最近、イヤホンに凝っている。
元はといえば、電車の中で音楽を楽しみたいからだ、
・・いや、というより、ご存知の方は多いと思うが、
関西の電車の中は、実にうるさい。
通勤時間帯は、まだしも、休みの日ともなると、
普段電車に乗らない子供達、中高校生の集団、
主婦の集団、シニアの集団など、大声で話し、笑う。
公共の交通機関の中であることなど、そっちのけで、
ともかく信じられないほどうるさい。
同様に関西では、バス、飲食店、各種店舗など、公共の場
のマナーというものが完全に欠落している状況が多々ある。
(東京などでは、こういった状況は少ないと思える)
そんな”騒音公害”から身を守るためか、あるいは、スマホの
普及も手助けしてか、電車の中でのイヤホン・ヘッドホンの
装着率は、近年特に高く、見ている感じでは、3~4割にも
上るのではないかと思われる。
そんなわけで、私も自衛手段として、ポータブルオーディオ
機器(通称:MP3プレーヤー)を購入、その過程で、
イヤホンにハマってしまったわけだ。
こちらは、韓国 COWON社製のポータブルオーディオ
iAudio 10 (実売1万円強)と、ゼンハイザー(独)製の
CX-175(実売3000円前後) のセット。
手持ちのシステムの中では、最強のコストパフォーマンスを
誇る高音質セットであり、品質の高いオーディオリスニングが
比較的安価で楽しめる。
iAudio 10 音質:A+ コスパ:A+
再生可能なコンテンツは、各種オーディオフォーマットは勿論
それから写真、動画、テキストドキュメントも可能な、
マルチメディア・プレーヤーとなっている。
オーディオフォーマットは、ロスレス(損失なし)のFLACも
試してみたが、このシステムでは、やや高めのビットレート
(160~192kbps)でエンコードした MP3との聴覚上の差異は
感じられなかったので、容量の小さいMP3で十分と判断している。
ちなみに、標準的な128kbpsでエンコードしたMP3ファイルは
ステレオ音楽1分あたりで、約1MBとなり、計算が容易だ。
たとえば、本機は、8GBバージョンであるが、これだと、
いっぱいに入れれば 8000分(133時間、アルバム約200枚)を
保存できるので、業務利用でもない限り、屋外で聞くには
これで十分の容量であろう。
こちらは、非常にコンパクトな組み合わせ。
韓国 iriver 社製 Lyumo M11(16GB) (実売3000円強)
イヤホンは AKG(オーストリア)製 K321 (実売3000円前後)
このプレーヤーを最初に購入したのだが、まず驚いたのは
音質が酷かったこと・・・
(ちなみに、イヤホンは試聴して購入できるが、プレーヤー
の試聴は、出来ないか、出来たとしても内蔵デモ曲であり
自分の知っている音源でのちゃんとした評価がしにくい)
「これは失敗したか、やはり激安品はしかたないかなあ・・」
と思ったのだが、iriver といえば、この分野ではかなり老舗の
メーカーであり10万円以上する超高級プレーヤーも販売している。
「まてよ・・」ということで、
手持ちの、ゼンハイザーの高級ヘッドホン(実売5万円前後)を
装着してみると、ガラリと音が変わった。
「なんだ、付属イヤホンが酷いだけだったのか・・」
とばかり、各社イヤホンの収集に走り出したきっかけにもなった。
結局、イヤホンを変えれば、かなりの音で鳴ってくれることが判明、
なにより、この価格で、この容量、この音質、そしてコンパクトな
本体、キャップを外せばUSB端子が出てきて、そのままPCと接続し
音源のコピーとUSBバスパワーによる充電を行えるのも非常に便利。
ryumo M11 音質:A コスパ:S
(イヤホン AKG K321 音質:B+ コスパ:A)
課題は、小型の宿命か、バッテリーの持ちが4時間程度という
ことだ、出張など中長距離の移動ではバッテリー切れを起こす、
しかし、出先にパソコンがあればUSB端子に、ちょこんと挿して
充電が出来るので問題無いし、もし長時間の視聴が必要な
場合は上記 iAudio 10などであれば、携帯電話なみに、2~3日の
使用に耐えられる。
それと、MP3等のオーディオファイル内のタグ情報を基準に
曲目の演奏順が決まるのも弱点と言えば弱点。
すなわち、タグ情報を編集しない限りは、CD等で連続する組曲
がその順番で演奏されるとは限らないわけだ。
タグ情報を編集するのは意外と面倒なので、たとえばタグ情報
