およそ2年ぶりのロックバンド head&tailのライブの日が来た。
一部の主要メンバーの活動拠点が大阪から関東に移ったため、
しばらくこのユニットでのLIVEがしずらかったとの事だが、
今回は大阪にメンバーが集結し、ひさしぶりのLIVEとなった。
LIVE会場は、大阪心斎橋のClub ALIVE。
客席数はやや少ないながらも、本格的な音響・照明設備を
持つライブハウスだ。
バンドの準備中には暗幕がステージを覆い、準備OKになると
暗幕があがる、やや暗い照明の中、メンバー全員は客席に背を
向けていた。
これは勿論 head&tailの演出で、ともかくこのバンドはクールかつ
格好よさを目指している、演目はヘビメタ(ヘヴィメタル)の曲が中心であり、
ユニットの構成は、女性Vo(ヴォーカル)、男性Gt(エレキギター)、
男性Bs(エレキベース)、そして、このジャンルの音楽には珍しい
女性Dr(ドラムス)となっている。
こちらのベース・プレーヤーは今回関東から参戦のTOKIO氏。
非常にソリッドなトーンのベース演奏で、head&tailサウンドの要と
なっている。
ちなみにLIVE会場に備え付けのアンプを使用する場合、
ギターの場合は、歪系であれば「マーシャル」、クリーン系であれば
「JC(-120)」と、ほぼ定番のアンプがどこのライブハウスにもあるのだが、
ベースの場合は、これといった定番のアンプがあるわけではない。
まあ、いずれにせよ最終的にはPA(音響設備)を通すことになるので、
ヘッド(プリ)アンプからのラインアウト出力がPAに行くのだが、
トランジスタ系のベース用ヘッドアンプはさほど機種毎の音色の差は
無いので、楽器(ベース)本体のトーンと、使用するエフェクターの音色、
PA卓での調整により概ねの出音が決まり、ライブハウスで大きな差が
出るというわけでは無いと思われる。
これが(エレキ)ギターの場合は「マーシャル」系のプリは真空管だし
「JC」のプリはトランジスタなので、この時点でも大きな音色差となる、
音楽ジャンルによっては、どちらかを選ぶことはしても、その逆は
まずありえない、もし全く音楽ジャンルに合わない場合は、
ギターアンプを通さず直接PA卓に送るしかなくなる。
で、こちらのTOKIO氏の場合、エフェクターはごく少数、恐らくは
歪系のBOSSコンパクト(オーバードライブかディストーション)のみで
その歪量のセッティングをごく控えめに、つまり完全に歪ませないで
倍音構成を変化させる程度の音色の変更に留めて使っていると思われる。
イコライザーやコンプレッサーは使用していない、あるいはPA卓の
機能にまかせているのであろう。
ちなみに、JC(-120)のプリに内蔵されているコーラスエフェクトは、
クリーン系の音楽ジャンルには定番サウンドであるが、このコーラスは
JCの2つのスピーカー(=チャンネル)の片側のチャンネルのみに
位相(BBDによる遅延)変調をかけて、スピーカー出力の空間で
ノーマル音と変調音をミックスし、耳に入る位相変調効果により、
音源位置(定位)が見かけ上変調されて音の広がり感を出す
仕組みなので、もしプリアウトをモノラルにミックスしてしまうと、
この空間的な広がり感が失われてしまう。
・・とは言えギター音をステレオのまま扱ったり、スピーカー出力を
マイクで拾って卓で制御する、というのも、なかなか面倒なので
悩ましい所だと思われる。
head&tailのドラムスはKAZU嬢だ、若干19歳であるが、
メタルバンドのドラマーであった父親の影響で、幼少のころから
ラウドネスなどの曲を聞いたりコピーして演奏技術を身に付け、
若い頃からステージにも上がっていると聞く。
その経歴通りになかなかパワフルなドラムス演奏を持ち味としていて、
ステージ後半になると汗びっしょりになっている姿が印象的だった。
LIVE撮影においては、ドラムスは、例によって非常に難しい。
まずは、各種ドラムやシンバルの間をぬってプレーヤーの顔が見れる
角度は非常に限られているし、ステージ照明もドラムスにあたるときは
