ハイパープログラム等は、専門家でもなかなか理解できない機能として有名である。
ペンタックスのZシリーズ(Z-1等)や、最近では、*istD
あるいは、ミノルタα-7、α-9、コニカミノルタα-7D等のごく一部のカメラに
搭載されている機能であり、これを理解して使えば非常に合理的である。
ペンタックスは、Zシリーズで満を持して考案したこの機能が、ユーザーは元より、
プロや雑誌のライターにまでまったく理解されず、その後のMZシリーズではこの
搭載を見送った。そして *istDで再度、約10年ぶりにこの機能を復活させたが、
結局今回も殆ど理解されず、後続機*istDsでは、この機能の採用が見送られた。
ミノルタは、α-9以降の中上級機にさりげなくこの機能を搭載している、
「わかる人だけわかってくれれば良い」という控えめな結論か?
私が再三言っている「操作性」と「操作系」の差異をも、この記事で説明する。
「操作系」の概念が優れているカメラは、上級者ほどそのカメラの機能を十分に
引き出すことができる、つまり、「カメラがユーザーを育てる」
操作系を意識していないダメなカメラは、設計者の一人よがりで作られたモノ、
操作性という「靴」に、ユーザーの「足」を合わせる感覚から脱却していない、
ユーザーは、いつまでもそのカメラの機能を理解できずに、取説と首っ引きで
イライラしながら撮影する事は、写真の楽しみや勉強をも阻害する事であろう。
さて、絞り優先、シャッター優先の露出モードについては十分理解できていると思う。
では、まずは、プログラム露出モードから説明する。
<プログラム露出(初級)>
たとえば、ISO400(感度は何でも良い)で、P(プログラム)モードに設定し、
絞りが、f8、シャッター1/250だったとする。
同一露出値を得る組み合わせは、以下のように無数に存在する。
絞り シャッター(秒)
f1.4 1/8000
f2.0 1/4000
f2.8 1/2000
f4.0 1/1000
f5.6 1/500
f8.0 1/250
f11 1/125
f16 1/60
f22 1/30
f32 1/15
<絞りとシャッターの段数(刻みの間隔)(中級)>
この表で絞り、またはシャッターが1つずれる事を1段(露出が)変わると言う。
より細かくは、1/2段、1/3段等の間隔の変化を搭載しているカメラも多い。
具体的には、1/2段ステップであれば、1/250秒、1/350秒、1/500秒と変化し、
1/3段ステップであれば、1/250秒、1/320秒、1/400秒、1/500秒と変化する。
ちなみに、シャッター速度は、時間が単位であるから、1次元の量である。
絞りは、面積に係わる量であるから、半径(直径)の逆数を単位系とする為、
2次元の量である。 だから、シャッター速度を1段変える為には、単純に数値を
2倍、あるいは1/2倍にしていけば良いが、絞りの1段は、√2倍(約1.4倍)
または√1/2倍(約0.7倍)となる。もっと簡単に言えば、絞りは2段変わると
数値がちょうど倍または半分となる。
<プログラムシフト(初級)>
さて、まずは、多くのAF一眼レフに搭載されている、プログラムシフトである。
プログラムシフトは、プログラムが言ってきた値が、f8 & 1/250だったとすると、
その露出値をキープしたまま、絞りとシャッターの組み合わせを変化させることが
できる。具体的には、f8 & 1/250 が、f5.6 & 1/500 とか、 f11 & 1/125 とかに
変化する。この操作の為には、カメラの操作ダイヤルが1つ必要である。
昔のマニュアル(M)露出専用機では、絞りとシャッターの各操作子を同時(交互)
に逆方向に回さなければならなかったから、組み合わせの変更は容易ではなかった。
だから、逆に言えば、あらかじめ、絞り値あるいは、シャッター速度を作画の意図
に合わせて決定していく必要があった。
現代では、初級AF機(デジタル一眼も同様)でも1つのダイヤルは装備している
ので、その操作だけでプログラムを変更(シフト)する事ができる。
そして、この際に、露出補正が必要な場合がある。中級以上のAF機であれば
2つ以上のダイヤルが存在するので、余った方のダイヤルで露出補正を行う
事が可能である。
また、初級AF機であっても、露出補正ボタン(+/-)を押しながら
1つのダイヤルを回す事で露出補正が可能になるが、操作性としては悪化する。
第二のダイヤルを積極的に使ったのは、初期のEOSである、この概念は当時と
しては素晴らしかっただけに、後に続くEOS-1シリーズの流れではこの操作性を
変更する事ができなくなってしまった。プロが「操作系」の変化を嫌ったのも
一因と言えよう、この結果、EOSの操作系は他社から遅れをとることになる。
しかしながら、EOS-7シリーズやEOS-20Dでは、測距点制御やマルチファンクション