が無ければファイル名の文字列を取得して、それをソートする
ようなプログラムにしてもらえればよかったのに、と思う。
その程度であれば、例えばC言語等では数行の変更で済むので、
ファームウェアのバージョンアップがあればそれを期待したい
ところだ。
まあ、とは言うものの、コストパフォーマンス Sランクの、
この ryumo M11、かなり気に入ったので、もう1台購入しようと
思ったのだが、新機種が出た様子で、残念ながら、すんでの所で
生産完了で買えず。新型はやや高価なので購入は保留中・・
ryumoとセットにしているAKG(アーカーゲー)のイヤホンは、
主にデザイン的な趣味(赤と黒)での組み合わせだ。
しかし、超名門の老舗オーディオメーカーである「AKG」の
製品が普及品とは言え、僅か3000円で購入できるのは驚き。
まあ、それもそうか・・ほんの数年前であれば、ゼンハイザーや
AKGのヘッドホンと言えば、最低でも3万円、あるいは5万円は
覚悟して購入しなければならず、私も大型量販店のヘッドホン
コーナーで、ほとんどのヘッドホンを試聴した結果、清水の舞台から
飛び降りるつもりでゼンハイザーを選んだわけだ。そんな高価な
商品を購入するお客さんは、量販店レベルでは、いったい月に
何人いるのだろうか?という風に心配してしまえるくらいだった。
それが、スマホの普及により、イヤホン販売コーナーは、量販店
の中で大きなスペースを占め、月に何本どころか、1時間に何人
もの客が、イヤホンを購入していく。 高級音響メーカーで
あっても、いっきに販売数量が何百倍、いや何千倍にも増えて
いけば、生産コストも価格もどんどん下がっていく。
冒頭のゼンハイザーのイヤホンCX-175は(音の傾向こそ違う
ものの)同ゼンハイザー製の旧型の5万円のヘッドホンに匹敵する
程の高音質だ、値段が20分の1になるのであれば、定位やら
バランスやらの微妙なところで多少音が劣っていても何も文句の
言い様もない。
そして3000円のイヤホンで、昔の高級オーディオに匹敵する音質が
得られる事を知ってしまったら・・・あとは、もう止めようが無い(汗)
こちらもまた、お気に入りのセットだ。
韓国 COWON 社製 iAudio 9+ (実売12000円前後)と
国産 Final Audio Design FL-ADA2DCR (実売4000円弱)
冒頭の iAudio 10より、型番は前の9だが、新型の9+となっていて
発売時期は、こちらの方がむしろ新しい。
音質傾向は10と似たりよったりの高音質、ユーザーIFは10より少し
洗練されているが、何より 10より小型化されているのが嬉しい。
機能的にも、ほぼ10と同等だが、iAudio シリーズの特徴である
エフェクト(音響効果)が少し強化されている。
JetAudioと呼ばれるこのエフェクトは、5バンドのパラメトリック
イコライザーを搭載している。通常のグラフィック・イコライザーとの
差異は、5バンドの中心周波数(Fc)と、効果周波数範囲(Q)を
独立制御できることだ。
iAudio 10では、イコライザーの操作が少し手間だったのだが、
iAudio 9+では、UIを改良して調整しやすくなっている所は嬉しい。、
さらには、BBEという、周波数系・空間系・補償系の多数の
パラメーターを持つエフェクトを装備している。
これらの調整により、ほぼ無限の音質傾向の調整・変更が可能であり、
そのセッティングは4種類記憶できる。
ユーザーセッティングのみならず、当然プリセットの設定も数十種類
用意されている。
これにより、音源ソース(アルバム)毎に、セッティングを変えたり、
勿論、装着したヘッドホン毎での、最適な音質調整が可能だ。
これらの調整には、音響関連の知識と、音を聞き分ける耳が必要に
なるが、それが可能なユーザーであれば、非常に楽しめる機能となる。
私の場合は、少なくともイヤホン毎には設定は変更する、
アルバム毎にやりたい場合もで出てくるが、それはまあ、面倒なので、
特に気になった時にのみ、調整を行うことにして使っている。
それと、iAudio 10 および iAudio 9+ の付属イヤホンは、
カナル(耳栓)型では無いので、装着感は劣るが、音はそこそこ
良く鳴ってくれるので、予備イヤホンとして使うには十分だ。
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さて、イヤホンの話であるが、私は、現在、実売5000円以下の
