている。
なお、MCレンズであってもMD用マウントアダプターで問題なく
ミラーレス機に装着できる。露出モードは言うまでもなく
絞り優先である。(ちなみに他の露出モードは使用しない。
G1には、露出モードダイヤルがついているが、それは不要だ、
他のミラーレス機では使用頻度の少ない露出モードはメニュー
で切り替える物も増えてきている、そうであれば、ダイヤルは
ISO感度等、別の目的に使えるので、もっと便利なカメラになる)
さて、写りはどうか・・?
なかなかシャープな写りをするレンズだ、古いレンズなので
解像度は低いと思っていたので、最初はf8くらいまで絞って
使っていた。
だが、撮っていて感じたのは、絞り込む必要は全くなく、
このレンズはどちらかと言えば解像度重視型という事だ。
この当時は「大口径戦争」の時代であった、つまり、
一眼レフでは、f1.4は勿論、f1.2の標準レンズを各社が開発
していた。
レンジファインダーに至っては、f1.2はおろか、f0.95という
超大口径レンズまで作られた時代である。
(CANON 50mm/f0.95, 1960年代にレンジ機CANON 7
とのセットで販売)
なお、現代(2010年代)もフォクトレンダーや中一光学の
f0.95戦争が勃発しているが、遡る事なんと50年以上前から、
超大口径レンズは存在していた訳だ。
で、一眼レフでは、さすがに当時はf0.95というレンズは作れず、
f1.2止まりであった。ミノルタMCレンズでも、58mm/f1.2が
存在している(第46回記事、ただし絞り故障で開放でのみ撮影)
ちなみに、ミノルタMC時代の標準レンズの数は、とても多く、
50mmでは、f1.4,f1.7, 55mmでは、f1.7,f1.9,f2
58mmでは、f1.2,f1.4が存在していた(いくつかは紹介済み)
本レンズは、こうした大口径戦争時代においては、小口径の
f1.7である。で、ここからは想像だが、マーケティング的に、
大口径と小口径の性格を変えたのではなかろうか?
つまり、大口径は開放の明るさと同時に柔らかい描写、
小口径シリーズは、それとは逆にシャープさを追求したと・・
まあ、実際のところは、MF時代の当時(1960~1980年代)の
レンズ設計技術的には、f1.2級のレンズでシャープさを求める
事は出来なかったと思われる。
第46回記事のMC58/1.2を始め、第8回記事のNew FD50/1.2L
第27回記事のPENTAX M50/1.2、第30回記事のCOSINA 55/1.2
OM ZUIKO 55/1.2(未紹介)など、MF時代のf1.2標準レンズは
いずれも絞りを開けると描写が甘いものが殆どだ。
だが、このMC55/1.7の描写は、かなりシャープだ。
この時の絞り値は、f2.8くらいだったと思う。
なお、DMC-G1のパラメータ設定だが、シャープネスは0(標準)、
コントラストが+1、彩度+1、と今回はしている。
なので、このシャープさはレンズ本来のものであろう。
5群6枚という、ありふれたレンズ構成なのに、ちょっと不思議
である。
もしかすると、MF時代のニコンやオリンパスの標準マクロの
ように、解像度は高いが、ボケ質がパキパキに固いのか?
これは開放f1.7だと思うが、ボケが固いという訳でもなく、
他にも色々な状況で撮っているが、ボケ質の破綻も起こり難い。
これはなかなか優秀なレンズなのではなかろうか?
ちなみに私は、MCレンズでは、MC50mm/f1.7(第25回記事)が
お気に入りで良く使っている。
友人知人にも、これをオールドレンズ入門用として薦めて、
都合7~8本くらい購入しただろうか?
