2013年9月8日に、滋賀県・びわこ競艇場(びわこボートレース場)
で行われた、第一回スモールドラゴンボート選手権大会の模様。
通常のドラゴンボートと異なる点は、漕ぎ手がレギュラー艇の
20人漕ぎに対し、半分の10人漕ぎ(注:鼓手と舵取りを加え
12人乗り)となっている事だ、専用のスモール艇を用いて行う
のだが、その他の点では通常のドラゴンボートと同じだ。
レースは終盤、いよいよ強豪チーム達の激戦が待っている。
出番を待つ「磯風漕友会」
今日は従来の「磯風」の漕手20名を2分割して「磯風A」「磯風B」
の2チームでの参戦、どちらのチームも選手権オープンでの参加だ、
磯風1チームでも強くて手がつけられないのに、2チームとなると、
予選や準決勝で磯風と当たったチームは、不運としか言いようの
ない状況となる。
加えて「磯風」には、予備軍として「キングポセイドン」が
一般オープンの部にエントリーしている。
相生地区の看護学校の学生チームで、ずっと以前、この琵琶湖の
大会には「GSD(グランド・スウェル・ドラゴン)」の名前で
参戦していたこともある。
このころ「チーム未来」のR氏がやっと会場に到着、
大阪の古豪「チーム未来」は、各大会に参加する常連チームであり
今日の大会にも勿論エントリーしているのだが、敗者復活戦で2位、
タイム差で惜しくも準決勝進出を逃す。
R氏は、今日は仕事の都合かなにかで、レースには出れなかった
様子だが、応援にかけつけたということだ。
R氏は、ドラゴンのチーム交流会を運営していて、顔が広い、
東京の「TAITAM X」の美人キャプテンMさんともお知り合いの様子、
何の話をしているのだろう? 「ほっぺにチューして」と、ねだって
いるように見えなくもない(笑)
こちらは、和歌山の強豪「もっこりドラゴンボート部」のキャプテン、
今日の「もっこり」は、同郷の「熊野水軍」のメンバーを加えて
「くまもっこり」と自称、全員がおそろいの、ゆるキャラ「くまもん」の
Tシャツを着ている。和歌山の強豪のコラボチームだけになかなか
今日の戦績もよく、混合カテゴリーで準決勝を1位抜けして決勝進出
を決めている。
も「匠さん、我々がこの(強豪揃いの)状況で決勝に進むなんて
予想していなかったでしょう?」
匠「なにをおっしゃいますか、和歌山のドリームチームでしょう?
しかも、もっこりさんは、滋賀の大会と、とても相性が良いし・・
今まで何回優勝して、近江米や近江牛を持って帰ったの
でしたっけ?」
も「あはは、・・結構勝たせていただいてますよね」
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そして、他の混合準決勝でも「bp」兄弟対決に続き、同門対決があった。
名古屋の名門「東海龍舟」同士、2チームが対戦している。
このときの準決勝戦では、ロシアからの招待チーム「シドロフ」と、
強豪「関西龍舟シンバ」を相手にして、さしもの「東海龍舟」も
苦戦中だ、準決勝では、2位以内に入らないと決勝に残れない、
関が原で東軍と西軍に別れた「真田家」のように、「東海龍舟」に
とっても、ここが正念場だ。
しかし、無情にも、「シドロフ」先行、「関ドラ」がそれに続き、
「東海」2チームは絶対絶命か・・
と、ここでアクシデントが発生、1位でゴールした「シドロフ」が
コースを間違えて他のレーンに入ってしまった。
コースアウトのペナルティとして、2秒が「シドロフ」に課せられる、
その結果、わずか0.5秒差で、「東海龍舟」が2位の順位に上がり
決勝に残れることとなった。
「シドロフ」としては、残念な結果であるが、もう1チーム参加の
「シドロフ」は、オープンの決勝に残っているので、まあ、そちらで
頑張ってもらうしかないであろう。
”ふう・・ 強いチームばかりの潰し合いは、見ていて疲れるなあ。
気分転換に、女子チームのところにでも行ってくるか・・”
匠「あ、”河童”さん、お疲れ様です、これから決勝?」
河「はい、なんとか残りました」
匠「女子カテゴリーは今回も厳しいですねえ、
”スーパードルフィン”さんが結局2チーム決勝に残っているし、