カナル型に絞って収集を行っている。
カナル型というのは耳栓型とも言い、耳の中にすっぽり挿入して使う
タイプだ、元々の目的が、屋外の”騒音公害”からの退避であるから、
選ぶのは遮音性の高いカナル型に限られるわけだ。
ただし、カナル型は、外部の音はだいぶ聞こえにくくなるので、
徒歩で使用する場合は、車の接近などには十分注意する必要がある、
電車の中でも車内アナウンスが聞こえなくなるので、乗り過ごしとか
事故による遅延などの場合は、要注意だ。
5000円以下に絞っているのは、これ以上の価格帯のものを購入しても
値段の差ほどの音質の差が感じられない事が多々あるからだ。
特に近年流行の技術を用いたBA(バランスド・アーマチュア)型は、
まだ手に届く価格範囲では魅力的な音質であるものが少ないので、
どうしてもオーソドックスなダイナミック型のものを選んでしまう。
昨今の製造業の事情からすれば、販売メーカーは違っていても、
使用している部品(ドライバー・ユニットなど)は、共通のものが
多いという可能性もある。たとえば、デジカメなどでは、心臓部の
画像センサーを供給できるメーカーは数えるほどしかなく、各社は、
同じ部品を使用して、メーカー毎または機種毎に、多少の味付けを
施して製品化しているわけだ。
だから、3000~5000円の価格帯のイヤホンで私の好みの音質のものが
多いのは、同じ心臓部を利用している可能性も無いとは言い切れない。
この上の価格帯では、12000円前後の各社のイヤホンに、また好みの
音質の製品群があるのだが、そのうち、それらにも手を出して
みようと思っている、しかし、現状では、たとえば12000円のイヤホン
を1個買うより、3000円のイヤホンを4個買ったほうが数段楽しいので、
3000円クラスを極めてからの、まだ当分先の話ではあるが・・・
そんなこんなで、イヤホンを色々と集めていくと・・
上から、
KOSS(米)iL100(実売5000円弱)
KOSS(米)RUK30(実売2000円弱)
Pioneer(日) SE-CL551(実売3000円強)
このあたりのシリーズは、若干低音を強調したところがあって、
音のバランス的には癖があるのだが、これはこれで、その特性に
合う音源は存在する。
さらには、少々変わったところでは、レゲエの神様ボブマーリー
一族の会社で生産する、以下のようなイヤホンも・・
House of Marley(ハウス オブ マーリー)(ジャマイカ?)
MRL-EM-JE010-R (実売4000円強)
このイヤホンは、ロハスな作りなのだが、木のボディというのが、
意外に良い結果をもたらしているようで、なかなか音質バランスが
良くできている。基本的な音質傾向は、他のイヤホンに似ている
ところが多いので、同じユニットを使用している可能性もある。
・・まあ、という具合に、イヤホン収集も、きりがない。
ここらへんで、イヤホンのBEST 5 (といっても音質の絶対評価は、
音質を数値化できる基準が存在しないため、非常に困難であるから、
あくまで自分の好みでしかないのだが、コストパフォーマンスという
概念は確実に存在していると思う)をあげてみよう。
どのイヤホンも2000円~5000円以下で購入できる。
①ゼンハイザー(独) CX-175(実売3000円強)
音質:A+ コスパ:S
②Final Audio Design(日) FL-ADA2DCR(実売4000円弱)
音質:A+ コスパ:A+
③Philips(蘭) SHE-9700(実売2000円強)
音質:A コスパ:S
④House of Marly MRL-EM-JE010-R(実売4000円前後)
音質:A コスパ:A
⑤Pioneer(日) SE-CL551(実売3000円強)
音質:A コスパ:A
次点:Audio Technica ATH-CK323M(実売1600円前後)
音質:B+ コスパ:A+
次点:KOSS iL100(実売5000円弱)
音質:A コスパ:B+
イヤホンは値段が高ければ、比例して高音質というわけではなく、
また、メーカーにより良し悪しがあるわけでもない。
それは、量販店などでこれらBESTに選んだどれかのイヤホンを
基準に、他のイヤホンと聞き比べてみることで一目瞭然だと思う。
特に、スマホなどによる量産効果が出始めたごく最近のイヤホンは
数年前の設計・生産による、少数生産の頃の価格帯イメージとは
