今回より数回シリーズでお届けする、花火の撮影技法について。
まず1回目は、特殊撮影編の(1)である。
何故、いきなり特殊撮影であるかと言うと、花火の撮影はオーソドックスな方法では
比較的簡単であり、設定の方法(原理)を理解すれば誰にでも撮れるからである。
また、tomoさんからも特殊撮影技法のリクエストがあったが、この手の技法はあまり紹介
されないので、いい機会でもあると思う。
具体的なオーソドックスな設定方法は、
さこやんのブログなどにその詳細が書かれているので、
是非参考にされたし。
基本的には、花火の撮影は、電子カメラの自動化部分にいっさい頼らず、すべて
手動(マニュアル)の設定である。カメラとレンズは極端に言えば絞りだけついていれば
なんでも良い。 電子制御の自動化部分は一切不要であり、「なんとかモード」というのは
全て無視しても良い。
◇マニュアル露出モード
◇ISO100
◇バルブ(または、タイムモード)
◇絞り f8,f11,f16 のいずれか (ISO100 の時、通常はf11)
◇マニュアルフォーカス(無限遠に設定する)
・・・これだけである、これ以外の設定はしてはならない、
たとえば、AF(オートフォーカス)のモードにしていると、ピントが合わず、カメラの
設定によってはシャッターも切れない場合がある。
これもあたり前の話であるが、マニュアル露出モードの場合は、測光パターンの切り替え、
露出補正、そういうのはいっさい関係ない。
すいわち、バルブで絞りも決まっていたら、露出計はもはや何の意味も無いのである、
(この一行の意味が分からない場合・・・重要な勉強が欠けている事になるので要注意)
したがって、たとえば露出計を搭載していない40数年前のニコンFであっても、
PENTAX SVであっても同じ設定で簡単に花火撮影が可能である。
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なお、デジタルカメラの場合、WBの設定は、オートまたは昼光(5000-6000K)の
設定としておく。最初からWBを変えて幻想的な色合いにする方法もあるが、
次にどんな色の花火が上がるかわからないし、勿論実際の色は見た人でないと
覚えていないから、撮影時にそれを変更してもあまり意味を持たない。
どうしても色を変えたかったら、撮影後にレタッチ処理を行うと良いだろう。
また、ノイズリダクションの設定は非常に悩ましく、そもそもノイズリダクションと
言うのは、たとえば2秒間シャッターを開いていたら、その間にCCDやCMOS
に発生しているノイズの量と、撮影後にもう一度2秒間「何も写さず」に撮影して
その時に発生するノイズの量を引き算して、ノイズを減らす処理である。
だから、要は、撮影後に計算処理に時間がかかってしまい。5秒も8秒も露光して
いたら、後で同じ時間待つのがうっとうしい。
花火撮影は基本的にISO100等の低感度で行うので、ノイズはあまり気にしなくも
いいかもしれない、それよりシャッターチャンスが半分になってしまうのはしんどい。
ノイズリダクションをONした画像は確かに綺麗であるが、OFFのまま使って
撮影後に気になったらPCでノイズリダクションソフト(フリーでもある)をかけて
補正レタッチしても良いと思う。
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今回の撮影機材は、コニカミノルタα-7D+TAMRON SP17-35/2.8-4.0 とIXY Digital L
最近よく出動するカメラ達である、数ヶ月でそれぞれ4000枚、2000枚の写真を撮っている。
いつもはブログには載せないとは言え、銀塩カメラがかならずついてくるのであるが、
今回は、おそらく初めてデジタルのみでの撮影、何故ならば、花火は無駄打ちが多いし、
それに、撮ったあとやはりすぐに見てみたいからである。
まずは、いきなりであるが、「秘技:踊り撮り」の作例
①↑ これは単純である、バルブ撮影中に、踊りながら(笑)カメラを回す。
ポイントはいかに滑らかな曲線を描くか・・・、であり、上級者の女性などでは、
ハートマークを描くことも出来る。
(ちなみに、男性にはハートマークを作るという発想があまり無いので・・汗)
次は、対比の作例として、いったんノーマル撮影である。
②↑ ノーマル撮影。 普通に「超ミニ三脚」を立てて、レリーズ使用。
そして、それに対比する特殊撮影。
③↑ 露光間ズーム撮影。 何度か②と同じパターンで打ち上げられる花火を、
同様なタイミングでバルブ撮影中するが、シャッターが開いている間にズームリングを
広角側から望遠側(逆も可)で回す。
昆虫の羽根のような軌跡がでているのがその特徴である。
④↑ デジタル・レタッチ(多重露光)
これは非常に単純なレタッチ加工である。 5つの単独の花火写真を、切り抜いて
同じ写真の中に組み合わせて合成したのみである。アフターレタッチでなくても、
バルブ中に断続露光すれば同様な撮影が可能であるが、普通は花火の位置がかぶって
ごちゃごちゃしたイメージになってしまう。
今回は、「踊り撮り」、「露光間ズーム」、「デジタル多重露光」の3つの特殊な
花火の撮影技法を解説した。
次回は、通常撮影編、特殊撮影技法(その2)と続く予定。