このあたりの事情は第35回記事にも書いたのだが、2010年頃に
中古市場に大量に流通した「ジャンク標準レンズ」だったので
MC50/1.7の相場は、破格の1000~2000円であった。
しかし、本レンズMC55/1.7も、実はジャンクで購入している。
2000年代初頭であっただろうか?購入価格は3000円であった、
けど、2010年頃の標準ジャンクは訳有りで流通した物なので
中には程度のそこそこ良い物も多かったのだが、2000年代初め
と言えば、まだ銀塩時代であり、1990年代の中古カメラブームの
余波も残っていた。このころのジャンクは、本当にジャンクであり、
使えない(故障)や、使いたくない(カビ、大きなキズ、ゴミ、
アタリ等)レンズが殆どだった。
本レンズも、外観はボロボロ、安く買ったはいいが、ちょっと
格好悪いと思って、殆ど使わず、そのうち前述のMC50/1.7の
良さを認識してからは、そちらばかり使っていたのだ。
そういえば、MC50/1.7 も PF仕様であるから、5群6枚だ、
焦点距離こそ僅かに異なるが、中身は酷似しているのかも知れない。
でも、これはなかなか良い発見をした。
MC55/1.7も、今後はどんどん使って行くとしようか。
なにせ、3000円でこの写りであればコスパは最強クラスだ、
本シリーズではコスパは極めて重要なレンズの評価項目だ、
いくら写りが良くても値段が高いレンズは減点要素が大きく、
もし高くて写りがイマイチな場合は、それは「泥棒レンズ」(笑)
として極めて低い評価しか与えないようにしている。
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さて、次のシステム。
カメラは、LUMIX DMC-GX7
レンズは、SIGMA TELE PHOTO 400mm/f5.6である。
雨天の中での撮影であるが、これだけデカいレンズなので
バッグ等にしまいようが無く、ズブ濡れだ。まあ、安価なレンズ
なので、雨は気にしない事にしよう。
本レンズの出自は不明であるが、恐らく1970年代のMFレンズ
であろう、マウントはCANON FDであった。
μ4/3機のGX7に装着すると 800mm相当の超望遠画角となる、
そんな望遠で何を撮るのか?と言うと、確かに撮りようが無い(汗)
雨だし、まあしかたない、今回は野鳥とか、そういう被写体を
中心にしてみよう。
800mm相当は、さすがに野鳥が逃げない遠距離から撮れる、
そのあたりは嬉しいのだが、雨で暗いし、ブレはどうするか?
まあ、対策の基本はISO感度を上げれば良い、GX7の最大ISOは
25600なので雨でも昼間ならば十分だ。シャッター速度が
だいたい1/500~1/1000秒あたりになるようにISOを設定する。
今回GX7を持ち出しているのは、GX7はパナソニックのμ4/3機で
初めてボディ内手ブレ補正機構を内蔵したカメラであるからだ。
アダプター使用時でも手ブレ補正は効く、ただし、電源を入れる
たびに焦点距離を聞いてくるのは、少々うっとうしい。
この手ブレ補正機能だが、ちょっと問題ありだ。
まず400mmレンズなので、焦点距離設定は当然400mmにする、
この時点では何も問題ない、EVFでも見るからにブレが収まり
800mm相当でも快適に手持ち撮影出来る。
ところが、GX7にはデジタルテレコン、デジタルズーム機能が
備わっている、DMC-G5(G6)は、デジタルズームの操作系に
優れるが、GX7はその操作系が良くない。実質的にはデジタル
テレコンを不連続的に使うしかない。
デジタルテレコンを2倍にすると、見かけ焦点距離が1600mm
相当になる、ところが、この時、それまでの手ブレ補正の焦点
距離設定のままでは手ブレ補正が効かなくなってしまうのだ。
すなわち、デジタルテレコンを2倍にしたら、手ブレ補正焦点
距離も2倍の800mmにしなければならない。だが、焦点距離の
設定修正メニューが奥まった所に入っていて、いちいち呼び