大きく異なっていて、最近出た安価なイヤホンの方が、コストダウンと
技術的な進化により、数年前に高級イヤホンと呼ばれていた、高価な
製品よりもむしろ高音質であるという「下克上」も起こっているように
感じる。
3000円のイヤホンが、聞きくらべてみたら、他の2万円のイヤホン
より高音質だった、というのは選ぶ方としては痛快だし、
そうした掘り出し物探し的感覚も、現在のイヤホン選びの楽しみ方だ。
ちなみに、比較試聴をする際は、同じ音源を基準にする事が重要だ、
だから自分のプレーヤーで何度も何度も同じ曲をリピートして、
イヤホンの音質を比べてみる。その際、イヤホン毎で音質のみならず
”音量”が異なる場合も多々ある、音量の大きいイヤホンは、一見
すると、”音が良く聞こえてしまう”場合があるので、プレーヤー側の
音量を調整し、同じくらいの音量にして比較することがポイントだ。
最近、量販店のイヤホン売り場に足しげく通っているのだが、見て
いると、ほとんどのお客さんは、あまりに多種多様なイヤホンの種類に
圧倒されてしまい、メーカー名(有名であること)、価格帯(予算内で
あること)、デザイン(色や形)の、3つの要素で選んでいる様子を
良く見る。
しかし、イヤホンとは音を聞く道具であるから、これらの3要素は
あまり重要ではない、価格やデザインの好みはともかく、メーカーの
著名度などは最も意味のないことであり、これはたとえば
同じメーカーの、多数並んでいるイヤホンを次々に聞いていけば、
1本1本、あまりに音が違う(しかも価格通りの音質になっていない)
ことがすぐわかり、唖然とすると思う。
選ぶのであれば、単純に、自分のプレーヤーなり、スマホなりを
イヤホンに接続し、試聴して好みのものを買えば良い。ただそれだけだ。
良いと思っても予算が合わないと思えば、他のメーカーの他のイヤホンを
聞いてみればよい、どこかで自分の納得できるイヤホンがきっとみつかる
はずだと思う。
なお、ここで言う音質の評価であるが、イヤホンの音質を決めるには
以下のいくつかの要素がある。
これらの順番(重要度・優先度)により音質が決まる。
第一優先)イヤホン(カナル型)の耳への装着方法の差
→カナル型の場合、耳への挿入の位置、深さなどで音質(特に
低音)が大きく変わってしまう。恐々としながら浅く挿した状態
では、実際のイヤホンの音質は、まったくわからない。
また、付属のイヤーピース(ゴム)の大きさや形状でも大きく
音は変わるので、音が気に入らない場合は、イヤーピースを
変更するのも重要な音質改善手段となる。
カナル型イヤホンには、最低でも大中小の3種類のイヤーピースが
付属している。付け替えてみて、それらのどれもが耳に合わない
場合は、イヤーピース単品で売っているものを購入してみることも
できる(これは意外に高価だ・・)し、あるいは、他のイヤホンの
余ったイヤーピースを流用できる場合もあるので、ともかう自分の
耳に合うイヤーピースで正しく(カナル型)イヤホンを鳴らす事が
第一優先事項だ。
第二優先)イヤホンの種類(機種)の差
→勿論これは重要事項なのだが、上記正しい装着方法あっての
ことなので注意が必要。ちなみに量販店などで試聴する場合、
多数の利用者が使用するため、イヤーピースがへたって(劣化して)
いたり、交換されている場合もあるので、実際に商品を購入すると
新品のイヤーピースでは、音が違って感じられる事もある。
同じ型番であれば、試聴した製品と、購入した新品が同一な音で
あることは、メーカーの生産ラインの品質管理を信じるしかないのだが、
まあ、個体による、多少のバラツキはあるかもしれない。
また、一応機械モノであるから、エージング(慣らし運転)は必須だ、
イヤホンを購入してすぐの段階での音質評価は、ひとまず置いておいて、
しばらく(最低でも数十時間程度)音を出して、慣らしてから、
音をちゃんと聞くのが良いと思われる。
第三優先)音源(ソース)の録音状態の差
→これは音楽ジャンルの差よりも、むしろ重要なのが、その音源が
どんな環境で録音されたかだ。良い録音のものと、そうでないものの
差は明白で、元の音が悪いものは、どんなにイヤホンやプレーヤーを
変更しても音が良く聞こえることは無い。
一般的には、デジタルレコーディングや、デジタル楽器が普及しはじめた
1980年代後半からは、それまでのアナログ音源と、大きく音の傾向が
変化している、ただし、デジタルだから良いとか、アナログだから良い