ドラムソロやメンバー紹介の時以外は殆ど無い、おまけに体全体を
使ってのすばやい演奏なので、被写体ブレが頻発する。
これらを解決するには、適切な撮影ポジションを選んだり、適切な
ISO感度などでカメラを設定したら、後はひたすら音楽(演奏)を聞き、
その曲におけるドラム演奏の周期パターンを読んで、例えばドラマーが
カメラの方を向く瞬間を捉えるしかない。 結局同じような写真ばかりに
なるので、ワンステージにおいて数枚撮れれれば良いということになる。
今回は、客席および、ステージの袖(控え室との通路)の2箇所からの
撮影となった。
他ライブで他の人の撮影状況を見ていると、なかには、ステージの映像
(ビデオ)収録などで、お客さんが入っている本番時にステージ上に
ビデオ(またはスティル)のカメラマンが上がって撮影するケースも時に
見られるが、まあ、それだったらもっと近接して自由なアングルから撮れる
筈とは思うが、それは、お客さんからしたら、ステージ上にカメラマンが
いるのは、かなり鬱陶しく感じると思うので、あまりいただけない。
もし、そのような臨場感映像がどうしても必要な場合は、リハーサルの
時に収録(撮影)すれば良いと思うのだが・・
そしてこちらはチームリーダー、ギターのKILLER氏だ。
いつものトレードマークは黒の「PRS」(Paul Reed Smith:
ギターの種別)に黒のサングラス、ステージ衣装も普通は黒一色で
あまり飾らないがクールで知的な印象を受ける、演奏もまたあまり
感情を表に出さないが演奏技術は高く、安定感があり、見ていて
(聞いていて)安心できる。
ただ、今日のKILLER氏、ライブの直前に話を聞いたところによると、
ここしばらく手の痺れが出ていたということで、練習があまり出来なかった
らしい。
手の痺れは私も経験がある、ある時、重たい撮影機材をショルダーバッグに
入れて1日中歩いていたら、肩と首の中間にある筋に負担がかかって傷めた
様子で、左手から指先に至るまで痺れが発生した。日常の生活にはあまり
影響はなかったが、ギターを弾こうとしたら指に力が入らずまったく練習が
できなかった。整骨院に治療に行ったたが、すぐには治らず、結局数ヶ月に
わたって筋が回復するまで、ギターを練習することはできなかった。
KILLER氏の手の痺れの原因や程度までは知らないが、ギタリストにとっては
かなり大きい問題だと思う。おまけに今日は体調もあまり良くない様子だ。
まあ、ステージではそれらを出すことはなく、いつも通りクールかつ堅実に
演奏していたのだが、その実、ステージが終わった所で話を聞くと、かなり
しんどかったとのことだった・・・大変な状態でのLIVEどうもお疲れ様でした。
head&tailのヴォーカルはSONOさんだ。
ハイトーン(高い音域)で、バックの演奏にも負けないパワフルな音色の
歌声、さらに髪を振り乱しての情感とノリのあるパフォーマンスで、まさに
ヘヴィメタルのヴォーカルとしてはうってつけ。
彼女の歌唱力は定評があるので、今回のLIVEでのタイバン(いくつかの
グループでの合同LIVE時の他のバンドのこと)のボーカルでも参加している。
MC(曲の合間などに行われるトーク)はあまり得意では無いとのことだが、
まあ、それは今回の客層においては特に気にすることも無いであろう。
MCの質が問われるのは、たとえばプロにおけるディナーショーとか、
アマチュアやセミプロにおける、ストリート演奏などの場合だと思う。
前者は、比較的高額なステージであるからそれなりの顧客満足が必要なこと、
後者は、MCが面白くないと、路上での観客はいとも簡単に去っていく
からである。
ということで、head&tailの今回のLIVEメンバーは以上4人である。
ところで、今回のLIVE撮影では、ちょっと変わった撮影機材を使用してみた、
暗所を想定して、通常の一眼に85mm/F1.4の大口径中望遠を装着したものと、
ファインダー(EVF)の無いミラーレス一眼に、ニコン Ai135/2という
MFレンズを装着したものだ。