出すのが面倒だ。
よって、やむなく電源をOFFにする、幸い”デジタルテレコン
の2倍”はカメラは記憶している、で、再び電源をONにする。
ここでうっとうしい焦点距離入力メニューが出るが、この場合
は問題無い、この時に焦点距離を変更するのが、最も手数が
少ない操作で済むのだ。
さらに、操作の流れ(操作系)を検証しよう。
たとえば野鳥を見つけた、EVFで見ている、しかし遠くて
もっと倍率を上げたい。この時、手探りでFnキー(ボタン)に
設定してあるデジタルテレコン切り替えを押す。
(これは勿論背面ボタンだ、タッチパネルにもソフトウェア
Fnキーはあるが、EVFを見ている時は、構えを解くわけには
いかない。なので、タッチパネルは使いものにならない、よって、
あえて何も設定していない。これはすなわちNGな操作系だ)
で、デジタルテレコンを2倍(または4倍)にすると、それまで
設定していた手ブレ補正が効かなくなる。やむなく、前述の
ようにカメラの電源を切って設定しなおしだ。これは手間も
時間もかかり、重い望遠レンズを持つ手も疲れてくるので、
EVFでの構えを1度解いて仕切りなおしだ、その間に野鳥など、
何処へ飛んでいってしまっているかもしれない・・(汗)
まあ、単焦点レンズはまだ良い、これがMF望遠ズームレンズ
であったり、それに加えて(操作が面倒だが)デジタルズーム
を併用すると、さらに手ブレ補正焦点距離設定がややこしい。
ちょっと画角を変えるたびに、焦点距離の入力しなおしだ。
実質的にこれでは使い物にならないではないか(!)
だから晴天の日などでは、望遠レンズといえども手ブレ補正を
OFFにしたり、あるいはGX7を使うのはやめて、手ブレ補正無しで、
そのかわりデジタルズーム操作系に優れるDMC-G5の方を
「望遠レンズ母艦」として使う事の方がむしろ多い位だ。
ということで、GX7の手ブレ補正機能は、アダプター使用時では
問題有りの操作系だ。何故かPANASONICのミラーレスは初代の
G1より、時代が新しくなる度に操作系が少しづつ悪くなっている。
だから結局 古い2台のG1を現役で使い続けるのもやむない状況だ。
操作系のみならずカメラ用語もNGだ。
まず「ボケ味コントロール」という機能は、絞り値を変更する
のみで、そもそもそんな機能は不要だが、もしそれを言うならば
「ボケ量コントロール」であって、けっして「ボケ味」では無い。
(本レンズが「プラナー」のボケ味になるなら大歓迎だが)
もう1つ、何度か書いてきた事だが、「デジタルテレコン」と
「デジタルズーム」の意味が、そっくり反対だ。
説明書やカメラのメニューでは、倍率を連続的に変えるのを
テレコンと言って、断続的に2倍または4倍にするものをズームと
言っている。
勿論、このような間違った用語を記事で使う訳にはいかないので
本シリーズ記事では、メーカーの決めた用語は完全に無視して、
一般的な意味の方を用いている。
もしこれが世の中で逆だと、どういう事になるか?
以下は間違った用語を使っている架空の世界の会話だ。
架「匠さん、デジタル一眼レフを買いましたよ」
匠「おお、ついに買いましたか、で、レンズは何を買ったの?」
架「カメラに最初から付いていたやつですよ、標準テレコンと
望遠テレコンの2本、ダブルテレコンキットというやつかな?」
匠「そう、ダブルテレコンね。それなら子供さんの運動会とかも
撮れますね、がんばって使いこなしてください」
ついでに、もう1つ。
架「匠さん、200mmまでの望遠テレコンを使っているのですが、
運動会とかだと、どうもちょっと望遠が足りないんですよ」
匠「それなら、焦点距離を1.4~2倍くらいにする”ズーム”という
アタッチメントをつけたら良いよ、AFも効くし便利だよ。
ただ、開放f値も若干暗くなるので、手ブレには注意してね」
架「わかりました、望遠テレコン用のズームですね、それ買います」
で、いったい何をどうしたら、テレコンとズームの用語の意味を
逆にできるのであろうか?