とか、そういう話ではなく、あくまで、どんな録音環境(音楽制作環境)
と、どんな制作コンセプト(使用楽器、音の定位、音質調整の方向性など)
で、その音源がレコーディングされたかが重要だ。
第四優先)ポータブルプレーヤー(再生機器)の音質の差
→音質は、D/A(デジタル→アナログ)コンバーターと、それに続く
ヘッドホンアンプ、あるいはその仕様(たとえば24bit/192Khz
サンプリングとか)によって左右される。ただ、これらのハードの
仕様は最重要ではなく、あくまで、上記1)~3)を満たしてからの
音質的な差異だ。
これも、やはりイヤホンと同様、ヘッドホンアンプの部品は、
いくつものプレーヤで共通の部品を使っている可能性が高い、
だから、現在1万円以上の価格帯で売られている音楽専用の
プレーヤーは、おそらくどの商品を購入しても、音質的に
がっかりするという事は無いと思われる。
(まあ、同じアンプを使っていても、周辺回路の定数などにより、
音が歪んだり、SN比が悪くなるような場合もあると思うが・・・)
また、ryumo M11の例を見ても、3000円の低価格帯の商品でも、
しっかりしたヘッドホンアンプを内蔵している場合がある、
よほどの激安プレーヤー(たとえば1000円以下のものも販売されて
いる)でなければ、まあ、大丈夫なのかもしれないが・・
それと、ヒヤリングの際の音量も、かなり重要な要素であり、
一般に、音量を小さくすると、高音域、低音域はだんだん聞こえ
にくくなってくる。耳を傷めない程度に、ある程度の音量は
良い音で聞くには必須だ。
第五優先)オーディオファイルのフォーマットやビットレートの差
→フォーマットとは、たとえば非圧縮のWAV(PCM),AIFF形式とか、
ロスレス(圧縮時にデータを損なわず可逆圧縮となっている)
FLAC や Apple Losslessとか、それから、ロッシー(圧縮時に
データの一部を捨てた不可逆圧縮)のmp3 やwma , AACなどが
ある。たいていの高性能プレーヤーは、これらの多くの
フォーマットを再生することが可能となっている。
しかし、非圧縮だから音が良い、とは言い切れず、一般的な人間の
耳では、その差はまず聞きとることはできない。
ましてや、上記1)~4)の、より重要な要素が完璧に揃っていない
状態においては、mp3で、多少ビットレートを下げたとしても、
まず非圧縮やロスレスとの差はわからないであろう。
だいたいの容量だが、非圧縮ステレオの 16bit 44.1KHzサンプル
(CDなど)をWAV形式にすると、1分間で約10MB程度となる。
これをロスレス圧縮すると、1分間で、半分の約5MB程度。
ロッシー圧縮にすると 約10分の1の 1分間で約1MB程度となる。
だが、人間の耳では、ほとんど差のわからないものに、5倍や10倍の
メモリーコストを費やすのは、はなはだ疑問だ、例えば1GBの
メモリーにアルバム2枚しか保存できないのと、20枚保存できる
のとを、どちらを選ぶか?ということになる訳だが・・
また、私自身は、現在では、20~20KHzなどという机上の理想的な
可聴帯域をもってはおらず、実験してみると、高域は13KHzが
限界だ、そしてこの限界値は年齢とともに、どんどん低くなって
いく。
(10代の若者であればきっと18KHzくらいまでの高周波は聞こえる
のであろうが・・そして、たとえ耳を鍛えてあっても、音の専門家で
あろうとも、残念ながら、そのあたりの老化は、止めようがない)
なので、圧縮方式やビットレートの差によるわずかな高域の
聞こえ方の差など、私にも、とうていわかるはずもない。
また、”圧縮”という語感から、なにやら音や映像の一部を
誤魔化して捨てているような印象を持つ人も多いとは思うが、
エンジニアとして音や映像に長年かかわってきた私としては、
そういう先入観は一切なく、適切な圧縮を行えば、人間の感覚
では、”圧縮”によるメディアの品質の劣化は、感じることが
できない事もよく承知している。
なので、私は、mp3の圧縮方式で十分と判断して用いている、
ただし、念のため、一般的なmp3の128kbpsのビットレートより、
少しだけ高めて 160kbpsでエンコードしている。
結局、このあたりの圧縮方式をうんぬん言う前に、ヘッドホンの
音質や、ソースの音質を意識した方が、ずっと現実的では
なかろうか・・
長くなってきたので、以下、後編に続く。