などで遅ればせながら改善の様子が見られる。
<露出補正(中級)>
なお、露出補正とは、カメラが特別な処理を行うわけではなく、絞りまたは
シャッターの値を適正な値からずらしてあげるに過ぎない。
例えば、f8 & 1/250 だったら、絞り優先モードであれば、あくまで絞りは
変えてはならないわけだから、+1段の露出補正は、シャッター速度 1/125秒
となる、または、-1段の露出補正は、シャッター速度 1/500秒となる。
すなわち、シャッター速度がゆっくりになれば、それだけ沢山の光が入って
くるから、プラス補正である、と覚えれば容易である。
また、シャッター優先モードの場合は、f8 & 1/250 の場合、シャッターを
固定して、+1段の露出補正は絞り f5.6 、-1段の露出補正は絞り f11 となる。
こちらの考え方は、絞りが大きく開けばそれだけ沢山の光が入ってくるから、
プラス補正である、と覚える。
では、プログラムの時は、どう補正するのか?、これは実は絞りとシャッターを
交互に変化させる。 例えば、f8 & 1/250であれば+1段の露出補正は、f8 & 1/125
そして+2段の露出補正は f5.6 & 1/125 となる。(この例では先にシャッター速度
を変化させたが、先に絞りを変えるカメラもある)
それでは、マニュアル露出の時は、どう補正するのか?
実は、マニュアルの露出補正は存在しない。 と言うか、マニュアル露出時は、
カメラの露出計が指定した露出値と、現在設定している絞りとシャッター速度の
差を、ユーザーが判断しながら使う必要がある。
この差は、通常、アナログメーターで判断する、すなわち、キヤノンF-1や
ニコンFE2やFM3aにおいては、露出計の値が針で出て、そこに絞りとシャッター
からなる設定露出値を追従させる、これを「追針式」と言う。
あるいは、キヤノンEOSや、ミノルタα等その他の最近のAF一眼レフにおいては、
バーグラフ状の表示の中央点に露出計の値が出て、設定露出値はバーグラフの上に
プロット(表示)される。この方式を、「メータードマニュアル」と呼ぶ。
なお、写真学校等で以前推薦機種となっていた、ニコンFM2においては、LEDにより、
設定露出値が測定値の上か下かを表すだけの単純な仕組みであり、これはアナログ
的な差異がわからず、マニュアル露出に適した機種では無い。指針という機構が
存在しないだけに、衝撃に強い等の耐久性としてのメリットは確かにあるが、
写真の勉強には適さない。この事実からも、いかに写真業界がカメラの事を理解
してないかが伺い知れるであろう。
(以下上級)ちなみに、ニコンD70や、D2Hでは、マニュアル露出時にISO感度
を自動的に変更させて、設定した絞りとシャッター速度に無理やり追従させる
という革新的な機能を搭載している、これは、銀塩カメラの概念を変えるデジタル
ならではの機能として高く評価できる。ただし、この時、D70もD2Hも、自動的に
変化した現在のISOの感度が表示される事は無い、せっかく素晴らしい最新機能を
搭載しているにもかかわらず、この「欠陥」とも言える設計ミス。
ノイズに敏感なデジタルで、感度もわからずしては、怖くて写真なんか撮れやしない。
「仏を作って魂入れず」とは、まさにこの事か? 残念な結果である。
<ハイパープログラム(上級)>
いよいよハイパープログラムである。まず、ペンタックスZ-1等においては、ハイパー
プログラムモードを選択しておく。ミノルタα-7等においてはカスタムファンクション
で、「プログラム時の前後ダイヤルによる露出補正」を「無し」にしておく。
この状態で、まずシャッターを半押しする。勿論この時点で任意のプログラムライン
上の絞り値とシャッター速度が設定される。 ちなみにペンタックスZ-20等に
搭載されていた「学習機能」では、ユーザーがPモードでも絞りを開けるのが好み
であれば(そうシフトする事が多ければ)、最初から、絞りは開放に近く設定される。
また、ミノルタα-9等では、装着したレンズの特性と撮影距離等の情報から、
たとえば、85mmレンズで中距離の条件ではポートレートと判断して絞りを開け気味
に設定される。(ペンタックスMZ-7やMZ-30の、フルオートプログラムでも同様の自動
判断機能が搭載されていると聞くが、残念ながらそれらの機種はテストしていない。)
さて、半押しして決定された絞り値とシャッター速度から、ハイパープログラムに
おいては、2つ(前後)のダイヤルの後ろ(あるいは逆設定で前)を回すことで、
「即時に絞り優先モードに切り替わる」、また、逆側のダイヤルを回すことで、
当然ながら「即時にシャッター速度優先モードに切り替わる」
これは凄い! 絞り優先もシャッター優先も切り替える必要が無い、Pだけで
十分である。 なぜこんな素晴らしい機能が普及しないのか?