”河童”さんは、今、メンバー改変期と聞いているので
つらいところですね」
河「そうですね、メンバーの大半が結婚とかでやめてしまったし・・」
匠「彼女達は、子育てが終わったら復帰するとかは無いのですか?」
河「まあ、そういうケースもあるでしょうが、まれでしょうね、
何年もかかりますしね・・」
匠「そうですか、ならば、今残っているメンバーで頑張るしか
ないですね」
河「はい、頑張ります!」
・・・と言ったものの、今度はこちらの「河童」の現役の美人選手が
結婚などでやめてしまわないのか、そちらの方がちょっと心配だ。
こちらのレースは、選手権オープンの準決勝。
磯風(B)、津奈木、bp、bpジュニアの組み合わせは、
まるで今年の7月に行われた日本選手権の決勝の再来のようだ。
(その際には、これらのチームに加え、”海猿火組”が残っていた)
匠「すごい組み合わせだなあ、事実上の決勝戦かあ・・」
その時、レースを観戦(応援)していた、「bp」の選手の方の
奥様の姿が見えた、ちょこんと挨拶すると。
奥「”磯風”さんって強いんでしょう?今日は組み合わせが悪いですねえ」
匠「そうですねえ、”bp”さんは兄弟チーム対決になったり、
強いところと当たったり・・」
奥「はじまりましたね、それ~! がんばれ~!」
奥様の応援むなしく、結果は、1位:磯風、2位:津奈木と、
これまた奇しくも日本選手権の結果と同じ。
奥「決勝戦に残れるのは2位まででしたっけ?
あ~あ、負けちゃいましたね」
匠「まあ、相手が強いところばかりなので、しかたないですね・・
そして、bpより、ppジュニアの方が速かったみたいです」
奥「う~ん、いったいもう! 何やっているのだか!!
匠さん、ブログにボロクソ書いてやってください!!」
匠「あはは・・(すごい剣幕に押されつつも)
まあ、そうですね・・ あれだけ練習して、家族の方にも協力して
もらっていながらですからね、そりゃあ、ふがいなく思いますよね。
それに、bpジュニアって、ほとんど水槽くらいでしか漕いでないん
でしたよね? それでも十分速い。なんか、1軍に上がる試験とかして
完全実力主義にした方が良いかも」
奥「そうですよね! もっと、どんどん言ってやってください!」
匠「まあ、私が言わなくても、十分反省していると思いますが(汗)」
日本最速を目指す「bp」、結成1年目にして、すでに様々な洗礼を
受けている状態だ。こんな時はどうするのだろう?より練習を重ねる?
いやいや・・ ここはもしかすると、自分達の視点からちょっと目を
離して、ドラゴン全体を見ていくと、何かが見えてくるのかも知れない。
まだ「bp」はチームとしては、始まったばかりだ、今後の彼らの様子を
見守っていくことにしよう・・
さて、各カテゴリーの準決勝も、一通り終了し、ここで決勝進出の
チームが出揃った。各決勝レースは、4艘建てで行われる。
女子:「スーパードルフィンA」「スーパードルフィンB]
「チーム河童」「チーム どやさっ!」
混合:「関西龍舟シンバ」「もっこりドラゴンボート部」
「東海龍舟」「琵琶湖ドラゴンボートクラブ」
オープン:「シドロフ」「アリオンローズ」
「SHIKABURI(しかぶり)」「海猿火組meets TAITAM X」
選手権:「磯風漕友会(A)」「磯風漕友会(B)」
「津奈木海龍」「関西龍舟」
いずれも、おなじみの常連強豪チームばかりだが、いくつかの
チームには注釈を入れておこう。
まず、女子の「チーム どやさっ!」は、大阪府ドラゴンボート協会
(ODBA)の所属チームのメンバーによる混成チームだ。
それから「シドロフ」はロシア・ウラジオストックからの招待チーム。
「アリオンローズ」は、相生看護学校の学生チームであり、
「スーパードルフィン」の妹分だが、なんと、女子ばかりで結成された
チームであるにもかかわらず、オープンの決勝にまで残ってきている。
オープンの部で女子チームが入賞すれば、私の記憶している限りでは
数年ぶりのことで「チーム河童」以来だと思う。
「SHIKABURI」は、立命館大学のボート(カヌー?)部のOBで