一般人の誰でも知っているカメラ用語だと思うので、ちょっと
理解不能である。
さて、余談が長くなったが、
本レンズ SIGMA 400/5.6は、さほど悪い描写力ではなく
そこそこ写る。まあ、雨だったので低コントラストであったのが
幸いしたのであろう、銀塩時代のシグマ製のレンズは、晴天時には
フレアが良く出る弱点を持つものが多いのだ。
ちなみに、フレアっぽいレンズやカメラを「雨天専用機」に
してしまうという回避策はある。本ブログで過去良く話題に出た
ロングズーム機KONICA MINOLTA Dimage A2は、
低コントラスト下での発色が極めて良いので、長年「雨天専用機」
として活躍している、まあ、そういう使い方だ。
ただし、本レンズはMFだし、大柄のレンズなので両手操作が
必須となる、よってDimage A2のように、傘をさしながらの
片手撮影はとうてい無理。
なので、上の機材紹介写真のように、びしょ濡れになって
しまうのであるが・・(汗)
(ちなみに、私は雨中撮影は慣れているので、機材をどこまで
濡らしたらヤバイかは十分承知している。しかしビギナー
ユーザーが機材を濡らすのは、故障のリスクが極めて高いので
注意する必要があるだろう、できれば雨天撮影は推奨しない)
で、本レンズの購入価格は、2000年代に中古で3000円であった。
冒頭のMC55/1.7のジャンク価格と同じである、けど、故障品と
いう訳ではなく、ちゃんと完動品で、程度もそこそこ良い。
安かった理由の1つは、CANON FDマウントだったからだろう、
この当時、AF一眼レフや初期デジタル一眼レフに、FDマウント
レンズは装着不能であった。FDマウントのフランジバックが
短いので、補正レンズ入り(画質低下)か、短いまま
(近説専用で無限遠が出ない)のいずれかのアダプターしか
選択できなかったのだ。どちらも問題ありなので、FDマウント
レンズは実質使用不能であったのだ。
まあ、現代においては特に必要なレンズでは無いと思うが、
MF時代、純正レンズでの特殊な用途の物は値段が高かったので、
こうした比較的安価な、サードパーティ製の、超望遠や超広角は、
それなりに重宝した、という歴史があったのだ。
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さて、次のシステム。
カメラは、FUJIFILM X-E1
FUJI の最初期のミラーレス機、ローパスレス、高精細EVF
アナログライクな操作性(注:操作系では無い)、そして
ポジフィルムのベルビアのような発色、軽量ボディと、長所は多いが、
しかしAF/MFのピント合わせの精度と「操作系」に致命的と言える
程の弱点を持つ、かなり使い難いカメラだ。
で、ここのところピント合わせがシビアなレンズを
「限界性能テスト」の意味で色々使っていたが、やはりX-E1では、
基本的にピント合わせがダメだ。これは非常にストレスになるので、
今回は、ピント合わせが不要な、FUJI Xマウントフィルターレンズ
XM-FL 24mm/f8 を使ってみよう。
すでに第20回記事で紹介しているレンズなので、出自などの
詳細は省略する。ちなみに、2015年発売の最新レンズである。
その最大の特徴は、ノーマルなレンズに加え、「クロスフィルター」
「ソフトフィルター」の2つのフィルター効果を内蔵していて、
レンズ横のリングを廻すと、この計3種類(加えてバリヤーがある
=閉じている状態)の撮影効果が得られる事である。
上は「クロスフィルター」を使った例。
こういう写真の撮りかただが、クロスフィルターを使えば
このような派手な光条が出るが、クロスフィルター無しでも
絞りの形(正確には絞り羽根の枚数)に応じた光条を出す事が可能だ。