・・・・しかし、ここで冷静に考えてみよう、これはプログラムシフトとは
どこが違うのか? 実は殆ど変わらない。プログラムシフトでは、1つのダイヤル
により、「一意的」に組み合わせを変化させるが、そこには露出ステップの概念は
一般には入ってこない。第一にハイパープログラムでは露出ステップの概念を
ユーザーの設定により絞り優先やシャッター優先に適応できる事。
第二には、2つのダイヤルの個々を操作する事によって、ユーザーが絞りとシャッター
のどちらの設定をより優先的に考えているかを意識させる効果を持つ事に過ぎない。
しかしながら、結果は類似であるが、この概念は鋭い着眼点である。
絞り値やシャッター速度を作画意図として意識しながら撮影を行う上級者、すなわち
ある焦点距離と撮影距離のレンズを用いた場合、絞り値をいくつにすれば、どれくらい
の被写界深度を得ることができるか、あるいはシャッター速度をいくつにすれば、
どれくらいの動感効果を得る事ができるかを経験的に理解している上級者にとっては
この機能の恩恵を十分に得ることができる。
その辺の経験に乏しい、初級・中級者にとっては、この機能は理解できないと思う。
そして、ペンタックスZシリーズの失敗は、この機能を用いた場合に露出補正が
できなかった事がひとつの原因である。 2つのダイヤルをハイパー機能に使って
しまったら、もう操作できない。Z-1においては、左側に第3のダイヤルが存在したが、
残念ながらそれは、露出モード等の切り替え等に使われていたにすぎない。
しかし、α-9、α-7、あるいはα-7Dにおいては、左肩に有名な露出補正ダイヤルが
存在する。なぜ有名かと言うと、このダイヤルは、180度回す事で露出補正の1/2段と
1/3段の切り替えが瞬時にできたからである。ニコンF5が最上位機種でありながら
露出補正が1/3段しかできなかった事は不評であった。 だから後続のF100等では、
カスタムファンクションで1/2段にも切り替えれた、しかし、いちいち撮影現場に
取説を持っていくわけにもいかず、実質上、この切り替え機能は使えない。
有名という事は、ここまではプロや雑誌ライターでも理解できた事を意味する。
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さて、ここからは【玄人選科】である。 必要無ければ読み飛ばして欲しい。
α-7においては、液晶表示機能を搭載する事で取説が無くても、カスタムの
セッティングを撮影現場で変更できる。さらに、1/2段と1/3段を切り替える事で
露出補正の範囲を変更できる事と、ハイパープログラム時(ミノルタでは、
PSシフト、PAシフトと呼ぶ)の、露出ステップを切り替えつつ、メータード
マニュアルの補正範囲と、スケール表示プロット間隔をも切り替えている。
これは素晴らしい!なんと賢い設計者であろう。
第3のダイヤルを設けた事で、ハイパー機能時の矛盾を解消しているのである。
ちなみに1/2段に設定すると露出補正およびメータードマニュアルの可変範囲は、
プラスマイナス3段となる、これはすなわち、ポジフィルムのラティチュード(6段)
に相当する、だから、メーターの範囲内にプロットがあれば、それは白トビ、
黒ツブレを起こす事は無い、おまけにAEロックをすると、自動的にスポット測光
に切り替わる事でさらに厳密にラティチュードを確認できる。
なぜAEロックを押しただけでスポットに切り替えても良いのか?