結成されたチームだ、7~8年前にも、このチーム名で出場し、
ここ琵琶湖で優勝したり、他地区の大会でも好成績を上げた記憶がある、
今回も数年ぶりの出場とはいえ、決勝進出、力は衰えていないと思える。
「海猿火組meets TAITAM-X」は、静岡と東京の別地区の強豪チームの
混成という珍しいパターンだ、どうやら両チーム、静岡の御前崎大会や
ツナカップ大会で戦っているうちに、仲が良くなった模様だ。
なお、東京側のチームは「TAITAM-X」に加え、強豪「BON OYAGE」の
メンバーも参加している。
「津奈木海龍」は、今年の日本選手権(天神)大会で、彗星のように
現れ、準優勝という好成績で、周囲を驚愕させたチームなのだが、
彼らは熊本の古参の強豪チームとして九州地区では著名であり、
ずっと以前の天神大会で優勝しているそうだ、勿論九州の大会でも
毎年好成績をおさめていて、それが今年から関西地区の大会にも
遠征にやってきているという訳だ。
昔の天神大会出場時とは、現在は代替わりはしているが、一部は
当時のメンバーも残っていて、親子でドラゴンをやっているケースもある
(大会パンフレットのチーム紹介写真には、そのK親子が載っている)
他のチームは説明をする必要もないくらいの常連強豪チームであり、
ドラゴン界に居てれば、必ず耳にするチーム名ばかりだ。
強豪チーム達の実力もほぼ見えている、波乱がおきるとすれば、
ロシア(シドロフ)、女子ばかり(アリオンローズ)、
立命館OB(しかぶり)、静岡・東京連合(海猿meets Taitam X)の
個性的チームが揃う、「一般オープン」が見ものであろうか・・
惜しくも準決勝で敗退した強豪チーム達も、今日は撤収せずに
決勝戦を楽しみに、見学を続けている。
チームの別なく、勝ち残ったチームにはエールを送り、
皆、十分にこの大会で盛り上がっている様子だ。
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さあ、選手権オープン決勝のスタートだ、
「磯風」x2、「津奈木」、「関ドラ」の組み合わせ。
すごい顔ぶれだが、予想としては、50mより、ダブル「磯風」が
先行し、「津奈木」と「関西ド」がどこまで食い下がれるのか・・?
そのあたりが見所になると思う。
アテンション、GO!
レースがスタートした。
ドンドンドンという太鼓の音が響く。
スモール艇でもレギュラー艇と同等の太鼓を使う。
雨もすっかりあがり、防水用に太鼓にかけられていた
ビニールも外されて、真新しい太鼓の音が会場によく響く。
スタート直後より、順位は、だんだん予想通りの展開になっていく、
100mくらいからは、少しづつ、ダブル磯風がリードを広げていく。
匠”うわ~! ダブル磯風、凄過ぎる!
なにせ、ドラムのテンポも漕ぐピッチも2艇がそっくり同じだし、
まるで機械のような正確さだ・・
1チームの磯風ですら手がつけられないのに、今日はダブル
だからなあ・・ こりゃあ、いいものを見せてもらったなあ・・”
選手権オープン結果
1位:磯風A 2位:磯風B,3位:津奈木
優勝タイムは50秒25、磯風Bも51秒台と、やはり驚異であった。
津奈木は53秒、天神大会同様、まだちょっと磯風に及ばない様子だ。
そして、仮にbp軍団が残っていたとしても、今日の彼らの最速タイムは
55秒台なので、やはり及ばなかったことであろう。
磯風の優位は当分ゆるぎそうにないが、津奈木、bp、関ドラ、
そして、海猿、池の里、熊野、東ドラ、サーフ、INO-Gといった
オープンの強豪チーム達は、 なんとかして、磯風の牙城を
ゆるがそうと、虎視眈々と狙っているのも事実だ。
また、これから先も、記憶に残る名勝負が楽しみだ。
女子結果
1位:ドルフィンA 2位:ドルフィンB 3位:チーム河童
やはり、相生の磯風姉妹チームのドルフィンは強い、
河童との差はドルフィンBとは1秒半なので、まあ、再編中の
河童としては善戦であったとは言えると思うが、現状、なかなか
この差を詰めて行くのは難しそうだ。
混合結果
1位:関西龍舟シンバ 2位:東海龍舟 3位:琵琶ドラ