後者の場合、ピント合わせは、高々92万ドット(640x480のVGAサイズx
3色) これでもミラーレス一眼のモニターとしてとしては解像度が高い方だ、
多くの機種は、その半分の46万ドットしか無い)の液晶モニター上での
MF(マニュアルフォーカス)操作となる。
ミラーレス一眼の場合、MFの時は、①MFアシスト(画面の一部を拡大
できる)と、機種によっては②ピーキング機能(ピントの合った輪郭線を
赤などの色で表示する)によって、少ないドット数の表示でのピント合わせ
をサポートする機能がついている。
特に大口径レンズの場合には、被写界深度が浅いので液晶モニター上での
目視ピントのみでは苦しく、拡大か輪郭線のどちらか、あるいは両方の
機能に頼ってのピント合わせとなる。
まあ、それ自体は慣れれば特に問題は無いのだが、別の問題が発生した。
今回は撮影機材の軽量化のために、EVF無しの小型軽量のミラーレス一眼を
選択したのだが、レンズ(Ai135mm/F2)が、とても重量級で 860gもある。
しかし、カメラ本体と合わせ1kgちょっと・・ 普通の一眼レフならば
1.5kgから時に2kg近くになる望遠系撮影機材にしてはまだ軽量な部類だ、
それを期待して撮影していると・・
ファインダーが無いために、体からカメラを離して液晶モニターを
見ながらの撮影となる、普段の撮影なら小型軽量な純正マウントのAF
レンズまたは、アダプターを利用して小型の単焦点MFレンズを使って
いる時ならなんともない重量が・・ およそ1kgの物体をずっと目の前に
手を伸ばして支え続けている体制だと、序々に腕に疲労が溜まってくる。
そこで通常の一眼やコンパクトに持ち替えて腕を休ませるのだが、
ミラーレスに持ち帰ると左手にまたずっしりと重量感が・・ おまけに
MF操作であるから、左手はカメラを支えているだけで良いというわけ
ではなく、MFで重いヘリコイドをも左手で回さなければならない。
ステージ終盤にはもうヘロヘロ、もう少しライブが長くつづいたら、
もう135mm(銀塩換算で約200mm)の使用はあきらめたかも知れない。
しかし、これで懲りたかというとそうでもなく、先日のドラゴンボート
撮影では練習がてらTAMRON SP200-400mm/F5.6(通称バズーカ)
の超望遠ズーム、重さ1210g。 ・・をミラーレス一眼につけて撮影して
「どれくらいヘロヘロになるか?」を、チェックしていた。
まあ、慣れてきたり、あるいは重さを軽減する方法(たとえば常に三脚座の
部分をどこかに置いて撮るとか)がわかってくれば、機材全体の軽量化は
十分に意味があると思ったからだ。
さて、ステージは続く。
近距離からの撮影はコンパクトデジカメが有効だ、
通常のコンパクトデジカメの撮像素子(CCD or CMOS)のサイズは
1/2.3インチ(対角線が0.4インチ程度)であることがほとんどだが、
ここ数年、各社から、 2/3インチ(または 1/1.6インチとも)の
すなわち 対角線 0.6インチ台のサイズの撮像素子を搭載した
高級コンパクトが発売されている、おそらく同じデバイスを使って
各社なりにアレンジしているのだろうが、今日のデジカメはそうした
ものの1つである。
これらは通常のコンパクトデジカメに対し、撮像素子が2倍~2.3倍
程度の面積となり、おまけに画素数もあまり無理やり詰め込むことなく
1000万画素程度に抑えているので、撮像素子のピクセル単位では
通常のコンパクトの場合の数倍の面積となる。
これはライブ撮影の時のような、輝度(明暗)差が非常に激しい被写体
の場合は、通常のコンパクトよりも階調表現やダイナミックレンジに
優れるというメリットがある。勿論デジタル一眼レフのAPS-Cサイズ等
の撮像素子に比べれば、はるかに小さいので勝負にはならないのだが、
それでも1/2.3インチを持っていったとした時のように、いくらマイナス
補正しても白トビが防げない・・といったような状況は回避できる。
遠距離の撮影では、勿論デジタル一眼レフに大口径(F1.4ないしF2.0級)の