まあ、それはともかく、被写体の後から太陽光線が入ってきている時、
撮影位置を微妙にずらして、被写体の横から、ほんの僅かに太陽光が
入るように角度を探して撮影すれば、どんなレンズでも光条を出せる。
で、この時クロスフィルターがあれば、さらに派手に出来るわけだ。
次はソフトフィルターを使ってみよう。
前回登場時(第20回記事)ではソフト効果を紹介して
いなかった、どうも効果が地味だからだ。
本物のソフトレンズ(第5回、第19回、第38回記事で3種類紹介
している)のソフト効果と、フィルターによるソフト効果は違う、
と、各記事で書いているが、やはりソフトレンズに比べると効果が
物足りない。
その代わり、ソフトレンズでいつも問題になる
「何処にピントが合っているかわからない」という点は回避でき、
本フィルターレンズは、パンフォーカスレンズとして使用する事が
できる。
しかし、前回第20回記事でも書いたが、本レンズのスペックでは、
1m~∞にピントが合うパンフォーカス、との事であるが、
実際に使っている感じだと、どうもその範囲でパンフォーカスには
なっておらず、中距離しか合っていない。
試しに被写界深度を計算してみると、撮影距離を2.5mとした場合、
1.8m~19mの範囲でしかピントが合わない。
許容錯乱円と撮影距離のパラメータを少し変えれば、計算上の
深度は深くはなるが、それは「仮」の話であるので、実際に使って
いる感じと計算値はむしろ近いように思う。
ちなみに、PENTAX Qシリーズの純正トイレンズ(03魚眼、
04広角、05望遠、07マウント)のいずれも、同様に無限遠には
ピントは(感覚的には)合わない。
特に07マウントシールドは、ヘリコイドが無い固定焦点レンズ
であるが、本FUJI Xマウントフィルターレンズ と同様に仕様では
パンフォーカスを謳っているが、実際にはそうで無く中距離専用
レンズだ。まあでも、トイレンズとしてはそれでも別に問題は無い、
いずれにしてもユルい描写を楽しむものであるからだ。
本レンズは、ノーマルで使うと、完全なパンフォーカスでは無い
ものの、そこそこちゃんと写る。
こういう性質のレンズに最適な撮り方は、速写(スナップ)であろう。
ピント合わせの必要が無いので、被写体を見つけたら反射的に
カメラを向けて、何もせず、そのままシャッターを切れば良い。
準広角(36mm相当)なので、慣れている人ならば(=銀塩時代に
35mmレンズでスナップを多く撮った人ならば)
ノーファインダーでも画角はつかめるであろう。
なにせ速いので、飛び立とうとする野鳥にも追いつく。
まあ、完全な遊び用のレンズだと思えば良く、必要性(実用性)
は少ないレンズではあるが、ピント合わせのしんどいX-E1に
疲れた時は、ちょっとした気分転換には良いレンズだ。
本レンズの購入価格は、昨年に中古で5000円台であった、
実際には2015年の発売と新しいレンズで、現在2016年での
実売価格は8000円前後となっている。
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次は今回のラストのシステム
カメラは、SONY NEX-3
レンズは、SONY E16mm/f2.8 (SEL16F28)である。
2010年に発売されたNEX-3の、いわば標準レンズという立場の
レンズであり、NEX-3との組み合わせがしっくりくる。
標準とは言え、レンズ画角は16mm、つまりAPS-C機である
NEX-3では、24mm相当の広角レンズだ。
NEX-3Aという型番でセット販売されていたので、このセットを
保有しているユーザーも多い事であろう、しかし、24mm相当の
単焦点のセットで、ビギナーユーザーが撮れるのだろうか?