優勝常連の「関ドラ」としては、ややひさしぶりのメジャー大会
制覇だが、今回は、なかなかの苦戦の模様であった。
また、崖っぷちの兄弟対決から這い上がった「東海龍舟」が入賞、
さすがに、ほぼすべての大会で入賞するという安定した実力を
誇る東海龍舟だけある。
また「琵琶ドラ」は、地元滋賀のチームとして、唯一の入賞だ、
強豪の「池の里」や、「龍人(どらんちゅ)」、「小寺製作所」
「GPO」といった滋賀の専業チーム達や、他の地元チームも
すべて、超強豪達との熾烈な準決勝までに破れてしまった、
唯一残る「琵琶ドラ」が滋賀の最後の砦であったのだが、
なんとか無事に地元の意地を見せた結果となった。
ちなみに、和歌山の強豪「もっこりドラゴンボート部」
(注:熊野水軍との混成)は、琵琶ドラにコンマ2秒及ばず
相性の良い琵琶湖の大会での入賞を逃すこととなった。
一般オープン結果
1位:シドロフ 2位:しかぶり 3位:アリオンローズ
兄弟チームのコースアウトペナルティによる敗退にめげず、
シドロフ優勝、なんとかロシアからはるばる来たかいがあった
形になった。後は、ゆっくり京都観光でもして、気をつけて
お帰りください。
「しかぶり」は、久しぶりの出場だったが、腕はやはり衰えておらず、
見事ダークホース的役割を演じきった。
試合中に「しかぶり」に、
匠「確か立命館大学の・・」と聞くと
し「そうです、よくご存知で」という答え。
まあ、5~6年たつとは言え、こちらも琵琶湖競艇場のドラゴン
大会はすべて観戦しているので、忘れる事はない。
今は、それぞれ就職とかで離れ離れになったメンバーを
今回の大会のために、 わざわざ集めていただいて、結果が
出せてよかったと思う。
懲りずに、またちょくちょく参戦してくださいね・・
「アリオンローズ」の入賞は快挙だった。
女子の細腕で、屈強な、ロシアや立命館OBチームに立ち向かい、
見事3位は立派なもの。卒業後は「ドルフィン」で世界などの舞台で
活躍してもらいたいと思う。
「海火meet Taitama X」は、残念ながら4位、
まあしかし、静岡と東京の架け橋として今回の出場は非常に大きな
価値があったように私には思える。一見小さなことに見えるかも
知れないが、それぞれ住む場所も練習場所も違うチームの混成という
のは本当に稀有なケースだと思う。来月の静岡(清水港)ツナカップ
では、またそれぞれライバル同士になる思うが、今後もまた、地域や
環境を超えたドラゴン界の交流の、良い先例として頑張ってもらえれば
幸いだ。
さて、閉会式。
各カテゴリーの表彰が行われる。
近江米、近江牛、そして、豪華客船「ミシガン」の貸切券など、
滋賀県の大会ならではの豪華な副賞を手にする
入賞チーム達・・
これにて第一回スモールドラゴンボート選手権大会は無事終了、
時刻は午後5時をまわったところ、チーム数の多さから考えると
まずまずスムーズな進行だったと思う。
これなら遠方からの参加チームも問題なく帰宅できることであろう
今日は日曜日、明日は月曜日で仕事がある選手がほとんどだ。
ちなみに、最も遠い熊本の「津奈木」は、レンタルの小型バスで
10時間以上かけて帰宅すると聞く、到着は明日朝5~6時予定、
そのまま出勤する選手も多いそうだ・・
終わってみれば、今回の「スモール」は良い大会だった思える、
なんといっても、オールスター戦のように、強豪チーム達が次々と
出場していただけたのが良い。
また、軽くだが、実力によるカテゴリー分けがあるので、今後は
ドラゴン専業以外の地元チームなども気軽に出場できるようにすれば
面白いのではなかろうかと思う。(まあ、その際は、静岡の御前崎や
ツナカップ大会のように、ビギナー向けの「チャレンジ」カテゴリーを
新設する必要も出てくるかとも思うが・・)
また、ドラゴン専業チームも、これくらい集まっていただければ
見る方も十分に楽しめる、事実、どのレースも見ごたえがあるので、
今回は敗退チームが早めに撤収してしまうことも、他の大会より
ずっと少なかったように見えた。
来年もまた、この大会が楽しみになってきた・・