中望遠・望遠レンズが必要となる。
ロック系では被写体(プレーヤー)が良く動く為、これを止めるシャッター速度
(概ね1/250秒程度)を得るためには大口径レンズ+高感度(高ISO)が
必須となる、そのシャッター速度では、そもそも手ブレしにくいので、
手ブレ補正機能は必要なく、MFレンズを使っても問題は無い。、
ズームレンズでは特殊なものを除き開放F値が最大でもF2.8止まりなので
ちょっと苦しい。どうしても大口径単焦点が必要で、F1.4ならばF2.8レンズ
が1/30秒の暗く厳しい状況でも、1/125秒のシャッター速度が得られる。
ズームで無いことのデメリットは画角の自由度だが、どうせ望遠圧縮効果や
ボケ効果を任意に細かく決める必要がなければ、ふんだにある記録画素数を
利用してトリミングしてしまえばよい。 例えば1200万画素で撮って、そのうち
300万画素を切り取れば画角(焦点距離)としては2倍相当になる。
さて、ステージの方は終盤に差し掛かっている。
女性メンバー、DrのKAZU嬢、Vo.SONOさんのパフォーマンスは
ますますパワフルに、かつノッて来ている。
ライブハウスにはバーもあり、お酒も売っているから、シラフでは
できないなあ、とばかりに一杯ひっかけてからステージに立つプレーヤー
も少なくはない。こちらのhead&tailでは、そういうスタイルかどうかは
知らないが、適度なアルコールはステージに良い効果をもたらす場合もある。
でもまあ、勿論飲みすぎは禁物。
もうずいぶん前の話だが、アメリカの西海岸に仕事で行った時、
夜、宿泊所から少々(かなり)離れた場所にあるライブバーに、某超有名
ロックバンドのギタリストが出演するとの情報を、同行した友人(音楽好き)
から得て、仕事が終わったてから2人でタクシーに乗ってそのバーに
向かうことにした。
長距離のタクシーはライブバーの入場料よりはるかに高い金額の
片道$150(汗)
でも、まあ、その時は超有名ギタリストが、数十人しか入れないような
小さいバーで間近で見れることの期待が大きかった。
そして開演はなんと深夜0時からだ、アメリカではそういう場合もあるの
かもしれないが、日本ではまず考えられない。
すぐ目の前に出てきた超有名ギタリストを見て、私達は興奮したのだが、
良く見るとなんだか様子がおかしい・・
どうやら、そのギタリスト、夕方くらいからずっとこのバーで飲んでいた
ようで、もはや泥酔状態(汗) フラフラで演奏はミスが多く、高いお金を
かけてまで見に行ったのに、ずいぶんとがっかりした思い出となった・・
さて、head&tailの方は、別にフラフラになることもなく(笑)
まあ、あえて言えばパワフルなステージをもう1時間にわたって続けて
いるので、多少体力的にしんどくなってきている様子だが(汗)
ともかくいい感じのノリと観客との一体感のあるステージだ。
ラストの曲ともなると、head&tailのファンの人数名がステージの前に
出てきて「ヘッドバンギング」を始めた。
ヘッドバンギングとは、頭を上下に振る動作を示し、特にヘヴィメタル
などのステージで頻繁に行われる。
観客、プレーヤー、あるいはその双方が、演奏のリズムに合わせて
頭を振り合うことで、ノッていることを表現したり、演奏を賞賛する、
といった意味がある動作である。
観客のヘッドバンギングに合わせ、ベースのTOKIO氏もノッた演奏を
行っている、さらにギターのKIller氏のソロもますます冴える・・
ステージが終了すると、小規模なライブハウスながらも割れんばかりの
拍手と歓声があがった。
こうして、head&tailの久々のライブは無事終了。
個人的にも、なかなか良かったと思う。
後でメンバーに話しを聞くと、細かいところのミスがどうしたとか
こうしたとか言ってたけど・・ それはどうでも良いことだと思う。
一番大事な事は、お客さんが満足したかどうか。
その点では、ライブが終わった時点でのお客さん達の表情を見れば
だいたいわかる。
お客さん達の多くは満足気な笑みを浮かべていた様子だった・・
次回のライブがまた楽しみだ。