という疑問が湧いてくるに違いない。
それは、どうするか?といえば、デジタルズーム機能を使う事が
前提なのだろうと思われる。
NEX-3に、E16/2.8を装着した状態では、カスタムキーに
「プレシジョンデジタルズーム」を設定しておく事で、
そのボタンを押した後、背面ダイヤルで1.1倍~10倍まで
連続的にデジタルズームをかけられる、すなわち本レンズ単体で、
24mm~240mm相当の画角が得られる訳だ。
しかし、いくつか問題はある。まず、このデジタルズームは
画質劣化を考えると、ほぼ4倍前後までが限界性能である。
で、背面モニター上のリアルタイム画像の画質はさらに悪く見える、
しかし、撮った後では、ある程度ちゃんと写っているが、撮る前には
画質の劣化度合いが分からず、ちょっと冷や冷やものになる。
そして、NEX-3は(NEX-5や7にも)手ブレ補正機能は入って
いないので、そういう意味でもデジタルズームのかけすぎは禁物だ、
もっとも、もしかすると、前述のDMC-GX7の場合と同様、ボディ内
手ブレ補正の焦点距離設定と、デジタルズーム使用時での補正量に、
技術的な矛盾が生じたので、あえてボディ内手ブレ補正を廃した
のでは?などとうがった見方もしてしまう(まあ、マーケティング
的にはそれはありえない話だ、仮に矛盾があっても、そう言わないと
売れないので、手ブレ補正を搭載するであろう)
さらにもう1つ、NEX-3ではマウントアダプター使用時はおろか、
純正ズームレンズ装着時でもデジタルズームが効かない、
純正単焦点レンズの場合のみの機能なのだ。
このあたりは後継機では改善されていて、NEX-7等は、
アダプター使用時でもデジタルズームが効いて極めて便利である。
しかし、本レンズのオーソドックスな使用方法は、やはり
24mm広角レンズとして、広い画角を活かした撮影であろう。
オールドレンズをミラーレス機で使う場合、どうしても
広角が不足する、MFレンズで10mm台の超広角はなかなか無く、
あっても高価であったり、大柄であったり、問題有りだ。
なかなか16mmで、ここまで小型なレンズは(特に発売当時は)
無かったと思う、本来、NEX-3には本レンズの組み合わせが
良好なシステムとなる訳だ、というのも、NEX-3はMF操作系
に弱点を持つからであり、こうした小型のAFレンズ以外は
ピント合わせの負担の少ない、トイレンズかMF超広角レンズ
(しかも最短撮影距離が長めのもの)くらいしか装着できない。
本E16mm/f2.8の最短撮影距離は24cmである。
この数値は、16mmレンズとしては長めで不満であるとともに、
無限回転式ヘリコイドでは最短付近での撮影がAF/MFともに
やいにくいという問題がある(他の記事で詳細説明済み)
ちょっと無理して近接撮影しても、ピントがどこにどう合って
いるのかわからないので不安であり、特にノーファインダーの
場合はさらに問題になる。
本来、こういう場合は、MFレンズで有限回転ヘリコイドを
最短にセットしてフットワークでピントを合わせるのが
むしろオーソドックスな撮影技法だ。
可も無く不可も無い写りのレンズであるが、実用価値はかなり
高いので、NEXユーザーであれば必携のレンズであろう。
本レンズの購入価格だが、実はこれは2本目の購入、
最初、2010年代にNEX-3Aとして中古購入したが、エステサロン
の撮影中に足湯の桶に水没故障させてしまい、やむなく、また
同じNEX-3Aを約18000円で買いなおした。
その後、1年くらいほっておいたら、なんとレンズは水没故障から
復活し動作した。しかし2本は不要だったので友人に譲渡した。
一応、カメラの価格を10000円、レンズを8000円としておく。
現在2016年でも、ほぼ同様の価格でNEX-3A(本レンズセット)を
入手できるであろう。
なお、レンズ単品で買うと、ちょっと高めの9000円~11000円
くらいになるかも知れない。
今回はこのあたりまでで、次回シリーズ記事に続く。