「匠さん、ライブ撮ってもらえないかな?」・・友人のN氏からの依頼である。
N氏は、
「ギタピス」というバンドをやっている。また、
東大阪のギター教室の講師でもある。
・・・全然オッケーすよ。 HP用でいいのかな?で、どんな風に撮ったらいいんでしょう?
「ともかく、格好良く撮ってくださいな(笑)」
・・・わかりました、普通のカメラマンにはその要望は無理だろうけど(笑)
それだったら私に任せておいてください。
そう言われたら後に引けないのである。
匠は写真に関しては素人であるが(汗)実は音楽に関してはプロである(というか元プロ)
細かい説明は伏せるが、長年楽器に係わる仕事をやってきた。
勿論、ギターやベースとかの楽器の、どこが見せ所なのか百も承知である。
おまけに、今回は「ステージパス」を貰うことになった、どこで撮っても問題ない。
自由なアングルで自由に撮る事ができる。
「格好よく」という要望に答えてやろうじゃないですか・・(笑)
場所は大阪バナナホール、夜9時開演である。
例によって下準備。30分以上前に行って、肩慣らしに他のバンドとか、楽屋を撮っておく。
「匠さん、今日の撮影はよろしくお願いします」
・・・はい、こちらこそ・・
(N氏以外は、私はプロのカメラマンだと勘違いしているかもしれない、
けど、実は、音楽が専門などと、誰が想像できるであろうか・・なかなか痛快である)
今日の機材は、コニカミノルタα-7D と AF20/2.8,AF100/2.0 の2本の単焦点。
何故この選択か?
1)手ブレ補正が効くこと
2)AF20/2.8は、銀塩で30/2.8相当の広角。これはステージの全景および、ステージ上に
極めて近い位置からのローアングルを狙ったものである。
3)AF100/2は、幻のスーパーレンズである。 現在中古で見る事も極めて少ない。
ライブ撮影の場合、個々プレーヤーを写す場合は、銀塩135mm前後が使いやすい。
よって、銀塩換算150mmとなる、このAF100/2を選択した。
あるいはAF85/1.4でもよかったが、あまり出番の無いAF100/2も、こんな時だからこそ
たまには使ってやらないとならない(笑)
機材は問題ない、あとはスムースなレンズ交換だけである、まあ、それも大丈夫であろう。
(結果的に演奏中に8回以上レンズ交換をしている。この為ショルダー型のカメラバッグに
交換レンズ、および交換カメラをすぐ取り出せるように詰めての撮影)
-----
さて、バンド「ギタピス」のステージが始まった。
ギタピスは6人編成。 ギター、ベース、ドラムスの男性陣と、珍しい事に
テナー・アルト・バリトンSAXの女性陣3名が加わる系6人編成。
管楽器3本と言うと、音楽に詳しい人なら30年程昔のブラスロック・・・
そう、たとえばシカゴとか、チェイス、あるいは、BS&T等を思い出すかも知れないが、
それ以降のシンセの台頭により、すっかり管楽器を含むバンドは少なくなってしまった。
まあ、演奏ジャンルは、フュージョン/FUNK系であるが、シンセでは出ない生楽器の
迫力がある。
よって、この「ギタピス」は現代の音楽シーンにおいては、それなりに注目されている。
現在はマイナーリーグであるが、メジャーデビューも近いかもしれない。
(現に演奏終了後、某音楽プロデューサーが楽屋に話に来ていた)
----
まあ、話が長くなりそうなのでこのへんにしておく。今回は、機材の解説編である。
また機会あればライブでの撮影テクニックについても記事にしていこう。
では、今回は、作品を4点程。
①↑チョッパー(スラップ)ベース奏法。 鋭いリズムを刻む独特のテクニック。
親指で弦を叩き、さらに人差し指や中指で弦を持ち上げ、アタック音を強調する。
通常のピックアップ上の演奏位置よりも、むしろ上側、すなわちフレット上での演奏になる。
②↑アルトサックス、SAXは音域が人間の声域に近く、扇情的なフレーズによく似合う。
女性の扱う楽器としては珍しく、演奏する姿は実にSEXYである。
③↑バリトンサックス 低音域を出す巨大な管楽器。 扱うにはそれなりに体力が必要。
女性がステージで振り回す楽器としては、もはや最大級だと思う。まさに大迫力。
④↑エレキギター 最近はワイヤレス・トランスミッターにより、ステージ外でも自由に
演奏できるようになった。 観衆(ファン)とのコミュニケーションがライブの一体感を増す。
そう・・楽器の特徴を知る事により、生き生きとした演奏(ライブ)写真になる。
音楽の専門家として、今回のギタピスの演奏は大変良いと思った。
ある意味予想以上であった。
そして、写真もそれなりに、いいものが撮れたと思う。
撮っていてもかなり楽しい・・ 7曲の演奏中に軽く200枚は行った。
ちょっと余裕ができた時点でボツカットは消去しつつ撮影している。
当然加工する前提であったが、今回は機材編なので、とりあえずそのままにしておき、
次回撮影テクニック編においては、作品は加工する予定である。
皆も、熟知している仕事や専門分野等、そんな写真を撮ってみたらどうであろうか?
多分、人とは違った、そのジャンルの「玄人」ならではの良い写真が撮れると思う。