それは、AEロックを押した瞬間に露出計は用済みだからである、そこを有効活用
する為に、その時点で最も必要な機能、すなわち、スポット測光の機能を、用済みの
露出計を転用し最大限に活用させる。
さらに加えてDISPボタンを押す事でハニカム14分割の測光インジケータが動作し、
測光分布を一目で確認できる。さらに言うならば、そこで露出補正をかけると、
メータードマニュアルの値も測光分布の値も同時にシフトし、ハイキー調や、
ローキー調といった表現も物理的な数値で即時確認できる。
なお、CONTAX N1においても、αと同様の、1/2段と1/3段の切り替え露出補正
ダイヤルを持つ、しかし、ここまでシステマチックな露出に関する概念を持たない。
いちおうN1は及第点である、しかしα-7は超絶的でさえある、まさに天才による
設計である。これだけでは無い、9点の測距点は、14分割ハニカムの各ポジションに
対応しているし、MFの時でもそれは有効である! またDMF機構は、同様にAFロック
時に用済みとなった駆動系を開放して、いかなるレンズでも瞬時にMFに移行
できるという特徴を持つ。これらは以前から言っている「操作系」の最たるもので
あり、ボタンやダイヤルの形状や位置といった低次元な「操作性」の言及とは訳が違う、
操作性うんぬんは、たとえ雑誌等の記事だとしても、素人のたわごとに過ぎない。
ちなみに、コニカミノルタα-7Dにおいては、測光分布インジケータを持たない、
ポジよりもさらにシビアなデジタルの露出補正、なのにα-7の血を受け継ぎながら
その機能を省略した事は、設計思想としては許されるものでは無い、
所詮コニカと合併した結果、設計チームの人事が変更された事による弊害か?
カメラを知らない設計者が、天才的な設計のαの血統を汚しているとも思われる。
<ハイパーマニュアル(上級あるいは【玄人選科】)>
ペンタックスZ-1等においては、ハイパーマニュアル機能が存在する、この機能は
ハイパープログラムよりもさらに難しい。
ハイパーマニュアルのモードに設定した上で、ペンタックスの場合「IFボタン」を
押す事で、まず、適正露出プログラムライン上の、ある絞り値とシャッター速度が
決定される。
この時点で、後ろダイヤルを回すと絞り値が変更できる、また前ではシャッター速度
が変更できる、片方が変わるだけなので、露出補正と同様の効果となる、と言うか
適正露出ではなくなる。(この時にメータードマニュアルでなく、+/-の記号しか
出ないのがZシリーズの弱点である、露出の差分がわからないのである。)
また、ここでIFボタンを押せば正規のプログラムライン上の適正露出に復帰する、
ただし、ここでたとえば絞り値を変更したのに、せっかく変更した値がまた元に
戻ってしまう、これは良く無い。ユーザーが絞りとシャッターのどちらを変更したか
を見ていて、最後に変更した方を優先して逆の方を変化させれば使いやすいのに。
しかし、ここでIFを押した後、露出ロックボタン「ML」を一度押しながら
どちらかのダイヤルを回せば、ハイパープログラムと同様の操作系となる、
すなわち、ハイパーマニュアルは露出補正が自由なハイパープログラムである。
ミノルタα(9,7,7D)では、ハイパーマニュアルでは無いが、メータードマニュアル
である、正規の露出値との差分がバーグラフ上にプロットされている。
さらに露出ロックボタン(AEL)を押すと、ロックした値と差分の2つが
同時にプロットされ、絞り値あるいはシャッター速度を前後のダイヤルで動かす
ハイパープログラムとなる。この方が現代のカメラとしては合理的でさえある。
さらに第三の露出補正ダイヤルを回すことで、露出値を変化させられる、凄い!
しかし、この時点で絞りとシャッター速度の表示数値は変化しない、つまり
実際何が変わっているかわからない、これは操作系での「欠陥」とも言える。
だから、このレベルになってくると、カメラを作っている方もユーザーが必要
とされる操作がよくわからないのである、この矛盾をデジタルで解消する為には、
ニコンD70,D2H等に搭載されている感度自動調整と組み合わせたら良い。
つまり「メータードマニュアルでの露出補正は、感度補正が望ましい」
なお、この時に、オートブラケットと組み合わせるとさらにややこしい。
そこで「ISO感度ブラケット」および「ISO感度変更をおりまぜたブラケット」
の機能が存在すれば完璧となる。
ちなみに、α-7Dには、ゾーン切り替えモードがある、これは、ハイライトや
シャドウのどちらかの領域(ゾーン)を犠牲にし、主題となるD(ダイナミック)
レンジを拡大する機能である。技術的なアイデアは優秀であるが、この際に
ISO感度が固定になって変更できない、おまけにゾーン切り替えをONに
すると、ISO感度そのものの変更の操作子も存在しなくなる。さらに言えば
HI側とLO側の固定感度設定値が逆である。
もう、情け無い、としか言いようがなく、クレームの対象かな?とも思っている。
せっかくの優秀な機能をちゃんと活かせない操作系の設計は「欠陥」とも言える。
コニカミノルタ第一号機だからしかたないかと我慢している、α-7は何十年もの
銀塩のノウハウを活かした完成形に極めて近いカメラだっただけに、それに
ただデジタル部をとってつけたような操作系は、まだまだ未完成としか言えない。
<露出補正について(中級)>
露出補正が理解されにくかったのは、アマチュアはネガを使うからであった。
ネガでは露出補正を行っても、ラボやDPE店のプリンターにより
自動的あるいは人為的に適切な濃度(明るさ)に修正されてしまう。
そこで、ネガフィルムでは、よりラティチュードを広くして、露出ミスを許容
する方向に進化した、単純な例としては、「写るんです」(レンズ付きフィルム)
これは露出値は固定である(絞りがf10前後、シャッター速度が1/100秒前後)
それなのに、プリントすれば、ほとんどの明るさの条件でそこそこ写っている。
また、カメラは、多分割測光のアルゴリズム(計算の方法)を進化させて、
逆光や様々な状態で自動的に露出補正を行う技術が主流となった。
この結果、現代の最新一眼レフにおいては、ネガフィルムを使う限り露出補正は
事実上必要無い。あえて言うなら、常に+0.7~+1.0にしておく、この方が
オーバー側に強いネガのラティチュードを有効に使う事ができる。
しかしながら、ポジ、あるいは、デジタル一眼レフは露出補正にシビアである、
第一に、ラティチュード(デジタルではダイナミックレンジと言う)が狭く、
すぐに白トビ、黒つぶれを起こすからである。
第二に、ポジもデジタルも、写真屋さんの機械やベテラン職人が明るさを修正
してくれない。そのままの結果であり、露出の責任はすべて自分にある。
<デジタルでの操作系(上級あるいは【玄人選科】)>
だから、デジタルになった今こそ、露出補正や露出モードの「操作系」は非常に
重要となった。デジタルのメーカーはここを十分理解しておかなければならない、
いつまでもボタンを押しながら露出補正するような操作系はもはや時代遅れである。
また、また(ISO)感度というものがマニュアル露出や露出補正と密接な
関係になってきている。おまけに高感度におけるデジタルのノイズの問題が
からんでくるから、極端なシチュエーションにおいては、1枚1枚感度を調整
しながら撮影する必要もある。 ボタンを押しながら、あるいはメニューの深い
階層を探ってやっと感度を変更できるような操作系はあり得ない。むしろISO
専用のダイヤルを設けても良いくらいだと思う。
かの昔のマニュアル機、たとえばオリンパスOM-1には、右肩に大きな感度
ダイヤルがついていた、そう、たとえば、そんなイメージのカメラであっても良い。
しかし、それもあくまで低次元な「操作性」の話である、露出モードや露出補正
あるいはブラケティングと組み合わせて、撮影シチュエーションに合わせた
「動的な」ISO感度変更の考え方が必要である、その操作の流れを合理的に考えて
はじめて「操作系」と呼ぶ概念に到達する。
ハイパー系の考え方は、このように理解しずらい概念であるが、ある意味「操作系」
の走りであるかもしれない。次世代のペンタックス、コニカミノルタのデジタル一眼
では、この優れた操作系を、より洗練したものにして復活してもらいたい。
また、キヤノン、ニコンはずいぶん遅れてしまったように思う。
保守的なプロや専門家、ハイアマチュアといったユーザー層も、もう一度「操作系」
について考え直してもらい、メーカーに提言する必要があるのでは無いか・・・?